とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

「母」の死

2014-01-29 21:51:14 | 日記
「母」の死




 夜雨(フリー画像より)

 県立病院での諸検査の結果、網膜、視神経の大きな異常は見当たらないという所見でした。だからと言って無罪放免ではありません。見えないということには変わりがないので、精神科も含めて、多方面から検査が繰り返されました。通常の患者ではないといことは医師たちにとって格好の研究材料のようで、連日いろいろな医師が私を診察したり、検査したりしました。仕舞には私はくたくたになってしまい、もう止めてください !! と叫びました。妻も疲れ果てたようで、私をなだめる言葉も途切れがちになりました。
 娘たち夫婦も何度か見舞いに来てくれました。ご縁市場の関係者、新阿国座の関係者も何人か見舞いに来てくれました。仙女さんも来てくれました。彼女は、今に新しい世界が開けます、と言いました。それはどういう意味ですか、と私は尋ねました。今に分かるはずです。彼女はそう言っただけで帰って行きました。
 入院してから数日後、私の暗闇の世界に少しばかり異変が生じました。上の方から何か雨粒のようなものが無数に降ってきました。私の中にその雨粒が溜まっていくような感覚がありました。その雨に包まれているうちに、どこからとなく男の声が聞こえてきました。何を言っているのか定かではありません。しかし、どこかしら聞いたことのある声質でした。・・・ああっ、お父さんだ。そう心の中で呟きました。父と同じ状況。・・・そうだ、父が私を暗闇に呼び出したに違いない。お父さん、どこにいるの。そう呟いても返事はありませんでした。
 やがて、母のような声が聞こえました。しきりに招いているような仕種も幽かに見えました。ああっ、お母さん。どこにいるの。私が呼びかけると、今度は別の女の声が聞こえました。私は、貴方に告げたはず。私が死んだら、貴方に何かが起こると。不自由で邪魔なものが貴方にとりついてしまった。いいですか、これから私の代わりにお父さんやお母さんとお話をしてください。ただし、暗闇の世界にいないとその声は聞こえません。貴方のお父さんもそうでした。目が見えないからこそいろいろな声を聞くことができたのです。その暗闇から聞こえてくる声は、過去の事ばかりではなく、未来のことも含まれる。そうです。私の代わりにそのお告げをいろいろなお方に伝えてください。・・・貴方は間もなく目が見えるようになり、普通の人間に返ります。私を信じてください。・・・目が見えるようになる。ほんとですか。私がそう言った時に電話のベルが鳴りました。


 畝本さん、お電話です。・・・その声とともに看護師の姿がぼんやりと見えました。畝本さん、目が回復しましたか。・・・受話器を手渡しながら看護師は驚いた様子でそう言いました。

 ・・・みたいです、今のところ。・・・私はそう言いながら受話器を受け取りました。

 畝本ですが、どなたでしょうか。

 先生の執事です。

 ああ、分かりました。で、・・・。

 あの、先生が・・・お亡くなりになりました。

 ええっ !! お母さんが・・・。

そうです。数日前です。貴方に先生のすべての力が乗り移りました。これからは私は先生の言いつけ通り、貴方を支えます。

 支える。

 そうです。お仕えします。先生のお言いつけですから。

 止めてくれ !!

いや、先生のお言いつけですから。

 私に付きまとっても私は何にも貴方に上げらけない。

 いや、結構です。先生に以前頂きました。これからお邪魔にならないように付かず離れずお助け致します。とくに暗闇の世界にお入りになったときはすぐさまお導き致します。どうかご安心ください。

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明けない夜

2014-01-23 16:24:04 | 日記
明けない夜




[PHOTO STOCKER]高解像度のフリー写真のサイトより借用しました。


 非番の日の朝、目が覚めても真っ暗でした。時計を見ようとしましたが、どこに何があるのかさっぱり分かりませんでした。どうしたのか。なにが起こったのか。夢を見ているのか。・・・しかし、さっぱり分かりません。上体を起こしてみました。しかし、何も見えません。漆黒の闇が目の中に限りなく広がっています。しまいには怖くなりました。隣にいる筈の妻を呼びました。階下から声が聞こえました。


