遅くなりましたがRadeon増設記録の最終章、「PCI Extreme! を使ってQuartz Extreme をオンにする」です。
Quartz Extreme というのは、(たしか)OSX10.2 から採用された機能(技術?)です。詳しくはAppleのHPをご覧下さい(
Quartz Extreme)。CPUにやらせていたグラフィック処理をGPUに肩代わりさせることで、CPUの演算負担を軽くするというようなことらしいです。
この機能が有効になっているかどうかは、「
Quartz Extreme Check」という思いっきりストレートなネーミングのソフトを使う事で確認出来るのですが、実はこのソフトを使わなくても有効かどうかのチェックが出来ます。ヘルプに書いてあったのですがこれはちょっとした豆知識かも。
(下の画像は「Quartz Extreme Check」を使ってみたところ。起動すると上の窓が出てきて、チェックボタンを押すと下の窓が表示されます。有効になっていない時は「~is not accelerated」と出るわけです)、
(下はヘルプに書いてある、有効かどうかのチェック方法)
で、この機能は基本的にはAGPバス仕様の(AGPのグラフィックカードが搭載されてから以降の)Macでないと働かないらしく、当然うちの機種もこの機能はデフォルトでは非対応になっております(註:AGPモデルでなくても Intel Mac等の最新機種であれば当然対応しているはずですが)。
しかし、AGPのRadeonシリーズならば Quartz Extreme に対応しているわけですので「PCI接続のRadeonでもこの機能をONにすることは可能なのではないか?」と考えた人がおりまして、実際それは(一応)可能だったのですね。AGPバスモデル以前の古い機種でも、Radeon のPCIバス用カードを増設し、とあるシステムファイルを書き換えてやる事でQuartz Extreme はONにすることが出来るのです。ONにする方法については、「
Old Friends」さんが詳しく紹介しておられますのでここでは省略。
当初私もこの方法を試してみるつもりでしたが、この方法は起動システムが二つ以上ないとファイルの入れ替えが出来ないためちょっと面倒なんですね。しかもうちの子は
現在OS8.6インストール分のパーティションが丸ごと消失状態(涙)。というわけで、お手軽にシステムファイルの書き換えが出来る「
PCI Extreme!」というソフトの出番です(なお、PCI Extreme! を使わず書き換える方法を「Old Friends」の BBS にて koto さんに教えて頂きました。この記事の最下部に追記しておきます)。
現在のバージョンは 3.1 でありまして、これは Tiger 対応版。DL して解凍すると中に「Old Version For 10.2.x and 10.3.x」というフォルダが入っており、この中に「AGP and PCI Install.pkg」があります。私の使用OSは Panther(10.3.9) なのでこれを使用します(Tiger の場合はどうするのか不明ですごめんなさい)。pkg ファイルでのインストールはどこに何のファイルがインストールされたのか不明なので基本的にあまり好きではないのですが、「unpkg」というソフトを使うとどこにどんなファイルがインストールされるのかが分かります。で、ちょっと調べてみたんですが当たり前と言うか何と言うか、ホントに単純に「Configuration.plist」が一つ入っているだけでした(「AGP and PCI Install.pkg」をダブルクリックして指示に従い、再起動すると Configuration.plist が交換されることで Quartz Extreme がオンになります、元に戻したい時は「Restore.pkg」をダブルクリックして再起動するだけです)。因みにこのファイル、前述の「Old Friends」さんではこのファイルの IOAGPDevice という部分を IOPCIDevice に変えるように指示されていたわけですが、「PCI Extreme!」を使って取り替えられるファイルには<string>IOPCIDevice</string>が次の行に書き加えられている、という違いがありました。
(「PCI Extreme!」を使って書き換えられるファイルの記述。有効になっていることがわかるよう「Quartz Extreme Check」の窓を左下に重ねてみました)
<追記>つまり「書き換え」でも「書き加え」でもどちらの方法でも出来るということです。
さて。いよいよ Quartz Extreme を有効にした際の使用感及び不具合についてです。「PCI Extreme!」に付属の説明文を私の拙い英語力で頑張って読んでみたところ、「Quartz Extreme をオンにするとウェブブラウジングやEメールやワープロ等の比較的軽い作業におけるパフォーマンスが向上するが、ビデオのエンコード等の重い作業についてはパフォーマンスが下がる」というようなことが書いてあるようです。
結果は…まず、ジニーエフェクトの処理が「キレイに」なりました。
