血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

自由投稿欄

2022-12-31 23:59:59 | 雑記・その他

 血統に関する考察を、自由に書き込める場があれば良さそうなので、作成してみました。呟き程度の投稿でも構いませんので、お気軽にご利用ください。利用者がいればですが(笑)

 ※他者を誹謗中傷するような書き込みは、削除させていただきたいと思います。あくまでも自由意見の交換の場になるのが、望みです。

種牡馬考察(クワイトファイン)

2019-11-18 20:41:12 | 種牡馬考察
 今回の血統徒然草は、現在クラウドファンディングによって種牡馬入りのへ模索が行われている、トウカイテイオー最後のサイアーラインを継承する可能性が唯一残された、種牡馬クワイトファインの可能性についての考察を行いたいと思います(クワイトファインプロジェクト様から、ブログにする許可は頂いております。また、最後に仮想配合を掲載しておりますが、関係者の方々への問い合わせ等絶対に行わないでください。これは現実のプロジェクトです、それもかなりの熱量をもったプロジェクトだと認識しております)。

クワイトファイン(トウカイテイオー×オーロラテルコ by ミスターシービー)牡・10生

Ⅰ 主:6 結:6 土:3 弱:3 影:2 集:4 質:3 再:4 SP:4 ST:3 特:0
合計:(39/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S □ M 〇 I △ C × L ×
ダ:S × M △ I × C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:△ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:□ 成長型:普通

〇 短評

 グランデゴール(中央1勝 3B級)半弟。主導は、Princely Gift5×5の系列クロス。次いで、Hyperion。この両者は、Nearco~Pharos(=Fairway)系と、次いで影響の強いGainsborough系の結合を、Nogaraによってしっかりと行われている為、一見かなり明瞭に見えるが、当馬の血統構成上、主導内で土台構造を形成するべきPharos(=Fairway)が13連しか無く、Blandford・Gainsboroughがそれぞれ、19連・21連と、本質的にこの主導は当馬にとっては、決してプラスとは言えない。しかしながら、中長距離向きの血統構成をしていた兄とは異なるものの、当馬の血統構成も、マイル芝向きの血を生かし、7代目Tetratema等、なかなか妙味があるといえる。ただし、当馬の抱えた最大の問題は、BMSミスターシービー内の、ソシアルバターフライが抱える、Blue Larksupr~Black Servant等をはじめとした、米系を完全に落失した点で、成長力にはやや疑問が残る血統構成であるとも言える。ただし、その部分以外は母系に代々重ねられた、ミスターシービー・シンザン・タニノムーティエの血をしっかり生かし、これぞ国産と言える、非常に手作り感のある血統構成で、個人的には大いに魅力を感じるものである。最後に、競走馬としての本質は、これといったスタミナ勢力のアシストが弱く、前述の通り芝向きのマイルタイプだと言えるだろうか。

 以上が、競走馬クワイトファインの血統構成に対する考察になります。では、現在進行中のクラウドファンディングが成功したとして、どのような配合を目指すべきなのか、種牡馬として必要な血はなにか、を考察してみたいと思います。

