パロディ『石泥集』(短歌・エッセイ・対談集)

百人一首や近現代の名歌を本歌どりしながら、パロディ短歌を披露するのが本来のブログ。最近はエッセイと対談が主になっている。

2017年事件簿11 保守と革新はどう変わったか

2017-09-02 17:14:02 | パロディ短歌(2017年)
(写真はhttp://blogos.com/article/243626/より)
           民進党に期待できないわけ

 9月1日の民進党代表選挙で、前原誠司氏が枝野幸男氏を破って、新党首に選出された。
 共産党との選挙共闘を見直すとか、憲法改正の論議に参加するとか…の「公約」に、自民党サイドの一部からは期待の声があるようだが、現状では期待薄である。鳩山、小沢、岡田、菅、蓮舫…と民主党、民進党時代をとわず、歴代党首は人望がなかったが、前原氏も例外ではない。

 国土交通大臣の際、八場ダムの工事を即時廃止しながら、結局、復活を認めたこと、時の自民党幹事長への贈賄を示唆した偽メールに固執しすぎて、代表の座を棒に振ったことなど、勝負どころを誤ってきたからだ。勝負運がないということではなく、真実を直言できる側近がいないのであろう。あるいは、浅薄な自信満々の人柄なのか。

 代表に就任して、まず自由党および社民党との連携強化をあげたこと、経済はアベノミクスが失敗したと断じ、消費税引き上げで貧困層の所得引き上げを図るなどと話しているようでは、失敗をわざわざ引き寄せているようなもの。彼自身は憲法改正も必要…とする「保守派」だというが、サヨクの社民党、全学連過激派の流れをくんでいる自由党と組める理由がわからない。

 サヨクに共通する弱点は、経済政策である。彼らの言い分を聞いていると、常に「分配」の話である。労働組合の発想なのである。組合が会社経営に関しては素人であるように、サヨク政党も日本経済に関しては、誰かが維持発展してくれると、頭から決め込んでいる。彼らには経営の理念も決意もない。組合と一緒で、分配にしか興味がない。前原党首も一緒で、消費税を上げて新たに分配するという。

 アベノミクスと黒田バスーガのおかげで、人手不足が全面に出てきた。賃金は上がっている。人手不足を解消するため、ロボット産業や人工知能への投資が進んでいる。もう一息である。いま、消費税を上げるべきではない。共産党の言うように5%に戻してもいいくらいだ。(共産党の言うことは当てにならないが、時折、妙な正解をいう)

 景気回復を拒んでいるのは誰なのか? 内部留保をため込んで、賃上げにも設備投資にも消極的な企業。ビジョンを持たないサラリーマン社長。現体制維持を至上命令とするマスコミ、中央官庁、法曹界。森友学園問題で姿を現した、元理事長の籠池のような復古右翼。籠池とサヨク(現状維持派)が共闘したように、復古右翼とサヨクの相性はいい。「反米」とか「反自民」いう看板を上げれば、両者は容易にくっつく。

 安倍首相の果たすべき責任は「丁寧な説明」でも「低姿勢」でもない。彼は復古右翼との絶縁を宣言すべきなのである。妻が森友学園の名誉校長についていたのは間違いだった、と宣言すべきなのである。安倍首相だけではない。自民党全体に右翼への甘さがみえる。

 右翼にも二種類ある。①東京軍事裁判に象徴される欧米史観のひずみを正そうという穏健な主張と、②一方的に戦前を賛美する復古右翼である。両者を見分けるリトマス試験紙としては、教育勅語がいいだろう。難しい文言を並べた、この道徳訓話はそのまま暗記しても、意味不明である。しかも、主題は皇室および臣民の繁栄なのであって、新憲法の主権在民とは相いれない。①新たな教育訓話を創造するなら建設的な右翼であり、②安易に教育勅語を唱和させるのは復古右翼である。自民党はこの際、復古右翼とは手を切る宣言を出してしかるべきであろう。そこをきちんと分ければ、サヨクの一部は戻ってくる。

