宇宙の歩き方

The Astrogators' Guide to the Charted Space.

リーヴァーズ・ディープ宙域 ライブラリ・データ

2014-06-04 | Traveller
イザナク大提督 Grand Admiral Izanak
 ドレシルサー(1826)の群小種族イルサラ人の歴史の中で、最も重要な役割を担った《略奪王》(Reaver warlord)です。
 -1030年、強力な敵との戦いに敗れたイザナクは逃亡先のドレシルサー(1826)に着陸しました。彼はドレシルサーの3民族の中で当時最も遅れていた(といっても初期工業文明に達していた)イルサラ族を選んで、技術提供と引き換えに船の修理を手伝わせました。
 8年後、修復を済ませて星々の世界へ帰っていったイザナクのその後は、誰も知りません。

イルサラ帝国 Iltharan Empire
 群小種族イルサラ人は、-1030年に母星ドレシルサーに逃亡してきた《略奪王》イザナク大提督の船から核融合炉とジャンプドライブの技術を入手し、当時TL4~5程度だった技術水準を飛躍させました。その20年後には彼らは宇宙に飛び出し、そして彼ら自身の拡張主義的志向も手伝って、ドレシルサー周辺の星系を次々と併合していきました。
 しかし、誕生したばかりのカレドン公王国と遭遇・交戦したことで拡大の勢いは止まり、続く300年間は宙域に進出してきたアスランと第三帝国の狭間で没落していきました。それでも彼らは好戦姿勢を捨てず、暗黒時代の終わりとともに増加していった星間物流への襲撃をやめなかったので、イルサラ帝国と第三帝国は直接対峙することとなりました。
 最終的に、250年には当時イルサラ帝国領だったダンキネー(1624)、ラナルド(1526)、フルトン(1524)の反乱を公王国政府が支援し(※この3星系は元々カレドンからの植民星でした)、帝国軍の支援を受けたカレドン軍がイルサラ軍を次々と破って星々を解放していきました。そして268年、帝国海軍によるドレシルサー爆撃によってイルサラ帝国は終焉を迎えました。

ヴィルシャシュ Virshash 2724 DA86954-6 S 高人・肥沃 G Im
 群小種族ヴィルシの母星であるヴィルシャシュは、連星の片方から強力な放射線が降り注ぐ高重力惑星です。これらの影響で、ヴィルシは屈強な体に進化しました。
 ここはかつての第一帝国の勢力圏からは遠く離れていたので、ヴィラニ人の接触は受けませんでした。第三帝国加盟後に赤道の大きな島に宇宙港が建設されたのを除いては、ヴィルシャシュの風景は恒星間戦争末期の地球人探検隊が最初に見たものとあまり変わっていません。
 宇宙港は当然ながら帝国当局の管轄内にありますが、それ以外の土地は典型的なヴィルシ気質の「無秩序」の中にあります。非ヴィルシの訪問客に関する諸問題を解決するものを除けば、ここには法律制度は存在しません。しかしながら偵察局は小さな保安捜査部局を運営し、独立裁判所を経て、犯罪者を帝国の刑務所に送り込んでいます。これは帝国によるヴィルシへの親善の証で、大切な市民であるヴィルシを苛立たせないことは費用をかけるに値すると考えているからです。

宇宙港の虐殺 Starport Massacre
 イルドリサール(2326)で1109年に発生した事件のことです。
 この星は200年以上前からカーリル合集国の鉱業植民星として繁栄してきましたが、ダルドリーム大判官が合集国の実権を握って以降、新関税法施行による重税や基幹産業の国有化など抑圧的な政策が採られ、人々の不満は高まっていきました。
 そして1109年148日、宇宙港周辺で抗議活動を行っていたイルドリサール市民に対して合集国平和維持軍(Assembly Peacekeepers)が発砲して、デモ参加者314名が死亡しました。これをきっかけにイルドリサール全体で反乱の火の手が上がりました。
 ダルドリーム大判官はアスラン傭兵のテアーレイコイをも動員してイルドリサールに侵攻し、宇宙港といくつかの都市を制御下に置きましたが、惑星の大部分は傭兵部隊カレドン・ハイランダーズと契約した「イルドリサール愛郷戦線(Ildrissarian Patriotic Front)」の勢力下にあって、情勢は未だ流動的です。
(※「平和維持軍」とはカーリル合集国軍の総称のようです)

