風邪は若い人ほど罹りやすい

2012年01月30日 | 感染症
1か月で診た患者400人、学会発表2回、論文提出3編と、多忙にしていたら5年ぶりに風邪に罹ってしまいました(発熱37.5℃)
5年ぶりって・・、けっこう歳です。その理由は?というわけで、、

風邪に関してはその名も「風邪」と題した有名なレビューがありますので、お伝えしたいと思います。

The common cold.
Lancet. 2003;361:51.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

上の図にあるように、一人が一冬に風邪にかかる回数は
1歳以下では平均6回
1歳〜2歳では5.7回
3歳〜4歳では4.7回
5歳〜9歳では3.5回
10歳〜14歳では2.9回
15歳〜19歳では2.6回
20歳〜24歳では2.9回
25歳〜29歳では2.8回
30歳〜39歳では2.5回
40歳〜49歳では1.9回
50歳〜59歳では1.8回
60歳以上では1.6回です。
生後早い時期はもちろんですが、20歳〜24歳でピークをむかえて、その後は減少しています。高齢になるほど過去の免疫が蓄積されていくので、罹りにくくなっていることがわかります。
これは以前お伝えしたインフルエンザと同じ傾向です。

原因となるウイルスはそれほど多いわけではなく、この論文の中では頻度の高い順にその特徴が示されています。

ライノウイルス(30〜50%)、普通感冒
コロナウイルス(10〜15%)、普通感冒
インフルエンザウイルス(5〜15%)、高リスク群の肺炎
RSウイルス(5%)、小児の肺炎と細気管支炎
パラインフルエンザウイルス(5%)、小児クループと下気道疾患
アデノウイルス(5%)、普通感冒と咽頭炎
エンテロウイルス(5%)、急性発熱と咽頭炎

病院で処方される総合感冒薬の代表的なものにはPL顆粒という薬があって、プラセボ二重盲検試験では鼻汁、鼻閉、咽頭痛、頭痛に対するNNT(患者さん1人がメリットを得るために、同様の患者さん何人に治療を行わなくてはならないのかを示す指数。つまり何人に一人がその薬の恩恵を受けるかという指標です)はそれぞれ5.5人、2.5人、5.6人、5.3人です。意外に効いていないようです。

なるほど〜と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!
コメント (0) |  トラックバック (0) | 

インフルワクチン有効性の証拠は不十分

2012年01月13日 | 感染症
先日、インフルエンザワクチンは効くことは効いてはいるのだけれど、意外に不十分であることをお伝えしました。

今月、どれぐらい不十分なのかという研究結果がランセットに発表されましたのでお伝えします。

Efficacy and effectiveness of influenza vaccines: a systematic review and meta-analysis
Lancet Infect Dis. 201212:36.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

インフルエンザワクチンの有効性を調べたこれまでの研究の中で、精度が高いRT-PCR法かウイルス培養でインフルエンザだと確認している信頼性の高い31件の研究が総合的に解析されました。

12シーズンに渡る解析の結果、米国において7歳以下で弱毒性ワクチンを受けた小児ではインフルエンザの予防効果は83%と高かったのですが、米国で90%を占める不活化ワクチンを受けた健康成人全体では予防効果は59%と不十分でした。予防効果が証明されない研究もありました。

上の図のAは18歳〜64歳の不活化ワクチンの調査結果です。左の方の数字を見ると、一番上の研究ではインフルエンザの罹患が接種522人のうち10人、非接種206人のうち16人ということがわかります。右の棒グラフは有効率が65%ぐらいであることを示しています。

上から2つめ、3つめ、6つめの研究では棒グラフが中心の縦の点線を挟んでいますから、インフルエンザワクチンの有効性は証明されていない事を示しています。一番下は総数です。

上の図のBは7歳以下の弱毒化ワクチンの調査結果です。Bの一番上の研究を見ると、インフルエンザの罹患は接種1070人のうち14人、非接種532人のうち94人と接種がかなり有効であることがわかります。ただしこれは、日本では使用されていない弱毒性ワクチンの場合です。

この論文の著者らは、「現在のワクチンより交叉防御効果が高く迅速に製造できるワクチンの開発が急務である。そのようなワクチンが開発されるまでは、現状では最善である現行のワクチンを使用する以外にない」と結論付けています。

なるほど〜と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!
コメント (0) |  トラックバック (0) | 

インサイダー取引容疑で資源エネルギー庁前次長を逮捕

2012年01月12日 | 雑感
                    左が木村容疑者、右は刑務所から脱走した李受刑者

東証1部上場の半導体大手エルピーダメモリ(東京都中央区)を巡るインサイダー取引疑惑で、東京地検特捜部は12日、経済産業省資源エネルギー庁前次長で同省元審議官の木村雅昭容疑者(53)=現同省官房付=を金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で逮捕した。審議官在任時に未公表情報を基に不正な株取引をした疑い。現職キャリア官僚の株取引を巡る疑惑は刑事事件に発展した。

木村元審議官は09年7月まで約2年間、同省商務情報政策局の審議官として情報通信機器業界を担当。逮捕容疑は(1)同年3月上旬、半導体大手「NECエレクトロニクス」と「ルネサステクノロジ」との合併の決定を知り、公表前の同4月21〜27日、妻名義の口座でN社株を計5000株購入した(2)同5月、エルピーダメモリが改正産業活力再生特別措置法(産業再生法)に基づく公的支援の下、第三者割当増資を決定したことを知りつつ、公表前の同15日と18日に妻名義の口座でエ社株を計3000株購入した−−としている。

捜査関係者によると、元審議官は職務上、半導体業界の合併計画や公的支援の進捗(しんちょく)状況を知る立場にあり、こうした情報を生かした取引で二百数十万円の利益を上げたとされる。元審議官側は、株購入は認めつつ「妻の指示に従っただけ。購入前に新聞報道や社長の記者会見があり公知の事実だった」と容疑を否認しているという。

この事案を巡っては証券取引等監視委員会が昨年6月、刑事告発を視野に強制調査し、特捜部と連携して同省幹部やエ社社長らの事情聴取を進めていた。その結果、特捜部と監視委は、木村容疑者が職務上知り得た情報に比べ、新聞報道などは断片的なものに過ぎず「公知の重要事実」ではないと判断した。

木村元審議官は81年入省し、10年7月にエネ庁次長に就任したが、昨年6月に「健康上の理由」で同省官房付とされた。
(毎日新聞より引用)

やましくないならなぜ妻名義で買う?皆さんの職場で逮捕された人間っていますか?普通はいませんよね。省庁にはたくさんいます。
また東大です。やはり東大生には小学校の「道徳」の授業が必要です。


