ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート 柿崎明二著 「検証 安倍イズム」 胎動する新国家主義 (岩波新書 2015年10月)

2016年12月10日 | 書評
安倍流国家介入型政治(国家先導主義)は、戦前型政治体制へのノスタルジア その情緒的イメージ戦術に惑わされるな 第12回

3) 国家とは何か (その2)

強い国家をめざす安倍の政治改革について見てゆこう。いま日本社会の最大の変化は、少子高齢化と人口減少であろう。合計特殊出生率は1990年に1.57であったのが2014年には1.42まで下がっている。人口維持のためには2.07が生物的に必要だとしても、これでは遠く及ばない。そして2005年に日本は人口減少傾向に突入したと言われる。この状態が続くと2050年の人口予測では1億人を割り込むらしい。2060年には8700万人、2110年には訳4300万人となると見込まれている。また働き手となる15歳から64歳までの生産年齢人口は1995年には8762万人を最高として減少局面に入り、2013年は7900万人であった。これが年金問題と重なり国家的大問題視されている。欧州の先進国では人口が1億人以下は多くあり、人口が多いほうがいい社会とは言えない。人口が少ないと社会保障の負担も少ない。つまりどんな社会を作るかということとどの程度の人口数でソフトランディングさせるかという(人口減少社会)設計が必要である。人口を消費者と捉えると人口減少は経済市場縮小となると恐れる人も多い。外交問題では安倍は北朝鮮拉致問題を最重要視するが、北の再調査は一向に進んでいない。又仮想敵国と設定する中国のプレゼンスは日本を圧倒するものがあり、GDPは日本を抜いて世界第2位になり経済成長率はお今なお高い。軍事的な拡充が進み、アジア一の軍事大国である。その時点で日本は複数の領土問題を抱えるのはすぐれて得策ではない(中国と尖閣諸島問題、韓国と竹島問題、ロシアと北方4島問題)。こうした内外の変化に対して安倍が「強い指導力」を発揮できるのは、1990年以降の政治改革で官邸機能と権力が集中してきたからである。1998年に中央官庁等改革基本法(橋本内閣)ができ、首相に「閣議における発議権」は付与された。そして小泉内閣で経済財政諮問会議(骨太の方針)が設置された。しかし小泉は公共事業の縮小、郵政と道路公団など民営化、規制緩和で「民のできることは民へ」という構造改革によって、政府の仕事を縮小した。ところが安倍は規制緩和とは言うが、アベノミクスの2本目の矢「機動的な財政出動」で公共事業の拡大、3本目の矢「成長戦略」では政府が特定産業を育成するターゲットポリシーの計画(誘導)経済路線をとる。むしろ安倍は小泉とは正反対の路線であり、歴代で強化された首相権限を国家が関わる領域の拡大に使っているようである。小選挙区制度は小泉内閣と安倍内閣で実証されたように、圧勝した場合「選挙独裁」を生む。逆に自民党時代の第1次安倍・福田・麻生内閣の衆参ねじれ国会や民主党政権のねじれ国会は首相の権限を著しく弱めた。小選挙区制度は安定した二大政党の基盤を生むとして導入されtものであるが、二大政党どころか、一党独裁を生むことが分かった。やはり理想的には比例代表制が投票数に比例した政権となるが、過半数を取れないと必然的に連立政府になる確率が多い。だから選挙戦が旧態依然の地盤選挙または一点集中の派手な劇場型になるのである。

(つづく)
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