できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

「人権教育」が今、向き合わなければならないこと(2)

2010-09-07 23:27:29 | ニュース

この数ヶ月くらい、私はこちらのブログ、日記帳ブログのほかに、ツイッターにもチャレンジしています。現在、ミクシィでゼミの卒業生たちとつながっているのとあわせれば、4つくらい、日常的な情報発信のチャンネルを持っていることになるわけですが。今回書くことは、そのツイッターのほうで、昨日あたりに話題になっていたことに関してです。

さて、私は見ていなかったのですが、昨日、NHKのテレビ番組で、学生支援機構の奨学金返還の問題が取り上げられていたそうです。

詳しい番組の内容はわからないのですが、ツイッターでいろんな人がコメントしている点から察するに、大学で貸与された奨学金が卒業後返還できない人が増えているとか。その背景には就職難だとか、就職しても不景気で賃金があがらなかったり、リストラで解雇されたりして、支払いが苦しい状況に追い込まれている人が増えているとか。それでも、学生支援機構の側は奨学金返還(というか借金の回収)に力を入れざるをえない状況にあるとか・・・・。まぁ、そんなところではないかと推測します。

ただ、こういう状況に対して、当然ながら奨学金制度の拡充、それも貸与ではなくて給付型の奨学金を増やすことですとか、あるいは大学の学費減免制度の充実とか、奨学金の返還猶予・免除制度の枠の拡大とか、そういう議論がツイッターの方でも、あちこちから湧きあがってくることになります。

ですが、それに対して、私は「こんな見方もある」ということで、次のようなことをツイッターに書き込みました。以下、色を変えている部分が、ツイッターに書き込んだことです。 「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。」国際的な人権条約のひとつ、いわゆる「社会権規約」13条2項Cの条文です。NHKの奨学金問題を取り上げたTV特集でこの条文触れましたか?

ちなみに日本政府は、この「社会権規約」の締約国のひとつですが、この13条2項Cと、その前にある中等教育の無償化を定めたbの規定の適用には、「留保」を行っています。つまり、この人権条約に定めた原則を、日本政府は国内に適用しないと国際的に言っているわけです。

NHKの奨学金問題を見て、いろんな方が「これはひどい」とツイッターで論じているようですが・・・・。この「社会権規約」13条の「留保」問題とも絡めて論じてほしいな、と思うのは、私だけでしょうか・・・・? 特に、人権教育とか子どもの人権とかに関心ある人に、それを願います。

で、いまあえて「社会権規約」の話をしましたが、こうした基本的な人権条約の教育関連規定だとか、子どもの権利条約の中身、さらには日本国憲法その他の教育・人権関連の中身について、私たちはどれだけ広く市民に「知ってもらう努力」をしてきたのかな・・・・という反省が今の私にはあります。

こういうことを書き込んだわけですが、さっそく何人かの方がリツイート、つまり、私が書き込んだ内容を他の方に知らせることをしてくださったようです。たいへん、ありがたいことだなぁって思います。

このように、あらためて今、「人権教育」が向き合わなければならないことのなかに、こうした「社会権規約」や「子どもの権利条約」など、国際的な人権条約の重要部分、特に教育に関する重要な規定について、人々に広く知ってもらう努力をすることがあるのではないでしょうか。

そもそも「国際的な人権条約では、教育の領域において、このようなことを実現する努力を日本政府が負っている」とか、「日本国憲法や関係諸法令の条文からすると、教育のこの問題について、政府はこんな努力をしなければならないことになっている」等、教育と人権にかかわる法的な学習は、「人権教育」の一番の出発点におかれなければいけないことなのではないでしょうか。私としては、あらためてこのことをここで訴えておきたいと思います。

ついでに、今、ブログやツイッター、ミクシィなど、個人でもインターネット上でさまざまな意見を発信しうる方法があるのですが、「人権教育」の関係者で今、自分が思うことを積極的に日々、これらの方法を使って発信している方が、どの程度いらっしゃるのでしょうか?

ツイッターで私がフォローしたり、されたりという関係にある方で、関西の「人権教育」の関係者って、とっても少ないように思います。子どもの人権に関する国際的な取り組みとか、福祉サイドから子どもの人権に関する諸課題に取り組む方は、わりとツイッターで情報発信されているようですが・・・・。もちろん、これは個人的な印象であって、まちがっていたら申し訳ないとは思いますが。

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