ブログ 「ごまめの歯軋り」

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和田純夫著 「プリンピキアを読むーニュートンはいかにして万有引力を証明したか」(講談社ブルーバックス2009年)

2016年10月19日 | 書評
近代科学の出発点となった運動の法則や万有引力を確立したニュートンの金字塔 第14回

3-1)  第Ⅰ編

セクション6~8 「時刻と位置」

セクション4、セクション5は純粋に幾何学の章である。円錐曲線を描くタイプの問題であるので省略する。セクション6~8は物体の運動の問題である。このセクションでの問題意識は各時刻で物体はどこにあるかといういわば関数論(解析幾何)である。世界の力学体系の話よりは数学方法論となるので、かいつまんで紹介するにとどめる。

命題31:「楕円軌道上での各時刻における物体の位置」
 Oを中心、Sを焦点、ABを長軸とする楕円上の点Pが動いている。もし点Pが時間t後に長軸上のAに達する位置であり、比t/T(Tは周期)が与えられているとすると、その時のPの位置を求めよ。
(変形扇型APSの面積/楕円の全面積=t/Tが成り立つ。この命題の幾何的解法は空前の巧妙さに満ちているので図がなく言葉だけでは表せない。何しろ一筋縄の関数形ではあらわせないサイクロイド曲線を用いる。楕円に外接する円(第1円 半径OA)の点Aを転がしてできるAの軌跡は時間軸を横軸としたサイクロイド曲線となり、さらに外がわにOG=OA^2/OSなる半径を持つ第2円を描く。一切の代数を使用しないで幾何学で解くということの困難さは筆舌に尽くしがたい)
命題32:「逆二乗則の力を受けた物体の垂直落下」
 距離の二乗に反比例する力の中心がBにあり、最初Aで静止していた物体が、Bに向けて一直線に落下する。途中の経過点Cにつくまでの時間は、ADC+⊿DBCの面積に比例する。ただし曲線ADBはABを直径とする半円である。
(この命題も驚嘆に値する幾何手法で解く。ABを長軸とし焦点をSとする楕円曲線APDを考え、この楕円は円を押しつぶしてゆき極限には直線ABになるという想定で、焦点Sは最初円の中心Cから極限にはBに一致するとする。落下時間を楕円運動のPまでの移動時間と考え、直線上のCと楕円上のPと円状のDは同時間として対応する。そして面積速度一定から経過時間/T∝楕円の変形扇型ADSCA、そしte円の部分面積ADBCA=ADC+⊿DBCに比例する。円の部分面積を求める問題に帰した)
命題39:「積分を使って速度と時刻を求める」
 向心力を受ける物体の、各点での速度あるいは時間を見出す方法、あるいは速度または時間が与えられたときの物体の位置を見出す方法。①速度: 物体EがAの静止位置からCに向けて落下するとする。力の中心はCにあるとする。各点における力の大きさに比例した垂線をEで引きそれが描く曲線をBGとする。Eでの速度とは面積ABGEの平方根に比例する。②時刻: 速度に反比例する点をMとし、それらを結んだ曲線VMを描く。すると物体がAからEに落下するのにかかる時間は、面積ATVMEに比例する。
(これは積分の概念に幾何学的な基礎を与えたものである。面積は向心力の積分であるから仕事もしくはエネルギーに相当する。時間についても同じことである。微積分の式で表すと現代人には分り易い)
命題40:「速さの変化は高さの変化だけで決まる」
 Cを力の中心とする任意の向心力があったとする。その物体がその力により何らかの運動をしているとき、他の物体がCに向かって直線的に落下しているとする。それらがある高度(Cからの距離)で速さが等しいならば、他のすべての高度でも速さは等しい。
(高度が等しいということは一エネルギ―が等しいことであり、また速さが等しいとは運動エネルギーが等しいということである。この力は逆二乗則でである必要はないが、その力はCからの距離だけで決まるとする。つまりどのような軌跡を描いていようと、直線的落下という運動と等価であることが示される。)

(つづく)


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