別の逮捕者
一連の郵便不正事件のうち、障害者団体向けの郵便料金割引制度で必要な障害者団体証明書を偽造、発行したとする有印公文書偽造・同行使罪などに問われた厚生労働省元係長・上村(かみむら)勉被告(42)(起訴休職)の判決が23日、大阪地裁であった。
中川博之裁判長は懲役1年、執行猶予3年(求刑・懲役1年6月)の有罪判決を言い渡した。

偽証明書発行は、上村被告の単独犯だと認定した。大阪地検特捜部は当初、自称障害者団体側の働きかけを受けた同省元局長・村木厚子さん(56)(無罪確定)が上村被告に作成を指示したとし、同団体元会長(76)(一部無罪が確定)、元会員(71)(控訴)を含む計4人を虚偽有印公文書作成・同行使罪で起訴。検察側は上村被告の公判中に村木さんの関与を外すよう求め、3人が共謀したとする現在の起訴事実に変更されたが、判決はこれを否定した。この事件の捜査で上村被告宅から押収された証拠品のフロッピーディスクを巡り、大阪地検特捜部の証拠品改ざん事件が起きた。


なるほど〜と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!
コメント (2) |  トラックバック (0) | 

インフル予防接種は一般の高齢者には有用性が低い、小児の接種は有用

2012年01月10日 | 感染症
最近、以下のような新聞記事がありましたので、それについてお伝えします。

かつて小学校などで行っていたインフルエンザワクチンの集団接種が、高齢者の死亡を半分以下に抑える効果があったとする分析を、けいゆう病院(横浜市)小児科の菅谷憲夫医師らがまとめた。米科学誌プロスワンに掲載された。菅谷医師らは日米両国の1978〜2006年の人口統計を基に、インフルエンザによるとみられる死者の数を分析。日本の65歳以上の死者は、小学校などでの集団接種が行われていた94年まで10万人あたり6・8人だったが、95年以降は同14・5人に倍増した。集団接種がない米国では、高齢者のワクチン接種率が大幅に増えたにもかかわらず、両期間とも同16〜18人でほとんど変化がなかった。集団接種による社会全体への感染予防効果が高齢者の感染を抑えたとみられる。結果として、集団接種が65歳以上の死亡率を減少させ、年間約1000人の死亡を抑えていたと、菅谷医師らは推定している。
(読売新聞より引用)

そこで、論文の原版を読んでみました。

Influenza-Related Mortality Trends in Japanese and American Seniors: Evidence for the Indirect Mortality Benefits of Vaccinating Schoolchildren
PLoS ONE 6(11): e26282. doi:10.1371/journal.pone.0026282


PLoS ONEは掲載料を著者が支払い、掲載コストを負担する代わりに読者はただで閲覧できる科学雑誌です。「真に意味のある論文は雑誌の序列は問わず、他の研究者に必要とされる」という理念のもとに、インパクトファクター度外視で運用されている雑誌です。というか、論文審査における却下率を下げて(全投稿論文の70%近くを受理する)運営コストを下げる目的もあると思います。自力で掲載できるので、最近は著者が話題作りをしたい場合にもよく選ばれます。

上の図の棒グラフはインフルエンザワクチンの接種数、青色の折れ線グラフは高齢者のインフルエンザによる死亡率です。日本で1994年に小学校などで行っていた集団接種が終わってから高齢者のインフルエンザによる死亡率が増え、その後任意で小児の接種が増えてきたら、高齢者の死亡率は減ってきたというものです。

一方、集団接種がないアメリカでは、高齢者のワクチン接種率が大幅に増えたにもかかわらず、両期間とも高齢者のインフルエンザにようる死亡率はほとんど変化がありませんでした。

先日、意外に効いていなかったインフルエンザワクチンについてお伝えしました。
高齢者ではワクチン非接種者でもインフルエンザの発症率は高くなく、ワクチンを接種しても効果はなかったというものです。

この2つの結果を総合して考えると、一般の高齢者にはインフルエンザワクチンは必要ないのではないかと思えます。もちろん慢性呼吸器疾患などのリスクを持った高齢者には必要でしょうが、少なくとも助成金を交付して一般の高齢者のインフルエンザワクチンを推奨する意義は、この2つの結果からはないようです。

なぜ、こういうデータがあるのに、一般の高齢者への接種が助成金で行われているのか、また何かきな臭いことがなければいいのですが・・・

その助成金を小児の福祉(日夜頑張っている小児科医や産婦人科医への報酬にも)に回した方が有用な気がします

なるほど〜と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!
コメント (1) |  トラックバック (0) | 

日本には今の医療を支える財政力があるのか

2012年01月01日 | 雑感
新年明けましておめでとうございます。

昨年は本当にいろいろな災難がありました。その反面、これまでは決して明らかにならなかったことが、その対策を施す過程で判明し、改革を迫られる場面が多くありました。

東京電力の体質もその1つでした。上の左図のような関係が世間のもとに明らかになったのは実にショッキングでした。しかし、製薬会社の実態も以前から全く同様で、左図をコピーペーストして文字を少し変えただけで、右図のような実態そのものになってしまうのには驚くべきことです。

私は最近、「予測できた危機をなぜ防げなかったのか?―組織・リーダーが克服すべき3つの障壁」という著書を読んだのですが、その中に「3つめの要因(政治要因)、自分たちの利益だけを考える特殊利益団体が、1つめの認知的要因の問題と2つめの組織的要因をさらに助長させることである」と書かれてあったのが実に東京電力の実態をみごとに言い当てていて驚きました。

さて、1つめの要因ですが、これは認知的要因と称され、「危機を予測させる原因があっても対応するほどではないと楽観視すること。現実を自分の都合の良いように解釈しようとする心理。現状維持に固執し、実際に損害を被らないと行動に移さない心理である」と解説されています。

これはまさに私たち自身の問題でもあります。今の日本は私たちの子どもや孫の名義のクレジットカードを勝手に使っている状況です。もうすぐ国の借金は1,000兆円を超し1,400兆円とも言われている国民の貯蓄額を超えます。日本の国債は日本人が買っているのだから大丈夫と、呑気なことを言っている人もいますが、国の借金が1,400兆円を超えれば、他国から借金をするか、消費税を25%程度にして歳入の範囲内で暮らすしかないのです。現状では消費税率はまだ上がっていませんが、既に「一般の扶養控除」の廃止、「配偶者特別控除」の廃止、震災復興増税としての所得税率の引き上げ、給与所得控除の上限の設定、「子ども手当」の縮小などで猛烈な増税が始まっています。私のところはそれで計算したら年間82万円の増税でした。

