ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート 岡田雅彦著 「ほどほど養生訓ー実践編」(日本評論社 2013年3月)

2013年12月17日 | 書評
医者・薬に頼らないで、ほどほどに健康長寿を楽しむには 第1回

 岡田雅彦 著 「ほどほど養生訓-実践編」(日本評論社 2013年3月)という本を知ったのは、朝日新聞の広告からで、「がん検診を受けてはならない」というフレーズにひかれたからである。その前から近藤誠氏の著作を読んで同様な主張があったので、現代医学界では異端の意見を言う人もいることを知った。という私も定年以降は人間ドックや行政が行う成人病健診を一切受けてこなかった。おかげでというか、にもかかわらずというかこれまで10年間がんにもならず病気らしいこともなく、健康で動いている。会社現役時代の約30年間は毎年1回の人間ドックは受けてきた。50歳を過ぎてからは様々な成人病の指標値(肝臓、高脂血症、潜血など)は高かったので医者に通ったことはあるが、薬では何一つ改善しないし、別に生活に支障があるわけでもないので、これは病気ではなく老化現象だと思っていた。鬱的傾向もあり精神科にいったり、脊柱管狭窄症で整形外科に行ったりしたが、医者に何ができるわけでもないのでついに放置し自分で治そうと心掛けた。すべては定年という時間とストレスのない生活が救ってくれたようだ。特別健康に気を付けているわけではなく、むしろ健康のことを忘れているだけのことかもしれない。運動は、天気のいい日に1日1時間のサイクリングと体操と軽いジョギングだけである。むろん極寒期2か月と酷暑期2か月には運動のリスクのほうが心配なので、戸外の運動は避けている。その期間は読書と趣味の絵画制作に励んでいる。結構忙しく動き回っているが、古希に近くなるとふと自分の体力がどこまで続くのかなと心配になったりする。そこで本書のような「養生訓」を読んでみたくなる。
本書巻末から著者岡田正彦氏のプロフィールを紹介する。1972年新潟大学医学部を卒業、現在は同大学名誉教授である。水野介護老人保健施設長を務めている。予防医学を専門とし、米国心臓学会会員、IEEE誌や生体医工学誌編集長を歴任した。病気を予防するための診療を行い、日本人のガンや血管障害などの危険因子の調査に加わった。最近は高齢者医療に取り組んでいる。著書には「人はなぜふとるか」(岩波新書)、「がんは8割防げる」(祥伝社新書)、「がん検診の大罪」(新潮新書)、「薬なしで生きる」(技術評論社)、「検診で寿命は伸びない」(PHP新書)や本コーナーで取り上げた3冊の本がある(いずれも日本評論社)。

 本書の構成は4部構成で、第1部日常編、第2部食事編、第3部運動編、第4部検査・治療編からなる。各部は10項目の章立てであるので全部で40章で、各章5ページで平易にまとめらた内容となる5×40=200ページの本である。養生訓という題名に一番近いのは第1部の内容である。第2部の食事編は特筆すべきことは語られていない、常識の範囲内である。ちょっと首をかしげるような内容もあり、面白く記述されているが、要するに一言でいえばバランスよく食事をとることに尽きる。第3部運動編は生きている限りその人の年齢に合った運動を欠かしてはいけないということである。運動しない人は速くボケたり早死にする。第4部検査・治療編は近藤誠氏の著作と共通する内容があり面白い見解が述べられている。では以下に本書の内容をかいつまんで説明しよう。

(つづく)