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研究者の皆さんから「緊急申入れ」が出されました

研究者の皆様から「『生活保護基準額引き下げに関する検討』についての緊急申入れ」が出されました。

(以下「申入れ」本文)


2007年11月10日
厚生労働大臣 舛添 要一様

「生活保護基準額引き下げに関する検討」についての緊急申入れ
                             
呼びかけ人代表
杉村 宏(法政大学)
井上英夫(金沢大学)
吉永 純(花園大学)
                            
(賛同者 別紙の通り127名)

秋冷の候、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
さて、私たちは、社会保障、社会福祉分野の研究、教育に携わる者です。さる10月19日に突如開催された「生活扶助に関する検討会」は、生活保護基準額について年内に報告書をまとめ、貴省は2008年度予算からの生活保護基準の引き下げを進めようとしていると報道されています。しかし、利用者の生活や市民生活に重大な影響を及ぼし、今以上の格差を拡大し、新たなワーキングプアを生み出す生活保護基準の引き下げについて、利用者不在、市民不在のまま、拙速、強引なやり方で進められることには、強い憂慮の念を抱かざるを得ません。ここに緊急の申入れをしますので、真摯に受け止められ、必要な対応をされるよう強く要望いたします。



1 生活保護基準額の引き下げをやめること
2 生活保護基準額の検討に当っては、利用者、市民などの声を広く聞き、公開の場で、十分に時間をかけて慎重に検討すること

(理由)
(1)生活扶助基準の引き下げは、保護利用者の最低生活を直撃します。
 
いうもでもなく、生活保護基準は、「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)を保障するものとされています。しかし、生活保護基準は2003年度に戦後初めて0.9%引き下げられて以降、老齢加算の廃止、母子加算の削減など、今日まで引き下げが5年連続で続いています。老齢加算対象世帯では生活扶助費が19%もカットされ、全国で100名以上の高齢者が高齢加算廃止の取り消しを求め、裁判に立ち上がっています。原油価格の高騰等により諸物価があいついで値上げされる中で、これ以上の生活保護基準額の引き下げは、生活保護利用者150万人の生活を直撃し、命と暮らしを脅かすことになります。

(2)生活扶助基準の引き下げは、いま以上に格差を拡大し、貧困層を生活保護から排除します。

今回の検討は、昨年の「骨太方針2006」で明記された「生活扶助基準について低所得世帯の消費実態等を踏まえた見直し」を具体化しようとするものです。しかし、ワーキングプアをはじめ、生活保護基準以下で生活する人が多く含まれる低所得層(主として第1・10分位)と比較すれば、生活保護基準の切り下げは際限なく続くことになります。また、生活保護基準が下れば、それまで生活保護を利用できていた人の中で、新たに利用できなくなる人が発生します。このように、生活保護基準の引き下げは、今以上に格差を拡大するとともに、生活保護の間口を狭め、ワーキングプアをはじめとする貧困層を生活保護から排除することになります。

(3)生活扶助基準の引き下げは、市民生活に重大な影響を及ぼします。

生活保護基準は、市民生活に関わる様々な制度と連動しています。生活扶助基準が引き下げられれば、地方税の非課税基準額も引き下げられ、保育料など各種社会福祉サービスの利用料の引き上げを招きます。また、介護保険、障害者自立支援法による利用料の減額を受けられない人が増えます。国民健康保険料の減免(及び自己負担額の減免)基準を生活保護基準に連動させている自治体では、減免から外れる人が発生します。さらに、生活福祉資金や就学援助制度などの低所得者向け制度の利用者は生活保護基準額を目安にしており、利用できなくなる人が新たに発生します。そして、生活保護基準との整合性に配慮することを謳った最低賃金の引き上げ目標(改正法案)や年金額にも影響が及ぶことは必至です。このように、生活保護基準引き下げは、保護利用世帯に止まらず、広範な市民生活に重大な影響をもたらします。

(4)利用者・市民不在の拙速で強引な検討は許されません。
 
今回の検討会が「骨太方針2006」を念頭においていることから、報道されているように全体として保護基準額の引き下げの方向を目指していることは明らかです。しかし、今回の検討期間はわずか2ヶ月足らずであり、利用者や市民の声を聞く場もなく、せいぜい数回の検討会によって結論を得ようとしています。
 これまで述べたように、生活保護基準が利用者はもとより、広範な市民生活に重大な影響を及ぼすものであり、本来国会の場で検討されてしかるべきものです。少なくとも、生活保護利用者の声を十分に聞き、公開の場で市民に広く意見を求めた上で、慎重に検討すべきです。「結論先に在りき」といった拙速、強引な検討は決して許されません。

