宇宙の歩き方

The Astrogators' Guide to the Charted Space.

宙域散歩(11) ヴィラニ・メイン4 シイグス・プリデン星域付近

2012-08-31 | Traveller
 ヴィラニ・メインを行く旅も4回目。今回はリシュン宙域方面へと向かいます。
 リシュン宙域も公式資料は乏しく(宙域の歴史や、なぜ宙域首都がリシュンではなくテファニーなのかも不明です)、グランドツアーの「幻の」第6話(なぜかこの話は日本語化されずに飛ばされてしまいました)の舞台となったシュナ星域は、ヴィラニ・メイン上にありながら中央を裂溝が走り、ジャンプ-2でもかなり行動が制限されるというかなりトリッキーな地理をしていますし、第7話のマショニア星域はそもそもヴィラニ・メインではない、ということで、変則的ではありますが、今回はシナリオ『The Flaming Eye』の舞台であるプリデン星域と、そこに隣接するシイグス星域(ヴランド宙域)付近を紹介します。


 星域図上の1つの星系を除いて、全てヴィラニ・メインに属しており、全星系が帝国の傘下にあります。メインは星域図の0216で切れてしまっているように見えますが、実際には隣接する2星系を経て接続されています。
 ヴィラニ・メインは、この図の端のラルカルダ星系(リシュン宙域 0712)から更に6星系を経たアノクパッド星系(同 1209)で、リシュン方面の一つの終点を迎えます。
 (反乱が起きた時間軸の)1120年代には、新ジル・シルカとルカン帝国とヴァルグル侵略軍の三つ巴のまさに最前線となるこの地域ですが、1105年時点では国境からやや離れていることもあって平穏そのものです。
 なお、意外にもこの地域はヴィラニ文化圏には属していません。


【ヴランド宙域】 Vland Sector
アアンシ Aanshi 2713 BA8A997-B S 海洋・高人 G Im
 氷の世界であるアアンシには、瓶詰め飲料水の販売、製氷業、蒸留酒製造で有名なアアンシ・コーポレーションの本社があります。
 かつてのヴィラニ人は、この星が実は宝の山であることを理解しませんでした。氷結した世界自体が住民を裕福にすることが知られるまでには、ソロマニ人企業家がやって来るのを待たねばなりませんでした。
 水を求める人々は、セント・ジョージ(ヴランド宙域 2616)、ミメール(同 2914)、ルーレ(同 3011)、アムヌクン(同 3212)、アンシン(同 2412)で数百億人はいて、さらにアアンシの氷から水を作り出して市場に流通させるのは容易なことでした。
 飲料水が贅沢品とは思われていない世界に向けても、アアンシ産の蒸留酒(ウォッカ、ジン、シュクウシュ、ウエクファーサル)を嗜好品として市場に流しており、売れ行きも良好です。
 偵察局基地は、主に新人を海氷の危険に対処するための訓練所として利用されています。ちなみにアアンシ基地に着任することは、局員の間で人気があるようです。
(※おそらくシュクウシュ(shukuush)はヴィラニの、ウエクファーサル(uekhfarsal)はヴァルグルの酒の種類ではないかと思います)

ナアルキン Naalkin 2911 D555565-9 農業・肥沃・非工 G Im ジルンカリイシュが管理
 元々は農業企業によって開発されていましたが、その企業の未払い債務のために、マキドカルンによってジルンカリイシュに売却されました。
 惑星の知事は、住民を直接管理するよりも活動を監督するために任命され、その地位には権力が伴っていません。全ての決定は、知事の報告に基づいて本社でなされています。

