ブログ 「ごまめの歯軋り」

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和田純夫著  「プリンピキアを読むーニュートンはいかにして万有引力を証明したか」 (講談社ブルーバックス2009年)

2016年10月11日 | 書評
近代科学の出発点となった運動の法則や万有引力を確立したニュートンの金字塔 第6回

2 世界の体系への道 (プリンキピア第Ⅲ編前半) (その2)

万有引力の法則を確立するため、ニュートンは木星や土星の衛星の話から入る。それが万有引力を証明する命題1から命題9(定理)である。これ以降の説明では定理の証明は図や式の展開を記述しなければ理解できないが、HTML文法ではその表現は不可能であるので省略する。そこを楽しむのが数学の醍醐味であるので各自に任せる。論理の筋だけを理解してゆこう。さらにニュートンは解法には徹底して幾何学から入る。ニュートンの頭の中はさておき。、代数や解析学は基本的には表記には用いていない。まさに「幾何学を知らない人はこの門に入るべからず」といったプラトンのアカデミアの世界である。

① 命題1: 木星の衛星は、木星方向の力を受けており、その力は木星からの距離の二乗に反比例する。土星の衛星についても同様である。
(この命題は第Ⅰ編命題2「物体がある曲線上を動き、ある点からの面積速度が一定の場合、その物体はその点からの向心力を受けて動いている」と、第Ⅰ編命題4系6「いくつかの物体がある点の周りを等速円運動をしており、その周期がその半径の3/2乗に比例しているとき、それらの物体に働いている向心力は距離の二乗に反比例する引力である」に基づく。)
② 命題2: 惑星は太陽方向の力を受けており、その力は太陽からの距離の二乗に反比例する。
(この命題は第Ⅰ編命題11「物体の軌道が楕円であり、その向心力の中心がその焦点であるとき、向心力は距離の二乗に反比例する」と、第Ⅰ編命題15「いくつかの物体が、距離の二乗に反比例する共通の向心力により楕円運動をしている場合、その周期は、その長半径の3/2乗に比例する」に基づく)
③ 命題3: 月は地球の中心から、距離の二乗に反比例する力を受けている。
④ 命題4: 月は地球の重力により、地球に向かって落下し続ける運動をしている。
⑤ 命題5: 木星の衛星の土星の衛星も、そして太陽に対する惑星も、それぞれ木星、土星、そして太陽の重力に引かれて直線運動からそらされ、円運動あるいは楕円運動をしている。(重力の一般性)
⑥ 命題6: すべての物体は各惑星に向かって引かれる。その強さ、つまりその惑星によって生じる物体の重さ(引かれる力F)は、その物体がもつ物質の量(質量m)に比例する。(重さと質量の関係 F=mg)
⑦ 命題6系2: すべてのものの重さは、それらが持っている物質の量(質量)に比例する。それは物体という物体のすべてについて認められるべきものである。
⑧ 命題6系5: 磁力にはそのような性質はないので、磁力と重力は別の力である。
⑨ 命題7: すべての物体には、それぞれの物体がふくむそれぞれの物質量に比例する重力がある。
(この命題は、作用・反作用の法則であるが、第Ⅰ編命題69及びその系で「物体A,B,C,Dがあり、Aが他の物質に与える加速度は、他の物体との距離のみで決定され、各物体が及ぼす力はその物体の質量に比例する」というもので、2物体A,Bの質量をmA,mBとし、2物体の距離をrとすると、万有引力はF=GmA・mB/r^2とあらわされる。Gは重力定数と呼ばれる)
⑩ 命題8: 互いに引力を及ぼし合う2つの球体において、球体内の物質分布が球対称(均質)であるなら、その2つ球体の間に働く重力はそれぞれの球の中心間の距離の二乗に反比例する。
(第1編命題75,76によって、その質量が中心に集まっているとした結果が成立する)惑星の軌跡を円運動で近似して、ニュートンは天体の質量比を計算した。第Ⅰ編命題4より、惑星の質量mA、惑星の周期をTとするとGmA=(2π)^2・r^3/T^2となり、重力定数は分からなかったので太陽の質量を1とする比は計算でき、太陽:木星:土星:地球=1:1/1067:1/3021:1/169282と計算した。
⑪ 命題9: 均質な天体内部での重力波中心からの距離に比例する。
(これは第Ⅰ編命題73に基づく)

(つづく)
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