 前回のブログでも披露したが、筆者の考える政治思想の軸はこうである。まず、最右翼(通常とは違う分類に注意。現状を変えない…フランス革命時の王党派と同じ意味で使っている)に、何が何でも現状維持派(いかなる意味でも、発展を望まない、別の言葉でいえば「反動」)に社民党・自由党・民進党のサヨク部 ⇔ 漸進的保守としての自民党・公明党・民進党の保守部 ⇔ 保守革新(霞が関解体など)としての日本維新の党―という図式が基本。

 この図式から外れるものとして、日本共産党(天皇制を否定し、アメリカとの同盟を否定し、自衛隊を解散するが、最終的には自分たちの構想する国防軍を持つ…という分かりにくい政党。中国やベトナム・北朝鮮のような共産主義革命を目標としている)があり、綱領すら未発表で、何を実現しようとしているのか分からない日本ファーストの会がある。

 まだ、政党の形をしていないが復古右翼、ネトウヨも政治思想以前の存在である。一昔前の街宣活動の独りよがり、ヘイトスピーチにみる幼児性をみるだけで、政治の世界に入れてはいけないことが分かる。サヨクと組むような不徳義漢(籠池)だって出てくるご時世である。(籠池が安倍首相に最大限の嫌がらせをしていた頃、「籠池さーん❤」と馴れ馴れしく呼びかけていたTBSのテレビ記者は「敵(安倍)の敵(籠池)は味方(TBS)」という図式を信じていただろう。マスコミに生息する彼らは「何が何でも現状維持派」の典型である)

 民進党・前原代表の選出から、話題をずいぶん広げたが、民進党自身には何ら期待できない、という筆者の感想がモロに出ただけである。前原くん。共産党との共闘をやめれば選挙に負けて非難されるし、共産党との共闘にカジをきれば、また、言うことが違ったといわれるだけだ。忘れてはいないだろうが、君はこう言われていた。前原は開店前の銭湯だ。その心は「湯=言うだけ」。こんな風にからかわれるくらいなら、男らしく勝負をかけたらどうか。

ホステスが「昔の名前で出ています」風の党首選挙に
●飽きた顔が赤帯しめてうっふんうっふん肩を並べる
(本歌 白菜が赤帯しめてうっふんうっふん肩を並べる  俵万智)
(蛇足)立候補した前原・枝野の二人が言っていることは正反対である。昔からのことだが、サヨクと保守とに別れりゃ~いいだがネ…と名古屋では言っている。

国会の対応をみても子供っぽい。やっぱりアマチュアなんだなあ
●秋過ぎて冬来にけらし民進の衣洗ふてふアマの集団
(本歌 春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山  持統天皇)
(蛇足)対案を出す政党になる…何度同じ言葉を聞いたことか。結局、国民から信用されないのは、政権時の目に余る失敗のせい…といわれるが、実はそうではない。国のグランドデザインが描けないからだ。外交政策、安全保障で党の一致点がないのは致命傷。衣を洗う…といっても、無理だがや。

都議選でも小池都知事にしてやられた
●アマの党ふりさけ見れば小池なる都庁の主に出でし票かも
(本歌 天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも  安倍仲麿)
(蛇足)この「アマの党」は都民ファーストの会である。アマチュア故の失言を恐れて、緘口令を敷いている。批判は思い切って無視。小池の度胸はいつまで通じるか? マスコミの手のひら返しは、仁義も何もない。ある意味でのチキンレースだ。

何度も言うが別れた方が身のため
●わが党は民の左右にしかぞすむ余を寄り合いと民はいふなり
(本歌 わが庵は都のたつみしかぞすむ世をうぢ山と人はいふなり  喜撰法師)
(蛇足)社民党と見まがうようなサヨクと憲法改正を志す保守とが一緒とは、どういうことやねん…と大阪の民は言っている。

これも大阪のおばはんの意見
●わびぬれば今はた同じ民進党みをつくしてもアカンとぞ思ふ
(本歌 わびぬれば今はた同じ難波なるみをつくしても逢はんとぞ思ふ  元良親王)
(蛇足)前原党首は左右にぶれるだろう。結局、誰からも信頼されなくて、蓮舫と同じような運命をたどるだろう。民進党にとって、一番よかったケースは、枝野党首になって、左よりの運営をし、それに反発した保守党員が一斉に飛び出すことだった。政策がはっきりして、それぞれが国民の支持を増やしただろう。
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