医療も例外ではなく、ワーファリンの10倍以上の価格のプラザキサなどを使っている場合ではないことに気がついていない。まさに「危機を予測させる原因があっても対応するほどではないと楽観視すること。現実を自分の都合の良いように解釈しようとする心理。現状維持に固執し、実際に損害を被らないと行動に移さない心理」です。私は10年以上前からこういうことを主張してきました。結局、自分たちの税金や社会保険費の中からプラザキサの代金が支払われており、以前から財政の破綻は指摘されていたけれどそれを放置し、今やっと税金や社会保険費が上がり、自分たちの財布が痛むようになってやっと気がつく、それでは愚かすぎます。

効果が実際以上にあるように宣伝されている、悪玉コレステロール低下薬、うつ病治療薬など、そんな薬を使う余裕は今の日本にはないのです。そんな財政力は今の日本にはないと、いいかげんに目を覚まさなければいけないのです。

ゼチーア、1年分81,000円
パキシル、1年分73,000円
プラザキサ、1年分193,000円
そして
スタチン、1年分約36,000円〜54,000円

確かにプラザキサを使用するとワーファリンと比較して30か月で脳梗塞のリスクを0.58%減らし、脳出血を0.28%減らすけれど、それは1日30円ほどで済むワーファリンの代わりに子どもと孫の名義のクレジットカードを使って1日470円のプラザキサを買っているわけで、誤解を恐れず言うならば「今の私たちは、子どもと孫の名義のクレジットカードを勝手に使わないためにも、0.58%の脳梗塞のリスクと0.28%の脳出血は受け入れなければならないのではないか」ということなのです。

ところで、今日、平成24年1月1日から、医者が講演料や原稿料などで製薬会社から受け取った報酬は全て製薬会社が公開することが義務づけられました。これで広告塔となっている医者がどれくらいの恩恵を受けているのかを監視するために、一歩前進となりました。平成24年分の合計が来年公開されます。

↓詳細はこちらです
http://www.jpma.or.jp/about/basis/tomeisei/

ここには、自社医薬品に関する科学的な情報等を提供するための講演や原稿執筆、コンサルティング業務の依頼に対する費用等は以下のように公表されると書いてあります。

講師謝金
○○大学(○○病院) ○○科○○教授(部長):○○件○○円

原稿執筆料・監修料
○○大学(○○病院) ○○科○○教授(部長):○○件○○円

コンサルティング等業務委託費
○○大学(○○病院) ○○科○○教授(部長):○○件○○円



広告塔となっている医者の皆さん、あまり製薬会社に有利なことばかり言わないで、公明正大にお願いします。

ちなみに「公明正大」という言葉の意味がわからない医者のみなさんのために

公明正大

なるほど〜と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!
コメント (2) |  トラックバック (0) | 

意外に効いていなかったインフルエンザワクチン

2011年12月30日 | 感染症
そろそろインフルエンザの季節ですが、最近「日本臨床内科医会会誌」で、昨シーズンのインフルエンザワクチンの有効性が16道府県の調査をまとめ発表されました。

「日本臨床内科医会会誌の目的は、会員の日常診療に直接役に立つ情報を簡潔にわかりやすく伝えることにあります。」と書かれてありますので、その結果をご紹介したいと思います。

「インフルエンザの流行状況とワクチン、抗インフルエンザ薬の有効性について」
日本臨床内科医会会誌 2011;26:408.
(インパクトファクター☆☆☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

この調査は前向き調査ですから信頼性は高いといえます。インフルエンザに罹患したかどうかは迅速試験でA型またはB型インフルエンザ陽性と判明した場合とされました。全部で1,194人の発症が調査されました。調査対象人数は書かれていませんが、1,194人が2.7%ということですから、総計約44,222人と計算されます。

上の図は年齢別のインフルエンザの発症率ですが、統計学的にワクチンが有効であったのは50〜59歳でした。その他の年齢層ではワクチン接種群と非接種群で発症率に差は認められませんでした。20〜29歳あたりではあと少しの差で有効と判断されたのでしょうが、そういうことを言い出すと、0〜9歳はワクチンを接種した方が発症率は高くなってしまうと言わざるを得なくなるので、あくまでも統計学的にちゃんと差が出たところだけで結論するべきです。

ワクチンの有効性はH3N2やB型が多かった小児では認められず、H1N1主体の成人の一部では有効であったと考察されています。

このように、そのシーズンのワクチンの有効性は、どの型のウイルスを標的にしてワクチンを製造するかに左右されます。少なくとも昨シーズンはあまり効果がなかったと言わざるを得ません。しかし逆に、この結果により今後もワクチン接種には期待しない方がよいと言えるわけではありません。

接種群と非接種群で発症率にあまり差がなかった理由の1つとして、私が個人的に推測することは、これまで感染症によくかかった子ども(体が弱いなどと表現されたりもしています)が「体が丈夫な」子どもよりも多く予防接種を受けたのではないかというバイアス(偏り)です。なぜなら、インフルエンザの予防接種は国民全員が強制的にうけるワクチンではなく、任意で受けているワクチンだからです。

私の息子のように、知恵熱、はしかなど一通りの感染症にはかかりました(顕性化した)が、その後その他の感染症が一度も顕性化したことのない「体が丈夫な」子どもは、最初からインフルエンザワクチンを接種していないのではないかということです。現に私の息子は今シーズンもインフルエンザにはかからないだろうという推測のもとに、数千円のワクチン代がもったいないためインフルエンザワクチンを接種していません。

従って、実はワクチンは有効で、体の弱い子どもたちが率先して接種を受け、接種を受けていない「体が丈夫な」子どもたちと同じぐらいの発症率まで改善されたという可能性が否定できないわけです。

あと、ワクチンの接種によってインフルエンザの症状が接種しない場合よりも軽く済んだという「有効性」はあるかもしれません。

国民は代金を支払ってワクチン接種を受けているわけですから、こういうことはしっかりと国民(ワクチン購入者です)に伝えられるべきです。

なるほど〜と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!
コメント (0) |  トラックバック (0) | 

180 mg/dl未満で大丈夫な悪玉コレステロール

2011年12月27日 | 生活習慣病
2年前、学会発表を見て十数秒間表示されるスライドを急いでノートに書き写しご紹介した研究「悪玉コレステロール低下薬を内服していれば悪玉コレステロールは160mg/dlでも大丈夫」をお伝えしました。

今年、その研究が論文になって公表されましたので、ご紹介します。私が急いで写したグラフは論文で発表されたグラフと結構あっていました。そんなことはどうでもいいのですが・・

