つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

これまた久しぶりのタイプ

2007-04-08 21:03:14 | ファンタジー(現世界)
さて、久々に毒があるから気をつけてねの第859回は、

タイトル:マテリアルゴースト
著者:葵せきな
出版社:富士見書房 富士見ファンタジア文庫(初版:H18)

であります。

いまで言うライトノベル。
昔は、この富士見ファンタジアと角川スニーカーが両翼でたくさん読んでいたものだけど、いまは電撃があるおかげでなかなか手が出ない。
電撃ばっかってのも何なので、Amazonのおすすめに出ていたのを参考に借りてみました。

さて、ストーリーは、ここんとこ、いいストーリー紹介がないのでやっぱり自前。

『痛かったり苦しかったりするのはイヤだけど、何となく自殺願望のある式見蛍は、痛いのはイヤなのに幸運なのか、不幸なのか交通事故に遭ってしまう。
しかも痛いだけで助かってしまう状態だっただけでもへこんでしまうのに、その事故をきっかけに、幽霊が見えてしまうと言う能力を得てしまう。
さらに、見えるだけではなく、蛍を中心に半径2メートル以内の幽霊を「物質化」してしまうおまけまでついていた。

2ヶ月の入院生活を終えてひとり暮らしをしているアパートへ帰る途中、蛍はある駅で電車にひかれそうになっていた幽霊の少女を助ける。
記憶喪失で、ユウと名付けた少女は、自分が見えて触れて、しかも好みのタイプだと言う蛍にくっついて、アパートはおろか、学校までついてくる始末。

欲しくもなかった能力に幽霊のおまけ付き。
学校では友達の霊能力者の神無鈴音、帰宅部部長を自称し、おとこ言葉で蛍に何かとかまう真儀瑠紗鳥にかまわれる日々。

そんな日常の中、ある都市伝説を聞いた蛍はある決意をもって、伝説の舞台となっている場所へ向かう。』

主人公が120%オーバーで気に入らないので、問答無用で落第。

以上。

……すいません、きちんと書きます(爆)

個人的な好き嫌いは別として、ストーリーは、自殺願望がある主人公の式見蛍という男子高校生が、事故をきっかけにして身につけてしまった能力と、それによって出会うこととなったユウを中心として語られる学園物のコメディ。
デビュー作なので、あとがきの後に編集部の紹介があって、そこに、「自殺願望=生と死というものを扱ってはいるが、重い話ではなく、むしろハッピーな物語」とあり、確かに暗いだけの話ではない。

キャラは、蛍は死にたがりと言う要素があるので暗い部分が出てくるが、それ以外のユウ、鈴音、紗鳥はコメディらしい個性のあるものとなっており、こうしたキャラたちのおかげで、ある程度の暗さを払拭することが出来ている。

ストーリー展開は、都市伝説や幽霊、蛍の能力を絡めて進み、概ね破綻はない。
ただ、巻頭のイラストを見た時点でどういう話になるかが簡単にわかり、さらにほんとうにそのとおりに進んでオチをつけているので、よく言えば素直、悪く言えば安易。
まぁ、意外性のかけらもなく、100%お約束の展開なので、安心して読めるのは読めるが。
お約束で、お涙頂戴の安易すぎるストーリー展開、と言うことを除けば、比較的しっかりとした作りをしている作品と言えよう。

ただ、文章が……。
1ページの段落がけっこう少ないくらい、分量が多く、それはそれで悪いとは言わない。
むしろ個人的には嫌いではないのだが、コメディとしてはどうか。
分量が多いだけでなく、長々とした説明文も頻出し、コメディとしてのテンポはかなり悪い。
クライマックスのアクションシーンなどのテンポはよかったので、これくらいのテンポが全編通じて確保されていれば、よりコメディとして楽しめるのではないかと思う。

個人的に主人公が激しく気に入らないことを除けば、落第というところまでにはいかないかな。
とは言っても、ストーリーに見るところなし、コメディらしいテンポに欠けるなどの欠点のほうが目立つので、ラノベ点を考慮してぎりぎり落第にならない、と言った程度。



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