王朝危機 Dynastic Crisis of 1024
 カレドン公王国のコリン公王(Prince Colin)が後継者なく死去したことに伴い、1024年に発生した内戦のことです。第二次公王国内戦とも呼ばれます。
 王座を巡ってエドワード・キャンベル男爵(Edward, Lord Campbell)とデイビッド・マクスウェル伯爵提督(Admiral David, Earl Maxwell)の両派に分かれて戦いが始まり、財界の支援を受けたキャンベル卿が最終的にはダンバートンの戦い(Battle of Dunbarton)で勝利して、1025年004日にエドワード公王として即位しました。一方、敗れたマクスウェル伯は公王国領外のジェルメーヌ(2019)に逃れました。

ガージパジェ Gaajpadje 1124 E667874-4 低技・肥沃・富裕 G Na
 群小種族ジアージェの故郷であるガージパジェには、遠く離れた東大陸と西大陸、そしていくつかの群島や孤島が浮かんでいます。雑食の狩猟・採取動物から西大陸で進化したジアージェは、やがてガージパジェ中に広がって文明を築きました。
 彼らはクデンシャール(Ku'densharll)と呼ばれる芸術に秀でた指導者を中心とした社会を構成しましたが、その影響範囲は1都市程度に限られたために都市国家が分立しました。そして戦いと和平の繰り返しの末に、西大陸の港町リジュジャ(Rijudjya)を形式上の首都とする都市国家連合の条約が調印されました。
 ガージパジェのあるエア星域は歴史的に星間交流が乏しい地域でした。ジアージェの伝承の中には第一帝国期のヴィラニ人探検隊との接触を示唆するものも含まれますが、継続した交流は行われませんでした。ヴィラニ人に続いてリーヴァーズ・ディープ宙域に足を踏み入れた地球人は、いくつかの入植地を宙域内に築きましたが、ガージパジェを訪れることはありませんでした。暗黒時代のこの宙域には《略奪者》が横行しましたが、ガージパジェの周辺はアスランの勢力圏が近かったので、避けて通られました(後に台頭してきた第三帝国も同じ理由で近寄りませんでした)。
 しかし-850年頃、一隻の軍艦が東大陸の山岳に不時着しました。乗組員はイルサラ人の兵士で、交戦後のミスジャンプでガージパジェに墜落してしまったのです。艦を修復する技術が失われて故郷への帰還を断念した彼らでしたが、定住するには十分な知識は残っており、男女比の面でも人口拡大に支障はありませんでした。
 やがてクトリング(K'tring)と呼ばれるようになった彼らは、無慈悲で軍国主義的な文明を築き、軟弱で下等とみなした東大陸のジアージェ都市を1000年以上かけて征服し尽くしました。しかしジアージェより上とはいえ彼らの当時の技術では、ガージパジェの広大な海を横断して西大陸に攻め込むことはできませんでした(ただし一部のクトリング族は海を渡って、西大陸のジアージェ都市にスラム街(ゲットー)を構築しています)。
 状況が一変したのは1050年頃です。人類国家のカレドン公王国系企業であるカレドン・ベンチャーズ社は、新たな市場を求めてガージパジェの調査を始めました。過去の伝承や記録になかった人類文明クトリングの存在には衝撃が走りましたが、彼らには商売先としての魅力が乏しく、一方でジアージェの美術品は人類世界のどこに持って行っても高値が付くことが期待できました。
 1108年にカレドン・ベンチャーズ社は商業使節をリジュジャに送り込み、貿易協定の調印に成功しました。ところが調印を祝う宴が催されていたその夜、東大陸のクトリングは(ガージパジェでは新技術の)滑空輸送機による奇襲をリジュジャにかけました。彼らは、西大陸のジアージェが外世界との交易で新たな資源と武力を手に入れる前に征服を試みたのです。しかしこの攻撃は、商業使節の乗組員が宇宙船を自力で奪還したことで失敗に終わりました(※TL6の軍隊ではA2型商船一隻でも歯が立ちません)。
 現在、リジュジャにはCタイプ宇宙港の建設が進んでおり(※1120年までには完成しているようです)、今後の交易の拡大が期待されます。また、クトリングの方もソロマニ連合(もしくはアスラン)と接触したと噂されています。ジアージェとクトリングの両者が宇宙に目を向けたことで、この惑星は新たな時代を迎えたと言えるでしょう。
(※ガージパジェがTL4評価なのは、帝国の第二期探査でクトリング文明の存在が見落とされたからのようです)

