宇宙の歩き方

The Astrogators' Guide to the Charted Space.

宙域散歩(6) 『Pirates of Drinax』特集2 アウトリム・ヴォイド

2012-05-30 | Traveller

  アウトリム・ヴォイド(Outrim Void)とは、トロージャン・リーチ宙域の、主にメノリアル星域(A)からボーダーランド星域(L)にかけて広がる、星の密度が薄い中立地域を指す言葉です。また、この地域は帝国とアスラン領の緩衝地帯でもあります。
 ジル・シルカ(第一帝国)期にはこの宙域にはわずかにしか入植活動は行われませんでしたが(※記録上では-2300年頃からです)、人類の支配(第二帝国)期にはソロマニ人入植者たちが各地に植民地を築きました。今でも「純粋な」ソロマニ文化が色濃く残っている星系もあります。
 しかし、中央から遠く離れていた植民地は十分な支援を受けられず、やがて植民地は周辺星系から略奪をして自活するようになりました。農業世界は農機具とその補修部品のために工業世界を襲い、採掘世界はその資源ゆえに周囲から狙われました。どんなに小さな宇宙港でも使える機材は取り外され、ジャンプ能力を持つ宇宙船の保守のために分解されました。
 こうして、この宙域特有の「略奪文化」が生まれました。この文化は宙域が暗黒時代(Long Night)から回復することを妨げ、外部から援助を受ける可能性も失わせました。トロージャン・リーチ宙域には、危険な荒野、人間の屑と裏切り者の隠れ家、野蛮で混沌とした地域、という印象が定着しました(そしてそれは、第三帝国が拡大期にこの宙域を無視した理由ともなりました)。
 最盛期には、一つが100隻からなる海賊団(ただし総計は5万トンを越えない)が、イナゴの群れのように守りの薄い世界を襲い、貨物室に詰めることが出来た全てを奪い去っていたのです。
 こうした脅威に、いくつかの星系は団結して立ち向かいました。相互防衛協定から始まったこの試みは、やがて「シンダル帝国(Sindalian Empire)」となり、いつしか宙域内の9星域を傘下に収めるほどの大帝国となりました。
 しかし帝国は科学や文化の発展よりも軍事力と拡大を重んじたため、拡大が終了するとその力は内部に向けられるようになりました。中央政府は独裁的で残忍になり、過大な税金の取り立てを拒否した星系は、軌道上から爆撃されました。敵から星々を守るために興された帝国は、皮肉にも帝国自体が星々の最大の敵となったのです。
 やがて反乱の嵐が帝国全体を包み、シンダル帝国は「黄金時代の記憶」とともに歴史の中に消えていきました。帝国を支えた星々は、再び野蛮性を取り戻してしまいました。
 一方、-1100年頃には大裂溝(Great Rift)を越えてアスランが土地を求めて宙域にやってきていました。さらに、長年続いたアスラン国境戦争(-1118年~380年)の結果、帝国との「フトホルの和約(Peace of Ftahalr)」でダークネビュラ宙域やリーヴァーズ・ディープ宙域方面へ拡大ができなくなったことにより、植民の第二波がトロージャン・リーチに押し寄せました。現在ではほぼ6星域がアスラン化していますが、フトホルの和約により、帝国とアスラン氏族は緩衝地帯を挟んでお互いに接触しないようにしています。しかしアスランの中には、「和約は"人類のリーヴァーズ・ディープ氏族"と結んだものであり、遠く離れたここフラオイルロアハウル(Hlaoirloahaurl, アスラン語でトロージャン・リーチ宙域のこと)では関係ない」と考える者もいます。

