①「柔道事故、傾向は 中1と高1に多い被害・大外刈りで頭部外傷例」(朝日新聞デジタル、2016年9月24日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12574288.html?rm=150
②「柔道の部活中、昨年以降3人死亡 大外刈りが事故で最多」(朝日新聞デジタル、2016年9月24日)
http://www.asahi.com/articles/ASJ9F5CQBJ9FUTQP02B.html
この2つの記事を読んで率直に思ったのは、「柔道事故の防止に関する学校現場への情報伝達ルートの実態解明」こそが、今後の事故防止の取り組みにおいて重要な課題になってきているということですね。
たとえば、②の記事によりますと、しばらく起きていなかった死亡事故の発生を受けて、全柔連はあらためて注意喚起の文書を出したようです。
でも、①の記事によれば、そもそも学校現場に文科省からの事故防止に関する注意喚起の文書等が行き届いていないと。学校現場の教職員にアンケートをとれば、文科省の資料や日本スポーツ振興センターの重大事故事例についての資料等を知っている教員は4割程度だ、ということですよね。
そして、これについて①の記事では、「全柔連が情報を流しても、教委がブレーキをかけている」といって、「隠ぺい体質の改善を」いう趣旨のコメントを内田良さんがしていますよね。
でも、私はこの①の記事を読んで、「ちょっと待てよ。本当に隠ぺい体質の問題なの? もうちょっとていねいに情報伝達ルートの検証をして、きっちりとそこを直さなければいけないのでは?」と思ってしまいました。
それこそ、たとえば最近、各地の養護教諭さんの学習会に行ってわかってきたことですが・・・。
文科省が今年3月末に出した「学校事故対応に関する指針」は、文科省から各都道府県教委、各市町村教委、各学校へと伝達されるにあたって、電子メールのPDFファイルで各校に降りてきたところもあるようです。
そうなると、そのPDFファイルで「上から」降りてきた情報については、各都道府県あるいは市町村教委のレベルで、あるいは各校で誰かがそのファイルを開いて、中身を読んで、「これは重要だ」と校内で周知徹底を図ろうとしない限り、情報は広まらないことになります。
ですが、「上から」おろしてくる側(たとえば各都道府県教委にとっては文科省、各市町村教委にとっては各都道府県教委、各学校にとっては各市町村教委)は、電子メールの添付ファイルで一斉に情報発信すれば、それで「現場に(あるいは教委に)周知しました」と言えるわけです。
要するに「こういう文書が来たから、送信(転送)するんで、あなたたち、読みなさい」という形で、「上から」流すだけで終わっていて、学校現場では「誰も読まないまま」になっているのではないか・・・・ということですね。
これでは「隠ぺい」はしていないけど、でも「情報伝達は実質的に何もできていない」ということになります。
だから、なんでもかんでも「教委の隠ぺいだ」と考える発想から生まれる対応では、もはや、なんの役に立たないのではないかと。
実際にどういう伝達ルートで、どういう情報がどのように降りてきて、それをどのように学校現場が受容しているのか、その解明をしなければいけないし、その解明した結果にもとづいて事故防止策を練り直さないといけない、ということです。
そして、ただ「文書をメールで転送してしまうだけ」の対応になってしまう背景に「教員(あるいは教委職員)の多忙化」傾向があって、次々に他の仕事に追われていて「中身をじっくり読むひますらない」としたら、本当に改善すべき問題はどこにあるのか、ということになりますね。
以上2点、この記事から考えたことでした。
<追記>
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