Long-term event monitoring study of fluvastatin in Japanese patients with hypercholesterolemia: Efficacy and incidence of cardiac and other events in elderly patients (≥65 years old)
J Cardiol 2011;57:77
(インパクトファクター★☆☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

この研究はレムスタディーといって、研究開始前4週間は悪玉コレステロール低下薬を内服していない脂質異常症の患者18,084人(平均の悪玉コレステロール値は173 mg/dl)を対象にして、ローコールという悪玉コレステロール低下薬を投与して、これまでに動脈硬化性心臓病にかかっていない患者(一次予防)は5年間、かかったことのある患者は3年間観察したものです。

致死性心筋梗塞、非致死性心筋梗塞、心臓突然死、画像で診断された狭心症、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作の合計が調査されました。期間中368人がこれらの疾患を発症しました。

結果は、上の左図にあるように、これまで動脈硬化疾患を発症したことのない人が最初の動脈硬化疾患を予防するとき(これを一次予防といいます)、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」で推奨されている悪玉コレステロール140mg/dl以下になった人に比較して180mg/dl未満までは動脈硬化疾患のリスクは増えませんでした。

同様に、上の右図にあるように、これまで動脈硬化疾患を発症したことがある患者が次の動脈硬化疾患を予防するとき(これを二次予防といいます)、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」で推奨されている悪玉コレステロール100mg/dl以下になった人と比較して180mg/dl未満までは動脈硬化疾患のリスクは増えませんでした。

ただし、重要な前提は、ローコールという悪玉コレステロール低下薬を内服している場合の結果であるということです。内服していない場合の180mg/dl未満は今回は調査されていません。逆に、特に一次予防の人に顕著に表れているのですが、ローコールという悪玉コレステロール低下薬を内服してさえいれば、その後の悪玉コレステロール値が180mg/dl以上でなければどんな値であろうと、動脈硬化疾患のリスクは増えていないということです。これは悪玉コレステロール低下薬が、悪玉コレステロールを低下させる作用だけでなく、炎症を抑えたり血液の固まりやすさを緩和させたりする作用(多面的作用と呼ばれています)があるからと考えられます。

これらの結果は、悪玉コレステロールは特に二次予防では強力なスタチンを使ってなるべく下げた方がよいと主張している一部の製薬会社と、その宣伝塔となっている医者たちにとって大変不都合なデータであり、医者自らが医学雑誌で探さなければ、ほとんど表に出でこないデータです。

そのためなのか、2万人近くを3〜5年調査した(研究対象人数★★★★★)大変貴重で素晴らしい研究なのに、インパクトファクターが低い(1.175)医学雑誌にしか掲載されませんでした。これは邪推ですが、もっとインパクトファクターが高い医学雑誌の審査員の中に、宣伝塔となっている医者たちがいたのかもしれません。


なるほど〜と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!
コメント (0) |  トラックバック (0) | 

パキシルの陰に「うつ病患者百万人」、販売高の後に患者数増加

2011年12月16日 | 総合
前回、それは病気だ!と煽って異常だと思わせる人を増やせば、それだけ薬の処方が増えて製薬会社が儲かるということをお伝えしました。
今回は、その典型的な例をもう一つご紹介したいと思います。以前、以下のような新聞記事がありました。

(これより読売新聞より引用、一部省略)
うつ病患者が100万人を超え、この10年間で2.4倍に急増している。不況などの影響はもちろんだが、新規抗うつ薬の登場との関係を指摘する声も強い。安易な診断や処方を見直す動きも出つつある。

国の調査では、うつ病など気分障害の患者は、2000年代に入り急激に増えており、一概に不況だけの影響とは言えそうにない。患者急増との関係が指摘されているのが、新規抗うつ薬「SSRI」だ。年間販売高が170億円台だった抗うつ薬市場は、1999年にSSRIが登場してから急伸。2007年には900億円を超えた。

パナソニック健康保険組合予防医療部の冨高辰一郎部長(精神科医)によると、欧米でも、この薬が発売された80年代後半から90年代初めにかけ、患者の増加がみられた。冨高部長は「SSRIが発売されたのに伴い、製薬企業による医師向けの講演会やインターネット、テレビCMなどのうつ病啓発キャンペーンが盛んになった。

精神科受診の抵抗感が減った一方、一時的な気分の落ち込みまで、『病気ではないか』と思う人が増えた」と話す。田島治・杏林大教授が、学生にテレビCMを見せた研究では、見なかった学生の倍の6割が「気分の落ち込みが続いたら積極的な治療が必要」と答え、CMの影響をうかがわせた。

検査数値で測れる身体疾患と違い、うつ病の診断は難しい。このため、「抑うつ気分」などの症状が一定数以上あれば要件を満たす診断基準が普及した。田島教授が行った精神科診療所の医師に対する調査では、約8割の医師が、うつ病の診断が広がり過ぎていることに懸念を示した。

安易な投薬を懸念する声もある。抗うつ薬は、うつ病治療の柱とされているが、宮岡等・北里大教授は「薬なしでも自然に回復するうつ病も多い」と話す。

海外では、軽症には薬物療法ではなく、カウンセリングや運動などを最初に勧める治療指針も多い。渡辺衡一郎・慶応大専任講師は「日本でも、まず抗うつ薬ありきという認識を見直す時期に来た」と話す
(ここまで引用)

その製薬会社がやっている宣伝のサイト

http://utsu.jp/
あれ〜、このサイトを監修している教授は、ゼチーアで同じ事をやっていた教授と同じ大学だぞ〜

通常は、病気が増えてから薬の処方が増えますが、図をみると1999年、2000年とうつ病治療薬「パキシル」の処方が増えた後で、うつ病の数が増えています。それに本来なら、有効な薬の普及が進めばその病気は減少しないといけないのでは?

