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『内部の弱者』から見た戦争

2016年09月01日 | 雑談
マンガや小説で戦争を描くとき
兵士視点で戦闘それ自体を描いたり
一般人視点で巻き込まれる悲しさを描いたり、
目線を変えればそれだけ作品も生まれます。

僕は2年前の今頃『凍りの掌』という漫画を読んで衝撃を受けました。
その時の様子はブログにも書いています。
『終戦の時期というわけでもないのだけど、凍りの掌』
http://blog.goo.ne.jp/seiki-v8/e/eb73ade95ca958130f02618254c42f4d


今回読んだマンガ


『ペリリュー・楽園のゲルニカ』もそんな感じで
戦闘集団における弱者をテーマとしています。

ただここでいう弱者というのは単純に身体的や戦闘力という意味の弱者であって
生きようとする思いは決して弱いわけではありません。

主人公はもともと一般兵として従軍し
激戦区であるペリリュー島に送られます。

穴掘りなどの地味な作業や時々やって来る艦砲射撃に恐々としながら毎日を過ごす中
仲間と日本に帰ってからやりたい事を話していると「お前、ここから生きて帰れると思ってるのか?」と言われます。

当初は自分の中でその言葉を否定しようとするものの
戦闘はどんどん激化していき、やがてその言葉も現実味を帯びてきます。

そんななか漫画が好きで自分でも書いている主人公はその能力を買われて
部隊長から戦死者の最期を手紙にして日本の遺族に送る役目を命じられます。
明らかに無駄死にとしか思えない仲間の訃報を
さも勇猛果敢に闘い抜いたかのように、仲間の名誉を演出することを仕事とする中で
ますます今ここにある戦闘の意味に苦悶します。

そして
更にアメリカ軍の攻撃は苛烈を極め
仲間も上官も斃れていくなか、主人公の思いはただ『生きたい』という気持ちだけでした。

玉砕の命令があったものの
文字通り運良く生き抜き、戦闘の合間に周りを見渡し
現実感さえ持てない中でもそこが地獄だということは理解して、
自分が狂ってしまったんではないかと思いながらも生きたいという気持ちだけで歩き続けます。

兵士の話は大抵超人的な『強さ』が描かれます。
しかしこの漫画は真逆です。

普段の訓練でも上官に殴られ先輩兵に怒鳴られ
生き残ったのも今のところ完全に幸運でしかありません。

気も弱く体力もない
それでも生きたいという気持ちと
戦死した仲間のことを家族に届けたいという気持ち、
死者の軍人手帳を預かる時、遺体に向かって「届けます」と約束した時
もう主人公は弱卒兵ではなくなっているようでした。

ここまでがこの1巻の展開です。
隔週刊誌の掲載ですので刊行ペースはやや遅めですが、
心に突き刺さる漫画として御一読をお勧めしたい作品です。

ちなみに帯を書いているのは
凍りの掌同じく、ちばてつや御大でした。

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