 現在でもアウトリム・ヴォイドでは海賊行為が横行し、危険な地域であることは変わりません。帝国は宙域で活動している海賊団の数を50~100と推計していて、その多くがシーヴ(トロージャン・リーチ宙域 2116)を本拠地としています。また、そういった「プロの」海賊団以外にも「季節性の」海賊(農閑期に昔から伝わる自由貿易商船で隣接星系に襲撃を行います)すら存在していますが、帝国~アスランや帝国~フローリア間の通商ルート上にある世界では、貿易を行えば略奪に頼らなくともやっていける、ということがようやく理解され始めています。
 海賊から身を守るため、通商路を行く商船団には帝国やアスラン氏族から護衛艦が付けられます(大企業は自前で護衛艦を運用します)。もちろん護衛料は必要ですので、支払能力のない貿易商人は、己の才覚と運に賭けてヴォイドを渡ることになります。
(※ただし帝国~フローリア間航路では帝国艦船の護衛があるのはアルニシイル(2621)までで、フローリア連盟(Florian League)は護衛艦を派遣しないため、そこから先へは自力で行くこととなります。またアスラン方面航路でも、ジャンプ-2迂回路はコルダン(2821)までしか護衛してくれない場合が多く、護衛が付かないその先の2星系は海賊にとって絶好の襲撃ポイントとなっています。ちなみにジャンプ-3航路では、アクリッド(2722)まで帝国艦の護衛がついた後、テックワールド(2624)からアスラン氏族の護衛下に入るようです。また場合によっては、相手の国境ぎりぎり(アスランならウィルデマン(2819)、帝国ならパール(2425))まで護衛が付くこともあります)

 このように危険なアウトリム・ヴォイドでも、様々な企業が活動しています。中でも有名なのが、帝国の大企業であるジェデコ社(GeDeCo, General Development Company)です。デネブ(デネブ宙域 1925)とヴォリート(トロージャン・リーチ宙域 2329)に拠点を持ち、デネブ、レフト(のスピンワード側)、トロージャン・リーチ、ビヨンドの各宙域を商圏とするジェデコは、単なる商社だけではない活動も行っています。
 ジェデコは、開発と商取引を通じてレフト宙域からトロージャン・リーチ宙域にかけての後進世界を文明化することを主目的として、帝国暦700年にデネブの貴族によって設立されました。彼らは原料と引き換えに先進技術を世界に売り、同時に色々な習慣(例えば、旅行者のための安全な交通網整備、帝国戦争規則の尊守など)も商品代金に加えて持ち込んでいます。
 またジェデコは、宙域内の、特にフローリア方面への通商路に沿って、またそこから辺境世界へ商船を送るために、宇宙港を建設して維持する役割も担っています。そして世界を銀河の商業網に組み込んでいこうとしています。
 一方でジェデコは、過去の非倫理的活動やいくつかの疑惑で追求も受けています。アスランの有力氏族アハロアイフ(Ahroay'if)は、ジェデコをスパイ活動、海賊行為、反アスランのプロパガンダを広めたと非難し、現在同社との取引を拒否しています。

 それ以外にも、アスランの貿易会社ティエヨ・フテアフラオ・ヨール(Tyeyo Fteahrao Yolr)は、ダストスパイス(と帝国産のあらゆる貿易商品)の輸入のために、ヴォイドを越えてスピンワード・マーチ宙域まで交易船を派遣しています。


【シンダル星域】 Sindal subsector
 かつて星々を支配したシンダル帝国はここで誕生し、その名前と遺物といくつかの習慣を残して、ここで滅亡しました。現在のシンダル星域は、海賊と略奪が横行する危険地帯です。

シーバス Thebus 1919 B534320-6 低人・非工 G Na
 シンダル帝国の内戦によって一度滅亡したシーバスは、今では数千人の入植者(多くは探鉱者や狩人)が住む程度で、大部分は荒野となっています。
 ここではかつて、シンダル帝国の『星龍の紋章』を掲げた二大艦隊が激突しました。両艦隊の残骸は入り混じって主星から7億キロメートル離れた軌道を周回し、真空により完全な状態で保存された遺体のための浮かぶ墓地となっています。
 シーバスは宙域内で往来の多いダストベルト・メイン(※シンダル・メインの蔑称)上に位置し、近隣のティル(1518)やエイシス(1619)から低TL略奪者が、残骸の中から精製金属やハイテク物品をもぎ取りにジャンプ-1で訪れました。古の艦隊はほぼ裸にされてしまいましたが、まだ軌道の外れにはいくつか残されています。フローリア連盟方面に向かう旅客船からは時折、無傷の大きな難破艦が目撃されていて、長旅に飽きた帝国の旅行者から称賛されています。
 また旅行者の中にはここで途中下船して、「シーバスライオン(Thebun Lion)」の狩猟を楽しむ人もいます。シーバスライオンはシンダル内戦で使用された生物兵器の影響による変異体で、その毛皮はトロージャン・リーチ旅行での定番の土産品です(※この狩猟人気の裏には、反アスラン感情の高まりも影響しているようです)。

