つむじ風

世の中のこと、あれこれ。
見たこと、聞いたこと、思ったこと。

標的はひとり

2017年05月17日 19時21分20秒 | Review

 大沢在昌/角川文庫

 2016年9月25日初版。著者の作品は「烙印の森」から始まって「新宿鮫シリーズ・毒猿」まで10作品、今回の作品で11冊目。主人公「加瀬 崇」の心理描写がたくましい。ひとつ気になった所は、標的「成毛泰男」とのラストシーン(対面)。最初から長々と引っ張ってきた割にアッサリとカタがついてしまったこと。決して派手なドンパチを期待しているわけではないが、何かしら寂しい風景で、この辺に物足りなさがあるのかもしれない。

 解説者が書いているように、日本の風景には「殺し屋」というものが馴染まないのかもしれない。小説に書くとしても、生い立ち、境遇から考えて、罪の意識、心理描写無しに「キラーマシン」を書く事はとても難しいことなのかもしれない。「成毛泰男」の心理描写を完全に無くすことで「キラーマシン」的雰囲気をかもし出してはいるものの、いわゆる動機というものを語らないことで「マシン」を読者に創造させるという今回のこの試み、企ては果たして成功したのだろうか。ともかく、それは著者の作家としての新しい挑戦であったようにも思う。



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