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寝耳に水の生活保護基準検討会開催に対し抗議文を提出しました

抗 議 文
厚生労働大臣 舛添要一 殿
厚生労働省社会・援護局長 中村秀一 殿
(関連部署:社会・援護局保護課企画法令係)
2007年10月19日

生活保護問題対策全国会議 代表幹事 弁護士 尾藤廣喜
(事務局)〒530-0047
大阪市北区西天満3-14-16西天満パークビル3号館7階
あかり法律事務所
弁護士 小久保 哲郎(事務局長)
電話 06-6363-3310 FAX 06-6363-3320

私たちは、福祉事務所の窓口規制などの生活保護制度の違法な運用を是正するとともに生活保護費の削減を至上命題とした制度の改悪を許さず、生活保護をはじめとする社会保障制度の整備・充実を図ることを目的として、今年6月に結成された、弁護士・司法書士・研究者・市民約170名で構成する市民団体です。
今般、貴省において「生活扶助基準に関する検討会(第1回)」(以下「本検討会」という)が開催されるということを知り、これが生活保護基準切り下げに向けた動きではないかとの疑念を持たざるをえない点、そしてとりわけ本検討会開催の発表と傍聴希望者募集があまりにも開催日と近接しており市民に対する周知が極めて不十分である点につき、強く抗議します。

生活保護利用者だけでなく国民生活全般に影響を及ぼす重大問題

もし生活扶助水準に対する「検討」が、既に一部報道されているとおりこれを引き下げる方向で行われようとしているならば、それは格差と貧困が絶望的なまでに拡大し生活保護基準以下で生活することを余儀なくされている市民が多数存在する中で、より問題を深刻化するものであり、到底容認することはできません。
生活保護基準はわが国において事実上貧困線としての機能を果たしており、生活保護基準額が下がれば、それに連動している各種基準額が下がります。事は生活保護利用者だけの問題ではない、日本で暮らすすべての人の生活に直結する重大問題です。
○ 労働:最低賃金引き上げの目標額が下がります。
○ 医療:国民健康保険料の減免基準等が下がります。
○ 福祉:介護保険の保険料・利用料、障害者自立支援法による利用料の減額を受けられない人が増えます。
○ 地方税:非課税基準が下がります。
○ 教育:公立高校の授業料免除基準、就学援助の給付対象基準が下がります。

手続上の問題:気づかれないうちに決めてしまおうという姑息な魂胆

このように生活保護基準の切り下げは、日本で暮らすすべての市民の生活に多大な影響を与えるものですから、充分に時間をかけて検討しなければならないことはもとより、その検討は、広く市民に意見を求めたうえで、保護制度利用者の声を十分に聴取し、公開された場でなされなければなりません。
ところが、本検討会は2007年10月19日19時から開催予定でありながら、これが発表されたのは貴省ホームページによれば2007年10月16日のことです。またその掲載を知らせるメール(「厚生労働省 新着情報配信サービス 2007年10月18日」)が配信されたのは10月18日0時23分となっております。にも関わらず、本検討会の傍聴申し込みについては10月18日12時をもって申し込み〆切とされております。これでは、周知期間はないに等しいと言わざるを得ません。
しかも、2007年9月19日提出に係る民主党・山井和則衆院議員の質問主意書(質問第27号)に対して、内閣総理大臣は、同年10月2日、「厚生労働省においては、『経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六』(平成十八年七月七日閣議決定)に基づき、級地の見直しを含む生活扶助基準の見直しを検討しているところであるが、あらかじめ基準額の引上げ又は引下げといった方向性をもって検討しているものではない。また、御指摘の有識者会議の設置を含め、今後の具体的な検討の進め方については、現時点では未定である」と答弁しました。しかし、10月2日の時点で未定であったものが、開催を決定し、委員を選定して承諾を得、日程調整をして同月19日には検討会を開催するというのは常識的には不可能です。この首相答弁自体虚偽の答弁であったという疑念を抱かざるを得ません。
このような貴省の対応には、今般の「検討会」は、あらかじめ基準切り下げという結論を決め、形式を整えるためのおざなりな審議を予定しているため、この問題に関心を持つ市民の眼になるだけ触れないようにして、気づかれないうちに決めてしまおうという姑息な魂胆が透けて見えるといわざるをえません。

衆人監視の中での徹底した慎重審議を求める

格差と貧困の拡大の中で多くの市民が苦しんでいる最中、生活保護基準を切り下げることは、到底容認できません。検討会の審議内容が市民やマスコミに公開されるべきことは当然のこと、広く市民の意見を求めたうえで、生活保護制度利用者の声を十分に聴取し、「最初に結論ありき」ではなく、低所得にあえぐ市民の実態を踏まえた徹底した慎重審議がなされなければなりません。
この「検討会」を契機として貴省が保護基準の切り下げに踏み込むのであれば、私たちは、考えられるあらゆる手段をもってこれに立ち向かう所存であることをここに表明します。                             
以 上
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