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完全な二日酔いだ。



   完全な二日酔いだ。



 昨夜は、古くからの、そして、僕の放浪の内実を知っているたった一人だけの友人と、
東京駅の近くで、午後7時から呑み、
あれやこれやを語らって、
午後10時まで呑み続け、
それから、一人でまたタクシーを飛ばし、西浅草のばあさんの店に行き、
午前零時まで、呑んでうたい、
今朝8時半に目覚めたら、
完璧な二日酔い状態だった。


僕が二日酔いなんてものになるのは、滅多にないことで、
それもこれも、今この世に残っているたった一人の「20年前からを知っている友人」と呑んだ安心感からだろう。


呑み終えて、彼を見送りに東京駅に向かう道すがら、
その彼が、
しみじみとした声で、
「だけど。世川さん。
よく今日まで生きてこれましたね。」
そう言った。
「ホントだね。よく生きてこれた。」
「普通では絶対にあり得ないことですよ。
いつ死んでもおかしくない生き方でしたからね。」

本当に、そんな二十数年間だったな。
酔いの中で、彼の言葉に素直にうなずいた。


「世川さんの「放浪日記」の本、ネ。
あの日々のすさまじさは、地方の人には想像もできないですよ。
あれは東京でしか理解されない本です。
東京で売れればいんですよ。」


この彼は、僕より十数歳も若いが、
僕などより遥かに優秀で、頭がきれ、社会的地位もあり、
何よりも、味のある重厚な文章の書ける人で、
言ってみたら、放浪者の僕には「雲上の人」なのだが、
20年間、デタラメを生き続ける僕を侮蔑することなくつき合ってくれた。
何十度、彼に呑ませてもらったことか。
本当なら、とうの昔に彼から叩き斬られてもおかしくない関係だった。
その彼と、ゆっくり呑みながら、
文学や経済の話で時が流れていくというのは、
僕の長い放浪人生の中では至福の瞬間で、
幸福だった。


昔、与謝野鉄幹という人が、

友を選ばば書を読みて 六分の侠気四分の熱


と詠ったが、
その通りだな、と思った。





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