ブログ 「ごまめの歯軋り」

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和田純夫著  「プリンピキアを読むーニュートンはいかにして万有引力を証明したか」 (講談社ブルーバックス2009年)

2016年10月14日 | 書評
近代科学の出発点となった運動の法則や万有引力を確立したニュートンの金字塔 第9回

3)プリンキピアの命題(定理) 第Ⅰ編、第Ⅱ編、第Ⅲ編 (その2)

「ニュートンの運動の三法則」

すでに1)プリンピキアの誕生まで」で紹介したの再掲しない。その三法則の後に次の系が6つ続く。一般に系とは定理から導かれるものであるが、ここに出る最初の系とは運動の方向を決めるための規則のことである。
系1: 「運動の合成」 ある時間、一つの物体に二つの力が働く場合、それぞれの力が個別に同じ時間働いたときにできる平行四辺形の対角線方向に動く。その対角線の長さと方向が物体の受ける力の合成である。
系2: 「力の合成と分解」 系1より力の合成も分解も説明される。
(ニュートンはこのことから、ちょっと込み入った幾何学作図でてこの原理を証明する。このニュートン独特の幾何作図が本書の醍醐味であり難解なところでもある。それは今後一切省略して命題の筋だけ追うことにする。天秤の原理ともいわれる。二つの質量の違う物体のつり合い条件は、mA・l=mB・l' mA/mB=l'/l)
系3: 「運動量保存則」 二つの物体の運動量の和は、その物体の間の作用からは変化を生じない。たとえば物体の衝突したとき、「第三法則」の作用と反作用は等しく、第二法則からそれぞれが逆方向の運動量の変化をもたらすからである。
系4: 「共通重心」 複数の物体の共通重心は、それらの相互間の作用によっては運動あるいは静止の状態を変えない。それらの物体全体が外部からの作用を受けなければ、その共通重心は静止したままか、一直線上を等速で動く。
(共通重心の位置とは、全質量をM,各物体の一座標(長さ)をlとすると、加重平均となる。∑(m・l)/M  ニュートンは第三法則「作用・反作用」を使って証明する。第一法則「慣性の法則」があるかぎり、複数物体系の全体としての運動は外部から作用がなければ物体は等速運動を続けるのは第三法則が保証しているという。が、これは難解である。ニュートンは微分の考えを奥にかくして回りくどいことをいっているだけである)
系5: 「相対空間、基準空間、座標系」 物体の運動は、それを表す空間が静止しているか、回転せずに一様に(等速)うごいているかにかかわらず、異なることはない。
(空間が動いていても、その動きが一様なら物体の相対的な速度には影響しないことである。船の中で球を上に投げまた落下して手に戻る運動を見ると、船の外に静止する観測者が球の動きを見ると放物線を描いて上下するように見えるということ)
系6: 諸物体が等しく平行に加速されても、互いに相対的な運動は変わらない。
運動の法則についてニュートン自身が注釈をつけている。ニュートンはガリレオの物体の垂直落下運動及び放物線運動を、第一法則と第二法則及び系1、系2を使って説明をした。そして二つのひもで吊るした剛球を衝突させ反発しててどこまで上がるかを測定した。第三法則「作用反作用」から、運動量保存則を証明する。また静止する3つの物体(実は一つの物体を3部分に分けて考えただけ)の引力についても、作用と反作用は等しくなければならないと説明する。(公理として運動の三法則の関係は、現代風に解説すると、第2法則を力=質量×加速度と書くと第一法則をも含むことになる。力ゼロなら加速もゼロとなり、等速運動すなわち慣性の法則のことである。力を第二法則のこととみなして、第一法則の完成を「固有の力」とは見なさなくなったのは18世紀中頃である。すると第一法則は無用となるのだろうか。第一法則は第二法則の特殊ケースであるかどうか議論がある。

(つづく)

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