ダマコ Damakho 2912 A998574-D 高技・農業・肥沃・非工 G Im
 -7000年頃に最初に訪れたヴィラニ人は、この星の海中には動植物が豊富な一方で、陸地には原始的な藻しか繁殖していないことを知りました。
 海中に知的種族はいませんが、興味深い生き物がいます。掃除屋(死肉を漁る生物)の青緑色のアメーバは、葉緑素とは全く異なる機能をした色素を持っています。悪天候で稲妻が落ちると、銅をベースとする色素は静電気を集め、それが満たされると、アメーバたちは一ヶ所に集まります。そして繊毛を絡み合わせてつる状のものを作り上げ、蓄えた電気で魚をショック死させて、自分たちが住む浅瀬の餌場を豊かにしているのです。
 重鉱物を含むダマコの海から立ち上る、やはり鉱物を含んだ霧によって大気は汚染されていて、入植者の呼吸管を刺激しています。ただしブワップ(Bwaps)にとってはダマコの湿気の多い環境は好ましいため、彼らはダマコの陸上の住民の大半を占めています。また、世界の住民の3分の2は、海霧を避けて惑星表面の上空に浮かぶ反重力都市に居住しています。
 ダマコの海はあらゆる鉱物の豊かな源です。そして野生の海中植物は珍味として重宝されています。ダマコの収穫民(Harvester)は、鉱物や植物を求めて海底を何週間も徹底的に捜索できるだけの意思を持った人々です。その収穫民の文化は、いくつかの興味深い儀式を作り出しました。例えば、彼らは結婚するまで歌うことを禁じられます。また、収穫民になるには、老いも若きも誰でも結婚していなくてはならず、新婚の最初の1年は配偶者と2人きりで特別に用意された狭い空間(4キロリットル程度)に閉じ込められます。見習い収穫民がこの試練を乗り切れれば、彼と彼の配偶者は収穫民の仲間として加わることが認められます。なお、この儀式は再婚するたびに繰り返されます。
 ブワップは、マーハバン(エンプティ・クォーター宙域 0425)出身の群小種族で、その外見から人類からは「イモリ人(Newts)」と呼ばれることもあります。第一帝国時代にヴィラニ人の傘下に入ったブワップは、精神的特性から優秀な官僚や研究者として、現在でも宇宙各地で重用されています。彼らは湿度98%未満でも不快と感じるほど乾燥が苦手なため、外では内部を水が流れる特殊な衣服を着用し、ブワップの代名詞である湿った布を常に頭からかけています。なおブワップとは略称で、正確にはバワップカーワ・アア・アワパワブ(Bawapakerwa-AA-awapawab)と称します。

ミメール Mimere 2914 B9B6999-C NS 高人・高技・非水 Im
 アンモニアとメタンの大気に覆われた冷たい世界であるミメールに、約50億人もの人々が住んでいることは驚きであるかもしません。
 ここの小惑星帯には、ニッケル鉄や他の貴金属やランサナム(ランタン)を含む小惑星が大量に存在します。それでも小惑星帯は「人類の支配」期まではあまり開発されませんでした。
 フランス系のソロマニ人移民は、その名前に引き寄せられてか(※Ma mereはフランス語で「私の母」を意味します)、元々いたヴィラニ人入植者たちと張り合いつつも、この地に落ち着きました。現在でもこの星系のフランス系人口はかなりのもので、彼らのコミュニティは先祖から受け継いだ遺産を誇りに思っています。
 ガスジャイアントが星系内に無いため、ここでは大気から燃料を採取しています。ただし豊富なアンモニアを含む大気組成の関係で、その価格は標準の3倍程度はしてしまいます。

シシャルディン Shishaldin 3008 D320652-A S 砂漠・非工・非農・貧困 G Im
 鉱業世界であるシシャルディンの大気汚染は、重金属を含む塵によるものです。呼吸にはフィルタ付きの防塵マスク(Respirator, 目も防護するタイプのマスク)が必要です。
 モリブデン、カドミウム、亜鉛、パラジウムなどの金属を輸出して栄えているこの世界は、数人の君主が支配しています。それぞれの君主は、(好景気ゆえに)忠誠を誓っている家臣たちを従えています。
 小国分裂状態のようなこの星を見て、外世界の人はスパイ合戦や戦争が当たり前のように思うかもしれませんが、逆にそれは珍しいことです。最後の世界的な暴力の発生は853年のことであり、913年に偵察局基地が建設されると、たまに小さな衝突が起こるだけとなりました。ここの偵察局基地の指揮官は、論争の仲介人役を勤めています。
 また偵察局は、寒冷地や砂漠に適応する訓練をここで実施しています。