① 自身の主導は、Nearco系直系子孫であるPrincely Giftだが全体ではやや弱いために、それらを取り込めるテスコボーイやトウショウボーイの有効活用。特にトウショウボーイは前述の通り、ソシアルバターフライを直接内包する為に、系列クロスにするには、血の濃さが残る為疑問が残るが、中間断絶クロスや単一クロスを作成しそこに血を集合させるのは有効だと考えられる。
② また、自身に強いBlandford・Gainsborough系だが、母系から大量のNearcoを投入し三者のバランスをとる事も有効で、その場合、母系でBuchan~Sunsutar等の米系を直接とりこめるファバージを母内4代目でクロスさせ、主導とすることも有効である。
③ 自身に欠けるスタミナの補給において、Hyperionの有効活用は大前提だが、自身の中で眠っていたPlucky Liegeを有効活用したい。その為Bois Roueelや、その産駒であり、やや質は劣るもののヒンドスタンのスタミナ補給は有効。ただし、ヒンドスタン内においてシンザンのスピード源となった、Sun Worship~Sundridgeを生かした場合、スピードの補給もかなり受けるため、長距離のスタミナというより、中距離のスタミナとして機能する可能性は念頭に置いた方が良い。
④ 父父であるシンボリルドルフ内において、質の高いスタミナ勢力であるDjbel~Tourbillonのアシストが世代後退によって、再現が難しい点は注意が必要で、これらを不必要にクロスすると、全体の連動が弱くなる可能性もある為、無理に生かす必要性が弱いものの、シンボリルドルフ自身では眠っていたスタミナ勢力であるPharisや、スピード源となったPalestinの血を有効活用したい。また、できるならTetratemaのクロスも欲しい。
⑤ 父である種牡馬トウカイテイオーの難しさの一端でもあった、Nice Princess内の特殊な仏系の生かし方には考慮が必要で、世代が後退する為にそこまでの難しさは無いが、His Grace~Blandford・Becteriophage等をおさえたい。
⑥ Northern Dancerクロスはあっても良いが、系列クロスなどにして明確な主導に据えるのは、自身の血の流れから考えて、行わない方が良いと考えられる。他に明確な主導としての機能を持つクロスを存在させ、中間断絶クロスで結合のアシストを行う程度なら良い。
⑦ 相性の良い血としては、Hyperionの強いトニービンや、Graustark等を抱えるタニノギムレット。テスコボーイを主導に据える事のできる、サクラバクシンオー。呼び水の効果が良好なトウショウボーイ。Alycidonから強力なスタミナを補給できるスイフトスワロー。また、その躍進の源となったAlmahmoudを生かせるサンデーサイレンス等が考えられる。
⑧ また、逆に相性の悪い血は、米系を豊富に抱えたMr.Prospectorや、ロージズインメイ。Seattle SlewやSecretariat。また、本質的にはNorthern Dancerも相性が良くない方だと言える。ただし、⑦や⑧で述べている、これらの相性は血の位置や配置などによって、相性の良さに変化がでるものであり、基本的には米系の血を避けていれば大きな問題は生じないと考えられる。
⑨ 一番の問題は、Princely Giftの直系が国内において、かなり衰退している為に、主導を明確にするのが難しい点で、ここは大きな課題だと言える。ただし、サクラバクシンオー(1A)という国内史上稀有のスプリンターの血がサイアーラインを伸ばしつつ、ある程度繁殖牝馬側に浸透しているのが幸いで、ここをうまく使えば、コンスタントに勝ち上がる産駒は望めるだろう。


 以上が種牡馬、クワイトファインに対する簡単な考察です。こうして見ると、現代的な種牡馬として米系の生かし方や、主導の明瞭さを出すのにやや難があるものの、母系から代々重ねてきたNearco・Hyperion・Blandfordの血の豊富さは非常に魅力的で、配合にもよりますが薄く米系も保有するため、アトランダムな配合でもある程度形にはなる種牡馬だと言え、血統表上のみを見る限り、一定の可能性を秘めた種牡馬だとも言えるでしょう。似たような境遇である、ギンザグリングラスやクレイドルサイアーにも言えますが、競馬華やかなりし頃の名馬達の血を直系で残して欲しいと切に願います。ここで、自身が考えた仮想配合をいくつかアップしたいと思います。当馬の競走馬としてのキャリアや、種牡馬としての名声から考えて、手が届かないであろう繁殖牝馬との交配もアップしておりますが、少しでも多くの方の目に触れるように、あえて書き連ねてみたいと思います(関係者の方への問い合わせ等は冒頭でも述べたように絶対に行わないでください。何卒宜しくお願い致します)。


(クワイトファイン×セレブリティ by タニノギムレット)-牡・-生

Ⅰ 主:7 結:5 土:4 弱:2 影:3 集:4 質:3 再:5 SP:4 ST:3 特:0
合計:(40/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S □ M 〇 I □ C △ L ×
ダ:S × M 〇 I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:□ 成長型:普通

〇 短評

 主導は、トウショウボーイ4×4内、Princely Gift6×6・6の系列クロス。次いでMy Babu6・8×8。両者は弱いものの、全体で21連存在し土台構造を形成するPharos(=Fairway)で結合を果たし、そのスピードをしっかりと補給している。また、ミスターシービー内の生かし方が良く、本質的にはマイラーだが、ある程度の距離延長もこなす可能性を秘める。この配合の最大の長所は、呼び水となったトウショウボーイ内の米系であるBlue Larkspurをクロスさせる事に成功し、父母の血の流れを生かしつつ、米系の結合に一定の成果をあげている点である。実質的な異系交配である為、開花には時間がかかるだろうが、鍛えがいのある血統構成。ダートはこなせる。