前回DVD再生のキレイさについてフォントのアンチエイリアスを例にして云々言いましたが、ジニーエフェクトについても比較的同様のことが言えました。別にエフェクト自体のスピードが速くなるわけでは無いのです。というか既に Quartz Extreme オフの状態であってもスムーズだったのでこれ以上スムーズになることは想像出来なかったのですが、エフェクトそのものにアンチエイリアスがかけられたというような感じでしょうか。滑らかでキレイになりました。思わず「こ、これが Quartz Extreme の実力かっ!」等とアニメ声優並に呻いてしまいましたが、Core Image がどうたらとか言ってるこの時期になんとまぁ時代遅れな話だ…と我ながらちょっと情けなくもなったりして(苦笑)。
また、ウィンドウを10個以上開いて Expose の動作をチェックしたり、シイラのタブ Expose の動作等も(同じくタブを10個以上開いて)チェックしました。流石に Quartz Extreme オフの時やRadeon 増設前と比べると動きがスムーズでスピードも若干早いようです。
さて、ここで補足が一つ。この差はあくまでも「ほんのちょっと」です。流石に窓を10個以上も開いて動作確認すれば違いがわかるかな?という程度であって、実際に多くの窓を開いて作業したりする人でなければまず差は体感できませんし、ジニーエフェクトについても「オンとオフで違いがあるかな?」と注目して観察しているからこそわかるという程度の違いです。
そうそう、前回エフェクト処理について補足すると書きましたのでそれも。実はATAカード増設&HDD交換でそーいう分野での2D性能は意外なことにむちゃくちゃ改善されるのです。ATAカード増設後にドックやジニーエフェクト処理がむちゃくちゃスムーズになってビックリしたのですが、その反面「これ以上このエフェクトが早くなることなんてありえるの?」とも思ったんですよね。実際に Quartz Extreme をオンにしてみたら確かに見た目は「よりキレイに」なりはしたのですがやはり体感的な処理速度そのものについてはほとんど変わりませんでした。ATAカードを経由していないデフォルト6G のHDDに緊急起動用の 10.3.5 が入れてあるのでそちらで検証してみれば「HDD性能に依存しない状態でのRadeonのパフォーマンス」がよりはっきるすると思いますが、単純に体感速度を向上したいのであればグラフィックカードの増設よりまずHDD性能を上げることを優先する方がいいと思います(既に何度も書いてはいますけど)。
続いて3D性能。
前回の記事で「CINE BENCH2003」での結果をアップしましたが、オンにするとこうなりました。
Shading (CINEMA 4D) : 57 CB-GFX
Shading (OpenGL Software Lighting) : 146 CB-GFX
Shading (OpenGL Hardware Lighting) : 150 CB-GFX
OpenGL Speedup: 2.62
数値としては一応、もの凄く微細ながら向上が見られますね。
さて、今度は動画性能です。DVDを見たところでは、なんだかちょっと汚くなったかなぁ?という気がすることはしますが気のせいかもしれません。また、「
Yosemite の問題点」をまとめた際に気になっていたことについても判明しました。「DVDプレイヤーで、ほかのウィンドウがかぶさると再生画面がブラックアウトする(10.3.6 以降)」に関してですが、これはやはりRadeonがらみの不具合で、「Radeon シリーズを増設した上で、更に Quartz Extreme を有効にすると生じる現象」です。
このように↑、他のウィンドウが重なるとブラックアウトします。そもそもこの不具合が無くてもDVD再生画面のキャプチャーをしようとすると(著作権保護のため)失敗してこんな風な画像しか出来ませんけれど(苦笑)。また、これはウィンドウだけでなく、フルスクリーンにした時にDVDコントローラーを表示させただけでもブラックアウトします。少し経つと戻りますが、非常に不便でうっとおしいです。
その他、動画ファイルの再生については特に問題になるようなことも無ければ、性能が向上しているように思える現象も起こりませんでした。
最後にちょっとした疑問。Quartz Extreme をオンにすることの是非についてなのですが、「Old Friends」さんでも言われているようにグラフィック処理をビデオカードに負担させその分CPUに別の仕事をさせることはそれだけ機器に負担をかけ、マシンの寿命を縮めることになるのだそうです。しかし、実際どの程度マシンを痛める事になるのか、そもそも「Quartz Extreme をオンにしていたせいでマシン(マザーボードやCPU)が壊れた」と明らかに言える事例は果たして存在するのか? これがちょっと謎なのですよね。もちろん理論的物理的に考えて寿命が縮むということは(私には正直ちゃんと理解出来てはいないのですが)おそらく正しいことであり、万全を期すなら Quartz Extreme を有効にすることは控えた方が望ましいと思います。とは言え、Yosemite(等の旧機種) にパーツを増設して使い倒そうとする人のうち、私のようにそれがメインマシンでなおかつ代替機が無いなんていう人は皆無でしょうから(苦笑:まぁWindows機はありますがMacのサブマシンは持って無いという意味です)、「いつかは壊れるものだろうし、Quartz Extreme を有効にしたせいで壊れたかどうかなんてこともわからんしなー」と言う事で思い切ってオンにするのもまたアリかな、とも思います(もちろん自己責任で、ですけれど)。因みに私は、DVDを快適に見たいということを第一目的に考えて通常オフにしています。
さて、いよいよ結論です。
