一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

小さな物 つづき

2016-10-10 10:17:27 | 雑記




         今朝も台所の床に水をこぼし、ぞうきんで拭いた。
         昨日は出先で雨に降られ(傘を持っていなかったので)
         帰宅してすぐ足を雑巾で拭きとった。

         このように困ったときに即出番となるのに、ふだんは
         ぞんざいに扱われるぞうきん。

         そういえば「ぞうきん」という詩集があるのを思い
         出した。


         <すぐ忘れられる ぞうきん
          台所のすみに小さくなり
          むくいを知らず
          朝も夜もよろこんで仕える
          ぞうきんになりたい   >

         牧師であった故・河野(こうの)進さんの詩集である。
         こんなのもあった。

         <まっ黒い ぞうきんで
          顔はふけない
          まっ白い ハンカチで
          足はふけない
          用途がちがうだけ
          使命のとおとさに変わりがない
          ハンカチよ
          たかぶるな
          ぞうきんよ
          ひがむな     >


         小学校の教師であったある人がいっていた。
         若い頃、産休、育休の代替教員で学校を転々として働き、
         子どもたちに慣れた頃に辞めなければならない。
         そんなとき、自分は使い捨てのぞうきんのようだと
         惨めな気持ちになり、世の中をのろったりした。
         だけど、この「ぞうきん」の詩で、それぞれの使命が
         あるのだと知らされたという。


         長い人生、ねたみそねみは付きもの。
         そりゃ、失敗したときなど、これが私の運命などと諦める
         こともできず、思わず他をのろったりすることもあるさ。
         そういうときに、こんな詩を読んだら心にしみるのだ
         ろうな。
         ぞうきんはぞうきんで使命を果たせばいいのだ。


        ※ 『ぞうきん』 河野進 著
                    幻冬舎