そういえば以前、この薬の説明会で製薬会社は「内科医でも処方しやすい薬です」と言っていて、はぁ〜と思った覚えがあります。精神科医でも確定診断に難渋するというのに、内科医が診断していいの?と。

170億円台だった市場が今や900億円とは凄い。製薬会社の陰謀も、やり過ぎでシッポが出てしまったという感じです。

国民に不利益になる(効果のない薬を買わされる)コメントが間違って公言されることがあれば、それは大問題だと思いますし(公共性)(公益性)、その証拠はしっかりと残したいものです。

お勧め(Amazon)→なぜうつ病の人が増えたのか

なるほど〜と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!
コメント (2) |  トラックバック (0) | 

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版の問題点

2011年12月10日 | 生活習慣病
前回、「基準値」について正規分布の話を含めてお伝えしましたので、今回はそれをもとにして「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」の問題点をお伝えします。

あなたは総コレステロールが高いですと健康診断でひっかかってしまう「基準値」は220mg/dL以上です(悪玉コレステロールは140mg/dl以上)。これは「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」の中でも定められているのですが、その根拠も以下のように記載されています。

「米国で総コレステロール200mg/dL (LDL-C値120mg/dl)に比し相対リスクが2倍となる240mg/dL (LDL-C値160mg/dL)値を高コレステロール血症と診断する基準を設けたのを参考にして、本邦では総コレステロール160mg/dl未満に比し相対リスクが約1.6倍になる220mg/dL (LDL-C値140mg/dL)を高コレステロール血症の基準に定める。」

しかし、上の左の図を見て下さい。脳梗塞はアメリカ人に比較して日本人は3〜4倍多いのですが、心筋梗塞はアメリカ人に比較して日本人は3分の1〜4分の1少ないのです。アメリカでは200mg/dlという平均ぐらいの値を基準にして、リスクが2倍となる値を設定していますが、日本では160mg/dLとかなり低い人を基準にして、しかもリスクは1.6倍とアメリカより非常に厳しい設定のしかたをしています。

アメリカ人より3分の1〜4分の1心筋梗塞のリスクが少ない日本人で、どうして心筋梗塞の発症を予防しようとしてアメリカより厳しく設定しなければならないのか全く理解できません。

しかも、上の図の右を見て下さい。この図はこの基準が設定された頃の日本人全体の総コレステロール値の分布です。平均は190〜200あたりですが、正常値を設定している基準の160というのはかなりの優等生(低い方が優等生かという問題は別として)です。35%ぐらいが220以上ですから、これらの人々は検診を受けるたびに「脂質異常症」と診断されてしまうのです。その病気であると定める基準値を広くすれば、製薬会社がより儲けることができます。

この分布を正規分布に当てはめると、その下の図のように、ばらつきを表す標準偏差の1.5倍のあたりに基準値160があることがわかります。そして、異常だとされているのは標準偏差の0.3倍あたりです。

これでは、「偏差値65というかなりの優等生と比較して1.6倍不都合な事が多いから、ほとんど平均値に近い偏差値47以下の人間は全て異常だ」といわれているのも同然のことなのです。

こんなアホなことがありますか?

中学校のクラスの中で、偏差値65の優等生と比較され、偏差値47以下という、クラスの35%ぐらいに相当する生徒はみな異常ですか?35%の生徒はダメですか?

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版の作成者たちは、バカなことを言ってはいけません。

以前お伝えした、ゼチーアの効果についてで的外れなことを言っていた医者もそのメンバーです。

なぜ「脂質異常症」の基準がこのように決められたのか、私は理由を知っています。

1つは、日頃から製薬会社は医者たちに近づき、自分たちの会社に都合の良いことを言ってくれる医者に1回に10〜15万円のギャラを払って講演を依頼し、「先生」「先生」と褒めはやし、会社にとって有利になるように働きかけていること。(その際、医者が実際にそうしてくれるかは別問題)
2つめは、このような製薬会社に厚生労働省の官僚が天下りをしており、製薬会社に有利な基準を作る。
3つめは、そのようなギャラと名誉にあやかろうとする不埒な医者たちの存在です。

東京電力の構図と全く同じなのです。国民をバカにするのは、いいかげんにしろ!と言いたいです。

国民に不利益になる(効果のない薬を買わされる)コメントが間違って公言されることがあれば、それは大問題だと思いますし(公共性)(公益性)、その証拠はしっかりと残したいものです。

なるほど〜と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!
コメント (1) |  トラックバック (0) | 

「日本チェルノブイリ連帯基金」のコメントの誤り

2011年12月04日 | 
以前、「日本チェルノブイリ連帯基金」の鎌田実理事長(諏訪中央病院名誉院長)が報道陣に「色々意見はあるが、被ばくの可能性は捨てきれないと思う」などと発言し、マスゴミが「甲状腺機能に変化」などと見出しに付けて報じ、あたかも原発が原因で甲状腺に異常が生じたかのような不安が広がったことをお伝えしました。

誤っている「日本チェルノブイリ連帯基金」の見解

130人の子どもたちの血液検査でどんな結果が出たかというと、
(1)1人の甲状腺ホルモン(遊離サイロキシン)が基準値を下回った。
(2)7人の甲状腺刺激ホルモンが基準値を上回った。
(3)2人は、甲状腺ホルモンの合成に必要なタンパク質「サイログロブリン」が基準値を上回った。
ですが、

今回は、そもそも基準値はどのように定められているかということをお伝えしたいと思います。

十分多くの人々の身長や体重をヒストグラムで表すと、上の図のように正規分布になります。健康な人のほとんどの血液検査値も同様にこのような分布になります。

基準値は健康な人の検査値がこのように分布する時、平均値を挟んで95%の人が示す値の範囲と定められます。上の図で赤線で示した内側の部分です。横軸の数値は標準偏差と呼ばれるばらつきの程度を表すもので、95%が入る範囲は標準偏差の1.96倍の範囲になります。

このように血液検査の基準値は、健康な人の95%がその範囲に入る値ですから、健康な人でも2.5%の人は基準値を下回り、2.5%の人は基準値を上回ることになります。

この「基準値」は「正常値」などと呼ばれることが多いのですが、「正常値」と呼ぶのは、厳密には間違いであることがお分かりいただけたのではないかと思います。


さて、130人の2.5%は約3人です。
(1)1人の甲状腺ホルモン(遊離サイロキシン)が基準値を下回った。
(2)7人の甲状腺刺激ホルモンが基準値を上回った。
(3)2人は、甲状腺ホルモンの合成に必要なタンパク質「サイログロブリン」が基準値を上回った。
ということですが、(1)と(3)は当たり前のことと言えます。(2)は以前お伝えしたように、被ばくしていない子どもたちと比較する必要があります。

「チェルノブイリ連帯基金」のコメントは、こういうことすら考慮されていない、科学を扱う者としては落第のコメントであったわけです。

なるほど〜と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!
コメント (1) |  トラックバック (0) | 

病気腎移植、「Science & Technology」

2011年11月17日 | 
学会で発表するために米国オーランドに来ています。「Science & Technology」↑いい響きですねぇ。

ところで皆さんは、先日以下の報道があったのを覚えていますか?