 どうしたの。

 今何時なんだ。

 時計があるでしょ。

 ない。どこにもない。

 えっ、どうしたの。

 暗くて何も見えない。夜が明けたかどうかも分からない。

 そんな、もうとっくに明けてますよ。7時ですよ。

 ちょっと来てくれないか。何にも見えない。

 ええっ!! す、すぐ行きますから。・・・階段を駆け上がる音がしました。

どうしたんです。

 どうって・・・、さっぱり分からない。

 私が見えますか。

 ちっとも見えない。声だけ聞こえる。・・・妻が手を握る感覚がとても頼もしく思えました。

 目はしっかり開いています。瞳孔も開いています。何か夕べ変わったことをしましたか。

 何もしなかった。普通に寝た。

 歩けますか。・・・佐山先生に診てもらいます。

 いや、歩こうと思うけど、怖くて歩けない。

 じゃ、少し待っててください。先生に連絡します。

 私は、妻が出ていくとまた深い闇に取り残されたような感覚に襲われ、体が小刻みに震えてきました。何がどうなっているか分からない。助けてくれ !! 私は心の中で叫んでいました。そうだ、私の過去の罪障が積もり積もって私を懲らしめているに違いない。だとしたら、じたばたしても始まらない。とにかく、医者がどう言うか、それを待つしかない。・・・待つ時間が長くて怖く感じられ、叫びだしたいような気持になりました。私の残り少ない未来が闇の中で黒く輝いているような気持ちになりました。このまま光を失って、・・・生きていくのか。・・・そうだ、死んだ方がまだましかも分からない。

 あなた、佐山先生ですよ。

 畝本さん、私の方に顔を向けてください。・・・先生の暖かい両の掌が頬を包みました。

 瞼をしっかり開けてください。・・・そうです、そうです。これから、瞳孔の反応を診ますからね。顔は動かさないように。

 この光を感じますか。

 光・・・。・・・ちっとも感じません。

 畝本さん、瞳孔は反応していますよ。感じない筈はないんですが・・・。

 ちっとも感じません。

 最近、見えにくくなったとか、何か自覚症状はありましたか。

 いえ、なかったと思います。

 そうですか。・・・網膜の視神経の機能を眼科で調べる必要がありますね。紹介しましょう。・・・おかしいですね。瞳孔が機能しているんですけれど・・・。脈をとりますから、肩の力を抜いてください。

 脈拍は正常です。次に血圧を測ります。・・・腕を締め付ける感覚が右腕から感じられました。

 血圧はやや高めですが、正常と言っていいと思います。次に、心臓の音を聞かせてください。・・・聴診器を当てる感覚が私を励ましているように思えました。

 心音もいいですね。

 先生、私は、これから全盲として・・・。

 いや、原因が分かりませんから、何とも言えません。専門医の所見を聞かないと・・・。うちの看護師が車を手配しますので、看護師と一緒に県立病院に行ってください。そうですね。奥さんもご一緒に。

 ありがとうございました。・・・妻の声が心なし震えていました。

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仏神水波

2014-01-18 15:07:27 | 日記
仏神水波




 諏訪大社 本宮 (撮影 Jerry fish tkc 氏)

 創建[編集]『古事記』・『先代旧事本紀』では、天照大神の孫・瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の降臨に先立ち、武甕槌命(たけみかづちのみこと)が大国主命に国譲りするように迫ったとされる。これに対して、大国主命の次男である建御名方命が国譲りに反対し、武甕槌命に相撲を挑んだが負けてしまい、諏訪まで逃れた。そして、以後は諏訪から他の土地へ出ないこと、天津神の命に従うことを誓ったとされる。説話には社を営んだことまでは記されていないが、当社の起源はこの神話にあるといわれている。なお、この説話は『日本書紀』には記載されていない。

 以上はあくまでも神話の域を出ないが、これを基に土着の勢力の上に外から入った神氏によって成立したのが当社であると考えられている。諏訪一帯の遺跡分布の密度・出土する土器の豪華さは全国でも群を抜いており、当地が繁栄していた様子がうかがわれる。



 諏訪大社 本宮 神宮寺跡 ( Saigen Jiro氏が撮影)

