Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

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若き日に何をすべきか-艱難汝を玉にす!?

2017-06-28 21:33:02 | 哲学と思想と人間学

先日、とある学生と語った。

色々と悩める学生で、どう学生生活を送っていくか、という話になった。

若い時に、何を一番大事にしなければならないか。

また、何を最優先すべきか。

そんな話だった。

***

若き日にすべきことを考える時、いつも神谷美恵子さんの三つのことを思い出す。

すなわち、

①職業選択(とそのための準備)

②恋すること

③配偶者の選択

この三つが、まずもって若き日の「最優先課題」の基本だろう。神谷さんを心の師匠と仰ぐ僕には、この意見を受け継ぎたい。

***

でも、現代の「学生」という点では、どうだろうか。

たしかに若い時は「職業選択」と「配偶者の選択」が第一課題だったとしても、それだけしていればよいというわけではないはずだ。近年、高等教育がほぼ「職業訓練」に成り下がってしまっている。今の若者たちは、職業訓練=高等教育だと思っているふしもなくはない。

また、配偶者の選択の問題も、神谷さんの頃とはずいぶん変わってきた。「結婚しない」という選択肢も出てきているし、それだけを考えている人は「学生」ではない。(大学内で、配偶者をどうしよう…なんて考えながら講義を聴くのは…(;´・ω・))

***

今、若い頃に何をすべきか。あるいは、若い頃に何を最優先すべきか。

僕は、次の5つのことを提案したい。


①無駄なことをたくさんやる。(経験の幅を広げる)

②国内外のあらゆる場所に出向き、色んな人と対話をする。(異なる他者を知る)

③あまり特定の恋愛に執着せず、できるだけ多くの異性に触れる。(感情に支配されない力を学ぶ)

④できるだけ否定的な経験をして、苦しむ。(後の否定的経験の練習)

⑤徹底的にたくさんの本を読む。(ペンは剣より強し)


若者たちは、基本的に、お金はないが、時間はある。若者には、過度なお金は要らないし、そもそもそんなにお金はかからない。

…とはいえ、今の時代、バイトに追われる学生も少なくない。うちの学生たちだと、経済的に厳しくてかなりのバイトをしなければならないケースも多々ある。免許や資格を取得する学生は、バイトに加え、膨大な「必須科目」に忙殺される。

更に、神谷さんの頃と違い、大学の講義は16回絶対となり、補講も増え、祝日にも大学に行かなければいけない。昔は、2か月まるまるあった休みも、どんどん削られていっている(更に教育や保育系だと長期休暇中に「実習地獄」となる)。この国は、学生たちから「学びの可能性」を奪い、実学に縛りつけようとしている(そのコストがどれほどか…)

そうなると、「実学」に追われ、「リベラルアーツ(教養)」を学ぶ時間がなくなる。リベラルアーツは、差し迫って必要というわけではない。でも、いざという時、どうにもならない時に、役立つ効果をもつ。液状型の現代社会では、生涯同一の職場で働くとは考えにくい。結婚も子育ても老いも多様化しており、常にいろんな角度から考えなければならない。

だからこそ、「無駄なことを大事にする」という視点を意識化させることが重要になってくる。「いろんな本を読む」「いろんな人と対話する」「いろんな経験をする」…。これができるのは、学生の時だけだ。社会人になれば、まず娯楽本以外の本は読まない。毎日仕事で、いろんな人と対話をすることもなくなる。職場では必要最低限の話で済ます方がよい(もめると困るから)。毎日仕事仕事で、経験の幅も一向に広がることはない。だから、①や②や⑤のような一見無駄だと思うことこそ、しっかりやるべきなのだ。無駄こそが、人生の財産になる。

今、無駄だと思っている経験が、後に、重要な経験となることが意外と結構ある。逆に、経験が何かに限定されていると、新たな経験に遭遇した時に、フリーズしてしまう。読書や対話を含め、色々な経験をしておけば、「応用力」が身に付くだろう(うちの学生は、特に「応用力」「気転」「柔軟性」に乏しいと思っている)。

③の恋愛についても、青年時代に色々と考えることは多い。おそらくどの時代の若者も、「恋愛」はするし、「性的衝動」にも悩まされる。恋愛も性も、基本的には「欲求活動」であり「承認欲求活動」と言えるだろう。恋愛は、甘くて、切なくて、魅惑的で、人を酔わす力がある。ある意味で、一生、人間が振り回される問題だと言えるだろう。だからこそ、若い時に、恋愛の「いいところ」と「危険なところ」をよく学んだ上で、注意深く恋愛活動を行わなければならない。一度の性的衝動で、人生が狂うことは多々ある。一度の性交渉で、「妊娠」→「結婚」→「出産」となるケースも少なくない。男女が恋愛をするということは、同時に、「妊娠」と向き合うということである。だから、若い時はあまりそっちの方には行かずに、「異性を知る」「異性を学ぶ」という方向にエネルギーを費やしてほしいと思う。