病気腎移植:宇和島徳洲会病院が先進医療に申請
徳洲会グループの宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)などは10月31日、治療のため摘出した腎臓を修復して別の患者に移植する第三者間病気腎(修復腎)移植について、医療保険が一部に適用される「先進医療」として厚生労働省に申請した。会見した同グループの能宗(のうそう)克行事務総長は「修復腎を使えば、救える患者は増える。今後、(全額)保険医療になることを期待している」と述べた。同グループによると、1例400万〜500万円(これまでは全額病院側負担)の移植費用が、先進医療に承認されれば、患者負担は約80万円で済むという。同病院は09年12月、慢性的なドナー不足の解消を目指して臨床研究として病気腎移植の1例目を実施し、これまでに第三者間で9例を重ねてきた。先進医療申請は今夏を予定していたが、今年6月に発覚し東京の医師らが逮捕された臓器売買事件で同病院が舞台になったこともあり、申請が遅れていた。会見には移植を受けた宇和島市の主婦、田中早苗さん(64)も出席し、「手術後は一般の人と同じ生活を送れてうれしい。苦しんでいる多くの人が助かってほしい」と訴えた。病気腎移植については、日本移植学会が、移植する腎臓のがん再発について長期的な安全性が確立されていない、などと批判している。
(毎日新聞より引用)

病気腎移植を先進医療に申請 徳洲会「保険適用に」
医療法人「徳洲会」(本部・東京)は10月31日、腎臓がん患者から摘出した腎臓を修復して別の患者に移植する第三者間の病気腎移植について、治療の一部に保険が適用される先進医療として認めるよう、厚生労働省に申請した。徳洲会によると、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)では2009年12月以降、万波誠医師らの執刀で、国の指針に基づく臨床研究として、親族間でない第三者間の病気腎移植を9例実施。いずれの患者でも、がんの転移は確認されていないという。同会の能宗克行事務総長は「この移植で生活の質が大きく改善し、通常とほとんど変わりなく暮らせるようになった方がいる。一刻も早く保険適用にこぎつけたい」と話した。
(朝日新聞より引用)

私も以前、厚生労働省に先進医療申請をしたことがあるのですが(以前は高度先進医療と称されていました)、なぜそれが先進医療に適するのかという根拠から、価格の設定のために人件費、薬剤費、電気代等、徹底的に調べないといけないなど、とても面倒です。面倒なのは別に構わないのですが、最終的に書類は国会議員が代表を務める個別の委員会にかけられ、その是非が審議されます。ハードルは高いです。

そこで感じるのは、はたして本当に現時点で病気腎移植が、先進医療として認められるのだろうかということです。

病気腎移植は現在、安全性と有効性が臨床研究で調査中のはずです。まだ安全性と有効性が証明されていない段階で(真実性)、先進医療の申請をしているのは、認可されないと知りつつ申請している「確信犯」的「売名行為」ではないかと感じるのです。これは国民の利益・不利益にかかわることなので、とても重要なことです(公共性、公益性)。

朝日新聞の記事を毎日新聞の記事と比べてみると、無作為の前向き試験で安全性や有効性が明らかになっていないのに、「この移植で生活の質が大きく改善し、通常とほとんど変わりなく暮らせるようになった方がいる。一刻も早く保険適用にこぎつけたい」と、まるで、まだ「保険適応」になっていないのが悪いかのような印象を読者が持つように誘導されています。

その点毎日新聞は、「日本移植学会が、移植する腎臓のがん再発について長期的な安全性が確立されていない、などと批判している。」と数行、反対意見を加えていますが、それでも読者の受ける印象は朝日新聞と同じです。

先進医療と認められることはそれほど易しい事ではありません。この過程は私自身も経験している事です。病気腎移植は今の段階では決して「Science & Technology」に値することではありません。こういうことは、認可された時点で報道するべきことです。

また、却下されたら、「徳洲会、病気腎移植、先進医療申請は却下される。未だ安全性と有効性が不明」と必ずそれを記事にする必要があります。

新聞報道というのは、当たり前のことですが、「仮説」だけというか「私的意見」だけというか、私が今置かれている環境(アメリカの学会に参加してScienceにドップリ漬かっている環境)からみれば、まったく「Science & Technology」でもない、「言った者勝ち」の「稚拙」な世界だと感じます。

繰り返しますが、マスゴミの皆さん、こういう大々的な報道は、先進医療を認可された段階で行ってください。申請をしただけの段階では2〜3行の記事でいいです。こういうことは医学論文でいうと、「仮説」を書いたイントロダクションだけで10ページぐらいあるようなもので、論文の審査員から笑われてしまいますよ。

なるほど〜と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!
コメント (1) |  トラックバック (0) | 

欧米人では悪玉コレステロールを70から62に下げても効果は同じ

2011年11月16日 | 循環器
学会で発表するために米国オーランドに来ています。今日は先ほど発表されたばかりのレイト・ブレイキング・クリニカル・トライアルの結果をお伝えします。

先日、製薬会社は悪玉コレステロールは下げれば下げるほどよいと言っているけれど、日本人では「悪玉コレステロールは80まで下げる必要はない」ことをお伝えしました。

今日発表された研究は欧米人で、リピトール80mg/日を使って、悪玉コレステロールを70.2まで下げた519人と、クレストール40mg/日を使って悪玉コレステロールを62.6まで下げた520人を2年間観察して、2年後の心臓の動脈の動脈硬化(プラーク)の量が投与前と比較してどれだけ減ったかを両群で比較したものです。

善玉コレステロールは、リピトール80mg/日群では48.6、クレストール40mg/日群では50.4でした。

結果は、両群で2年後の心臓の動脈の動脈硬化(プラーク)の量の減少量は同じでした。これらの研究を企画した製薬会社は、以前から、心臓の動脈の動脈硬化(プラーク)の量が減るほど心筋梗塞の発症率を減らすことができると主張していましたから、この研究の結果からは、欧米人では悪玉コレステロールを70.2からさらに62.6まで下げても、効果はないということです。

これは、欧米人の場合です。日本人では先日お伝えしたように、90を80に下げても効果は同じですから医療費を余分に費やして80まで下げる必要はありません。

今日発表された研究を企画した製薬会社はリピトール80mg/日よりもクレストール40mg/日で悪玉コレステロールをもっと下げれば効果があることを予想していたはずですが、それに反する結果がでたと言えます。

明日、アストロゼネカの株価は下がります。

なるほど〜と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!


コメント (0) |  トラックバック (0) | 

誤っている「日本チェルノブイリ連帯基金」の見解

2011年11月14日 | 
学会で発表するために米国オーランドに来ています。当たり前の事ですが、ここではほとんどの事が科学的で素晴らしいです。
ところで、以前以下の事件があったのを覚えているでしょうか?