              (以上の記事・写真は「Wiki」から引用しました)

 諏訪大社を考えると、私個人は出雲大社の親戚のような気持ちにとらわれる。そして、神社と寺院も近しい関係を保っていると思っている。神宮寺というお寺が全国にある。日本で神仏習合思想に基づき、神社に附属して建てられた仏教寺院や仏堂をいう。また、寺院のための神社の場合は、鎮守社という。諏訪大社にもかつて神宮寺があったのである。出雲大社の神宮寺(別当寺)は鰐淵寺である。私はこのことから表題の言葉を思い出したのである。仏と神は水とその波の関係のように切っても切れない関係にあるという意味である。それにしても諏訪大社は支社である諏訪神社が全国に6500社余が分布している、全国区的な神社の本社である。この数は注目に値する。


 凰佐久良が鼓笛に復帰するタイミングが近づいている。これは劇団関係者の共通した思いでした。京都の事務局も働きかけをしていた様子でしたが、当の佐久良は進んで復帰しようという意思表示はしませんでした。尾辻綾乃と何か秘密の約束をしているかも知れない。だから、そっとして置いた方がいいのではないか。鼓笛関係者はそう考え、本番はやはり代役の綾乃を立てようという結論に至りました。そこで、「二人の阿国」の稽古は再開されました。ただ一つ今までと違う稽古内容が加わりました。それは殺陣です。古賀所長たちと稽古の様子を見学していて気が付きました。


 所長、殺陣はどこで入るんですか。

 いや、分からない。殺陣師は市川劇団の女性殺陣師の佐竹薫子という人らしい。

 私、数日前、ご縁神社を拝んでいる姿を見ました。女ながら身のこなしがピシッとしていて気持ちよかったです。他に麗華さんと綾乃さんがいました。

 二人の阿国が太刀を使うのかも知れない。

 えっ、女の決闘ですか。

 そういうことかも知れない。

 そりゃ面白そうじゃないですか。

 見せ場にはなると思う。喜多川さんも稽古に加わったので、いよいよ最後の仕上げを迎えた。今度は関東にも行くので相当覚悟して準備しないと評判を落とすことになる。だからみんな必死だと思う。

 ああ、それから気になっていたことがあるんですが。

 分かった。後ろから前へ天井に張ってあるロープだね。あれも見せ場の一つみたいだね。

 当初、佐久良さんが飛んでステージに上がるということになってた筈ですね。

 その予定だったけど、綾乃さんに代わったから、どうなることか。

 所長、私は、そこで何かが起こるという気がするんですが。

 何が起こるんだね。

 いや、私は、ふと、そんなことを・・・。

 貴方の様子を見ていると、以前とは随分違った感じがするんだけど。

 違った感じと言いますと。

 旨く言えないけれど、ずっと遠くを見るような眼姿をすることが・・・。

 そうでしょうか。ただ、私は、ときどき観音山にお参りしたり、ご縁神社を拝んだりしているだけです。

 それだよ、それ。過去が吹っ切れて、仏神の・・・なんと言うか、仏神水波。・・・霊力が乗り移ったという感じだけど。

 止めてください、所長さん。私は、以前の小心者で変わりはないです。

 小心者ね、そうかなあ。

 そうですよ。

 しかし、貴方がいると周りでいろいろなことが起こる。

 よしてください。所長さん、気持ち悪くなります。

 いや、いや、今にもすごい人になるような気がする。新宮春子さんに会ったんでしょう。貴女の言うお母さんに。

 えっ、どうしてご存知ですか。

 仙女さんから聞きました。

 えっ、仙女さん。

 そうです。仙女さんは新宮さんと親しい仲です。お気の毒に、体調が優れないとか聞いています。

 すみません。ノーコメントです。許してください。

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椿事

2014-01-14 22:32:23 | 日記
椿事




 浦安の舞(鈴の舞)写真:久次米一弥(「Wiki」)

 浦安の舞は1940年(昭和15年)11月10日に開かれる「皇紀二千六百年奉祝会」に合わせ、全国の神社で奉祝臨時祭を行うに当たり、祭典中に奉奏する神楽舞を新たに作ることが立案され、当時の宮内省楽部の楽長である多忠朝が国風歌舞や全国神社に伝わる神楽舞を下地に作曲作舞した神楽舞である。

