Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

POP CULTURE時代を生きるVISUAL系シーン!

今回のドイツ訪問でさらに今の文化事情が分かってきた。

ドイツ文学史の中では、現代文学はPOP CULTUREの時代と言われている。
つい前まではPOST MODERN時代だったのに、今はその影さえない。
そのPOP CULTUREムーブメントの中にヴィジュアル系はいる。

20年前、ヴィジュアル系が生まれつつある時、
まだヴィジュアル系はダークで暗くて闇を感じる世界だった。
ファン層も結構恐いオネエ様系の人が多く、
バンドマンたちもいわゆる「不良系」がほとんどだった。

ところが、今のヴィジュアル系にそういうBAD BOY的な要素はほとんどない。
どちらかと言えば、不良と間逆の「ヲタク系」と連動している場合が多くなった。
今の10代~20代前半のV系キッズたちは、
見た目的には非常にカッコいいが、心がヲタクなのである。
社会や国に怒りをもっているわけじゃなくて、
自分の好きなことや楽しいことをしっかり心得ているわけだ。

BOOWYの時代は、新しい自己イメージを模索する時代だった。
そしてX JAPANの時代は、何でもありのイケイケの時代だった。
今のV系は浮遊しながらもしっかり地に足のついた時代となっている。

ただ今のV系が世界に広まったのは、明らかに
①アニメ、映画、漫画との連動ゆえ、
②ネット環境が整い、日本国外に広がらなかったV系が広がり、
③時代的に「POP CULTURE」の思想の中に入り込めた、
という三つの要因があったのだ。

しかも、ドイツのV系誌(J-BEAT)の冒頭では、
ヴィジュアル系は音楽のカテゴリーでなく、
「美学一般」である、とまで言っているのだ!

ようやく分かってきた。
なぜヴィジュアル系が海外でこんなにも流行るのか、が。

ヴィジュアル系は今の現代思想のただ中にいる。
(ドイツ語的にはJugendkulturだが、それ以上のものがある)
20世紀のアメリカ型のカルチャーとは違うテイストがそこにある。
あるいはドイツ的にはバウハウス~パウルクレー的なアートにはない、
新たな文化の匂いがヴィジュアル系には感じられるのだろう。

古典芸術も基本的には人間が描いた・造形したものだった。
同じようにヴィジュアル系も人間が自らを表現したカタチである。
音楽をただ楽しくやっているなら、それは音楽以外の何物でもないが、
ヴィジュアル系は「美」を追求する。美なくしてヴィジュアル系はない。
それは20年前からずっと変わらない真実である。

かつては「見た目系」とバカにされた時代もあった。
「あ、ヴィジュアル系?見た目だけのへたくそバンドね」、と。
でも、今やヴィジュアル系こそが一番技術を必要としている。
ここが20年前と変わったところかな。
ヴェルサイユにしても摩天楼~にしてもDeluhiにしても・・・

ただ、それはあまり喜ばしいことではないのだ。
技術に走ると、今度は文化の衰退が生じることになる。
最近のV系の方向性は、巧くてポップならなんでもいいんだろ?!
というような風潮さえ感じられる。・・・心に届かない音・・・

いずれにしても、美、ポップカルチャーと結び付くカタチで、
ヴィジュアル系は世界へと飛び立っていったのだ。

すごく面白いことに、今のドイツでは、
おしゃれな女性がみんな髪を黒く染めているのだ。
ファッションもいわゆる「ゴスロリ」系で、メイクも変わった。
欧米人はタレ目なんだけど、それを化粧でつりあげているのだ。

今回の訪独で何人かの若い女の子と話したが、
皆、ロックを聴かない普通の女の子たちだった。
つまり、アジア=黒髪=つり目ということが、
暗黙のうちで、欧州の憧れとなってきているのだ。

ある女の子が言っていた。
「ロックはほとんど聞きません。髪の毛を染めるのはなぜかって?
…それは流行り(Mode;Fashion)だからです。それだけです」。

つまり一般のドイツ人たちは無意識的に、
日本的なものを流行として受け入れているのだ。
ヴィジュアル系が欧州で受け入れられているというよりは、
日本的なもの、アジア的なものが欧州の流行になっているのだ。
その一つがヴィジュアル系ということになるのだろう。

やや皮肉に言えば、
ヴィジュアル系は音楽で評価されているわけではなく、
スタイル、流行、ファッションで評価されている、ということになる。
だが、それはネガティブなことではない。
今の時代、音楽はもはや底打ち状態である。
しばらく沈黙しなければ、新たな音楽スタイルは生まれてこない。
どのジャンルにしても、音楽は皆悩んでいる。

ま、せめて今は見た目で大いに遊ぶのもいいのではないかな?!

↑ドイツではヴィジュアル系の分析も始まっている!
外国から見たらヴィジュアル系は異国文化。
文系の学者も遂にヴィジュアル系について語り出すか?
というか、もうヴィジュアル系の論文は出てます☆

最後にRUNA 1945。
僕の友人であり、V系シーンの異端児ともいえるYABUKI氏が、
なんとなんとドイツの「PEACH」にて紹介されました!
すごいすごい!!おめでとうございます!!
ドイツ語でなんて紹介されているか・・・
いずれ全文翻訳で紹介します☆

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