千田孝之のブログ「ごまめの歯軋り」

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読書ノート 朝日新聞特別報道チーム著 「偽装請負ー格差社会の労働現場」 朝日新書

2008年03月28日 | 書評
超一流企業の違法行為の労働現場に響く、若年非正規社員のうめき 第2回

「派遣」はいわば事務業務を中心に発展してきたが、1999年からは製造業務も自由化されたので、「偽装請負」は必要ないような気がするが、ところが「偽装請負」には事業者側のメリットが大きい。なぜなら「派遣」の契約期間は三年が限度で、それ以上使用したかったら正社員で雇用しなければならない。製造業では技術の蓄積が必要なため、頻繁に労働者を変えるわけにはゆかない。そこで生み出されたのが製造企業の労働者派遣法違法の「偽装請負」である。本書はニコン熊谷製作所に請け負いで働いていた若者のショッキングな首吊り自殺ではじまる。1990年代後半の製造業はどん底であった。安い賃金を求めて部品製造企業は海外へ生産拠点を移し、「産業の空洞化」が進行した時代であった。その結果日本に残った製造企業はハイテク産業であった。中でもキャノン、松下電器、シャープ、日立などのデジタル家電メーカは薄型テレビやデジカメなど最先端商品の国内生産の継続を決断した。2004年の改正労働者派遣法までは、製造業は派遣が許されていなかったことにより、安い労働力をもとめて「偽装請負」が生まれたのである。本来「請負」業務とは、造船業などの溶接作業や構内清掃業とか運搬業では従来より行われていた。また製造現場では「組」という制度で部分製造工程を請け負うこともあった。請負という言葉も「下請け」というように製造場所を別個に有する独立会社であれば問題は全くないのだが、構内作業となると俄然怪しくなる。とくに「組」制度は事実上「偽装請負」といっていい。企業側も「アウトソーシング」が合言葉となり社内業務を請け負い会社や派遣社員でまかなうことが流行した。しかし掃除作業のように箒一本あれば出来る仕事ではなく、半導体やデジタル機器製造工程では請負会社が数十億円もする製造設備を持てるわけがないので、これらは全くの人材派遣業の偽装工作である。偽装請負の場合は自前の設備などいらない。請負会社は人を集めメーカに送り込むだけで後はメーカに任せぱっぱなし。偽装請負に実態は労働者派遣そのものだ。しかし請負契約を装っているので、労働者派遣法の制約は全て無視する。年数の制限がないのである。
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労働者派遣法 人材派遣業 労働者派遣 アウトソーシング デジタル家電 産業の空洞化 ハイテク産業 薄型テレビ
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