ノリクム Noricum 2018 D8867BB-1 低技・農業・肥沃 G Na
 現在の惑星ノリクムには、一見かつての帝国首都としての栄華は全く無いように見えます。しかし手がかりはあります。壁が石の代わりにフェロセラミックで出来ていたり、女性の首飾りがメモリークリスタルの小片で作られていたりしているのです。
 ノリクムの30%以上は生物が生きられない土地となっています。そこでは宇宙服なしではあっという間にウイルス感染し、やがて数日間の痛みと苦しみの後に死に至ります。これは旧帝国が滅亡した際に放たれた細菌兵器の名残りです。
 シンダル帝国時代の素晴らしい建築物は、戦争で全て破壊されました。皇居と司法省がかつてあった場所には、放射能で汚れたクレーターだけが残されています。帝国の宝物が滅亡の直前に首都の地下墓地のどこかに移された、という噂がありますが、墓荒したちは誰も戻って来ませんでした。廃墟のウイルス以外にも、突然変異した動物や、シンダル人が遺した保安装置といった危険があるからです。
 ノリクムの人々は、荒廃した世界で生き残るすべを自ら会得しました。毒素を含んでいるかもしれないので、彼らは肉を食べません。飲料水を得るためには、とある苦い薬草を大量に投入してから水を沸騰させます。男性は40歳を過ぎると、農地と廃墟の間にある荒野に派遣され、死の灰を防ぐ障壁を保守します。男たちはこの「儀式」に10日間程度耐えて、そして死んでいきます。
 ノリクムの現在の皇帝ドナス(Donus)は、小さな小屋に住んで、菜園を管理しています。彼の先祖は鉄拳で100の世界を支配し、広大な庭にあった高さ100メートルの像には、一族の特徴である無慈悲な冷笑が刻まれていました。しかし野菜の手入れをしている今の皇帝の顔には、純粋な微笑みが浮かんでいます。

オグマ Oghma 2020 B214754-9 氷結 G Na
 オグマは氷の世界で、住民は野蛮で排外的ですが、ジャンプ能力がある宇宙船を建造できるだけの産業力を持っています。オグマ「部族」の統治者である戦士王は、ダストベルト沿いの近隣世界の工業力や技術基盤を、略奪によって弱体化させ(相対的にオグマを強化す)ることを目論み、科学者や教師、エンジニアや職人を奴隷として連れ去っています。オグマの略奪者は、シンダル星域の人々の脅威であり、全ての文明世界に軽蔑されています。
 一方でジェデコに運営される宇宙港は、比較的安全です。略奪者たちは恒星間貨物船を襲うほど愚かではなく、その代わりに弱い後進世界を襲うからです。
(※ちなみに、宇宙港にはシンダル帝国の龍の紋章がいまだに掲げられています)

