つむじ風

世の中のこと、あれこれ。
見たこと、聞いたこと、思ったこと。

2017年06月18日 17時59分11秒 | Review

―浅見光彦シリーズ51―
 内田康夫/講談社Novels

 1993年10月5日初版。著者の作品に限らずミステリー&サスペンスのお題は「~殺人事件」というのが定番のようだが、一字の「鐘」は珍しい。近年はなかなか「鐘」について知る機会も少ないので良かったのかもしれない。今回の事件のキッカケは浅見家の菩提寺、聖林寺の鐘の音から始まる。なるほど、除夜の鐘を除き、ここ最近は鐘の音を聞いたことがない。数年前までは夕方など何処からともなく鐘の音がしていたようにも思うのだが、「騒音」ということで止めてしまったのかもしれない。過密な住宅地にあってはそれも止むを得ないことなのかもしれない。田舎ではそんなことは無いと思うが、プロローグは近年の都市ならではの話しかと思う。しかし、この作品を通して「鐘」に少しは詳しくなったのも「旅と歴史」の賜物か。

 「カネ」に縁のない職業といえば、坊さんや警察官、医療関係者、教育関係者などのような崇高な職業を思い浮かべる。「カネ儲け」を考える人間がそんな崇高な職業に就くのは、明らかに職業選択の誤りかと思うのだが現実はそうでもない。そこで際立つのが「崇高な職業」関係者の犯罪である。人々が期待を寄せる分だけ情けなくもあり悔しくもあり、悲しくもあり空しくもあり、そして腹立たしい。社会派とは言わないまでも、そういった所をたくみに突くのも著者の得意とするところなのかもしれない。


 

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