ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

読書ノート 原子力災害対策本部著 「IAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書(概要)」

2013年08月18日 | 書評
IAEAの要請による日本国政府による東電福島原発事故の報告書 第7回

現在までに得られた事故の教訓 (6)
第3の教訓のグループ: 原子炉災害への対応(支援システム)の強化

16) 大規模な自然災害と原子力事故との複合自体への対応
自然災害と原子力災害の複合災害が発生したため、組織の立ち上げ、人の動員、物資の運搬、住民避難行動の面で困難が生じた。
教訓: 大規模な自然災害と原子力事故との複合自体への対応 複合災害に応じた適切な通信手段の確保、円滑な物資調達方法を確保できる体制・環境を整備する。また事故が長期化する事態を想定して実効的な動員計画の策定を強化する。

17) 環境モニタリングの強化
現在緊急時の環境モニタリングは地方自治体の役割となっているが、地方自治体のモニタリング機器が地震・津波で損害を受け、かつ緊急事態対応拠点が避難せざるを得なかった。したがって適切な環境モニタリングが出来なかった。
教訓: 環境モニタリングの強化 緊急時には、国が責任を持って環境モニタリングを確実にかつ計画的に実施する体制を構築する。

18) 中央と現地の関係機関などの役割の明確化
これまでの原発防災規則では、中央と現地の関係機関の分担や責任関係がかならずしも明確でなく、また情報通信手段の確保が出来なかったために混乱した。原子力関係者つまり、東電、原災対策本部、原災現地対策本部、政府関係機関、東電内部においても本店と現場の、責任と権限の体制が不明確であった。
教訓: 中央と現地の関係機関などの役割の明確化 原子力災害対策本部を始めとする関係諸機関の責任関係や役割分担、情報連絡の責任と役割の見直しと明確化を進める。

19) 事故に関するコミュニケーションの強化
周辺住民に対する情報提供については、事故当初通信手段の被害によって困難が伴った。住民に対して避難の根拠となる国際放射線防護委員会ICRPの考え方の分かりやすい説明に失敗した。国民への情報公表という点でもわかっていることとリスクの見通しまでは区別して示したとはいえない。かえって今後のリスクの見通しに住民の不安を招いた。
教訓: 事故に関するコミュニケーションの強化 事故の状況や対応などに対する適格な情報提供と放射線影響に対する適切な説明などの取り組みを強化する。事故が進行しているなかでの今後のリスクの見通しを示す事を反省点とする。

(つづく)