今回私は、この「Radeon 9200 PCI」を15500円(+振り込み手数料)で購入しました。送料無料セールの時期でもあり、その時最も安い通販ショップを選んだこともあり、本体そのものの値段が低い時期だったこともあり、おそらくこれは 9200 の新品購入価格としては最も底値だと思われます(現在では少し値上がりしています)。
さて。この資金投入でうちの子はどうなったか。まず、
・マウスポインタに影がついた。
これは増設後、少しして気づきました。Radeon を増設すると影が付くようになることは知っていましたが、具体的にどうなるのかイマイチ想像が出来なかったので気になっていました。で、影が付いていることに気づいた時の私の第一声。
「うわっ、きも!」
でした…。今はもう慣れましたが、無い方が好みです。
その他、(プログレスバーが出てからの)起動がちょっと速くなったかなぁ?という気がそこはかとなくしますが、トータル時間は変わっていない気も。また、スリープ復帰の際、一瞬ディスプレイがオフに(画面が真っ暗に)なるようになりました。
使用感については散々述べてきたように、具体的に「もの凄くここが変わった」という部分は全くありません。Quartz Extreme をオンにしようがオフにしようが、Radeon 増設前と比べて何か変化があるかと言われると「意識を持って調べない限り全く気がつかない」程度にしか変わっていません。あくまで私の使い方では、ですけれど。
というわけで、この Radeon 増設に関して私が金額的な評価をするならば「う~ん、1000円~2000円で売ってるなら増設してもいいかなぁ」という感じですね。マウスポインタに影をつける(しかもキモい)というだけのために1マン5千円も払えるかというとかなり辛いものがあります。まぁ、こうなるであろうことはWeb上で調べられうることから想像はついていたのですが、とりあえず自分の目で確認してみたかったので満足感はあります。それにしてもホント「予想以上に予想通り」という言葉がぴったりです(笑)。
このRadeon 9200 を増設して恩恵を受けることが出来る人というのは、
・デュアルディスプレイにしたい人
・ビデオ端子でテレビに接続したい人
・3Dゲームを楽しみたい人
・液晶モニタに繋げたい人
・ウィンドウを山ほど開いた状態で快適に使いたい人
・シイラのタブエクスポゼを快適に使いたい人
こんなところでしょうか。このうち、テレビに繋ぐ事が出来るというのはモニタが壊れた時に応急処置が出来るという点でちょっと心強いものがあります。また、せっかくなのでMac用の3Dゲームをちょっと買ってみようかな…とも思いますが、将来的にはこのカード、売り飛ばしてしまう可能性が私の中ではかなり高いです(苦笑)。
ただ、「しょぼいCPUでは高価なグラフィックカードの性能を発揮出来ない」ということがありますので、G3/1.1G もしくはG4/1G を増設した時にどうなるのか、その辺りがまだ若干気になるため G4/1G 購入までは売らないかもしれません(笑)。
さて、いよいよ Marine ちゃんのパワーアップも(基本的な部分では) CPU の G4 化を残すのみとなりました。妙に感慨深いというか、なんだか淋しいような気がしてくるところが不思議です(←病気と言ってもいいぞそれは)。
<追記 PCI Extreme! を使わず Configuration.plist を書き換える方法>
・他のOS起動環境がない
・rootユーザー起動が面倒
・PCI Extreme無しで済ませたい
・ターミナル叩くのはよくわからない
という場合には、一時的に該当ファイルの Configuration.plist とそれが入っている Resourcesフォルダのアクセス権をシステムからユーザー(自分)に変更してから書き換え、そのあとアクセス権を戻すという方法があります(以下手順)。
システム/ライブラリ/Frameworks/ApplicationServices.framework/
Versions/A/Frameworks/CoreGraphics.framework/
Versions/A/Resources/Configuration.plist
の「Resources」フォルダの「情報を見る」で、「所有権とアクセス権 → 詳細な情報」の「オーナー:システム」となっている右のカギをクリックしてロックを外し、「オーナー:(自分のユーザー名)」に変更、パスワードを要求されるので入力。読み書き関係の権限は変更しない。
続いて「Configuration.plist」の「情報を見る」でも同様の項目を「オーナー:(自分のユーザー名)」に変更(ロックは外れているはず)。こちらも読み書き関係の権限は変更しない。
その後「Configuration.plist」をテキストエディットなどで開いて<string>IOAGPDevice</string>の部分を見つけ、<string>IOPCIDevice</string>に書き換え(または追加)、上書き保存してファイルを閉じる。
「Configuration.plist」の「情報を見る」で「オーナー:システム」に戻し、続いて「Resources」フォルダの「情報を見る」で「オーナー:システム」に戻して右のカギをロック。
#「Old Friends」の BBS にて koto さんに教えて頂きました。10.3.9 で確認、10.2.8 でも同様に出来るだろうとのことですが、試される方はくれぐれも自己責任でお願い致します。