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釧路弁護士会からも会長声明

釧路弁護士会から「安易かつ拙速な生活保護基準の引き下げに反対する」旨の会長声明が出ましたのでここに紹介いたします。

(以下声明本文)

安易かつ拙速な生活保護基準の引き下げに反対する声明

 厚生労働省は、本年10月19日、学識経験者によって構成される「生活扶助基準に関する検討会」(以下「検討会」という。)(第1回)を開催した。同省のホームページで検討会の設置と開催が発表されたのは同月16日であり、それから僅か3日後の突然の開催であった。その後、10月30日に第2回検討会が、11月8日には第3回検討会が開催され、「平成20年度予算編成を視野に入れて結論が得られるよう検討する。」として11月20日には具体的な検討に入る予定である。
 北海道新聞の10月18日付朝刊などの報道によれば、「検討会」は年内に報告書をまとめ、生活保護の給付の基本となる最低生活費の基準額の引き下げを提言する見通しであり、地域ごとに支給額に差をつけていた「級地」制度の見直し方針と相まって、都市部では大幅な生活保護基準の引き下げが懸念される。
 また同新聞の10月20日付朝刊などの報道によれば、「検討会」は冬季加算についても見直しを行う見通しであり、北海道などの積雪寒冷地における影響は甚大である。
 更に第3回検討会では、低所得世帯との均衡等を理由に勤労控除についても見直しが提言されるなど、広汎かつ矢継ぎ早に生活保護基準の引き下げが打ち出されている。
 しかし、生活保護基準は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって、国民の生存権保障に直結する重大な基準である。
 昨年10月に釧路市で開催された人権擁護大会で日本弁護士連合会が採択した「貧困の連鎖を断ち切り、すべての人の尊厳に値する生存を実現することを求める決議」が指摘するとおり、日本では窓口規制が広汎に行われるなどにより生活保護の捕捉率が極めて低く、生活保護基準以下の生活を余儀なくされている低所得世帯が多数存在する。このような世帯の消費水準との均衡を理由として生活保護基準を引き下げることは、日本における生存権保障水準を際限なく引き下げていくことにつながりかねず、極めて問題が大きい。
 また、生活保護基準の引き下げは、現に生活保護を利用している人の生活レベルを低下させるだけでなく、所得の少ない市民の生活全体にも大きな影響を与える。すなわち、生活保護基準は、介護保険の保険料・利用料、障害者自立支援法による利用料の減額基準、地方税の非課税基準、公立高校の授業料免除基準、就学援助の給付対象基準、また、自治体によっては国民健康保険料の減免基準など、医療・福祉・教育・税制などの多様な施策の適用基準にも連動している。したがって、生活保護基準の引下げは、これらの施策の適用を受けられなくなる市民の層を拡げることを意味する。
 このように、生活保護基準の引き下げは、現に生活保護を利用している人だけでなく、日本で生活する低所得者全般に直接の影響を及ぼす極めて重大な問題である。したがって、生活保護基準に関する議論は、十分に時間をかけて慎重になされるべきである。また、こうした議論は、公開の場で広く市民に意見を求めた上、生活保護利用者の声を十分に聴取してなされるべきである。
 当会は、厚生労働省及び「検討会」に対し、生活保護利用者の声を十分に聴取し、徹底した慎重審議を行うことを強く求めるとともに、安易かつ拙速な生活保護基準の引き下げには断固として反対するものである。

2007(平成19)年11月19日
釧路弁護士会
会長 齋藤道俊
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