つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

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なんとか踏みとどまった感じ

2005-06-10 19:57:21 | 小説全般
さて,とりあえず二度と読むことはない,とは思わなくてすんだの第192回は,

タイトル:海のふた
著者:よしもとばなな
出版社:ロッキング・オン

であります。

借りてきた2冊のうちのもうひとつ。
前のデッドエンドの思い出がかなりダメだったので,これもダメだったら,おそらくもうこのひとの作品を手に取ることはないだろう,と思っていた。

でもまぁ,まだデッドエンド~よりはマシだったかな。

話は,主人公である「まりちゃん」と,母親の友人の娘である「はじめちゃん」とのひと夏の物語。

南の島でふるさとの大切さに気づいて,地元で大好きなかき氷屋を営むまりちゃんと,祖母が死と遺産問題からひと時離れるためにまりちゃんの家にやってきたはじめちゃん。

かき氷屋を手伝ったり,海で泳いだり,おしゃべりをしたり……ただ,ひと夏の日常の中で,お互いを大好きになったり,大切なものやことに気づいたり,自分の道を見つけたり……。

日常の中の行動や会話の中に,ふっと何かに気づいたり,思ったりできるような物語だと思う。
作品の雰囲気も透明感があって,こういうのをすごくいい,と思うひとも,きっとたくさんいるのではないかと思う。

ただし,作品の透明感とともに,おなじようにまりちゃんとはじめちゃんのふたりにも,そういった雰囲気があって,人間くささというものがほとんど感じられない。
透明の膜を間に挟んで見ているようで,現実味に乏しい。

このふたりだけではなくて,まりちゃんの母親や幼馴染み,その弟などなど,出てくるキャラクターすべてがそうだから,いまいち作品に入っていけない。
膜,というのも,そこで阻まれてしまっている感じがするからだし。

まぁでも,そういう雰囲気を醸し出す作品を壊さないような表現や文章はうまい。
基本的にはまりちゃんの一人称だけど,まりちゃんの視点を通して,きちんと無理のない表現をしているから,読みやすいほうだと思う。

でも,どうもここが失敗しているとしか思えないところがある。
この本は挿絵が版画になっている。
いや,別に版画がよくない,のではなくて,挿絵を入れる場所が悪いと思う。

版画そのものはきちんと話に合っていて悪くないのだけど,途中で5ページも6ページも版画だけになっていたりする。
読み進めているうちに,そんなにページ数があいてしまうと話の流れが途切れてしまって,結局それを取り戻すのに,文章が再開されたところで前のページに戻るか,挿絵を飛ばすかをする。

結局,私は飛ばした。
きりのいいところまで読んで,版画に戻るといい感じではあるので,もっと分散して,話の流れを途切れさせずに,絵と文章が一体になるように配置してくれればよかったのに,と思う。
もちろん,出版する側としては狙いがあったのだろうけど,私にとっては大失敗以外の何物でもない。

ここは残念な部分だけど,話自体は個人的には及第。でも,あくまで及第といった程度か。
あとは好みの問題としか言いようがないね。
個人的には「サンクチュアリ」のよさにはまだまだ,ってところだろうなぁ。
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