 1933年(昭和8年)の昭和天皇御製

      天地の神にぞ祈る朝なぎの海のごとくに波たたぬ世を

が神楽の歌詞となっている。「うら」は心を指す古語であり、「うらやす」で心中の平穏を表す語であるとされる。また、『日本書紀』に「昔伊弉諾尊目此国曰。日本者浦安国。」とあり、他の文献にも日本国の別称として「浦安国」とあることから、神祇の安寧慰撫と国の平穏無事が、題名である「浦安」の語に込められている。(「Wiki」)


 出雲の祭礼が執り行われた直後、ご縁市場の事務局では顧問、事務局長を初めとして各幹部が詰め寄ってじっと相手の生野劇団の動きを待っていました。京都の様子は本部の事務局長の三朗が知らせることになっていました。三十分くらい経ってから電話がありました。古賀事務局長が電話に出ました。電話の声はオープンにセットしてありましたので、部屋の誰にも聞こえました。

 ああ、古賀です。三朗君、どういう状況ですか。動きありました。

 古賀さん、大変なことになりました。

 なんだ !! 何が起こったんだ !!

 私は八坂神社の特設舞台が二つ作ってあったので、最初はおやっと思ってたんですが・・・。

 そ、それで・・・。

 新阿国座の舞いが始まると、もう一つの舞台でも舞いが始まったんですね。

 ほほう・・・、で、そのメンバーは誰なんだ。

 何と、生野劇団の主力メンバーでした。観客もびっくりした様子でした。

 ええっ!!

 そうなんです。私は全く知りませんでした。

 こりゃ、大成功だね、三朗君。

 そうなんですよ。嬉しかったです。感激しました。ミュージカルを主体とした劇団ですが、巫女舞いもすばらしい出来栄えでした。コラボという形で進んで行ったんです。
それから、もっと驚いたことがありました。

 次は何が起こったんだ。

 あちらのメンバーの中に佐久良が居たんです。

 なに 佐久良が !!

 ええ、そうなんです。絶対に外に出るなと言ってたんですが・・・。

 どうしてそんな状況に・・・。

 綾乃さんです。・・・私は二人が打ち合わせをしているときは、部屋から外に出ていました。恐らくそのときに佐久良が頼んだんでは・・・。

 どう頼んだんだ。

 昔の仲間と踊りたいと。

 それで綾乃さんが向こうへ頼みに行った・・・。

 そうです。

 そりゃ、驚きだ。・・・でも、初対面の筈だが・・・。

 私の想像ですが、仙女さんが仲立ちしたのではないかと思っています。・・・で、話がまとまると舞台の設備などすべて仙女さんが段取りをしたと思います。

 ということは、佐久良は古巣へ帰る気持ちが湧いてきた・・・。

 いや、そうではないと思います。昔の仲間は窮地に陥っている佐久良を助けたかったのだと思います。併せて劇団としての友好の意思表示をしたのだと思います。

 そうか、そうか、・・・綾乃さん、立派な働きをしてくれました。

 ウラヤスに対してウラヤスで応えた、・・・立派です。・・・私は深刻になり過ぎていました。反省しています。

 いや、いや、・・・そうか、そうか、ウラヤスに対してウラヤスで応えた。

 雨降って、地固まる。古賀さん、世の中捨てたものではないですね。

 ウラヤス、ウラヤス、・・・。

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守護神のお祭り

2014-01-10 23:25:38 | 日記
守護神のお祭り


 京都八坂神社(出典 http://photo-pot.com/)

 京都の八坂神社の主祭神は 中御座:素戔嗚尊 (すさのおのみこと)東御座:櫛稲田姫命 (くしなだひめのみこと)西御座:八柱御子神 (やはしらのみこがみ) - 素戔嗚尊の8人の子供(八島篠見神、五十猛神、大屋比売神、抓津比売神、大年神、宇迦之御魂神、大屋毘古神、須勢理毘売命)である。全国にある八坂神社や素戔嗚尊を祭神とする関連神社(約2,300社)の総本社である。島根県松江市の八重垣神社にも素戔嗚尊、櫛稲田姫命の二神が祀られている。八俣の大蛇を退治して櫛名田姫を得た須佐之男命は出雲の国をさすらった。やがて大原郡須賀の地に至ったとき「八雲立つ出雲八重垣妻ごみに八重垣作るその八重垣を」と歌った。この古事記の記載によって須賀神社が建立された。島根県松江市佐草町の八重垣神社は古く佐久佐神社と称したが、中世にこの大原郡須賀の八重垣神社を迎え、相殿としたのである。