ザアン Zaan 3014 C557362-8 S 低人・肥沃・非工 G Im 偵察局基地が管理
 酷暑の昼、極寒の夜を繰り返す、ザアンの日々の極端な温度の揺れは、この星を偵察局の新人の理想的な訓練所としました。入植には向いていないにも関わらず、基地職員の需要に応じて、基地の付近に小さな町が建設されました。
 正式な政府はありませんが、住民たちは偵察局基地に治安確保と紛争の解決を頼っています。

カラヌウ Kalanuu 3111 D754444-7 肥沃・非工 G Im
 ボーキサイト、石灰石、石英、苦灰石(Dolomite, 白雲石とも)、石膏、バリウム・マグネシウム混合物などを輸出する鉱業世界です。
 この世界の海は、主星の活動により1000年間で35%減少しました。海が後退したため、経済価値のある無数の鉱物や塩類を得ることができるようになったのです。

サルディア Sardia 3208 D236554-B 非工 G Im
 サルディア星系は、第一帝国のヴィラニ人には「ほとんど価値のない星系」と見られて敬遠され、第二帝国の宇宙旅行者も同様に無視しました。第三帝国初期に、時折この星系の2つのガスジャイアントで燃料補給を行っていたことから、帝国海軍は星系内に関係施設を建設しました。現在、登録された住民のほとんどは、様々な海軍施設に付随した、多数の軌道ステーションに居住しています。
 惑星サルディアは、K6III型の主星から200AU(約30兆km)も離れた軌道を周回しています。この約1200標準年もある膨大な公転周期は、サルディアが第三帝国の建国からまだ1周も周りきっていないことを意味します。サルディアの地表は、日中は20度程度になり快適ですが、一旦夜が来ると温度は一気に-200度にまで低下し、夜側の惑星上の水分を全て凍結させます。また、極地地方では絶対零度に近くなるほどに寒くなります。
 様々な民間人が地表の入植地(多くは地下にいます)で、金属や鉱石を地殻から採掘することに従事しています。世界の治安レベルはさほど高くはないように見えますが、外世界人がたまたま法律違反を犯すと、その罰は非常に厳しいものがあります。例えば、肩を露出すること(現地では淫らであると考えられます)に対する刑罰は、過酷な鞭打ち刑です。サルディアは、肉体に罰を与える傾向のある星として有名で、もちろんそれには死刑も含まれます。

ヴェッピム Veppim 3209 E684424-9 肥沃・非工 G Im
 かつてヴィラニ人は、このヴェッピムで奇妙な動植物たちを発見しましたが、知的生命は見つかりませんでした。世界はかなり快適な環境ですが、土着の生命体の多くは人間を捕食するか有毒かのどちらかでした。
 この理由から、ヴェッピムは植民地にするには理想的ではない所でした。実際、かつて建設された2つの入植地はここの生物によって一掃され、第3の入植地は何とか地元の生物を克服できたものの、暗黒時代を生き延びることができませんでした。
 第三帝国時代での最初の入植地も同じ運命を辿りましたが、第2の入植地は生き残って、現在まで保たれています。
 ヴェッピムの住民は、絶え間ない戦いこそが真の人生である、と主張します。彼らは可能な限り低技術水準で生活することを好み、宇宙船の着陸地点に着陸用ビーコンで印を付ける以上に拡張することも拒否します。
 しかし、たとえ宇宙港の評価が低くても、この世界は農産物や農業製品の活発な取引を行なっています。
 外世界人は、あまり地元住民に高技術の産品を見せないよう注意すべきです。特にヴェッピムではロボットの使用は禁忌で、確実に住民の怒りを買います。場合によっては、犯罪者よけに飼われている危険な固有種をけしかけられる恐れがあります。
 またヴェッピムの食用植物は、大部分の地元住民の髪や爪の色を黄緑や緑がかった青に変えた原因となっています。