(クワイトファイン×ブロンコーネ by ブライアンズタイム)-牡・-生

Ⅰ 主:8 結:5 土:4 弱:3 影:3 集:6 質:3 再:4 SP:4 ST:4 特:0
合計:(44/60)点 クラス:1A
Ⅱ 日本適性:△ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I ◎ C 〇 L □
ダ:S × M × I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:× 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:低め 成長型:普通

〇 短評

 主導はファバージ5×4の系列クロス。次いでヒンドスタン、Alibhai~Hyperion。これら三者の結合は決して強固とは言えないのものの、Royal Charger等を通じ結合を果たしたのは幸運か。全体的に結合の弱い面があるものの、主張の強い血とはそれぞれを媒介として連動をはたし、父の弱点であった米血もひとまずクロスさせている。また特筆すべき点は、母系のオーマツカゼが、シンザン内第5バッカナムビューチーと呼応し、シアンモア~Buchanとクロスさせそのスタミナを主導へと直接補給した点にある。また、トニービン内Hyperionやブライアンズタイム内AlibhaiやRockfella(=Rock Goddess)等のGaindsborough系のスタミナ補給に良さがあり、質は劣るもののヒンドスタンも中距離向きのスタミナ補給に一役かっている点で、全多的にはスタミナ優位の配合だと言える。近年珍しい、質が高い芝向きの中距離タイプで、開花率は低いだろうが、血統構成は秀逸。ダートは明らかに不向き。

(クワイトファイン×オモイデサクラ by サクラバクシンオー)-牡・-生

Ⅰ 主:5 結:4 土:4 弱:2 影:2 集:5 質:2 再:5 SP:5 ST:3 特:0
合計:(38/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:△
Ⅲ 距離適性
芝:S 〇 M □ I × C × L ×
ダ:S 〇 M 〇 I × C × L ×
芝適性:□ ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:普通 成長型:早め

〇 短評

 主導は、テスコボーイ5×4の系列クロス。次いで、Lady Angela~Hyperion。この両者の結合はかなり強固に行われ、血統全体に強い、Gainsboroughの血の流れとNearcoの血の流れを上手く主導が統合している。この配合の惜しむらくは、7代目以降に生きる血の連動性が極めて低い点と、父母が抱える米系を全く生かせていない点にある。しかしながら、欧州系の特殊な血であるFine Topをクロスさせそのスタミナを補給し、Palestineを系列クロスにし、Tetratemaを再度クロスさせ父のスピード再現に成功した点にある。米系の落失から成長力には欠けるだろうが、BMSサクラバクシンオーを圧倒的に強調し、その再現も良好。好不調の波はあるだろうが、早期有利のダート向きスプリンター。芝もなれればこなせる。


 上記の仮想配合を見てもわかりますが、様々なタイプを出せる種牡馬で、アトランダムな配合でも、ある程度形になるのは往年のパーソロンのようなイメージを受けます。ただし、これはクワイトファインが代々積み上げてきた、日本競馬を作り上げてきたBlandford・Hyperion・Nearcoを多量に含み、ほんのわずかに米系を含むものの、ほぼ前記の血を強く持つ内国産種牡馬の血を重ねてきた部分が非常に大きく、安易に米系等を混ぜる事無い、配合を作り上げてきた、生産者の方の努力だと思います。
 海外では、非常に良く目にすることができる独自の父系。国内においてはサンデーサイレンスがようやく、といったところではありますが、サンデーサイレンスと共に、一時代を築いたトニービンやブライアンズタイムでさえ風前の灯であると認識しており、独自のサイアーラインを作れない国が、胸を張ってパートⅠ国であるのか、とさえ考えさせられます。私自身は、特に力がない一般市民です。それを承知の上で、手前勝手な望みであるのも重々承知で、こうした血を残していける競馬を見たいと思いますし、そうした生産界を望みます。


 非常に乱筆乱文で読みにくいと思いますが、何卒ご容赦ください。今回の血統徒然草はこの辺りで筆をおきたいと思います。
 少しでも多くの方の目に留まる事を、プロジェクトの成功を心から祈ります。

私的名馬選 02(ディープインパクト)

2019-08-10 22:57:54 | 私的名馬選
 今回の血統徒然草は、私的名馬選と銘打って、先日17年の生涯を終えた、近代日本競馬の結晶とまで言わしめた、ディープインパクトについて書いてみたいと思います。


