つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

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この人らしいと言えばらしいが……

2006-06-07 17:08:12 | ミステリ
さて、どっかの派遣会社のCMを思い出してしまった第554回は、

タイトル:ミステリアス学園
著者:鯨 統一郎
文庫名:光文社文庫

であります。

鯨統一郎の連作短編ミステリです。
ミステリアス学園ミステリ研究会――通称ミスミス研で起こる数々の事件を描きます。

松本清張の『砂の器』しか読んだことがない湾田乱人は、ミスミス研に入部早々、本格肯定派と本格否定派の争いに巻き込まれた。
本格の定義はおろか、ミステリの歴史もさっぱり知らない湾田がひたすら質問をぶつける中、同じ一年の薔薇小路亜矢花は鋭い発言で先輩達を驚かせる。
議論は新歓コンパの席まで続き、激高した一人の先輩が対立相手を殴って店を飛び出す事態にまで発展した。

殴られた方も帰ってしまい、残されたメンバーは途方に暮れる。
会もお開きとなった時、先輩の一人が被害者を慰めに行こうと提案した。
だが、本当のトラブルはその先に潜んでいた――。

会話で語るミステリの定義及び歴史、といった作品。
全七話あり、初手の第一話から本格肯定派と否定派の熱い議論が展開されます。

正直な所、
どっちだっていいの
と言いたくなる問題ですが、敢えてどっちかと聞かれたら私は否定派になるのかなぁ……。

謎がちゃんと解けたり、トリックが良くできてるにこしたことはないけど、それを主体にして小説部分がおざなりになってる作品はどうかと。
機械的な人間ばかり出てきたり、だらだらと説明文を続けられたりすると気が滅入ってしまい、先を読む気が失せます。
もっともこれはミステリに限ったことではありませんが。

短編集ですが、一つ一つの作品について語る気なし。
ミステリ談義と前後して事件が起こるのだけど、どれも添え物といった感じで、わざわざ紹介するほどのものでもないです。
メンバーが悩む中、主人公の湾田君が慣性の法則や、万有引力の法則の法則を持ち出して真相を言い当てるのがパターン……でも面白みも説得力も皆無。

いいところと言えば、短編同士のつなぎが少しひねってある所か。
少なくとも、一話目を読み終えて二話目を読む時は、おや? と驚かされます。
ただし鯨マジックもそこまで。三話以降同じことが繰り返されので、すぐに飽きが来ました……せっかく面白い仕掛けなのに、勿体ない。

主人公のネーミングからして、ギャグ小説と見るべきなのかも。
要は笑い飛ばすか、ふざけんなと言うかで評価が大きく変わってくるのでしょうが、私の場合後者でした。
特に最終話のオチは最悪、幼稚もいいとこ。

ミステリ好き、かつ、ミステリ論に造詣が深い方がカタログとして使うには便利かも知れません。
でも、一つの作品として見ると、読者をなめているとしか思えない。
冒頭文だけは、クスっと笑うには良かったんだけどなぁ……。
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