アミー Ami 3213 E567400-9 肥沃・非工 G Im
 アミーは、かつてのテラグラ・ベンチャーズ社(TerrAgra Ventures)のCEOであったアレン・シュミットの孫娘の名前から付けられました。彼は植物学の研究に熱心であった孫のために、この惑星を購入したのです。
 このような緑豊かな星が農業のために開発されたり、そもそも植民されていなかったことに疑問を持たれるかもしれません。実は、ジル・シルカ(第一帝国)拡張期の探査で、この星系は誤って「極薄大気」と記録されていたのです。それ以来この星系は敬遠されるようになり、700年代にアレン・シュミットが購入するまで手付かずのままとなったのです。
 アミー・シュミットが贈り物を受け取ると、彼女は個人的な自然保護区を作ろうとしました。帝国保護星系に応募する道もありましたが、彼女は帝国の補助金を受け取らない代わりに、この星に対する帝国政府の干渉を無視できる自立の道を選びました。
 この星では彼女の言葉は法となり、公式な政府機関は設立されませんでした。しかし彼女は、人間の活動がこの星に対する生態学的影響を最低限にする法律以外は、何も制定しませんでした。
 何世紀もの間、抗老化学とクローニング技術は、この世界を「アミー・シュミット」の手の中に保ち続けました。「現在の」アミーの体がもはや自身を支えられなくなった場合は、彼女は自分自身を死なせて、この世界をクローンの相続人に引き渡します。代々の「アミー・シュミット」は、同じ形質と理念を持ってこの世界を管理しました。
 アミーは自然環境の維持を重視しているので、人口は増えはしたものの、自然増と限定された出入国管理により22000人程度です。宇宙港施設の欠如は、交通を妨げ、企業家の来訪を抑止しています。
 この世界の収益は、研究成果の販売や絶滅の危機にある種の保護によって得られていて、これらの収益はこの星では得られない物品の購入に充てられています。
(※帝国ではクローニングによる子孫を(丁寧な表現で)「真の息子/娘(True-son/daughter)」と言いますが、ここまで大っぴらになっているのは珍しいかもしれません)

クニッマム Khunimmam 3214 E9B7200-6 低人・非工・非水 G Im
 クニッマムは窒素、メタン、アンモニアの混合大気に包まれた寒冷の世界で、水酸化アンモニウムの海が惑星の大部分を覆っています。
 世界は当初シイシュネシュケ社(Shiisuneshkhe)によって所有されましたが、統合戦争(-5400年~-4045年)の間にナアシルカに譲渡されました。天然のアンモニア工場として利用はされていましたが、当時の市場からはほとんど関心を持たれませんでした。
 第二帝国の時代になって、ヴィラニ3部局が己の資産を投げ出すことを強いられた際、クニッマムは惜しまれずに放出されました。
 現在、小さな商人のグループが、タンクにアンモニアを吸い上げて、近隣世界の企業に原料を売って生計を立てています。

シャイア Shaia 3215 B64A998-F 海洋・工業・高技・高人 Im
 第一帝国の間、ここにはヴィラニ人の気を引くものが何もありませんでした。世界は寒冷で、わずかな陸地しかなく、利用可能な資源を探すための投資額は、他の有望そうな惑星と比べれば、とても割りに合いそうには見えませんでした。交通の便の良さにも関わらず、小惑星帯すら無視されました。
 しかし全ては、3000年前の小惑星衝突で変わりました。衝突は氷と水を蒸発させ、何十年も人を立ち入らせない雲の帯の惑星へと姿を変えました。地殻は所々で弱まり、吹き出したマグマはいくつかの大きな火山島を水中の台地から作り上げました。現在、惑星表面の3%がそうなっています。
 新世界が入植地の建設を許すほどに涼しくなるには、何世紀も必要でした。第三帝国が誕生した頃には、ようやくその準備ができました。「シャイア」は、星系を再発見した帝国の探査隊の1人の名前だと考えられています。
 その探査隊が到着した頃は火山活動によりまだ暖かかったこの惑星ですが、今ではずいぶんと涼しくなりました。鉱業会社は簡単に採取できる鉱物資源を求めてこの世界に進出し、工業産業もすぐに後に続きました。「中立の」政府が開発を管理するために設立されましたが、大して役には立ちませんでした。
 最初の入植地こそ火山島に建設されましたが、以後の開発は沖合いで行われました。人口が増えたため、高度集中型の都会暮らしを送るために浅瀬の海に巨大なプラットホームによる人工島が建設されました。技術が進むにつれ、水中や空中、軌道上にも、仕事を求めて流入してくる移民に対応するために都市が作られ続けました。
 人間の活動によって出た、放射熱を発する不凍液に似た特性の廃水が、海から氷をなくしつつあります。これがシャイアの生物圏に与える影響は、まだ研究されていません。


