ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート 矢部宏冶著 「日本はなぜ、基地と原発を止められないのか」 (集英社)

2017年07月13日 | 書評
憲法9条に外国軍基地撤去を謳うことから戦後を再スタートしよう 第10回

4) 安保村の謎2-第2次世界大戦後の世界 (その2)

 マッカーサーが三原則を指示して日本国憲法草案作成を急いだのは、1946年2月末に予定されていたソ連を含む連合国会議の前に日本側から憲法案提示を行わせるためですが、その背景には2年後の米国大統領選出馬を視野に日本で「崇高な理想」を実現しようとする功績づくりの野望があったようです。本国の国務省は、この間の事情を全く知らされず、GHQによる憲法草案の執筆は、マッカーサーとその側近による完全な「暴走」だった。このため日本国憲法第9条第2項は現実世界における基盤を完全に喪失しました。国連常任理事国5カ国は「拒否権」という絶対的な特権をもっており、また敗戦国日本とドイツは「敵国条項」(国連憲章第53条、107条)を適用するという差別があります。国連が現実の政治で動いているのです。日本とドイツに対する特別な取り扱いを国連憲章の条文にそって見てゆきます。

第103条:この国連憲章に基づく義務と、他のいずれかの国際協定に基づく義務とが抵触する時、この憲章に基づく義務が優先する。
第2条:(第3項)すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって解決しなければならない。(第4項)すべての加盟国は武力による威嚇または武力の行使を慎まなければならない。
第53条:(第1項前半)安全保障理事会は適当な場合には、地域的取り決め、地域的機関を利用する。ただしいかなる強制手段においても安全保障理事会の許可がなければならない。
(第1項後半)敵国に対する措置で第107条に規定されるもの、またはその敵国における侵略政策の再現に備えて地域的取り決めにおいて規定されるものは、国連がその敵国による侵略を防止する責任を負うまで例外とする。
第107条:この憲章のいかなる規定も、敵国であった国(日本、ドイツ)に関する行動で、責任ある政府がこの戦争の結果として取り、または許可したものを無効や排除するものではない。
国連憲起草員会で「敵国条項の目的はドイツと日本の永久的かつ有効な非武装化であり、それら2ヶ国の支配である」と説明された。戦後70年経ってもこの敵国条項は削除されていません。1995年の削除する決議案が可決されたが、決議案から20年経っても敵国条項の削除は実現していません。国連総会の2/3以上の賛成とすべての安全保障常任理事会国の批准、加盟国の2/3以上の批准が必要だからです。第107条が「沖縄」および「日本」の米軍基地存続の法的根拠なのです。この第107条によって、敵国に対する戦後処理については国連憲章に述べるすべての条項は適用されないということです。また1952年に発効したサンフランシスコ講和条約にも同様な法的根拠があります。
第6条a項前:連合国のすべての占領軍はこの条約が発効した後、速やかに、90日以内に、日本から撤退しなければならない。6条a項後半:ただしこの条約の規定は、二国間で結ばれた協定(日米安保条約)による外国軍の駐留を妨げるものではない。
第3条:日本はアメリカが国連に対して、沖縄や小笠原などを国連信託統治制度の下に置くという提案をした場合、無条件でこれに同意する。しかしそうした提案が行われるまでアメリカは、行政・立法・司法上のすべての権力を行使する権利を持つ。
しかし1972年に沖縄が本土復帰するまでそういう提案は一度も行われなかった。アメリカの沖縄に対する独占的支配権が認められたのである。アメリカはサンフランシスコ講和条約結んだ時、同時に「米比相互防衛条約」(フィリッピン)、「太平洋安全保障条約」(オーストラリア、ニューjランド)、「日米安保条約」(日本)を結びました。日本以外の二つの条約の仮想敵国は日本です。共同で対処できる条約です。日米安保条約は日本国の安全保障のためにあるのではなく、日本という地域の安全保障なのです。日本国が敵国となる可能性を捨てていません。それが証拠に前文に「アメリカは日本国が攻撃的な脅威となり、平和と安全を増進する以外に用いられる軍備を持つことを避けつつ、自国の防衛のために漸進的に自ら責任を負う」としています。1951年の日米安保助役の仮想敵国はなんと軍国主義日本だったのです。アメリカ軍が日本に駐留する目的は、軍国主義日本が復活することを防ぐ「ビンの蓋」だったのです。

(つづく)
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