(賛同者氏名 50音順)
相澤與一(高崎健康福祉大学)/青木紀(北海道大学)/足立圭司(別府大学短期大学部)足立英郎(大阪電気通信大学)/阿部敦(神戸女子大学)/阿部和光(久留米大学)/新井康友(羽衣国際大学)/井岡勉(同志社大学名誉教授)/池田和彦(筑紫女学園大学)/石川文人(日本福祉大学)/石川満(日本福祉大学)、/石川康宏(神戸女学院大学)/石倉康次(広島大学)/伊藤周平(鹿児島大学)/伊藤葉子(中京大学)/井端正幸(沖縄国際大学)/岩田美香(北海道大学)/岩佐卓也(神戸大学)/上畑恵宣(元同朋大学)/遠藤由美(名古屋造形美術大学)/大久保史郎(立命館大学)/太田由加里(田園調布学園大学)/大友信勝(龍谷大学)/大野友也(鹿児島大学)/岡崎祐司(佛教大学)/緒方桂子(広島大学)/小倉襄二(同志社大学名誉教授)/長上深雪(龍谷大学)/小沢修司(京都府立大学)/小澤隆一(東京慈恵会医科大学)/小田川華子(花園大学)/小野哲郎(明治学院大学名誉教授)/垣内国光(明星大学)/垣田祐介(大分大学)/加藤悦子(日本福祉大学)/金澤誠一(佛教大学)/加美嘉文(大阪体育大学)/上脇博之(神戸学院大学)/彼谷環(富山国際大学)/唐鎌直義(専修大学)/河合克義(明治学院大学)/川上昌子(淑徳大学)/木戸利秋(日本福祉大学)/木下武徳(北星学園大学)/木下秀雄(大阪市立大学)/木村敦(大阪産業大学)/金永子(四国学院大学)/久保美由紀(会津大学短期大学部)/後藤道夫(都留文科大学)/小西祐馬(北翔大学)/小林武(愛知大学)/嵯峨嘉子(大阪府立大学)/佐々木宏(広島大学)/笹沼弘志(静岡大学)/佐藤卓利(立命館大学)/佐藤嘉夫(岩手県立大学)/里見 賢治(佛教大学)/塩満 卓(佛教大学)/鎮目真人(同志社女子大学)/志藤修史(大谷大学)/嶋田佳宏(札幌学院大学)/清水浩一(明治学院大学)/下村幸仁(会津大学短期大学部)/庄谷怜子(仏教大学)/新村繁文(福島大学)/鈴木靜(愛媛大学)/鈴木嵩之(会津大学短期大学部)/鈴木勉(佛教大学)/鈴木富久(桃山学院大学)/砂脇恵(種智院大学)/曽我千春(東海女子短期大学)/高島拓哉(大分大学)/高田哲(名寄市立大学)/高林秀明(熊本学園大学)/高間満(神戸学院大学)/武井寛(國學院大學)/竹内真澄(桃山学院大学)/武田公子(金沢大学)/武元勲(同朋大学)/田中明彦(龍谷大学)/丹下晴喜(愛媛大学)/丹波史紀(福島大学)/津田光輝(元札幌学院大学)/寺久保光良(山梨県立大学)/鳥山まどか(法政大学)/中井紀代子(共栄学園短期大学)/中川慶子(京都ノートルダム女子大学)/中川健太朗(花園大学名誉教授)/中島茂樹(立命館大学)/中島正雄(京都府立大学)/中嶋陽子(大阪市立大学)/長友祐三(埼玉県立大学)/中野加奈子(佛教大学)/中村強士(東海医療福祉専門学校)/永山茂樹(東海大)/鍋谷州春(札幌学院大学)/西島文香(高知大学)/長谷川俊雄(愛知県立大学)/長谷川眞人(日本福祉大学)/八田和子(福山平成大学)/浜岡政好(仏教大学)/原田正樹(日本福祉大学)/東優子(大阪府立大学)/日比野正興(東京YMCA専門学校)/笛木俊一(日本福祉大学)/深井英喜(三重大学)/布川日佐史(静岡大学)/福間麻紀(北海道大学)/藤井伸生(華頂短期大学)/藤城恒昭(城西国際大学)/藤松素子(佛教大学)/前原清隆(日本福祉大学)/松崎喜良(神戸女子大学)/松本伊智朗(札幌学院大学)/松本一郎(法政大学)/三田優子(大阪府立大学)/宮崎牧子(大正大学)/村田隆一(横浜市立大学)/森英樹(龍谷大学)/矢嶋里絵(首都大学東京)/山田壮志郎(岐阜経済大学)/山野則子(大阪府立大学)/山本忠(立命館大学)/山森亮(同志社大学)/六波羅詩朗(国際医療福祉大学)/脇田滋(龍谷大学)/渡辺洋(神戸学院大学)

以上 127名 (第1次分。2007年11月10日現在)

(第2次分。11月11日以降賛同分)
藤田博仁(愛知県立大学)/生江明(日本福祉大学)/明星智美(日本福祉大学)/浅原千里(日本福祉大学)/都留民子(広島県立大学)/湯澤直美(立教大学)/6人
                               総計 133人
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