晴嵐改の生存確認ブログ

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず

まわりにあわせすぎる人たち

2007年11月19日 | 読書
まわりにあわせすぎる人たち まわりにあわせすぎる人たち
名越 康文 ロブ@大月

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この本を読みながら感じていたのは、ここに書かれているのは自分のことだ、ということでした。
本書では、「過剰適応」という現象をキーワードとして、現代日本において多くの人が感じているであろう閉塞感の正体を探ろうとしています。

過剰適応とは何か。

ごくごく簡単に言ってしまうと、まわりに合わせすぎてしまうということです。他人本位と言ってもいいかもしれません。
ありがちと言えば、ありがちな現象なのかもしれません。
でも、そうやって、無理をして他人に同調し続けても辛いだけです。だから、過剰適応は「生きづらさ」へと繋がっていくことになります。

では、なぜ過剰適応という現象が起きているのか。

名越さんとロブさんの対談を読んでいると、その理由が徐々に見えてきます。そして、そうやって見えてくる世界が、まさに私自身の過去であり、現在そのものであることに少なからぬ衝撃を受けると共に、深く納得もしました。あぁ、やっぱりそうなのか…と。
本書で取り上げられた様々な問題――夫婦間のコミュニケーションの欠如、父親に対する諦め、母親の不安、等々……。
それらの殆ど全てについて、自分自身の体験の中に類例を見出すことができましたし、名越さんとロブさんが持っている問題意識についても「それは違うな」という違和感は全くありませんでした。
極端な言い方をするなら、まるで自分自身(と家族)の問題をずばり指摘されたような、そんな気持ちでページをめくっていたのです。

幼稚園、小学校、中学校、高校と、常にクラスに溶け込む――適応する――ことを苦手としていて、ときに軽いいじめの対象になったり、学校に行きたくなくなったりしながら、もがき苦しんできた自分。そして、どうにかこうにか社会人になっても、対人関係についての苦手意識が消えることのない自分。
なぜ、そうなってしまったのか。これから、どうしていけばいいのか。
その問いに対する答えを見つけるための最初の取っ掛かりを、本書を読むことで掴めたような気がしています。

結構キツい表現も出てきますので、子供を持つお父さんやお母さんが読むと、相当なショックを受けてしまうかもしれません。
でも、だからこそ、読んでもらいたいとも思います。
特に、人間関係に悩んでいる人にとっては、何かしら得るものがある一冊だと思いますから。



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