シーヴ Theev 2116 A434500-F C 高技・非工 A G Na
 盗賊たちの港、海賊の隠れ家、帝国警察ですら手が出せない星……この星についての様々な噂話が周辺宙域に広まっています。シーヴは本当に、それらの話と同じくらい無法で、危険な星です。
 シーヴは埃まみれの(※火星のような)惑星です。惑星唯一の都市である、砂漠の中から蜃気楼のように立ちのぼるブラックサンド・シティ(Blacksand City)は、密閉された歩道で連絡しあっている数々の台地の上に建設されています。船は台地の間の裂け目に着陸し、バーや娯楽施設はこれらの裂け目付近に作られています。
 ブラックサンド上空の静止軌道には、外観のくぼみが眼窩のように見えることからスカルと呼ばれる軌道宇宙港が浮かんでいます。そのくぼみの部分には何百ものミサイル砲台や銃座が隠されていて、許可なくブラックサンドに近づこうとするどんな船にも攻撃を行います。またスカルには造船所があり、2000トンまでの最先端仕様の海賊船を建造したり、船に最新の軍用兵装を搭載できることで悪名高いです。
 シーヴには「合法的な」政府も産業もありません。泥棒と海賊によって運営される港は、泥棒と海賊のためにあるのです。ここの市場では何でも売りに出されています。宙域中から集められた盗品(特にアスランやフローリア連盟に向かう商船から奪った貨物)、非合法の武器、薬物、密輸品、奴隷……。
 ただし、シーヴを訪れる誰もが海賊というわけではありません。もしかすると違法な快楽を得るべくやって来た帝国貴族かもしれませんし、仕事を求める傭兵かもしれませんし、安く盗品を買おうする商人かもしれませんし、スパイかもしれません。しかし彼らは皆抜け目がなく、ブラックサンドの薄汚い空気に染まっています。ここを訪れて、特有の雰囲気に毒されないことは不可能なのです。
 都市は無法状態ですが、海賊王たちは過剰に暴力を使う者を罰します。仮にあなたが誰かを殺して死体を裂け目に捨てることが出来たとしても、気がつけばあなた自身の喉が海賊王が差し向けた暗殺者に掻き切られているかもしれないのです。
 シーヴには大きな謎があります。周辺に無法を働く星系が存続できること自体が、それもわずか3パーセク先には帝国海軍基地があり、多くのアスラン戦士がシーヴへの報復を叫び、実際にヴォイドを渡って攻撃することができるにも関わらず、です。さらにシーヴの起源も、どのようにしてTL15の最新の武器や船の部品を仕入れてくるかも謎となっています。
 トロージャン・リーチの文明と平和の敵であるシーヴの背後には、おそらく何かがいます。
(※シーヴ星系の秘密については『Alien Module 1: Aslan』と『Pirates of Drinax』には答えが書いてありますので、レフリーだけ参照するようにしてください)

マルドゥク Marduk 2120 C377436-3 低技・非工 G Na
 この小さな世界の文明はオグマ(2020)や他の世界からの度重なる襲撃で崩壊し、スラム街と宇宙港以外に生き残った都市がありません。惑星の住民は数十の部族に分断され、互いに部外者を恐れます。部族はそれぞれ独自の言語と、大きく異なる文化を持っています。
 ジェデコによって運営される宇宙港は、地元住民が住む島々のどれからも遠く離れた人工島にあります。

パリンドローム Palindrome 2216 B433334-B 低人・非工・貧困 G Na
 パリンドローム唯一の入植地は、アストロゴ(Astrogo)のドーム都市で、住民の全てがレディ・イェマー(Lady Yemar)のために働いています。
 彼女は不正に得た利益でこの小さな入植地を築いた元海賊です。パリンドロームは盗品の交易所であり、旅行者のための経由港です。
 レディ・イェマーは驚くほど高価な生命維持の代価を払うために、利益をつぎ込んでいます。彼女はかつて戦闘の際に重傷を負い、試験段階の生物兵器にさらされました。彼女は脳以外の臓器全てを複数回交換し、さらに脳も恒常的な保守を必要としています。
 彼女は治療のためにシーヴを年に数回訪れています。

ボライト Borite 2219 E655796-4 低技・農業・肥沃 G Na
 この星系名は、惑星表面の高濃度のホウ素重化合物から名付けられました。軌道上からは、それが惑星の黄褐色のシミのように見えます。
 ホウ酸を採掘や採取してどうにか暮らしていこうとしている数百万人の不運な入植者が、惑星には住んでいます。彼らは、腐敗した旧ドリナックス官僚の名残であるBCA(Borite Continuity Authority, ボライト存続局)によって支配されています。BCAは全ての商取引と旅行を管理しており、外世界の人々は普通はここを訪れません。
 星系のEクラス宇宙港には、毎年わずかな船だけが訪れます。その大部分が、フローリア方面航路への海賊の攻撃を避けようとした商船です。
 マルドゥク星系のように、しばしばボライトはオグマ部族に科学者や学者を対象とした略奪を受けます。そのため、厳重に警護されたBCAの限られた構成員を除いて、文字を書くことは禁止されています。


