ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート 矢部宏冶著 「日本はなぜ、基地と原発を止められないのか」 (集英社インターナショナル 2014年10月)

2017年07月11日 | 書評
憲法9条に外国軍基地撤去を謳うことから戦後を再スタートしよう 第8回

3) 安保村の謎1ー敗戦そして日本国憲法 (その3)

 日本国憲法は本当に誰が作ったのかといえば、それは100%GHQが草庵を書いたのです。マッカーサーのもとで憲法草案の執筆責任者だったチャールズ・ケーディスの証言から明らかです。1946年2月4日から12日にかけて、GHQは9日間で憲法草案を書きました。ケーディスを含む25人の作業チームが11の章ごとに分かれて執筆し、13日に日本政府に渡し憲法改正を指示した。その時の殺し文句は天皇の人間宣言と同じく「拒否するなら天皇を戦犯として裁判にかける」ということです。GHQは1946年111月末「検閲の指針」を定めましたが、そのトップ4項目を検閲対象にしました。
①GHQに対する批判、
②東京裁判の対する批判、
③GHQが憲法草案を書いたことに対する批判、
④検閲制度への批判です。
自分たちが憲法草案を書いたことは公文書にしているが、メディアや手紙で言及することを禁じたのです。そしてGHQは1946年1月には466人いた衆議院議員のうち旧体制派の381人を公職追放し4月の選挙に臨んだのでした。日本国憲法前文に「日本国民はここに主権が国民にあることを宣言し、この憲法を確定する」と宣言していますのでこれは主権在民の民定憲法です。ところがこれを制定した根拠が、天皇に主権があるという明治欽定憲法の手続きでおこなわれたことが大変な矛盾で、美濃部達吉氏は「国民会議を作って憲法を起草させ、国民投票にかけるのが適当」と言って反対しました。筋の通った学者でした。しかし日本の悲劇はこうした論理的に正しい世界標準の議論は避け、大勢迎合の学説だけを良しとすることにあります。そこからダブルスタンダード、2枚舌の体質が蔓延したのです。戦後日本の社会科学における「最高権威達」と称される人々というのは、政府の審議会などで結論をあらかじめ教えられ、それを正当化するためとんでもない学説をひねり出す節操のない人のことです。福島原発事故でわざわざ長崎大学からきて「気にしなければ放射線は恐くない」とか「子ども放射線影響?ない」とか「50ミリシーベルトまで浴びても大丈夫」とかいうデマを振りまいていました。また民主党政権で防衛大臣を務めた森本敏氏は2013年4月11日の民放番組で「日本の原発は核攻撃にも耐えるように設計されている」といったという。どんな根拠があってそう言ったのか不可思議です。劣化ウラン弾は戦車の鋼鉄さえ打ち抜くのです。ミサイルが圧力容器や格納庫を打ち抜くかどうか無論誰も実験したことはありませんが、大丈夫という根拠はあるのだろうか。「統治行為論」は明らかに憲法の判断が行政や政治に及ばないとする論ですから、これは3権分立(司法・立法・行政)の否定になる。最初から憲法は政府・官僚に負けているのです。こんな論が横行する最高裁判所は世界でも日本しかない。それは何処からきているかというと、最高裁判所の人事権を政府が持っているからで、都合の悪い判決をする最高裁判所判事は更迭されるからでしょう。政府から独立を約束されている日銀もその総裁の人事権は政府にあります。公共放送のNHK会長のそうです。政府は交代時期を見ては都合の悪い人物を排斥してゆき、今では安倍ファミリシーで占められています。話は美濃部達吉氏に戻りますが、ドイツでは基本法を定めて、旧憲法は国民が自由な決定により議決した憲法が施行される日に効力が失効すると述べています。またフランスは第4共和国憲法に、国土の一部でも外国軍によって占領された場合は、いかなる憲法改正も無効であるとしています。なぜGHQがこのような憲法草案を徹夜で書き上げたかというと、ソ連も参加する11カ国の極東委員会が2月末に迫っていたからです。マッカーサーは憲法草案が形だけでもGHQの手を離れ、日本政府の憲法提案になるように焦ったのです。だから日本政府に日本語の草案を作らせ、それに承認を与える、与えないで条文内容をコントロールできると考えたのです。
マッカーサーの3原則
①天皇制の存続、
②戦争と戦力の放棄、
③封建制度の廃止
に沿った日本国憲法草案が急きょ作成され、日本国政府が作成したことにした極めて異常な出来事です。2月13日吉田茂外務大臣はこの憲法草案を受け取り、2月26日内閣の法制局が条文の作成作業に着手しました。ケーディスは敗戦国への懲罰という大きな枠組みのなか、人類の究極の理想を書きこもうとしました。天皇を残しながら完全な民主主義国として再出発することが憲法に書きもまれています。しかしこのことによって日本人の戦後が大きくゆがめられたのです。自分が作ったという主体性と責任そしてそれを守るという気概が誰にも生まれなかったのです。これが「憲法の闇」と言われる深い断層となった。占領軍バ密室で書いて、日本に受け入れを強要した。そしてその内容は日本人には何十年経っても書けないようなすばらしく良いものだった。これが日本国憲法のおきな「ねじれ」の正体です。憲法に関しての日本の議論は、これを人権無視の昔のj憲法に改悪する勢力と、指一本憲法に触れてはいけないとする護憲勢力の板挟みになっています。

(つづく)
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