ディープインパクト(サンデーサイレンス×ウインドインハーヘア by Alzao)牡・02生

Ⅰ 主:8 結:8 土:3 弱:3 影:3 集:6 質:4 再:4 SP:4 ST:4 特:1(主導牝馬クロス)
合計:(47+1/60)点 クラス:1A
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M 〇 I ◎ C 〇 L □
ダ:S × M △ I □ C △ L ×
芝適性:〇 ダート適性:△ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:普通 成長型:遅め

〇 主導      (8)

 主導は、Almahmoud4×6の系列クロス。Almahmoud自身は父と母父の2ブロックしか存在しないが、その父Mahmoudを母父でクロスさせ、血統の3ブロックにおいて、主導勢力としての効力を発揮している。また、母母においてはAlmahmoud-Mahmoudが存在しないものの、その父Blehneimが6代目から影響を行使した為、全体的な連動は極めて強力にとはいかないものの、ひとまずはかられていると考えて良い。また、父内に存在するAlmahmoud内は、Fair Play、Spearmint、The Tetrach、Sundridge、White Eagle、Centerbury Pilgrim、Bay Ronald、Sundridge、St.Frusquinとクロスさせ、非常にきめ細かくクロスさせ、全体の結合をはかっており、その意味でもディープインパクトの血統をリードしているのはAlmahmoudだと断定する事ができる。現代的な血統としては、かなり明確な部類に入ると言える(蛇足だが、このAlmahmoudを主導とする配合において、上記の血をクロスさせる事は上位レベルで通用するための前提条件のひとつだと言える)。

〇 結合      (8)

 主導たるAlmahmoudと、6代目までに存在するクロスである、Mahmoud-Blehneimは自身のサイアーラインの為、確実に結合を果たしている。Turn-toはBlenheimやGainsborough、Supermintで、Pharamond(=Sickle)は、Centerbury Pilgrimで、Sir Gallahad(=Bull Dog)はSpearmintで、HyperionはGainsboroughで、それぞれ直接結合を完了している。また、7代目に存在するクロスもほぼ主導と連動し、その結合力は強固だと言える。血統的な質が決して高くないAlmahmoudであるが、父方で欧州系を、母方で米系をそれぞれ連動させられる構造は、現代的な血統において、可能性を秘める血統だと言え、ディープインパクトの血統内においても、その役割を存分に果たしていると言えるだろう。

〇 土台・血の流れ (3)

 前面のクロスを見てわかるように、前面で強い影響を持つクロスのほとんどが、Bay Ronald系の流れを持ち、血の流れ自体は良好だと言える。反面土台構造は、Gainsboroughが構成するものの、全体で14連とやや不満が残る。平均レベルにはあるもののやや不満が残る内容だとも言える(ただし、この当時のサラブレッドの土台構造は過渡期であり、同年代のサラブレッドと比較して決して劣るものでもない)。

〇 弱点・欠陥   (3)

 血統全体において、これといった弱点や欠陥は存在しない。主導勢力と直接連動しない血で固めた部分もあるが、比較的良好だと言える。

〇 影響度バランス (3)

 影響度バランスは(15-2-4-2)と父父のHaloを強調。残りの3ブロックの影響が低いものの、当馬の能力構成上必要とされた血が満遍なく配されている為、父父だけが突出したバランスがややいびつではあるものの、全体的には良好だと言える。

〇 血の集合    (6)

 前述の通り、強調された父父Haloへ血の集合がはかられており、かなり明確に血の集合がはかられていると言える。惜しむらくはHyperionがHalo内に存在しない事だが、その父Gainsboroughが主導勢力内に存在し、明確に連動している為に、さほどのマイナスとは言えない。この父父Haloへの血の集合が、種牡馬サンデーサイレンスの一つの長所であり、当馬の血統においてもそれはしっかりと再現されていると言える。

〇 質       (4)

 主導たるAlmahmoudや、強い影響を持ったTurn-toの血の質は決して高いとは言えない。また、母ウインドインハーヘアが持つ欧州系の質の高い血を完全に再現出来なかった点は惜しまれる。しかしながら、HyperionやMahmoudの質は高く、これらの血が極めて強固に主導勢力と連動したのは幸い。平均点にはあるか。

〇 再限度     (4)