中村仙女の約束は出雲に帰ってから古賀所長に報告しました。しかし、「母」に会って手紙で不思議な予告をされたことは触れませんでした。また、綾乃さんを京都に連れて行きながら、佐久良とは会わなかったことは深くお詫びをしました。所長はあまりいい顔をしませんでした。きっと佐久良のその後の様子を直接聞きたかったに違いありません。二宮の勧請・遷座については既に仙女から知らされていたらしく、頷いていました。
 ご縁市場守護神の二神の祠はそれから一か月間に二つとも整いました。氏神にあった諏訪神社は神社関係者の圧倒的な支持によって遷座が叶いました。代わりに新しい祠が作られ、素戔嗚尊と櫛稲田姫命が京都の八坂神社から勧請されました。新設の祠は仙女が建てました。勧請に関する諸費用も仙女が負担したということです。ご縁市場の新設の祠にも八坂神社から二神が勧請されました。八坂神社から神官が数名おいでになり、ご縁市場の役員たちが参列する中、にぎにぎしく勧請の儀式が執り行われました。地元関係者は改めて中村仙女の偉大な力を知ることとなりました。恐らく里見オーナーのバックアップもあったに違いありませんが。
 そういう儀式がすべて完了してから急にご縁市場は年末に慌しく動き出しました。統一行動へ向けて準備が整っていきました。新年を迎え、朝、ご縁市場関係者がすべて劇場に集まりました。顧問が統一行動の宣言をしました。テレビ局のカメラがいくつか会場に入っていました。


 みなさん明けましておめでとうございます。昨年の末、このご縁市場に四柱の守護神をお迎えいたしました。八坂神社から素戔嗚尊と妻の櫛稲田姫命、そして地元諏訪神社から建御名方命と妻の八坂刀売命です。天つ神と国つ神、しかも二神とも武勇に秀でておられます。出雲大社には大国主之神がお祀りしてあります。それを陰で支える二神が出雲の地に改めて鎮座しました。そうです、新たな神話の始まりの年を迎えたわけであります。当市場挙げて新阿国座とともにその慶事を祝したいと思います。本日から七日間、秋津島根の弥栄を祝し、諸行事を執り行います。メインは浦安の舞です。ウラは心です。日本国民が心安らかに過ごせるよう祈念いたしたいと思います。みなさん、どうか、力を合わせてこの行事を成功させましょう。・・・都、京都の神社にも呼びかけています。恐らく賛同していただけると思います。湖笛はこの劇場で、新阿国座は八坂神社の境内で、それぞれ国鎮めの舞いを始めます。湖笛の舞台では雪月花それぞれ順番に総踊りを始めます。それでは劇団のみなさんよしくお願いいたします。
 舞台に雪組のメンバーが麗華を先頭に現れました。続いて、月組のメンバーは笙子が引き連れて現れ、花組のメンバーは綾乃を先頭に登場しました。すべて巫女姿です。・・・麗華が一番前のメインマイク前に出て、深く一礼しました。

 みなさま、新年明けまして、おめでとうございます。私たちは初春を寿ぎ、併せて、この日の本の国の平和をご祈念して、不束ながら、浦安の舞いを演じさせていただきます。今、しばらくの間、お付き合いのほど、隅から隅まで、御願い奉ります。
 それから踊りが始まりました。よく見ていると、所謂ウラヤスの舞いとは少し違うと感じました。地味な舞いを楽しくスリリングに演じていました。観客は、三組の舞いの違いを感じながら舞台に吸い込まれるように見入っていました。私は綾乃の舞い姿を初めて見ましたが、華麗そのもので、うっとりするような甘美な気分になりました。

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