【トライオワハ星域】 Tlaiowaha subsector
 旧ドリナックス王国の崩壊後は、アスランのアハロアイフ氏族がこの星域の最大勢力となりました。ドリナックス王は、アスランに対抗する同盟を周辺星系に呼びかけていますが…。

アシム Asim 2123 B867564-6 農業・肥沃・非工 G Na ドリナックスが統治
ドリナックス Drinax 2223 A33645C-F 高技・非工 G Na
 ドリナックス王国の回を参照してください。

パーネ Pourne 2324 A9B2887-A 非水 G Na
 この世界は、誇大妄想的に全ての外世界人をまるで破壊活動家のように見做す、化石のような官僚階層に統治されています。パーネの税関職員は攻撃的かつ重装備で悪名高く、惑星は無数の防御用人工衛星に守られています。
 それでもこの星系は、星域内で最も重要な通商拠点です。

トーポル Torpol 2221 B55A77A-8 海洋 G Na
 海洋世界であるトーポルには、陸地はありません。住民は、両極の氷冠の上で、または浅瀬に建設された巨大なプラットホーム上で暮らしています。
 惑星の第一次産業は当然のように漁業で、加えて、入港する商船団のための水素燃料を精製しています。
 トーポルは、乗組員の休暇時間のための「熱帯の歓楽港」という名声を得ています。高い治安水準は、そんな評判を保つためのトーポル人の熟慮の産物です。「愉快な港(pleasure port)」は野蛮で、扇情的で、荒々しいと感じられるかもしれませんが、ここは惑星で最も安全な場所なのです。

クラーク Clarke 2322 B899753-8 Na
 かつては美しい惑星であったクラークは、ドリナックス王国が崩壊する少し前にスター・ガードによって爆撃されました。旧首都ハイワッド(Hiewad)が破壊された時、何十万人もが死にました。塵の雲が数年間も夏を訪れさせなかったので、やがて数百万人が餓死しました。
 当時TL14だったクラークの技術基盤が失われたため、残された全ての先端技術の施設とサービスはハイワッドに集約されました。いつしか彼らは、失われたハイテク医療設備が将来再建されれば、死者すら癒せるのではないかと考えるようになりました。
 遺体を速やかに冷凍保存する習慣は、死者を崇拝する宗教に発展しました。現在、クラークで死亡した者は誰でもカーボン製のモノリスにすぐに入れられ、いつか来るであろう復活の日まで保存されます。
 その冷凍保存技術を制御する聖職者たちが、惑星を支配しています。聖職者は、モノリスの中の人々が蘇るような技術が再建されれば自分たちがクラーク社会での権力を失うであろう、ということをわかっています。それゆえに、クラークの技術開発は停滞させられています。
 現在、クラークの凍った死者は、生者よりも大幅に多くなっています。死体だらけの重苦しい雰囲気の街は、まるで黒いモノリスで建設されているかのようです。

ブルー Blue 2421 B443487-C 高技・非工・貧困 G Na
 ブルーはかつては豊かな世界で、「旧帝国の宝石」の一つと言われていました。しかし数世紀を経て、惑星上の全ての採掘可能な資源は掘り尽くされてしまいました。現在では、静かで過疎化した世界となっています。
 ブルーの人々は偏狭的で、めったに旅をしません。そして宗教と芸術について熟考することを好みます。
 噂では、秘密の超能力研究所がブルーのどこかにあるのではないかと言われています。

ヒルファー Hilfer 2424 BA5077A-6 砂漠・貧困 Na
 熱い砂漠世界であるヒルファーは、かつてはドリナックス王国の一部でした。反乱の代償でヒルファーは水資源開発技術を維持できなくなり、砂に苦しめられています。
(※氷の小惑星を宇宙船で牽引してくれば、随分と助かることでしょう)

パール Paal 2425 B564679-6 農業・肥沃・非工・富裕 G Na
 パールとドリナックス(2223)の提携は古くからのもので、この豊かな世界はかつてはドリナックスに生産物を供給していました。パールの王や貴族たちの多くは、今でもドリナックスの先進技術による産物(乗り物、贅沢品、医薬品など)を欲しています。


【ボーダーランド星域】 The Borderland subsector
 シンダル帝国時代を含め、第三帝国初期までほぼ手付かずだったこの星域は、帝国~アスラン間の通商ルート上という立地から、現在では帝国企業を中心とした開発が進んでいます。
 この星域には昔から、ミスジャンプの確率が高いという奇妙な噂がありますが…?


