雑誌の図書館・大宅文庫のニュースを新聞で
みて懐かしさがこみあげてきた。
20年も前になるが、
私も一時、調べたいものがあって大宅文庫に
通ったものである。
大宅文庫は東京都世田谷区にある。
まず、図書館というより、ふつうのお宅の
たたずまいに驚いた。
それもそのはず、
大宅壮一(1900~1970)の自宅を
改造して図書館にしたのだ。
あのとき、私は何を調べていたのだろう。
今となっては定かではないが、
一般の図書館では間に合わなくて、
大宅文庫にたどり着いたのだった。
さらに付け加えれば、
当時の私は、簡単で安易なネット検索より
実際に本や雑誌のページをめくって調べる、
完全にアナログ人間だったのである。
スタッフはベテランというより、学生風の
人が多くて、それも一般の図書館とはちがう
雰囲気だった。
明治から平成までの約1万タイトルの雑誌、
ほぼ78万冊を収蔵している。
どんな問題もスタッフに相談すれば、解決に
つながる、という印象をつよくした。
その大宅文庫が利用者の減少で、経営難に
陥っているという。
やはり、このインターネット時代に、いちいち
出向いて雑誌を手にする悠長さがそぐわなく
なったのだろうか。
一方で、
ネットに問題を投げかけることで知名度も
あがり、予想外の寄付金も集まっているの
だという。
どこの世界も生き残るのは至難のわざ。
なんとか大宅壮一氏の遺志を継いで、
存続してほしいものだと思う。