(J CASTニュースより引用)
長野県松本市のNPO法人「日本チェルノブイリ連帯基金」(JCF、鎌田実理事長)がウェブサイト上に公表している資料によると、長野県茅野市などが2011年7月から8月にかけて、福島の子ども達290組813人を招待。事前アンケートで頭痛や腹痛、鼻血を訴える子どもがいたことから、73家族130人が信大病院の診察を受けた。検査項目は問診、尿検査、血液検査。それ以外にも、甲状腺障害も懸念されていたことから、甲状腺ホルモン検査も行った。

この結果、(1)1人の甲状腺ホルモン(遊離サイロキシン)が基準値を下回った(2)7人の甲状腺刺激ホルモンが基準値を上回った(3)2人は、甲状腺ホルモンの合成に必要なタンパク質「サイログロブリン」が基準値を上回った、ことが明らかになった。

JCFでは、10月初旬になって、この結果を公表。発表では、「原発との関係は分からない」とされたが、JCFの鎌田実理事長(諏訪中央病院名誉院長)が報道陣に「色々意見はあるが、被ばくの可能性は捨てきれないと思う」などと発言したこともあって、各紙は「甲状腺機能に変化」などと見出しに付けて報じた。このことから、あたかも原発が原因で甲状腺に異常が生じたかのような不安が広がっていただが、甲状腺の病気を専門とする医師でつくる日本小児内分泌学会は、10月11日になって、この報道内容に反論する声明を発表した。学会では、信州大学から検査の実際のデータを受け取って検討。その結果、今回の検査結果で基準値から外れた幅は、いずれもわずかなものであり、
「一般的な小児の検査値でもときにみられる範囲」、「これらの検査結果を放射線被ばくと結びつけて考慮すべき積極的な理由はない」
と結論づけている。

個別に見ていくと、甲状腺ホルモンについては(1)基準範囲をわずかに下回っているに過ぎない(2)甲状腺刺激ホルモンには異常がないことから、「臨床的に問題すべき(基準値からの)逸脱として扱うことは適切でない」と判断。甲状腺刺激ホルモンについては、甲状腺に病気を持たない子どもにも見られる程度の逸脱なので「再検査し、他の検査とも合わせて総合的に判断」すべきだとした。サイログロブリンについては、基準値から外れた数値が出た2人は、甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンについては基準値に収まっていることから、「甲状腺機能異常とは言えない」と判断。その上で、「時間をあけて再検査するなどをしないと病的なものかどうかの判断はできない」とした。
(引用ここまで)

NPO法人「日本チェルノブイリ連帯基金」鎌田実理事長の言ったことは、科学的(それは明らかであるという点に関して)に誤りです。

そのように結論づけるなら、例えば西日本の被ばくしていない頭痛や腹痛、鼻血を訴える子どもたちも同人数だけ血液検査をして、それと比較しなければいけません。

私も様々な臨床研究を組み立てていますが、こんなことは西日本の小児科医に呼びかけ、市民の皆さんにも「福島の子どもたちが被ばくの影響を受けているかどうかを明らかにする大切な調査ですから、ご協力をよろしくお願いいたします」と呼びかければ、容易に調査できると思います。協力してくださったお礼に貧血などその他の項目も調べてあげればいいのです。それに検査費用も一人1万円ぐらいで、130人だから研究費は130万円ぐらいで済むと思うのです。もう少し厳密に研究するなら、東日本と西日本で食べ物などの生活環境も違うでしょうから、それらの要素も調べて多変量解析をしなければなりません。

今ごろはきっとそうしていると思いますが、公表前の段階でそれをしなかったのは「日本チェルノブイリ連帯基金」の怠慢だといえます。

「日本チェルノブイリ連帯基金」が、このような誤りを言っていては、「日本チェルノブイリ連帯基金」って、「子どもたちが被害を受けてこそ存在意義がある組織だから、子どもたちが被害を受けた報道をするバイアス(偏り)に見舞われる」と解釈されても仕方がありませんね。

一方、日本小児内分泌学会の見解は、科学的であり正しいと言えます。

なるほど〜と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!
コメント (0) |  トラックバック (0) | 

被ばく1mSv/年以下でなければならない あいまいな根拠(その2)

2011年11月11日 | 
以前、被ばく量が1mSv/年以下でなければならない根拠が、とてもあいまいだということをお伝えしました。

今回はその根拠の2つめです。これもとてもあいまい、というか私には理解できません。感情論的な「原発・放射能 子どもが危ない」に書かれてあることですが、国民の利益(公益性と公共性)と、真実は一体なにか(真実性)ということに関わることですから、あえてそのまま引用いたします。


「このグラフは、同じだけの放射能を浴びたときに癌で死ぬ人数を年齢別に表したものです。ひと目見ただけでわかっていただけると思うのですが、たとえば0歳児は、全年齢の平均の3〜4倍、大人だけとくらべれば4〜5倍も危険性が高いわけです。10歳の子供でもかなり高い。15歳を超えると、ようやく平均値に近づいてきます。逆に、45歳、50歳以上の人は子どもにくらべれば影響はとても少なくてすみます。また「1万人・Sv」というのは、もしも1万人が1Svずつ被曝したらということですが、全員で1万人なのにグラフの中にそれを超える人数があるのはおかしい、と思うかもしれません。これは多くの人が被曝した場合の影響を表すための方法で、人数 x 被曝量の合計が1万シーベルトであれば10万人が100ミリシーベルトずつ被曝した場合でも、100万人が10ミリシーベルトずつ被曝した場合でも結果は同じになるということです。また、1万人が1シーベルト被曝すると癌で死ぬ人の数が3731人、ということから、1万人が1ミリシーベルトずつ被曝した場合も計算することができます。1ミリシーベルト=1000分の1シーベルトですから、約4人ということになります。もちろん被曝をしなくても癌で死ぬことは大勢います。しかし、この4人は、本来なら死ななくても良かった人たちなのです。文部科学省は福島県の子どもたちを年間20ミリシーベルトまでなら被曝させてもいいと、言い続けました。福島県の人口は約200万人ですから、そこで、もし全員が20ミリシーベルトずつ被曝したとするとグラフの数字は4倍になります。本来であれば年齢構成比を計算に入れなければなりませんが、単純に全年齢の平均値で計算すると、3731x4=1万5000人が癌で亡くなることになり、中でも赤ちゃんや小さい子どもの犠牲者が最も高くなるのです。」

この内容が論文にされたとして、私がこの論文の審査員だったらコメントすることをまとめたいと思います。

「もしも1万人が1Svずつ被曝したらということですが、全員で1万人なのにグラフの中にそれを超える人数があるのはおかしい、と思うかもしれません」
→はい、そのとおりおかしいです。全員で1万人なのにそれを超える人数があるのは机上の空論だからです。