アルニシイル Arunisiir 2621 B776530-6 農業・肥沃・非工 G Na
 アルニシイルはイハテイ(※土地の継承権がないアスラン男性の集団)の襲撃を809年に受けました。首都を攻撃したアスランは、簡単に装備の不十分な軍隊を打ち破り、星系の支配権を握りました。しかし、他の街の制圧の際に、抵抗者の流れ弾がイハテイのリーダーを殺したのです。
 リーダー不在となった侵略軍は多数の派閥に分裂し、それぞれの集団は自らの勢力を維持するために人類と手を結ばざるを得ませんでした。アスラン戦士が兵士や側近として人類を雇い入れた結果、数世代の後にはアスランは指導者や技術者に「追いやられ」、側近が領地を効果的に運営していました。
 現在、アルニシイルには数家のアスラン一族が残っていて、象徴上の指導者としてちやほやされています。なお、アスランが自身の技術力を保持できたため、アルニシイルは限定的ですがTL12の装備を生産することができます。
 一方、アルニシイルでは革命勢力として人民連盟(People's League)が活発に活動を行っています。侵入者を外世界に追い出そうとする人民連盟は、アスランよりもむしろ執政者である人類と対立しています。

テックワールド Tech-World 2624 A455154-F 高技・低人・非工 Cs
 初期のソロマニ人入植地であったこの星系は、シンダル帝国の懲罰艦隊によって破壊されました。以後、ボーダーランド星域経由での帝国~アスラン領間の交易を促すためにジェデコがここの宇宙港建設に投資するまで、世界は何百年もの間無人でした。
 建設費用を下げるため、ジェデコは先進技術星系であるノイマン(トロージャン・リーチ宙域 3105)の背教者と契約を結びました。当時ノイマンは宇宙最高水準の技術力を持っていましたが、その使用は地元政府である庇護教会(Shield Church)によって厳しく制限されていました。背教者たちは己の技術力を自由に使える新世界と資金を欲していて、ジェデコの依頼を引き受けたのです。
 テックワールドの「人間の」人口は30人の科学者・技術者だけですが、彼ら以外に、分散型コンピュータによって制御されるロボットが100万台あり、さらに増え続けています。
 ナノテクノロジーやクローニング分野の帝国内では合法性が疑われるような実験も進んでいて、こういった種類の研究を行いたい科学者を惹きつけています。テックワールドは帝国属領ですが、こうした実験に制限がかからないよう、ジェデコは宇宙港の契約を盾に宙域政府に圧力をかけています。
 テックワールドの巨大な黒い卵型をした宇宙港は星域の中でも驚きの建築物です。宇宙港内部の壁はバイオプラスチックで出来ていて、交通量に応じて実際に稼働して、着陸床や格納庫を大きく小さく再構築することができます。あらゆる訪問客には案内ロボットが割り当てられ、セキュリティは遺伝子コードとの照合で確認されています。

エルゴ Ergo 2625 X767500-0 低技・農業・肥沃・非工 R G Na
 ここエルゴにて、ジェデコは大きな失敗をしました。
 800年頃のエルゴは、比較的繁栄したTL7の世界でした。原始的で偏狭的で封建的でしたが、この宙域の他の世界よりは安定していました。男爵会議(Council of Barons)は、初歩的な核兵器でシンダル星域からの海賊団をうまく追い払い、ジャンプ技術の開発実験さえ行っていました。
 ジェデコは802年に世界と接触し、宇宙港の建設に資金を提供すると申し出ました。男爵会議は提案に同意し、新しいAクラス宇宙港の建設に着手しました。しかし完成が近づくと、男爵たちは交易による税収のことでいさかいを始めました。論争は拡大し、会議は分裂して戦争に発展しました。最初の攻撃で宇宙港が破壊され、ジェデコは経由港を他の星(結果的に近隣のテックワールドに建設されました)に求めるしかなくなりました。
 エルゴの戦争は1世紀続き、住民の9割が核の冬による飢餓で死亡することで終わりました。
 現在のエルゴの文化的な地域は、宇宙港の廃墟を囲んでいる小さな集落だけです。そして、どうにか宇宙港を再建して星間交易で莫大な富を得ようと、いまだ夢想している無能な男爵会議によって統治されています。惑星の残りの部分には、放射能汚染された荒地と、人食い部族と、海賊基地が入り交じっています。