コベントリー Coventry 1723 X565733-2 低技・農業・肥沃 R G Cd 刑務所
 コベントリーは、隣接するダンキニー連合が管理する刑務所星系です。約350年前に収容が始まって以来、ここは政治犯や刑法犯といった「好ましからざる者」を人道的に扱う場として効果的に運営されています。
 地軸の傾きによって季節変動が極端であるのを除けば、コベントリーはかなり過ごしやすい惑星です。よってここに収監されること自体が重罰というわけではありません。しかし連合海軍はガスジャイアントの衛星に監視所と2隻の10000トン駆逐艦を配備し、厳重な監視体制を敷いています。ガスジャイアントに立ち寄っての燃料補給は許可されていますが、速やかに星系外に出ることが求められます。当然コベントリー自体への着陸は禁止されていて、無許可で接近すると発砲されます。
 「08年反乱」の首謀者であるトーマス・バーナム提督が1110年に収監されて以降、監視所は戦闘機や小艇の発着能力が増強され、人員も増やされるなど、保安体制が強化されています。バーナム提督の奪還計画の噂はいくつもあり、それらが結実しないようにするためです。

ジャイヘ Jaihe
 レジャップール(1218)原産のジャイヘ(現地語でジャイヘブレク(Jaiheblek))は、人気のある温かい飲み物に加工される植物です。846年からSDTC社によって現地からの輸出が始まったジャイヘですが、1108年のハッピルーヴァ人蜂起(revolt of the Happirhva)以降は入手が困難となっています。

ジュラの墜落痕 Crash Jura
 グレンシエル(1912)のジュラ高地(high plateau of Jura)にある墜落痕は、初期ジャンプ技術で造られたサイエの宇宙船の残骸と考えられています。推定で約3700年前からあるこの遺構は、サイエに関心を持つ多くの考古学者や歴史家を惹きつけ、カレドン公王国と帝国の研究者同士が遺構への接触を巡って論争する事態にもなりました。結局宇宙船は、最終的にカレドン(1815)の研究所に移されました。
 宇宙船の中からは、サイエの従属種族(イン=ツァイやルーシャナなど)の美術品の他、破損こそしていましたがサイエの軍事基地で用いられたと思われる水晶の鍵(crystal key)が見つかっており、注目を集めています。

ストラスモア伯爵ジェームス・リード提督 Admiral James Reed, Earl of Strathmore
 -136年生、-56年没。出身はカレドン(リーヴァーズ・ディープ宙域 1815)。
 ストラスモア伯爵提督は、初期のカレドン海軍の偉大な提督です。イルサラ帝国に対する彼の勝利は、誕生したばかりのカレドン公王国がリーヴァーズ・ディープ宙域の勢力図を塗り替えるきっかけとなりました。
 金物屋の息子として生まれ、青年士官時代に《略奪者》討伐において数々の功績を挙げた彼は、-90年に艦隊提督に就任すると-86年の「ヴィクトリーの戦い」にて大勝利を収めました。この輝かしい勝利の後、-64年に退役するまで彼は艦隊を指揮して公王国に貢献しました。今では「公王国海軍の父」の一人として尊敬されています。
(※この設定だと、彼が「ストラスモア伯爵」の称号を得たのはヴィクトリーの戦いの後と考えるのが自然でしょう)

