唯識に学ぶ・誓喚の折々の記

私は、私の幸せを求めて、何故苦悩するのでしょうか。私の心の奥深くに潜む明と闇を読み解きたいと思っています。

第二能変 所縁門 (9) 末那識の所縁について

2011-08-16 13:04:54 | 心の構造について

 ー 火弁等の説は理に応じないという、その理由の第四を述べる。 ー

 「無色に生じたる者は我所と執ぜざる応きが故に、」(『論』第四・二十七右)

 (無色界に生じた者は我所へ執着しないであろう。)

 第八識の相分である五色根と器界とは色蘊に摂められる。そうすれば、無色界には色法は存在しないので、第七識が第八識の相分を縁じ我所と執着するべき五根・五境も存在しないことになり、無色界に生じた者は第八識の相分が存在しないのだから執着すべき我所が存在しないことになる。

 「三界は是れ虚偽の相、是れ輪転の相、是れ無窮の相にして自縛の如く哀れなる哉(ミズカラマツワルアワレナルカナ)」といわれ、

 「三界は汚染の相なり、是れ破壊の相なり」と説かれています。(『浄土論註』真全1p285)

 「無色界に生じた人は我所に執着しないであろう」という火弁の主張は誤りであると論破します。

 「述して曰く、下にして縁ずる色蘊有れば、之を縁じて我所を起こすべし、若し無色に生ずる時は応に我所有ること無かるべし。」(『述記』第五本・二十四右)

 ー 次に火弁等の説は理に応じないという、その理由の第五を述べる。 ー

 「色を厭うて彼こに生じたる人は色を変ぜざるが故に。」(『論』第四・二十七右)

 (色を厭って彼こに(無色界)に生まれた人は色を変現しないからである。)

 「述して曰く、若し彼こにも色有り定の所生なりと謂うと言はば、難じて云く、聖者には此の色有るを以て聖者には我所有るべし。凡夫は色を変ぜざるを以て我所有ること無かるべし。 又若し色を変為せるときには彼こに生じて我所有るべしといはば、色を変為せざるときには彼こに生じては我所無かるべし。 又極めて色を厭うて彼こに生まるる人は色を変ぜざるが故に。故に知りぬ、無色界は定んで我所有ること無かるべし。(『述記』第五本・二十四右)

 『述記』には本文解釈に三つの解釈があると述べています。このことは『了義燈』(第四末・二十六右)に簡単に述べられています。

 「安慧の火弁を破する中に、三番の問答あり。初は定に約して、次は変不変の時においていう、後のは凡夫の色を厭うて上に生まれて色を変ぜざるに約して難ずるなり。聖者の上に生まれて色を変ずるには同じからず。」と。

 無色界において、火弁等の説を論破する第一段は、定に約して論破します。聖者と凡夫の問題です。

 「聖者には此の色有るを以て聖者には我所有るべし」、(無色界に生じた聖者には定力によって色法が存在することになり我所の執着があることになる。)

 「凡夫は色を変ぜざるを以て我所有ること無かるべし」、(色法を厭って無色界に生じた凡夫には定力はないから色法が存在しないので我所への執着が無いことになる。)

 凡夫が無色界に生じても、我所があり、我所への執着があるにも拘らず、凡夫には我所も我所への執着も無くなってしまうことになるであろう、という難。

 第二段は変不変のときに約して論破します。

 「若し色を変為せるときには彼こに生じて我所有るべしといはば、色を変為せざるときには彼こに生じては我所無かるべし」と。

 聖者に関して述べられます。無色界で色法を変為する時には、無色界には色法が存在することになり、我所が存在し、我所への執着も生じることになる。しかし、色法を変為しない時には無色界に生じても色法は存在せず、我所はなく、我所への執着も起こらないという矛盾が生じることになる。

 第三段は、凡夫の色を厭うて上に生まれて色を変ぜざるに約して論破します。

 「極めて色を厭うて彼こに生まるる人は色を変ぜざるが故に」と。

 色法を厭う為に無色界に生じた人は、仮に定力が有ったとしても色法を変為することは有り得ないのである。

 「故に知りぬ、無色界は定んで我所有ること無かるべし」

 故に無色界では色法が存在しないことになり、我所もなく、我所への執着もないことになり、火弁等の主張は誤りであると再度論破します。そして安慧は自説を述べるのです。

 「既に爾らば何を縁じてか我所を起こすと説く。」(『述記)

 (そうであるならば、何を縁じて我所をおこすのであろうか。) 

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