パロディ短歌『石泥集』

百人一首や近現代の名歌を本歌どりしながら、パロディ短歌を披露する。

2017年事件簿1 トランプの政策

2017-01-30 13:42:24 | パロディ短歌(2017年)
      トランプの政策は分かりやすい

 トランプ大統領の政策が少しずつはっきりしてきた。「アメリカ・ファースト」については予想通り。通商も外交も、である。1月29日から始まった「難民締め出し」に関しては、やり方が強権すぎると評判が悪いようだが、彼の中東政策の一環なのであろう。

 これも「アメリカ第一」から簡単に出てくる。イスラム国のようなテロ組織は、ロシアと組んで壊滅させるから、あとは中東で勝手にやってくれ…というメッセージだ。そもそもイスラム教徒の中で始まった紛争は、自分たちで始末したらどうだ…というのが、トランプの腹である。イスラム教徒の難民が中東の地にとどまって事態を収拾しないで、先進国へ逃げ出すばかりでは、自分たちの責任を果たしていないのではないか。…トランプはこう考えているに違いないのである。

 もしこう考えたとしても、女性と子供だけの家族は難民として受け入れるべきであるし、戦闘中なら、男性でも手足をふっとばされる事態はある。障害者の難民だっているのだ。しかし、ここはトランプ流のショック療法なのだろう。粗い目で見たら、そもそも世の中は不公平だらけなのである。ただ、不気味なのはトランプ氏の人格がよく分からない点。少し眼がこすっからい感じだ。

 問題ははたして中東がショック療法でおさまるかどうかである。筆者は先日のテレビで、世界中で起きたテロ事件が1年間に約1万5,000件にものぼると知って、自らの見識を恥じた。日本に住んでいてはわからないが、1日当たり40件という数字である。こりゃー、アメリカもヨーロッパもパニック寸前になるのは無理ないなあ、という感想である。

 「イスラム国」をつぶしたら、テロが世界に広がる…と説くマスメディアもある。しかし、こう決めつけたら、何もできない。まして、マスメディアはイギリスのEU離脱やトランプ大統領誕生に偏見を持ち、その挙句に間違った情報を与えた張本人である。「イスラム国」がつぶれても、テロは起きるだろうが、テロ活動を正当化するシンボルがなくなることは大きい。一つずつテロをつぶしていけば、息の根を止められることもあろう。世界の世論が、テロに対しては厳しくなっている。(少し古い話になるが、JRの前身、国鉄で違法ストを連発した労働組合が世論の支持を失い、民営化によって、ほぼ壊滅状態に追い込まれた経緯を思い出すとよい。やはり大衆の支持がなくなれば、どんなに勢威を張っていても、落ちぶれるときは訪れるのである)

 トランプの政策は、アジアについても同じだろう。アジアのことはアジアに任せる。ただ、中共政府の覇権主義は目にあまるから、南シナ海では対立するだろう。しかし、アメリカが主導するのではなく、アジアの国々で解決したらどうか…これがトランプの腹である。日本に対しては、中共に勝手なことをさせないように、実力を蓄えろ…と発破をかけるだろう。内政干渉になるので公には要求しないが、発破の中身は「軍事力の充実」、さらに「憲法第9条の改正」であることは間違いない。

 中共と日本が張り合って、アジアはその結果次第である。(経済は例外だが)政治の世界で、日本人はもう70年間も内にこもってきた。鎖国しているのと同じである。アメリカの庇護があったからできた芸当だが、トランプはこれまでの大統領と違う。これまで通りアメリカの保護のもとに国を運営したいといっても、一蹴されるのがオチである。

 これまでのアメリカは、第二次大戦後の「日本封じ込め」を意識下に置いて対処してきた(ありていにいえば、日本を従属国家として扱う)が、トランプは「早く一人前になれ」と言っている。戦後遺産である国際関係を作り直す…という野望を彼は抱いている。世界は変わりつつあるが、数々の失敗を重ねてきた外務省に理解できるかどうかは疑わしい。日本人が平和ボケのまま、アジアから、世界から取り残されないように祈る。

実力があるのにサボっている国だ(トランプ)
●たはむれに日本を背負ひてそのあまり軽きに泣きて三歩あゆまず
(本歌 たはむれに母を背負ひてそのあまり軽きに泣きて三歩あゆまず  石川啄木)
(蛇足)子分にしてやったら、図々しくも国の防衛をすっかり任せやがって…トランプはこう思っているだろう。火の粉は自分で払いな!と。

トランプは疑心暗鬼に陥っている
●アメリカへ入出国する外国人こよひ逢ふ人みな怪しき
(本歌 清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みな美しき  与謝野晶子)
(蛇足)入出国の波をいったんせき止めて…という政策ではない可能性もある。犯罪歴のある外国人を強制退去させ、それでもテロが止まらない場合は、永久に門を閉ざすこともやりかねない。そのあたりが先行き不透明といわれる所以である。

大統領令の乱発でショックを与える(トランプ)
●夕焼けてゆく速度にてアメリカがホワイトハウスで変わり始める
(本歌 夕焼けてゆく速度にてコロッケが肉屋の奥で揚がり始める  俵万智)
(蛇足)TPP離脱、オバマケアの廃止、メキシコ国境の壁建設、難民受け入れ停止…など、大統領令でつぎつぎに法を執行するトランプ大統領。記者会見の様子もケンカ腰で、ずいぶん今までと違う。マスコミも正念場だ。トランプに反対するなら、キチンとした証拠を添えて報じなければならない。願ってもない勝負ではないか。

メキシコに対する恨みつらみは激しい(トランプ)
●これやこの行くも帰るもわかれては知るも知らぬもメキシコの壁
(本歌 これやこの行くも帰るもわかれては知るも知らぬも逢坂の関  蝉丸)
(蛇足)グローバルよりもローカル…これがトランプの選択である。第二次世界大戦が保護主義、地域主義の結果起きたことで、行く末を案じる人の意見もわかるが、こんなに明々白々で分かっている轍を、人類が再び踏むと信じる方が人類への冒涜にはならないか。私はもう少し人間は賢いと思うが…。

シリア内戦泥沼化の責任をオバマにおしつけ
●イスラムのしのぶ戦争オバマ故に乱れそめにしわれなら知らん
(本歌 みちのくのしのぶもぢずりたれ故に乱れそめにしわれならなくに  河原左大臣)
(蛇足)シリア内戦に関して、オバマは確かに食言をした。政権側がガス兵器を使用したとき、内戦介入の約束をやぶり、不問に付したのだ。これでロシアと中共政府が「オバマ組み易し」と読んで、ロシアはクリミアを取り、中共は南シナ海で大々的に基地の建設を進めた。オバマは有効な手を打つことができなかった。相応の責任はあるだろう。

既存のメディアと敵対し(トランプ)
●白い家に風の吹きしく記者会見就任式の数ぞ散りける
(本歌 しらつゆに風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける  文屋朝康)
(蛇足)白い家…というのはホワイトハウス。記者会見は常に険悪な雰囲気で行われる。あるときは、証拠のないガセネタをそのまま載せたとトランプがCNNを非難し、あるときは報道官が、大統領就任式の人出について、故意に少なく報じたと全マスコミを非難した。既存のマスメディアは、世界を誤った方向へ導いた…トランプ陣営はこう判断しているようである。どちらが正しいか、これからの見ものである。
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