西三河地域労連のブログ開設!

愛知県西三河地域の労働組合の地域組織です。すべての労働者を視野に入れた活動をしています。

アメリカの調理師労働組合の要求

2018-02-16 14:42:09 | 労働情報

【調理士労働組合がセクハラ対策ボタンの貸与を要求へ】
 UNITE-HERE (縫製・繊維・ホテル・レストラン労組—250,000名)に所属するラスベガスの調理士労働組合は大統領選挙などに強い影響力を発揮することで知られるが、来月から始まるカジノ・ホテル企業との協約改定交渉に向けて、ホテル従業員へのセクハラ防止の"パニック・ボタン"貸与を要求する。
 セクハラ事件としては、浴室清掃の女性従業員が22歳の男に顔を殴られて襲われた例、65歳の女性従業員が19歳の男に部屋で襲われた例などがあるが、セクハラは侮辱や暴言、身体に触る、暴行、レイプなど広範囲に亘り各所で起きている。

 ニューヨークのホテルの労働組合の有るところでは、従業員が2013年から緊急ワイアレスを装着しているが、これは当時の国際通貨基金(IMF)、ストラウス・カーン専務理事がメイドを襲った事件により労働組合が要求したものである。他にも2016年のシアトルの住民投票に続いて、昨年10月にはシカゴ市議会がゲストルームで働くメイドへのパニック・ボタン貸与を義務付けている。

 調理士組合については、50,000名のメイドやコック、バーテンなどの協約改定が5月に行われるが、現在の時給は$23、医療費は全額企業負担、401K年金、最初の自宅購入時には$25,000の補助などがある。調理士組合はこうした賃金労働条件の維持、向上を図ると共にセクハラ対策を要求する。
カジノ企業は2015年までの赤字から2016年には黒字転換、2017年には前年比191%の増益を記録しており、代表的企業、MGMリゾートでも交渉には好意的である。


【2017年の労働組合組織率、前年と同じ10.7%】

2018-02-16 14:37:48 | 労働情報

国際労働財団メールマガジン【No.492】

1月19日発表の労働統計によると、2017年の労働組合組織率は前年と同じ10.7%で推移した。この他に労働組合に加入していないが労働協約の適用を受けている労働者の1.2%を加えると、労働組合が代表する労働者は11.9%となる。因みに労働人口は1億6,059万人であった。
 さらに失業率は1月の4.9%が12月には4.1%に低下した。また労働組合員の週給中位額は$1,041であり、非組合員の$829を25%上回り、年金や医療保険でも優位にある。また2016年の男性に対する女性の賃金は労働組合のあるところで91%、非労働組合では81%であった。

 歴史的にみると組織率は1917年の11%から第2次大戦終了の1945年には33.4%へと急上昇したが、その後徐々に低下して現在の10.7%に落ちた。中でも落ち込みの大きいのは製造業だが、雇用の海外流出とともに政治的な要因も大きい。
 米国の組織率はOECDの31カ国中でも27位という低位にあるが、原因の1つは"労働の権利法"(賃金労働条件などの労働協約の適用を受けていても組合加入や組合費支払いは従業員の自由意思とする)が全米各州の半数以上に採用されている現状であり、組合が強かったミシガン、インディアナ、ウイスコンシン州なども共和党優位の議会で"労働の権利法"が採択されている。

 今年、注目されるのは38%の組織率を持つ公務員部門である。現状は20以上の州で「労働組合協約の適用を受ける"非組合員"も労働組合費を徴収されている」が、これを不服とする訴訟が最高裁で審議されており、共和党指名判事優位の最高裁で訴訟が認められれば、公務員労組から大量の脱退が起きる。

 もう一つの注目点は、「労働組合の停滞が中間層賃金の停滞と関連する」というハーバード大学などの調査、またシンクタンクの経済政策研究所(EPI)の調査では「組織率低下の時期には労働者の中でも所得トップ10%グループのシェアが反比例的に拡大する」と読める1917年からのデータから、労働者間でも格差が拡大すると指摘する。特に近年、そのシェアが異常拡大して2014年現在47.2%を記録している。
 こうした状況を受けてか、ギャラップ世論調査では「労働組合が必要」とする声が2009年の48%から昨年は61%に上昇した。また「社会への労働組合の影響力が強まるべき」とする意見が1955年の75%から2007年に28%まで低下した後、昨年は39%に上昇した。

 しかし労働組合の批判派は「民間組合の高賃金は非組合員の犠牲の上にあり、投資と雇用を阻害する。また公務員の高賃金と高年金は税収を枯渇させた。労働組合は無能な従業員も保護している」と指摘する。