世川行介放浪日記

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哀悼。リリィ。

2016年11月12日 11時24分47秒 | 自選 歌が呼ぶ思い出


        哀悼。リリィ。


 

 リリィが死んだ。

 正確に言うと、昨日、死んだ。
 僕と同い年だったそうだ。


 僕は、特徴のあるうたい方をする歌手が好きで、
 リリィのかすれた声は好きだった。


 僕の中で、あの女の傑作というと、


   1 お元気ですか
   2 心が痛い
   3 私は泣いています
   4 しあわせがし
   5 ベッドで煙草を喫わないで
   6 水の音


 こうなる。


 『お元気ですか』の、


    お元気ですか 今
    ちょっとさみしくていけません
    お元気ですか 今日
    柿が熟れたので食べました
    紅葉に色づいた山々を見ると
    みんなと同じよに涙が出ました


 たいした歌詞ではないのに、
 今でも、思い出せば、胸が締めつけられそうな<或る時代への郷愁>に襲われる。


    お元気ですか 今
    ちょっとさみしくていけません 


 <表現>を知らない無学な少女が、
 必死で<表現>を探して、
 やっとこさ見つけた、
 人間の寂寥感を言うに値する、歌謡曲ならではの素朴な表現。


    ちょっとさみしくていけません


 いい歌詞ではないか。
 
    
 昨日、リリィが死んだ。
 僕と同じく64歳だったそうだ。
 死因は肺癌。きっと、煙草がやめられなかったのだろう。


 60代半ば。

 もう、僕たちは、
 自らの死を計算に入れなければならない年齢になっているのに、
 まだ、自分がいつまでも現役を生きていると錯覚して、
 阿呆の限りをわめいている連中がいる。
 社会や若者への説教よりも、
 自分の棺桶の心配をしろ。
 と、僕は言いたい。

 が、
 リリィの死の日に、そんな話はつまらない。


 若い日、
 この女の声に心なだめられた日もあった。


     心が痛い
     心が張り裂けそうだ


 理由は異なったとしても、
 同じ<切なさ>を共有したのだった。


 『心が痛い』、『お元気ですか』、『水の音』などで、固定ファンを獲得し、
 それからしばらくして、
 彼女の一大ヒット曲『私は泣いています』が出る。
 木田高介だったかだれだったか、もう忘れたが、
 アップテンポのアレンジが良かった。


 しかし、
 あの歌詞は、未練女の繰り言に過ぎず、
 歌謡詞としては、それほどの作品ではなかった。
 やはり、僕には、
 リリィの歌詞は、
 「ちょっとさみしくていけません」
 だった。


 同じ時代を生きてきた人物の死を目の当たりにするのは、
 老いてくると、「ちょっとさみしくていけません」ということになるが、
 リリィの死で、
 訳のわからないようなことに悩んだり苦しんでいた頃の自分を、久しぶりに思い出して、
 懐かしかった。


 まあ、
 やがて僕たちも往く道だ。





 
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