「1万人が1シーベルト被曝すると癌で死ぬ人の数が3731人、ということから、1万人が1ミリシーベルトずつ被曝した場合も計算することができます。1ミリシーベルト=1000分の1シーベルトですから、約4人ということになります」
→おいおい、ちょっと待ってくれ、これはGoffmanの仮説だけれど、それでは1万人がユンケル黄帝液を30mL飲んで1000人が元気になったら、10万人が3mL飲んでも1000人が元気になるのか?100万人がユンケル黄帝液を0.3mL飲んだら同じように1000人が元気になるのか?1000万人が0.03mL飲んだら1000人が元気になるのか?あくまでもユンケル黄帝液は30mL飲んでナンボ。まったく科学でない。

「1万人が1シーベルト被曝すると癌で死ぬ人の数が3731人」
→アホか!まず、被曝していない1万人では癌で死ぬ人は何人か調べ、それと比べる必要がある。

「1万人が1シーベルト被曝すると癌で死ぬ人の数が3731人、ということから、1万人が1ミリシーベルトずつ被曝した場合も計算することができます。1ミリシーベルト=1000分の1シーベルトですから、約4人ということになります」
→でました、1000倍の点とゼロ点を結んで、1倍の時を推測する馬鹿げた理論。

長年私のブログをご覧頂いている方には、その下のセンテンスも、つっこみ所満載であることがお分かりいただけると思います。

こんな理論で、「被ばく量は1mSv/年以下でなければならない」と言われているのなら、まったく話になりません。

それに、これはまだ「仮説」です。「仮説」は「科学」ではありません。それを「信じる」という段階はまだ「科学」ではありません。「科学」は真実なのですから「信じる」必要はなく「事実」だからです。この場合、この「仮説」を「信じて」話をしているわけですから、まったく「科学」ではないわけです。


なるほど〜と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!
コメント (1) |  トラックバック (0) | 

被曝で他のガンは増えない、白血病は100ミリシーベルトで約1.2倍

2011年10月31日 | 
以前、「慢性被ばくでガンの発症が減る」の中で、誤ってコバルト60が混入した鉄筋を使って建てられたアパートの住民およそ1万人の人々が、これらの建物に9〜20年間居住し、平均約400mSvの放射線を被曝したが、むしろガンの発症率は減少したことをお伝えしました。

この結果があまりにも衝撃的だったので、その後、被曝量の推定因子を細かくしたりして詳細で綿密な再調査が行われました。

その結果はこのサイトで公表されています。

http://www.denken.or.jp/jp/ldrc/study/topics/cobalt_apartment.html

サイトが変更されてしまうといけないので、内容を引用いたします。

(以下引用)
2004年3月21日から25日に行われた第14回環太平洋国際会議(PBNC)で、台湾の研究者から、誤ってコバルト60が混入した鉄筋を使って建てられたアパートの住民に対する健康影響調査の結果が報告されました。約20年前(1982〜1984年)、廃棄されたコバルト60線源が偶然リサイクル鉄鋼に混入し、それが、台北市とその近郊のアパートを含む約1700の建物の鉄筋に使われてしまいました。およそ1万人の人々が、これらの建物に9〜20年間居住し、平均約400mSvの放射線を被曝しました。

調査結果によると、アパートの居住者のがん死亡率は、台湾の一般公衆の3パーセントにまで大幅に低下しました。 また、先天性奇形の発生率も、一般人の発生率のおよそ7パーセントに減少しました。この発表は、同会議において大いに議論を呼び、米国エネルギー省(DOE)の仲介でカナダの疫学調査の専門家が研究に加わり、さらに詳しい調査が行われることになりました。

その後2008年に台湾国立陽明大学による詳細な調査の結果が公表されました。まず、一人ひとりの行動パターンから個人線量を求めた結果、平均の被ばく量は約48mGyでした(中央値6.3mGy、最大2,363mGy)。

被ばく量がわかった6,242人の中から、128人が追跡期間(1983〜2005年)中にがんと診断されました(台湾の国家がん登録で確認)。性別や年齢を考慮に入れてその放射線による影響を調査した結果、全てのがんの発症についてのリスクの上昇は観察されませんでしたが、以前の報告にあったような減少の傾向も観察されませんでした。さらに個々のがんを詳しく見たところ、白血病で100mGyあたり約1.2倍の有意なリスクの増加が観察されました。女性の乳がんでも有意ではありませんでしたが、100mGyあたり約1.1倍の増加傾向が観察されました。甲状腺がんの増加は観察されませんでした。

現段階ではまだ集団が若く(調査終了時点で平均36±18歳)、がんの症例数が少ないためはっきりした結果は得られていませんが、調査は現在も継続されていることから、今後、低線量・低線量率の放射線影響についての情報源となることが期待されます。(最終更新日:2011年6月8日)
(ここまで引用)

通常の被曝はX線、ガンマ線が主ですのでGy = シーベルトと扱ってかまわないとされています.

以前の報告にあったような減少の傾向も観察されませんでしたが、全てのがんの発症についてのリスクの上昇は観察されませんでした。ただし、白血病は100ミリシーベルトあたり約1.2倍の増加が観察されました。

この調査は調査終了時点で平均36±18歳と比較的若い人を対象としています。平均値と標準偏差から計算すると調査終了時に対象の16%は18歳以下、調査開始時ではそれらのほとんどが小児です。追跡期間も22年間あります。

チェルノブイリの「急性被ばく」で小児の甲状腺癌が増えた場合とは、ちょっと違うことがわかります。

100ミリシーベルト以上では問題があるかもしれないけれど、以前、東大の教授がめそめそと泣いていた、「子供には1ミリシーベルト以下でないといけないんです」という根拠がここでもはっきりしないわけです。

↓さあ、東大教授の皆さん、原発推進派も反対派もこれで一緒に踊りましょう!
原発推進音頭

この調査結果からは、100ミリシーベルト以上の被ばくで白血病や乳ガンに注意しないといけないけれど、他のガンや100ミリシーベルト未満では問題ない」といえます。

http://takedanet.com/2011/10/post_a554.html

武田邦彦氏のブログです。話の骨子は解らなくもないけれど、この考えは「年間1ミリシーベルト被ばくすると1億人のうち5000人が余分にガンを発症すること」が本当に正しい場合ですね。でもそのようなデータは、前回お伝えしたように推論に推論を重ねた論理だけで、それを実際に証明できているデータはありません。


なるほど〜と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!
コメント (2) |  トラックバック (0) |