夜長姫と耳男

忌野清志郎を愛し、路上生活者支援NPO・TENOHASIの事務局長Sの日記

No Woman, No Cry

2009年07月04日 | Weblog
三宅伸治という人は、
すごくいい人で
ギターの腕は確かだし、
声もパンチがあるんだが、
何となく物足りなさを感じてきた。
いい人すぎて、「毒気」や「狂気」を感じさせないんだな。

私と同じ歳とは思えないくらいシャイで
いつもニコニコしているので
怒ったり、すごんだりする顔が想像できないでしょ。

しかし、この夜のライブは違った。
吉祥寺MANDARA2での三宅伸治&木村充揮ライブ。
毒と狂気を含んだ二人のくせ者のおかげで、
強烈な陰影に満ちた楽しいステージになった。

南青山よりは二回り小さいライブハウス。
まずしんちゃん一人で登場して”いつもall right!”
「朝早く目が覚めて 悲しい気分だったら 
 君のソウルを信じておくれ いつもall right!」
ちなみにこの曲は、朝、学校に行きたくない気分のときによく歌います。

つづいて”君が降りてきた夏”
歌い出しの「あわいお日様揺れてる~」のボーカルがすごくつややかで、しびれましたね。
ところが、私と同じように感激した女の子たちが「キャーーーーー!!」と、ものすごい歓声を上げ、そのあまりのすごさに三宅さんあっけにとられて演奏を止めてしまいましたとさ。

そして、木村充揮さん登場。
失礼ながら、誰だか知りませんでした。ただ、三宅さんが呼ぶくらいだからすごい人に違いないと期待していました。

出てきたのは、チューハイのグラスを抱えた、タコ入道(失礼)みたいな顔をした妙に迫力のある50男。
「きむらさーーん」とファン連呼。
後ろの男性が「○×△(たぶん大阪の地名)から来たで~」と声をかけた。
木村さん、「おお、ありがとう」とかいうかと思ったら、目を丸くして一言「なんで?」初っぱなから大受け。ステージさばきはすごい。

そして歌い出した。つやのあるステキなだみ声。愁いを含んだギター。
やっとわかりました。あなた、憂歌団のボーカルですね。
ちゃんときいたことはなかったが、好きだった。

相当前から一緒にやっているそうで、息はぴったり。
しんちゃんのロックと木村さんのブルースが交錯して、すごいグルーブ感。

木村さん、ちびちび飲みながらの演奏。
2杯目をもらうときは「あの・・・おかわり下さい」と小声で哀れっぽく言ってたけど、3杯目は「酒もってこい!!」

そこへ、もう1人缶チューハイを持ったオヤジがよろよろと乱入。
なんと片山広明さんだった。
前週のCHABOとしんちゃんのライブの時も来たんだが、そのときは飲み過ぎて開演前に帰ってしまったそうだ。
前のライブでも、CHABOと梅津さんが「酒飲みといえば片山広明」と話していたが、今日もかなりできあがっている様子。

この片山さん、たまに出てきて共演してくれるのはいいのだが、
・サックスをケースに入れたまま持ってきて、曲が始まっているのにのろのろ組み立て(初めて組み立てるところを見ました。これはこれで勉強になった)、
・イントロに合わせて吹いたと思ったら突然不協和音を奏でて、しんちゃんに「片山さん、この曲Aです」とプロにあるまじき指摘を受け、
・サックスを吹かずに手拍子をはじめたのはいいが、しんちゃんが刻んでいるのはレゲエのリズムで、普通裏打ちなのに、片山さんの手拍子は表打ちで、「あのお、片山さん、その手拍子、曲調に合わないんですけど」としんちゃんにいわれたり・・・
・1曲吹くとまた楽屋に戻るのだが、ケース忘れたり、缶チューハイ忘れてったり。お客が「片山さん、氷結忘れてるで」と教えてあげたら、しんちゃんが「自分、今、いらんこと言ってしまいましたね」とつっこんでた。

ということで、片山さんやりたい放題。

すっかりできあがってきた二人が三宅伸治に絡むから、
ライブハウスは混沌と狂乱の巷と化してどんどんヒートアップ。
これは居た人にしかわからないなあ。

一番印象に残ったのが
「ボブ・マーリィの曲やります」といってはじめた
”No Woman, No Cry”レゲエの聖書。大好きな曲。

それに、しんちゃんオリジナルの歌詞がついた。
こんな感じ。

「No Woman, No Cry
 No Woman, No Cry
 
 もう二度と会えない人よ 
 空に消えてった人よ
 大好きだったあの笑顔・・・
 
 ちゃんとやってみせるから 僕らは
 そこからいつも見ててくれ
 
 No Woman, No Cry・・・」

 しんちゃんと木村さんがボーカルをとる。
 強烈な輝きと深い陰影。
 涙が流れた。
  片山さんのサックスは、この素晴らしい曲の時も怪しかった。

 アンコールの最後では、木村さんのリードボーカルで
 「いいことばかりはありゃしない」
 「上を向いて歩こう」
 をやってくれた。片山さんもこの吹きなれた曲では素晴らしい演奏。
 
 とにかくステージ巧者のほろ酔い木村さんと、単なる酔っぱらいに見えてしまう片山オヤジに対抗するために三宅さんフルパワーで熱演。笑って泣けて楽しめるステージになった。
 しんちゃんはこういうくせ者と共演すると、パワフルな明るさの上に陰影をまとっていっそう輝きを増すと思う。また行こう。
コメント (2)
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大いなる決別 ナンデ・ナンデ・ナンデ

2009年07月04日 | Weblog
へこむなあ。
フジテレビのCSで、清志郎の出演番組5本を一気放映だったのに、
そのためにHDDレコーダーを空き容量を10時間確保したのに、
放送が3日だというのをチェックしてなくて、
JCOMに、CS復活の申し込みをするのを忘れてた。
気がついたのは、昨日の23時半。
なんという詰めの甘さ。

CSは2年間にわたって料金を払っていたのに、
もういいや、と思って4月にきったばかり。
まさかこんなことになるとは思っていなかったから。

他はいいとしても、最後の
"Whisky A Go Go at Club Heights"
は見たかったなあ。
僕も2回行った。新宿のキャバレーで行った、スタンディング禁止の大人のライブ。
うちでじっくり見られると思って楽しみにしてたのに・・・

まあいいさ、いつかきっと見られるよ。

非常にブルーなので、今日はブルース。
清志郎が梅津さんのバンド・DUBと組んだ傑作アルバム”DANGER”より

”なんでいっちまったんだ×2 Oh BABY いったい ナンデナンダ
 ナンデナンデナンデ
 みんな 俺のせいだっていうんだな
 もう 俺を嫌いになったのか”

なんでなんで・・・と延々と続くこの曲。

いったいなんで・・・・・と嘆きつつ、
湿っぽくならないのがいい。

思えばブルースそのものが、差別と貧困に苦しんだアメリカの黒人が
つらさ・くるしさ・かなしさを昇華させた音楽だ。
今、清志郎のことを想うのにふさわしい音楽のような気がする。
コメント (1)
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