また、若い時だからこそ、「恋愛衝動」を抑制し、そのエネルギーを別のものに「昇華」することもできる。思えば、僕も学生時代、「彼女」よりも、「ドイツ」を優先してしまい、彼女にフラれてしまったことがある。当時は、悲しかったけど、今となっては、あれがあったからこそ、ドイツ語という武器をなんとか習得できたとも言えなくもない。彼や彼女に没頭してしまい、その他の大事なことが習得できなかった、というのは、結構悲しいことであろう。

若い時代の恋愛は、麻薬、媚薬のようなものでしかない…。十分に気を付ける必要がある。

④の否定的経験は、なかなか自分の意思で引き起こせるものではない。が、何かに挑戦していれば、必ず否定的な経験に遭遇する。若い時に、挫折したり、拒否されたり、排除されたり、排斥されたりする経験をした人は、後に強くなる。一概に言えるものではないが、否定的な経験を克服した人には、根本的に生きる力が備わっている。また、自ら否定され、それに苦しんできた過去があるがゆえに、他者に対して寛容になる。「どん底」を経験したからこそ、弱い人の気持ちを想像したり、思いやったりすることができるのだろう。

蛇足だが、数日前に話題になった豊田真由子さんも、経歴的には「スーパーエリート」だったが、その内実は、「壊れた人」だった。彼女のように、スーパーエリートとなった人は、若い時に「成功経験」だけを積み重ねてきたと考えていいだろう。もちろん「個人的苦悩」はあっただろうが、基本的に「強烈な否定的経験」はしていないだろう。彼女がもし東大に落ちていたり、あるいはハーバードで挫折していたりしたら、また違った人生があっただろう。けれど、それは彼女だけの責任ではない。とはいえ、否定的経験を徹底的に避けてきた(回避する努力をしてきた)、とは言えるだろう。奇しくも、彼女の座右の銘は、「艱難汝を玉にす」だった。そんな彼女自身が、(真の意味での)「艱難」を経験してこなかったのだ(もちろん「受験勉強」という難問は突破しただろうが、受験勉強なんぞ、人生においては取るに足らぬ薄い壁でしかない)。

そして、その否定的現実に直面した時に、頼りになるのが、⑤の本である。

ネット全盛期にあって、それでも、本の意義は失せてはいない。むしろ、ますます本の意味が問われているように思う。「良質な文章」、「吟味された文章」、「深い言葉」、「重みのある言葉」は、やはり本の中にある。考えれば、ネットが世の中に広まってから、まだ20年少ししか経っていない。ネット内の言説なんて、本の歴史に比べれば、雲泥の差であろう。本の中の言葉にこそ、「否定的現実」を克服する知恵が示されているのである。特に感性が瑞々しい若者にとって、古典的文学は、「知恵」以上のものを多分に含んでいる。若い時は、恋愛を犠牲にしても、本を読んでほしいと願う。社会人になれば、どうでもいいくだらない雑誌か実用書しか読まなくなる。大事なのは、そうした雑誌や実用書が「取るに足らないものだ」と思える感性だ。僕も40を過ぎて、どうでもいい雑誌や実用書を読む癖がついてきている。けど、ちゃんとそうしたものが「取るに足らないもの」だと思って読んでいる(せめての癒しとして)。

ネットの言説に「感化」されて、思想的に偏った方向(特定の過激な思想)へと向かう大人も少なくない。それを否定する気はないけど、そういう人たちは、若い時にそんなに古典やきちんとした本を読んでこなかったんだろうな、とは思う。どんな思想であれ、どんな哲学であれ、どれも人間が書いたものである以上、疑わしいのである。そうした思想や哲学等を無反省に信じ込み、それ以外の思想を認めなくなった時に、「ナチス」の亡霊が蘇る。

運命や生き方はいつの時代でも変えられるとは思う。しかし、とはいえ、現実的に、運命や生き方を変えることは、大人には難しい。大人ほど、頭が凝り固まった存在は他にいない。だからこそ、若い時に、「文字」という言葉の洗礼を受けて、徹底的に本を読む必要がある。さっと読める本ではなく、何度も読まないと意味が分からない文章の方がいい。「分からない文章」に苦しめられることで、「分かりやすい言葉」への抵抗感が生まれる。分かりやすい言葉の恐ろしさを知るためにも、難解な文章に苦しむ経験は、若い時に必要なのだ。

少年少女老い易く学成り難し。

一瞬で終わる青春時代を、大事に生きてほしい。

本当にあっという間だから…。

その後の人生に後悔しないためにも…

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