デイビッド・マクスウェル伯爵提督 Admiral David, Earl Maxwell
 マクスウェル伯爵提督はコリン公王の死後、エドワード・キャンベル男爵とともにカレドンの玉座を求めました。1024年に内戦が始まるとマクスウェル軍は戦闘において優位に立ち、そしてマクスウェルは自身を「デイビッド5世」の地位に就かせました。
 しかし同年後半のダンバートンの戦いで彼の艦隊は破られ、彼を支持する最後の砦であるロブ・ロイ(1917)にて敗北が決定的となるまで指揮を執りました。その後の彼は逃亡生活を送り、スカイー(2018)を経てジェルメーヌ(2019)に亡命しました。
 そして彼の子孫は今も、自分こそが公王国の正当な統治者であると主張し続けています。

天的聯盟 Celestial League
 現在の和諧同盟の前身である天的聯盟は、-2000年代に築かれた中国系ソロマニ人入植地を起源に持つウータア星域とエアコイ星域のいくつかの世界から構成されていました。暗黒時代の間もジャンプ技術を維持し、時折《略奪者》の艦船の供給源ともなりました。
 フトホルの和約が締結されるまではアスランとの絶え間ない紛争が聯盟を強く結びつけていましたが、その後まもなく内部抗争によって分裂しました。856年に和諧同盟として再結集するまで、かつての加盟世界は何世紀もの間、戦争によって苦しみ続けました。

ドリンサール・ループ Drinsaar Loop
 リーヴァーズ・ディープ宙域の3星域(エアコイ、ドリンサール、ドレシルサー)に跨るドリンサール・ループには、23の星系が含まれています。この星団のトレイリング端にあるドリンサール(2032)は、人類がこの近辺を探査する際に玄関口となった星系で、現在ではかつてほどの重要世界ではないものの、その名前は星団の名称に残されています。

ドレシルサー Drexilthar 1826 B46969D-7 S 非工・富裕 A G Cs
 ドレシルサーは奇妙な惑星です。水界の量はその低重力に対してあまりに多く、古代期の大規模な惑星改造が疑われています。海にしか生息していない土着の生命体は原始的で、大部分の生命は既知宙域各地から太古種族によって持ち込まれたものです。
 主要な3大陸は回帰線帯に位置し、全体的に寒冷なこの惑星の中でも一年中快適に過ごせます。しかし赤道地域でも氷山が流れ込んでくるため、遠洋航海は非常に危険です。
 ここを故郷とするイルサラ人が近代化する前の陸地の多くは密生した樹林に覆われ、そこはオーロクス(※家畜牛の祖先)やマストドン(※象の一種)や剣歯虎が支配していました。その後のイルサラ人の文明の進歩は生態系に多少の影響を与えましたが、それ以上に帝国による286年の核攻撃は生態系に深刻な影響を与えました。
 ドレシルサーの住民は極端に軍国主義的で、攻撃的で、政権に従順で、弱者への同情や慈悲の心を持ち合わせていません。この文化は、政府が実施する厳しい軍事訓練によるものです。ドレシルサーの人々こそが銀河で最も優秀な人類であると教えられ、外世界人は弱虫だと軽蔑されます。地元の過大な治安警察と外世界人への差別により、トラベラー協会はこの星系にアンバー・トラベルゾーン指定をしています。しかしこの星の宙域史における存在感もあってか、少なくはない訪問客は監視付きで惑星内を歩き回ることが許されています。
 ドレシルサーは先進技術の入手に非常に関心を持っていますが、技術移転はダンキニー連合、カレドン公王国、帝国、カーリル合集国の間の暗黙の了解によって禁じられています。
 この星系の帝国偵察局基地はガスジャイアントの衛星に建設され、専門家がドレシルサー社会を詳しく調査しています。また小惑星帯がドレシルサーのすぐ外側の軌道にある関係で、この惑星は流星が落下しやすい環境にあります(年1回の頻度で直径2~3メートル程度の物が落ちてきますし、古代イルサラ文明の一つが隕石激突で滅んでいることも確認されています)。よって偵察局基地は、ドレシルサーに警告を発するための「全天監視」の機能も兼ね備えているのです。