 父父Haloの持つ、スピード勢力の再現は非常に良好で、走るサンデーサイレンス産駒の一典型だと言える。惜しむらくは、母ウインドインハーヘアが持つ重厚な血の再現や、母父内Lypardの持つ欧州系の再現も中途半端である点で、その再限度は明瞭であるとは言い難い。

〇 スピード    (4)

 父父Halo内のTurn-to、Pharamond(=Sickle)、そしてスタミナ勢力のアシストを受け単距離スピードというよりは、中距離スピード型に能力変化をおこしているものの、Almahmoudと、そのスピード勢力はかなり良好だと言える。Turn-toの中間断絶の影響から、切れ味あるスピードの再現に成功しており、国内競馬においてはみるべきレベルにあると言える。

〇 スタミナ    (4)

 不完全ではあるものの、母母内Burghclereのスタミナを、Blenheim、Hyperionによって再現し、前述の通り極めて強固に主導勢力と連動。また、父サンデーサイレンスのスタミナ源のひとつであった、Sir Gallahad(=Bull Dog)を再度利用し、そのスタミナを再現。スピード勢力と比して極めて強力ではない為、ステイヤーのそれでは無いが、芝12Fの克服は十分に可能なレベルにあると言える。

〇 特別配点    (1)

 主導牝馬クロス:Almahmoud

〇 短評

 以上が、近代日本競馬の結晶とまで言われた、不世出の天才ランナーであるディープインパクトの血統的な考察になります。当馬は、単距離のスピード再現に長けるAlmahmoud主導という血統構成でありながら、不満が残るものの母内の欧州系の血をひとまず生かし、距離延長への適性を秘める血統構成を作り上げました。この、スピード型クロス主導、スタミナ型クロスが十分なアシストを行う形態は、国内の芝競馬において極めて有利な形態ではありますが(蛇足ですが、サクラスターオー(2A)も近い形態だと言えるでしょうか)、欧州競馬における12F超えのスタミナ勝負には、本質的には不利であったと考えられます。しかしながら、全体的には良くできた血統構成であると言えるでしょう。
 この、競走馬として名馬であったディープインパクトの血統構成ですが、種牡馬としての血統構成もまた、自身ほどのシンプルさには欠ける産駒が予想されるものの、父父となるサンデーサイレンスへの血の集合をはかりやすく、自身のスピード勢力の再現が容易い為、名馬輩出の可能性を秘めた種牡馬であったとは言えるでしょう。また、蛇足ではありますが、このスピード再現の為に必要なクロスとして自身の主導となったAlmahmoudの再利用が考えられますが、主導勢力の項目で述べた血の再現性が、上位レベルで通用する可能性を秘めるか否かの判断材料のひとつであると言えます。記憶に新しいラヴズオンリーユー(3B)や、キズナ(1A)はここの再現がかなり良好である点は指摘しておきたいと思います。
 また、父は15F超における競馬においても、圧倒的なパフォーマンスを見せていますが、これは重厚なスタミナに裏打ちされたというより、明確な主導に対して強固な結合がはかられた為に、実数の55というクロス種よりも実質的なクロスが少ないと考えられ、燃費が良い血統であった為であると個人的には考えています。
 実産駒においても、芝のスプリント戦以外におけるトップレベルの産駒を輩出している為、仮想配合を考えるレベルに無い種牡馬であるとは言えますが、父の持つ軽いスピードを生かしつつ、欧州の12F戦でも戦えるスタミナ優位の産駒を考えてみました(決して関係者様に問い合わせる、またそれに類する行為を行わないようにお願いいたします。そのような方がいらっしゃるとは思いませんが)。あくまでも仮想配合でありますし、素人の思索でしかありませんが、こうした配合を見たかった種牡馬でもありましたし、出せる可能性を秘めた種牡馬であったと思います(キズナは十分にやれた可能性が高い配合であった点も、また指摘しておきたいと思います)。

(ディープインパクト×ラドランファーマ by ホワイトマズル)-・-生

Ⅰ 主:8 結:7 土:3 弱:2 影:3 集:6 質:4 再:5 SP:4 ST:4 特:0
合計:(46/60)点 クラス:1A
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C ◎ L □
ダ:S × M △ I □ C △ L ×
芝適性:〇 ダート適性:△ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:低め 成長型:遅め

