つむじ風

世の中のこと、あれこれ。
見たこと、聞いたこと、思ったこと。

出署せず

2016年12月10日 09時56分39秒 | Review

安東能明/新潮文庫

 2014年7月1日初版、2014年7月20日第三版。前作「撃てない警官」の続編ということだが、残念ながら読んでいない。しかし、折に触れてこの作品でも回想されているので、凡その粗筋は見えてくる。今回も主人公は同様に柴崎令司が勤める。綾瀬署警務課の課長代理である。署内の裏方のような所の人間がストーリーを構成する。何故警務課の人間が刑事のような活動を、というのは本人の事情、綾瀬署の事情というものがある。話しは次の五話で構成されている。

・折れた刃
・逃亡者
・息子殺し
・夜の王
・出署せず

 主人公は確かに柴崎令司課長代理なのだが、中心に居るのは新任署長の坂元真紀警視だった。「陥りやすい陥穽」に対する冷静な判断、憎しみに近い決断が炸裂する。現場との間で警務課、柴崎の心配が絶えない。それなのに専門外の事件捜査にも巻き込まれる。本庁復帰を夢見てひたすら頑張る主人公が居る。確かに警察モノなのだが、ちょっと視点が異なる作品になっている。警察モノの花形「刑事」は書かないというのが、著者の矜持というわけでもないだろうが、その意味では前回読んだ「限界捜査」もまた、同様の視点といえるのかもしれない。そうした中でも第五話「出署せず」は理屈を抜きにしてサスペンスらしいなかなか面白い作品だった。


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