タニス Tanith 2721 A589342-B 低人・非工 G Na
 タニスは、人類には過ごしやすい密林世界です。この星には最近、アイルダム(トロージャン・リーチ宙域 3013)から長距離移民船で人々が移住してきました。
 惑星政府は、帝国に従属の申請を行っています。
(※アイルダムはドロイン世界ですが、移住してきたのはそこに住んでいた人類だと思われます)

アクリッド Acrid 2722 AAC1388-D 高技・低人・非工・非水 G Na
 アクリッドは、赤色巨星ブリテン(Briten)を周回するガス惑星ティック(Thick)の衛星です。惑星の平均気温は摂氏80度にもなり、人が居住できる所は限られています。現在主星から向きが逸れている北極圏だけが、快適な30度程度に落ち着いています。なお、ティックの公転周期は1845年にも及ぶため、この状態はあと300年間続きます。
 アクリッドはティックの周囲を124標準日で周回しています。そして1ヶ月間だけティックはブリテンからの光と熱を遮ります。その間、平均気温は10度まで下がり、塩酸が大気中から結露し始めます。この時期は惑星表面の7%が、点在する塩酸の湖となります。また冬は、アクリッドの生命体にとって繁殖の時期でもあります。彼らは塩酸を飲むために湖の周りに集まり、結ばれ、次の3ヶ月に備えます。
 人類は1037年に、塩化水素、銀、ランサナムなどの資源を求めて、アクリッドに入植しました。アスランとの通商路上にある軌道宇宙港には500人が、惑星唯一の都市である地上港周辺には300人が住んでいます(そのほとんどが独立鉱夫です)。そして、PRQ(Pax Rulin Quartermasters)社の子会社であるマインテック(Minetech)社の鉱山施設に400人がいます。
 一方でアクリッドは、ブロッチ(Blotches)という塩化炭化水素を基とした群小種族の故郷でもあります。以前から鉱夫が地下坑道で時折ブロッチと遭遇はしていましたが、知的生命だと判ったのは1073年になってからです。
 ブロッチは体重35kgほどの、自在に形を変えられる半透明の軟体生物で(最小で直径1mほどの球体になれます)、体内の電気信号の明滅で会話を行います(この電気は身を守るためにも使います)。また、非常事態やグループ討論の際には「集団溶融」と呼ばれる行為で文字通り一つの生命体となり、知識や技能の共有を行って決定を下します(また集団溶融は繁殖の際にも行われます)。このため、穏やかで好奇心旺盛なブロッチの知的水準は非常に高く、TL15の科学技術も理解可能です。ただし彼らは本当に必要な物しか作らないので、製品のほとんどはTL7程度です。
 ブロッチの総人口は35000人ほどで、赤道地帯のトンネルと地下ドームの複合体に、50~100人程度の集団で住んでいます。集団同士の間には「大使」が絶えず旅をしていて、集団の知識を溶融で得て、他の集団に広めて回っています。そのため、ブロッチ社会には専門家という概念がありません。さらに個々のブロッチには名前すらありません(集団には名称があるようです)。
 人類とブロッチは、科学研究の時以外はお互いにほとんど接触がありません(翻訳機はありますがまだ不完全です)。しかしマインテックの活動が環境に有害であると判明したため、同社の施設周辺では摩擦が起きています。
 PRQ社は、その名の通り本社をパクス・ルーリン(トロージャン・リーチ宙域 2204)に置く宙域規模企業です。パクス・ルーリン海軍基地の一部門から内戦後に独立したPRQ社は、今でも帝国海軍と密接な関係があります。
 現在PRQ社は、パクス・ルーリン星域だけでなく、アスランやフローリア方面通商路でも交易を行っています。同社の大部分の乗組員は海軍出身であり、船は常に重装備であるので、海賊行為が横行する宙域では高い評価を得ています。