風霊獣 Windstalkers
 グレンシエル(1912)のアネクトール山を訪れる狩人や登山者の間で語られる話として、到達できないような高い岩棚の上から獰猛な「風霊獣」が吠えて、登山者の死を予告するというものがあります。話に出てくる四足獣はグレンシエルの生物形態である六足獣とは異なるため、一般的には虚構と退けられています。
 しかしそれでも、何人かの者は間違いなく何かを見たと確信しています。

フタリェア Htalrea 1226 E767610-0 低技・農業・肥沃・非工 Na
 未開発の原始世界であるこの星は、貴重な香水の元となるリッス(risth)(体重200kgほどの獰猛な襲撃型動物)の原産地です。この香水はアスラン商人の大きな興味を惹き、フタリェアの主要な輸出品となりました。
 1109年にカレドン・ベンチャーズ社は交易目的で原住種族ポリフェミーに接触し、1113年にはトラサヤーラヘルの独占市場を崩すためにこの地に交易所を建設しましたが、その翌年、トラサヤーラヘルの報復に遭って交易所は破壊されました。

「ブラックジャック」デュケイン "Blackjack" Duquesne
 彼は-1120年から-1100年頃に存在したとされる悪名高い《略奪者》です。多くの民話や伝承が彼と宇宙船スカイラーク・デュケイン号について伝えていますが、彼についての歴史資料は驚くほど少ないのが実情です。

ブルーレ Bruhre
 ブルーレはダイベイ宙域を起源とする非人類知的種族です。彼らはがっしりとした六本足生物で、硫黄分を多く含む大気を苦にしません。例えばローレン(2311)の汚染大気でも呼吸可能で、むしろ「故郷に比べたら無味無臭」程度にしか感じていません。人類には有毒なローレン原産の動植物も、彼らには美味となります。
 ブルーレの生活に深く結びついた儀式や作法は、複雑で不可解に見えます。彼らは生涯のあらゆる面において、一つ一つの発言や行動にすら厳しい戒律と習慣の下で生きています。
 彼らはとても偏狭な種族でもあり、部外者にも自分たちを同じやり方を求めます。よって、ブルーレは一般的に他の主流帝国文化からは外れた存在です。
(※ブルーレの母星の場所についての公式設定はこれまで存在しませんでした。T5設定でコルヴェ(ダイベイ宙域 1729)であることになりましたが、他の設定との兼ね合いを考えると問題があるように思います)

マクベス号事件 MacBeth Affair
 1113年187日にマールハイム大公国領のミラク(1127)で発生した暴動の後、ダンキニー連合籍の商船マクベス号の乗組員が、関税法違反、無許可通商、大衆扇動、大公国治安維持局員(Ducal Security officers)への襲撃など17件の容疑で逮捕されました。
 大公国当局の公式見解では、マクベス号の乗組員が現地法に反して暴動を誘発したとしています。一方で企業側の調査員は、暴動がマクベス号への嫌がらせに対する現地市民の反発から起きたものだ、とする証拠を発見したと主張しています。

