つむじ風

世の中のこと、あれこれ。
見たこと、聞いたこと、思ったこと。

もぐら 讐

2016年10月15日 10時52分09秒 | Review

矢月秀作/中公文庫

 2012年6月25日初版、2012年8月20日第5刷。先(2016/4/24)に読んだ「もぐら」の続編。影野竜司は元同僚(宇田桐)を撃ち殺したことで15年の刑に服することになったらしい。場所は山口県関市の下関北刑務所。今回はこの刑務所の他に東京の府中西刑務所、房総刑務所、東北第三刑務所など刑務所が舞台背景になる。

 すべては警察組織内部の権力闘争(出世欲)である。その過程で生み出した冤罪、現場の刑事から裁判官まで巻き込んだ事件であった。しかし、20年前のその事件は終わってはいなかった。被害者が宗教団体の名を借りて復讐を開始する。それを支援するかのごとく、20年前の本当の「悪」が、自分の権力闘争(出世欲)を完結させるためにふたたび動き出す。今回の悪役は宗教団体アレース(アーレフじゃないよ)、大司教の沢渡 晃は実は20年前の冤罪の被害者であった。

 銃火器を準備して刑務所を爆破するなどという場面がある。漫画チックでこの劇場型バイオレンスアクションは本来ならそんなことは有り得ない全くのフィクションだと誰もが思うところだが、これは明らかに「オーム真理教」の事件を参考にしたと思われる。考えてみると、サリンを製造し、無差別に撒き散らし、銃火器やヘリまで調達しようとしたオームの信者たちとまったく変わらない。そう考えると非現実的なフィクションであるはずの作品が妙なリアリティで迫ってくるではないか。作品では被害者を死ぬまで利用しようとする本当の「ワル」を最後に登場させる。せめてもの救いである。


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