イヌリン Inurin 2724 E668776-5 低技・農業・肥沃・富裕 G Na
 イヌリンは、豊富な鉱物の鉱脈と肥沃な農地を持つ、恵まれた地球型世界です。(シンダル時代に入植した)住民は、ジャンプ旅行が人の魂を盗むと主張する奇妙な宗教に従っていて、「悪魔に取り憑かれた」来訪者を相手にしたがりません。
 彼らの信仰のもう一つの拠り所は、サルナ(Sarna)と呼ばれる幻覚を引き起こすキノコの使用です。サルナの生産は、外世界人嫌いの聖職者によって厳しく管理されています。

ファルコン Falcon 2725 A158448-D 高技・非工 G Na
 採掘された小惑星であるファルコンの歴史は、ソロマニ人の拡大期(つまり第二帝国時代)まで遡ります。ファルコンの住民は、自らが住む小天体の収容力への負荷を考慮して厳しい人口抑制を実践しています。
 幾多の世代を経て、ファルコンの人々は土着の細菌や病原菌に依存するようになったため、外世界に旅行する際には対面用スーツ(encounter suits)を着用しなくてはなりません。逆に外世界からの訪問客はファルコンの環境に直接触れることは許されないので、小惑星に小さな専用区画が用意されています。

コルダン Cordan 2821 A895347-9 低人・肥沃・非工 G Na
 コルダンは豊かな生態系と肥沃な農地を持つ、原始のままの緑豊かな惑星です。ここはアルニシイル(2621)の従属世界でしたが、本星がアスランに征服されて以降、現在は領主たちが独自に治めています。そして帝国との取り決めにより、宇宙港を稼働させ続ける限り帝国の潜在的な支援を受けられることになっています。
 コルダンは帝国の通商路上にある、ジェデコの中継拠点でもあります。惑星上で唯一の入植地は宇宙港周辺にあります。コルダンはかつては非常に多くの人口を抱えていましたが、(※おそらくアスランの)侵略以降は人口が激減しています。

エグゼ Exe 2823 B300101-A 真空・低人・非工 G Na
 ジェデコが所有しているエグゼ・ステーションは、ボーダーランドにぽつんと浮かぶ小さな燃料補給基地です。ステーションのほとんどは自動化されていて、従業員は地元のガスジャイアントから補給用の燃料を補充する以外することがありません。そしてそれすら自動化が進んでいて、彼らは非常に退屈しています。
 そんな彼らに数千クレジットでも渡せば、皆から様々な便宜を図ってもらえることでしょう(※全員を買収するのに数千クレジットしかかからない、ということです)。

スペルレ Sperle 2824 BA8A76A-7 海洋・富裕 Na
 この星は「スペルレクジラ(Sperle Whales)」と名付けられた巨大なアメーバ群体で知られています。そしてそれは、価値ある生化学物質に加工されます。
 ジェデコはスペルレクジラの加工工場に投資し、同時に地元政府への影響力も行使しています。

ウメミイ Umemii 2921 C521877-6 非農・貧困 G Na
 帝国の貿易商人の迂回航路上にあるウメミイは、乾き切った世界です。街は南極近辺の茶色い塩湖周辺に集まっています。
 ウメミイ社会には、年齢を基準としたとても厳格な身分制が布かれています(※50歳以上の者は誰でも社会身分度が2に低下します)。


(※今回の通商路図、および文章の一部は、公式の設定を基に推測などを加えて記述を行いました)

 文中に再三出てくる「フローリア連盟」についてはこちらを参照してください。


【参考文献】
・Adventure 4: Leviathan (Game Designers' Workshop)
・Pirates of Drinax (Mongoose Publishing)
・Alien Module 1: Aslan (Mongoose Publishing)
・Third Imperium Fanzine #1,#2,#4 (Mike Jackson)
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その他
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