つむじ風

世の中のこと、あれこれ。
見たこと、聞いたこと、思ったこと。

色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年

2017年05月19日 21時46分02秒 | Review

 村上春樹/文藝春秋社

 2013年4月15日初版、2013年4月」22日第三刷。著者の作品はたぶん読んだことは無いと思う。ノーベル賞候補になったり、作品でも何かと話題の多い著名な作家ではあるのだが。どうした訳か、今までお目にかかる機会がなかったし、縁もなかった。今回の作品が他の作品と比べて、その作風がどのくらい同じで、どのくらい違うのか、それも判らないけれども、以外に読みやすくて情緒豊か。主人公(多崎つくる)の心模様が自然描写とよくマッチしているように思う。さり気なくミステリアスでもあり、スリリングでもある。最も、中心に描かれているのは主人公であれ他の四人であれ、青春時代の不安定な精神状態であり、葛藤であり傷だらけになりながらも成長する人間性ということになるのだろうか。

 生き残った人間の責務として
「いろいろなことが不完全にしかできないとしても」「出来るだけこのまましっかりここに生き残り続けること」があり、読み手に重くのしかかってくる。サラサラと書きながら実に重い、今時を反映した青春時代小説である。今更変えることのできない歴史に、妥当性、必然性を与えながらも、決して納得していない自分を抱えながら生きねばならない、この矛盾に満ちた人生を純粋に新鮮に描くことのできる巧さが著者の真骨頂なのか。



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