今日は第八の三性分別門になります。
三性とは、善・不善(悪)・無記を指しますが、随煩悩のそれぞれは三性ではどこに属するのかを問います。また三界ではいずれと相応するのかも問われてきます。
小・中・大の随煩悩は欲界においてはすべて不善(悪)になります。
小の三(誑・諂・憍)と大の八すべては色界に通じ、染と有覆無記であるとされます。
「小の七と中の二とをば、唯不善のみに摂む、小の三と大の八とは、亦無記にも通ず。」(『論』第六・三十四右)
(小随煩悩の七つと、中随煩悩の二つはただ不善(悪)である。小随煩悩の残る三つ(誑・諂・憍)と大随煩悩の八すべては不善とまた有覆無記である。)
小随煩悩の七つとは、忿・恨・覆・悩・嫉・慳・害です。
中随煩悩の二つは、無慚・無愧です。
以上の九つの随煩悩は三界では欲界繋であり、ただ悪行を起こすからであると云います。
小の三は、誑・諂・憍の小随煩悩であり、大随煩悩の八は、掉挙・惛沈・懈怠・散乱・放逸・失念・不正知の八つすべてであり、不善と有覆無記であると云われています。
詳細をいいますと、憍は三界に通じ、誑・諂は欲界と色界初禅に通じて存在します。三界についてはこれからも度々出てまいります。その折には色界・無色界を上二界と云い、欲界と区別しています。
欲界に在っては随煩悩のすべては不善なんですね。そして色界に存在する誑(色界初禅)・諂(色界初禅)・憍と掉挙・惛沈・懈怠・散乱・放逸・失念・不正知は有覆無記になります。そして無色界にも存在します小随煩悩の憍と大随煩悩の八は有覆無記になります。
何故有覆無記になるのかと云いますと、上二界に至りますと、欲界での煩悩・随煩悩は定の力に伏滅されますので、不善が有覆無記になるのです。
この問い方は次の三界分別門に引き継がれていきます。