マット草 Matweed
 マット草は、スカイー(2018)の海上に厚く絡み合って浮かぶ植物です。適切に処理されれば優秀な食品となりますが、残念なことにその花粉は人類の8割に危険なアレルギー反応を起こさせます。

ヤリザメ Lanceshark
 ヤリザメはメル(2414)原産の、小さな雑食性水棲生物です。その味の良さは発見後すぐに知れ渡りました。
 ヤリザメは回遊性生物で、彼らの移動距離はその生涯でメルの半球ほどにもなります。繁殖率は高く、現地の「筏集落」が群れのそばで捕獲を続けていても群れ自体に全く影響を与えないほどです。

ヤロスラフの戦い Attack on Jarslav
 多くの歴史家が《略奪者》の衰退のきっかけと指摘するのがこの戦いです。-1118年、《略奪者》たちとオピリョク防衛連盟(Opljiok Defense League)がヤロスラフ(ソロマニ・リム宙域 0123)で激突し、《略奪者》たちは全軍の3分の2を失う大敗を喫しました。
(※オピリョク防衛連盟の実態については長らく公式設定が存在しなかったのですが、マングース版『The Solomani Rim』ではその名前こそ直接出てこなかったものの、「略奪者と戦ったのは『テラ商業共同体の支援を受けたディンジール連盟』」と記述されたため、恒星間共同防衛条約の類ではないかと思われます)

ラジャンジガル Lajanjigal 1721 DAB6583-3 低技・非工・非水 G Na
 不気味な黄緑色のもやに覆われたラジャンジガルは、人類にはとても厳しい環境です。防護措置なしでは大気の腐食性塩素によって、あっという間に死んでしまいます。しかしこの星は腐食性大気に適応した多彩な生物の宝庫であり、知的種族ラングルジゲーの故郷でもあります。
 知的生物学者以外には特に興味を持たれなかったラジャンジガルでしたが、30年ほど前にダカール・コーポレーションの調査によって、様々な希土類や放射性元素が豊富な世界であることが明らかになりました。しかし従来の鉱業技術では、惑星の大気の影響で法外な費用がかかることもわかりました。
 そこでダカール社は、腐食性大気の中でも問題なく働ける原住民ラングルジゲーの「雇用」を実施しました。一方的な宣言にラングルジゲー側が抗議した際に、2つの集落を艦載艇でミサイル爆撃するという、とても穏やかとは言えない手法によってでしたが。
 降伏したラングルジゲーは事実上の奴隷労働力となり、過大な生産目標と厳しい処罰が与えられました。外世界のいくつもの団体がダカール社の高圧的なやり方に抗議しましたが、ラングルジゲーがダカール社に抱く恐怖心と外世界人に対する不信感から、支援はうまくいっていません。
 ダカール社が所有するDクラス宇宙港相当の小さな軌道施設には、武装小艇、異種大気戦訓練を受けた傭兵小隊、技術者や現場監督などの職員が詰めています。運送業者は定期的に鉱石を運ぶためにこの星を訪れますが、それ以外の来訪者はほとんどありません。

「乱暴者」アリソン・マードック Alison "Hellion" Murdoch
 「乱暴者」マードックはフトホルの和約(380年)以降の有名な《略奪者》です。様々な創作物で知られる彼は、393年にチャニング准将(Commodore Channing)が指揮するカレドン軍によってブラックウィドウ号と共に撃破されました。
 彼が奪い取った財宝の多くは、今も見つかっていません。噂では一部は愛船と共に失われたが、多くは彼だけが知る秘密の隠れ家に残されている、とのことです。そして財宝の存在は、えてして詐欺師たちが撒く餌の材料にもなっています。
(※ちなみに、かつて出版されたシナリオ『Hellion's Hoard』(今はJTAS Onlineで読めるそうです)はデーンロウ(1136)を舞台にしていて、そこに秘宝があったりなかったりするのかもしれません)