 主導は、Northern Dancerを伴うLypard4×4。次いで、Almahmoud、Pharamond(=Sickle)、Sir Gaylord-Trun-to、Roman、Donatello。これらのクロスを父母ウインドインハーヘア内に集合させるだけでなく、Nearco、Spearmint、Blenheimによって連動させ、そのスピード・スタミナをしっかりと主導勢力へと補給している。また、主導たるLypardは、本来芝向きにマイルタイプの血統構成で、その質も決して高いとは言えないものの、Ksarこそ落失するものの、その父であるBruleurをクロスさせ、Court Martial、Hurry Onや、Rabeleis、Clareissimus、La Farinaまでもクロスさせ、非常にきめがこまかく、前述のスタミナ型クロスのアシストもあり、中距離スタミナ勢力へと能力変換を起こしていると考えて良い。また、Man o’War等の米系もしっかりと連動させた点や、Donatelloの系列クロスをはじめとしてClareissimus、MieuxceをおさえたCrepello内の構造には一見の価値があり、全体的に隙の少ない血統構成。惜しむらくは、父の持つ血の流れをやや断ち切った感がある上に、スタミナ優位の血統構成である為、近親度のわりに、開花までに時間がかかると考えられる点か。

 その後継者は、キズナ(1A)やディープブリランテ(3B)といった日本優駿馬だけでなく、フィエールマン(3B)といった長距離タイプ。また、リアルインパクト(2B)やミッキーアイル(3B)といったマイラー。ジェンティルドンナ(2B)やラヴズオンリーユー(3B)といった名牝。彼の血は非常に太く強く、現在は日本競馬に残っています。過去、名馬の墓場と言われた日本競馬ですが、これだけの太いサイアーラインを築いた、日本産馬は、いまだかつて皆無だったと言えるでしょう。それだけに、17年といった我々人間の感覚からすれば早すぎる死を迎えた彼の血を残す事こそが、彼に対する最高の手向けになるといえるのではないでしょうか。また、それこそがパートⅠ国となって久しい、日本競馬が抱える課題の一つだと個人的には思います。
 駄文ではありますが、最後までお付き合いいただきありがとうございます。近代日本競馬の結晶とまで言わしめた、ディープインパクトよ、どうか安らかに。

2020年クラシックロード(牡馬)

2019-07-25 19:12:05 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、2020年の牡馬クラシックロードにおける注目馬を何頭か取り上げたいと思います。
※後日、複数頭追加する予定です。

ビアンフェ(キズナ×ルシュクル by サクラバクシンオー)牡・17生

Ⅰ 主:5 結:5 土:3 弱:2 影:3 集:5 質:3 再:5 SP:4 ST:3 特:0
合計:(38/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S □ M 〇 I □ C × L ×
ダ:S □ M 〇 I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:△ 成長型:遅め

 主導は不明瞭な配合で、自身5代目にLady Angela-Hyperion、Almahmoud、Nasrullahと並び、BMSサクラバクシンオー(1A)を強調。これらクロスはNorthern Dancerが傘下におさめた為、実質的にノーザンテースト内Northern Dancerが主導と言えるか(全体の多数派で、血統内に20連存在するPharos=Fairwayの血の流れから見ても、主導は不明瞭だと言える)。母であるルシュクル(2B)は、サクラバクシンオー×アジアンミーティア(=Unbridled’s Song全妹)と、日米のスピード血脈を豊富に抱えた血統で、Hyperion、Nasrullah主導と、父のサクラバクシンオー再現には一定の効果を発揮し、国内向きのスピードを再現する点では良かったものの、母が抱える米系の連動と再現が非常に弱く、そこが限界点だと言える血統構成であった。当馬も母の再現という点では良好であるものの、父であるキズナ(1A)も豊富に米系を抱えた血統構成であり、母と同じく米系(Blue Larkspur、Man o’War、Princequillo)や、父との配合で生じた仏系(Tourbillon-Ksar)または、加系(Chop Chop)を生かす事は出来ても、その連動が比較的弱く、潜在的な成長力を秘めるものの、いまひとつもどかしいタイプになる可能性を指摘しておきたい。とは、言うもののBMSであるサクラバクシンオーを全開にし、その再現に成功したのは当馬の大きなセールスポイントだと言えるだろうか。また、全体的にスピード再現が強いが、Wild Riskクロスを通じて、Torbillon-Ksarのスタミナを連動させる事が出来たのは幸運で、7代目以降のスタミナ系のクロスのアシストもある為、単なる早熟の単距離馬では無いが、10F以上の克服には展開の助けが必要か。本質は、芝向きのマイルタイプ。

