Senboうそ本当

広東省恵州市→宮崎県に転居。
話題は波乗り、流木、温泉、里山、農耕、
撮影、中国語、タクシー乗務、アルトサックス。

宇宙創成 (上下巻) サイモン・シン 2009年 新潮文庫

2017年04月21日 | 毒書感想(宮崎)

私はタクシー乗務を1年ちょっと前に始めましたが、空車状態で走っている時にふとこんな くだらない疑問 が頭をよぎります。古代ギリシャの賢人が「地球から月までの距離」をどうやって測ったのか?

さっそくネットで検索したら、私と同じ事を疑問に感じた人が何人もいました。回答者からの丁寧な解説が閲覧できましたが、やや込み入った説明でした。おおよその理解はできたつもりですが、それを誰かに説明する自信は持てませんでした。その流れでたどりついたのが本書「宇宙創成」です。著者は1967年生れのイングランド人でインド系。私と同じ、カール・セーガンが案内役をつとめたテレビ番組「コスモス」を見、その著書を読んで育った世代です。

月までの距離を計算する前に、まずは月の大きさを知らなければならないのですが、古代の賢人は皆既月食(月が地球の影に隠れる現象)というタイミングを利用しました。もし夏休みの自由研究で「地球から月までの距離の測り方」を発表しようと思ったら、まずは日本で「皆既月食」が観測できるタイミングまで待たなければいけません。国立天文台のカレンダーによると、残念ながら今年日本で観測できるのは部分月食しかありません。最も近い日付で日本から観測できる皆既月食となると来年の2018年1月31日あるいは7月28日です。ただし空が曇っていたらアウトです。(最後にピタゴラスの定理を使って計算するのですが自由研究で発表する時は、この計算方法が有効であることを 身近な建物を測量するなどして実証すると説得力が増します)

本のタイトルから「宇宙はいつどのように造られたか?」といった内容を想像すると思いますが、本書の切り口は「古代に始まって現在まで、自然科学者がどのような試行錯誤を経て宇宙の謎を解明してきたのか」というもの。新理論にたどり着くまでの泥臭い道程にスポットライトが当てられています。さっそく第一章で「月までの距離の測り方」や「地球を中心に太陽が周りをぐるぐる回る天動説。後に修正され、惑星の軌道が地動説よりも高い精度で予測できるようになった」なんて話が登場します。
いずれもその時代の自然科学者の目線から語られ、トリビアっぽいエピソードもたくさん散りばめられていて飽きさせません。必要最小限で図解や写真も。ときどき難しい数式も登場しますが、数式が理解できない私でも十分楽しめました。
以下は本文からの抜粋。

上巻 第一章 より

太陽中心の宇宙モデルを最初に提案したのは紀元前三世紀のアリスタルコスだったが、彼のアイディアは無視された。そして今、コペルニクスがふたたび太陽中心モデルを作ったが、またしても無視された。かくしてこのモデルは冬眠に入り、何者かが登場してこれを蘇らせ、吟味し、改良を加え、欠けていた要素を見つけ出すことにより、コペルニクスの宇宙モデルは現実の世界を表していることを世の中に示してくれるのを待つことになった。プトレマイオスは間違っており、アリスタルコスとコペルニクスが正しかったのだという証拠をつかむ仕事は、次世代の天文学者に託されたのである。

 

上巻 第三章 より (天文学における写真革命について)

人間の目の感度はそれほど高くないが、口径の大きな望遠鏡を使うことで感度を補強することができる。さらに写真の感光板を使えば、望遠鏡の感度はいっそう高まるということだ。たとえば、プレアデス星団には肉眼で見える星が七つ含まれているが、望遠鏡を使ったガリレオはそこに四十七個の星を見ることができた。一八八〇年代末にはフランスのポール・アンリとプロスペル・アンリの兄弟が長時間露光して写真に撮ったところ、その領域に写し出された星はなんと二千三百二十六個にのぼった。

 

下巻 第四章 より

この表からわかるように、水素とヘリウムを合わせれば、宇宙に存在する全元素のざっと九十九.九パーセントを占めることになるのである。軽いほうから二つの元素はきわめて豊富に存在し、それに続く軽い元素や、中ぐらいの重さの元素はそれほど多くはなく、金や白金のような重い元素ともなればめったに存在しない。
科学者たちは、軽い元素と重い元素の存在比がこれほどアンバランスなのはなぜだろうかと考えはじめた。

 

下巻 エピローグ より (宇宙を支配する6つの数)

したがって、もしも ε=〇.〇〇六 だったなら、宇宙は水素ばかりのたいくつな世界になり、生命が生ずるチャンスは皆無だったろう。一方、もしも ε=〇.〇〇八 だったなら、原子核の糊は今より少しだけ強くなり、水素はあっというまに重水素やヘリウムになったはずだ。水素はビッグバンの初期に使い尽くされ、星の燃料となる水素は残らなかっただろう。この場合もやはり、生命が生じる可能性はない。

 

 

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月の裏面が見えない理由 (直滑降@hide)
2017-06-12 07:56:36
梅雨入りしたというのに昨夜は満月がとてもきれいでした。月の模様はいつ見ても同じカタチに見えますが、どうして裏側が見えないのか不思議だと思いませんか? さっそくネットで検索してみたら、子供向けにやさしく詳しく説明している記事が見つかりました。単なる偶然ではない現象だそうです。太陽系のほかの惑星でいくつも同じ現象が確認されています。詳しくはこちらで→

www.nikkei.com > TOP > ライフコラム > 子どもの学び

《月の裏側がいつも見えないのはなぜ?》

http://style.nikkei.com/article/DGXKZO92034990U5A920C1W12001?channel=DF210220171916&style=1

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