リッスセント Risthscent
 フタリェア(1226)原産の動物であるリッス(Risth)の香腺から採れるこの香水は、人類やアスランだけでなくジアージェなど様々な種族の間で高い需要があります。
 なおリッスは森林地帯の洞窟や岩地を住処とするので、狩猟するには徒歩で捜索するのが最適となります。
(※シナリオ『Trading Team』の表紙に描かれているのがこのリッスだと思います)

レヴィー肉 Leviemeat
 レヴィー肉はスカイー(2018)のレヴィーから加工される、人気のある食品です。レヴィー(「レヴァイアサン」の略)は深海に生きる巨大生物で、体重は最大100トンにもなります。
 狩りは6隻一組の小さな潜水艇によって行われ、仕留めた後に潜水夫によって装着される空気袋によって地表まで引き上げられます。それはとても危険な仕事で、レヴィーの尾の一撃で潜水艇ごと作業員がバラバラにされるだけでなく、仕留めた後でも大型の清掃生物と肉を争うこともあるのです。

レジャップール Rejhappur 1218 B651613-A 非工・貧困 A Na
 800年から875年にかけてのカレドン公王国における商業探査の拡大や、アスラン系企業との取引の開放は、エア星域やフリャロアア星域方面への通商路や通信網の整備を促しました。特に833年にダンマーロウ(0921)に公王国の属領地が設立されたことで、その必要性は強まりました。
 846年に惑星レジャップールの衛星クラシュラマル(Krashlamar)にあった小惑星鉱夫用のDクラス宇宙港がCクラスに拡張されると、レジャップール星系ではダンマーロウ方面と公王国間の流通量が増していきました。その頃カレドン系企業のSDTC社(Scotian Deep Trading Company)は宇宙港の管理権を獲得し、レジャップール本星の開発を見据えて探査をはじめました。そこで彼らは、原住種族ハッピルーヴァ人(のハップラーニ族)が時折収穫して飲料に加工していた自生植物ジャイヘ(ジャイヘブレク)に目をつけました。
 874年に交易所がカルダナウィの町(town of Kaludnawi)に建設され、当時の経営者ジェームズ・ダンバー(James Dunbar)は外世界人とハップラーニ族との友好関係を維持するために、地元民といくつかの貿易協定に調印しました。その後住民たちはジャイヘの耕作を続けました。ダンバーや彼の後継者たちの下でレジャップールにおける同社の存在は不動のものとなり、この世界はSDTCの主要な収入源となると共に、次第に発展していきました。
 1024年の王朝危機の際に勝者となったキャンベル卿を支援したことからSDTC社は宮廷内でも発言力を増し、男爵位を与えられたロバート・アームストロング最高責任経営者は、この権力をレジャップールでの社の影響力拡大に利用しました。アームストロング卿の管理下で、同社のジャイヘ農園(プランテーション)がハップラーニ族の耕作地に取って代わり、大規模な灌漑や最新農業技術の導入でジャイヘの収穫量は以前の20倍になりました。ハップラーニ族にとっても農園は良い「就職先」となり、賃金を受け取ると同時にハイテク装置の運用などから技術と知識を得ていきました。
 しかし農園は不幸ももたらしました。教育と技能を得ていったハップラーニ族でしたが、依然として自分たちが外世界人の雇い主の下に置かれたままであることに気付きました。さらに、人口を増やしていた外世界人たちは地元民を無知で野蛮だと見下し、地元の文化や宗教的伝統を蔑ろにしたので、これは両者の摩擦に繋がりました。
 本当の問題は、ハップラーニ族の居住地域だけでは手狭になったジャイヘ農園を、遊牧民ハッピジョム族が住む草原の方まで拡張していったことでした。土地を奪われた遊牧民の抗議活動は激化しましたが、1059年の「シンブラの戦い(Battle of Simbula)」でSDTCの傭兵部隊が10倍の遊牧民連合を破り、入植地の安全を確保しました。
 その後、ハップラーニ族で構成される「ルヴァッカ(現地語で「支援」の意)部隊」が設立され、外世界人将校の指揮下で通常任務に割り当てられました。同時に傭兵部隊への依存度も減らすことができましたが、いくつかの外世界人部隊はカルダナウィやダンバー地上港(Dunbar Shuttleport)といった重要施設に残されました。