サリオス(ハーツクライ×サロミナ by Lomitas)牡・17生

Ⅰ 主:6 結:4 土:3 弱:1 影:3 集:5 質:3 再:3 SP:4 ST:3 特:0
合計:(35/60)点 クラス:2B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I □ C △ L ×
ダ:S × M □ I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:△ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:△ 成長型:早熟

 主導は、Northern Dancer5×5・6。Almahmoudが。父父サンデーサイレンス内で5代目から影響を行使したのが、主導の明確性にやや影を落とした点と、父方に特に豊富に存在する欧米系の連動をはかれていない点を考慮すると、主導や結合といった血統の屋台骨に対する評価は、やや不満を感じる血統構成ではある。また、母サロミナが豊富に抱えた独系統を全く生かしていない点も、母の強みを生かしておらず、この父母の相性は本格的にはあっていない。しかしながら、全体で14連あるHyperionをシンプルに生かし、それらの血の流れが良好であるのは、当馬の血統を考えるにあたって幸いか。またクロス種も41と少なく、結合を果たさないものの、強調されたトニービン(3B)内のスピードの源泉の一つであった、Orbyの流れを汲むGold Bridgeが生きた点や、Nasrullahのスピード。Bois Rouseel・Hurry On・La Farina等のスタミナが隠し味的に生きた点は、当馬にとっては幸運だったと言えるだろう。そうした意味でもあくまでも主役としてHyperionをシンプルに主導へと押し出した配合で、成長力に疑問が残るものの、開花は早く日本適性が高い血統構成だと言える。本質的には芝向きのマイル~中距離タイプで、ダートは不適だと言えるだろう。
 蛇足ではあるが、この母に配するべき父は、薄く独系統を持ち、かつNorthern Dancerが自身の血統において一定の役割を果たした種牡馬が良いと考えられる。具体的にはワールドエース等であるが、個人的には、わずか2年の供用であったもののマンハッタンスカイや、ヒルノダムール、ジョーカプチーノのようなマンハッタンカフェ産駒との配合が一定の相性を示すものと考える。配合とは父母相互に絡みあう血の流れを阻害することなく前面に流し、細かい血をおさえていくのが常道ではないだろうか。そうした意味では、全体的な配合レベルは別にして、結果的に生きた父母の血の流れを阻害しない当馬の配合にも一見の価値はあり、反応は早いタイプに育つ可能性を秘める点は指摘しておきたい。

 本日はこのあたりで筆を置きたいと思います。

2020年クラシックロード(牝馬)

2019-06-05 18:48:21 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、2020年の牝馬クラシックロードにおける注目馬を何頭か取り上げたいと思います。
※後日、複数頭追加する予定です。

リアアメリア(ディープインパクト×リアアントニア by Rockport Harbor)牝・17生

Ⅰ 主:5 結:6 土:2 弱:2 影:2 集:5 質:3 再:3 SP:3 ST:3 特:0
合計:(34/60)点 クラス:2B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I □ C × L ×
ダ:S × M □ I △ C × L ×
芝適性:□ ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:△ 成長型:早熟

 主導は、Sir Ivor及びNorthern Dancerを呼び水にしたMahmoudの系列クロス。次いで、父母共に系列クロスを形成したRoyal Charger。その意味では、血の流れ自体は比較的良好な配合だとは言えるが、全体的な世代の問題が大きい配合で、父の主導であったAlmahmoudや、その切れ味の源となったと考えられるTurn-toが世代ズレを起こしている等、クロス効果が予測しづらい配合だとは言える。とは言うものの、父と祖母であるBeer Baronessの相性の良さは何とか生かされており(父と祖母の配合であれば、3B級の芝向きマイル~中距離タイプの配合)、前述の二つのクロスを全体の先導役に、35という少ないクロス馬で全体を纏め、全体の血を父母であるウインドインハーヘアへと集合させたのは、比較的面白い部分だと言えるか。決して、きめ細かい配合では無く、奥も深いとは言い難いが、早期に芝のマイル~中距離対応は可能な血統構成だとは言える。また、生かされた血の内容から見て、父の様な切れ味を武器にするタイプでは無く、先行して良さがでるタイプ。また、距離の適性は前述の通りだが、少ないクロス馬から来る燃費の良さから、ペース次第ではあるものの、ある程度の短縮・延長への可能性を秘める事は、指摘しておきたい。


 本日はこのあたりで筆を置きたいと思います。