 シンブラの戦いを経て、SDTCの拡大はたがが外れたようになりました。ハッピジョム族は肥沃な土地からますます追い出され、農園で安定した仕事を得るのと引き換えに遊牧生活をやめるよう推奨されました。しかしそれに従ったのは少数の人々だけでした。
 破滅のきっかけは、1098年に草原地方のナハワイジョム(Nahawaijohm)に建設された新入植地でした。1103年までここには遊牧民の襲撃が相次ぎ、傭兵やルヴァッカ部隊を回したもののナハワイジョムは4度も炎に包まれました。
 SDTCの数々の失策により、1105年にはレジャップールはもはや制御不能に陥っていました。それでもSDTCの新経営者のパーシバル・ジャメイスン卿(Sir Percival Jameison)は、尊大にも「遊牧民共を再び支配下に収める」と決心していました。彼は武力によって更なる土地収用を進めようとしましたが、これは彼自身の死刑執行状に自分で署名したようなものでした。
 彼らはなぜ地元民が激怒しているのか理解できていませんでした。ハッピジョム族はおろか、SDTCの支配下に組み込まれたハップラーニ族ですら、外世界人が持ち込んだ「何もない所から水が湧き出す」灌漑装置は「邪悪な魔術」に見えていて、決して納得はしていなかったのです。それに外世界人が地元民を軽んじていたことも加わり、次第に地元民の心情は遊牧民寄りに傾いていきました。
 1108年、パジナウィ(Pajnawi)の農園を視察に訪れたジャメイスン卿は、カルジャキ(Kaludjaki)の草原居住者に対する容赦無い焦土化作戦に抗議する群衆に直面しました。暴徒に苛立った彼は駐屯部隊に鎮圧を命じましたが、これが大きな誤算でした。ルヴァッカで構成されていた部隊は反旗を翻し、56時間後にはジャメイスン卿一行を含めたパジナウィの外世界人は全員殺されていました。そしてその情報は燎原の火のようにレジャップール中に広まり、ルヴァッカ部隊はほとんど反乱を起こしました。地元民はルヴァッカを支持し、パジナウィと同等の虐殺が各地の集落で繰り返されました。傭兵と企業側の残り少ないルヴァッカ部隊だけでは、防御拠点に逃げ込んだ外世界人が救出されるまで持ちこたえることは極めて難しいことでした。
 結局、この1108年の反乱とその後のカレドン公王国による介入は、SDTC社の没落に直結しました。現在では公王国軍の撤退と併せて、星系の新たな統治者となったカレドン・ベンチャーズ社の守備隊が置かれ、ジャイヘ輸出の再開が検討されています。

ロジャー・マクスウェル Roger Maxwell
 ジェルメーヌ(2019)に亡命中であるマクスウェル家の現在の当主で、「公王ロジャー1世」を僭称している人物です。中年の彼はアルコールや薬物の中毒者で、己の快楽のために玉座を求めていると一般には知られています。


【参考文献】
・Pilots Guide to the Drexilthar Subsector (Gamelords)
・Double Adventure 6: Night of Conquest (Game Designers' Workshop)
・Travellers' Digest #16 (Digest Group Publications)
・GURPS Traveller: Alien Race Vol.4 (Steve Jackson Games)
・GURPS Traveller: Humaniti (Steve Jackson Games)
・Third Imperium: The Solomani Rim (Mongoose Publishing)
・Into the Deep #1,#2,#3,#4 (Brett Kruger)
・Candles Against The Night (Keven R. Pittsinger)
・TAS-Net Library Data
・Traveller Wiki
ジャンル:
その他
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