【リシュン宙域】 Lishun Sector
ジェシカラ Jesikara 0110 A798895-F S 高技・肥沃 G Im
 知的種族ジシア(J'sia)の母星である第4惑星ジェシカラ(現地語で「生命の樹」)の地表は、島が点在する浅い海で覆われていて、多くの活火山や広大な沼地、密生したジャングルがあります。惑星の濃厚な大気には硫黄やメタンや火山灰が含まれており、焦げた腐卵のような匂いがします。ジシア以外の種族が呼吸するには、フィルタ付きのマスクが必要です(※ジェシカラには2万人の人類が居住しています)。
 大部分のジシアは、人口1千~1万人程度の小さな街ごとに生活しています。それぞれの街は、公共施設群(産卵センターを含む)を中心にし、そこを居住区が囲み、最外周にロボット化農場や工業コンビナートが置かれる同心円状の構造をしています。木々や花々は丁寧に管理されており、上から見れば街全体がまるで人工的な庭園の趣があります。これらは夜の間に様々な多触手型ロボットによって手入れがなされています。
 多くの建物は高さ1~2階程度の多面体ドームで、開花した(もしくは発光する)つる草で覆われています。内外部の壁は半透明のプラスティグラス(plastiglass)製で、窓はありませんが、ルーム・コンピュータの制御で透明化することができます。扉はアイリス・バルブ状です。ジシアは椅子や寝台を使わず、棚やスクリーンも全て床や壁や天井に格納できるよう作られています。またジシアは歩行よりも水泳を好むため、大部分の建物同士は地下水路で結ばれ、彼らは高速移動経路として用いています。
(※『Atlas of Imperium』には偵察局基地が記載されていないため、第二期探査(1065年)以降に基地が建設された、と解釈すべきでしょう。また、GURPS版資料ではジシア人口は「12億人」となっていますが、1120年までに人口が億人単位で増えないと『Atlas of Imperium』の記述(高人口世界ではない)と矛盾してしまうため、なるべく近い人口コードである「8」を採用しました)
 沼地に住んでいた水陸両生の雑食動物から進化したジシアは、全長6mほどの紫色の芋虫のような知的生命で、3つの大きな目と、先端にある口の周囲に3本の触手を持ちます。-5460年にヴィラニ人と接触した彼らは(接触当時には星系内航行を実現していました)、現在では科学者や貿易商人として帝国各地で知られています。彼らは穏やかで平和的な種族ですが、その大きな体は良くも悪くも相手に威圧感を与えてしまいます。ジシアは声と触手で会話を行いますが、それはまるでドラムとホーンを酔って奏でたようなでたらめな音楽に聞こえます。そのため、ジシアではない者が彼らと会話するには翻訳機かシンセサイザーが必要です。ちなみに、ジシアは第三帝国に最初に加盟した非人類の知的種族です。

ヴァカダ Vakada 0112 B100000-D S 高技・真空・低人・非工 Im
 ヴァカダは帝国偵察局の訓練惑星です。訓練生は、ここで真空と低重力に対処する方法を徹底的に学びます。
 遠軌道上にある基地の必需品は、隣接するゼムッド星系(リシュン宙域 0210)から運ばれます。そして過酷なヴァカダに住む教官たちに、ひとときの癒しと安らぎを与えます。

ウミリカ Umilikha 0210 B7A5344-B W 低人・非工・非水 G Im
 ウミリカの溶鉱炉のような環境は、第一帝国や第二帝国の間この星が無視される理由となりました。実際、ウミリカとはヴィラニ語で「溶岩惑星」という意味です。表面温度は600度に達し、海は塩水の代わりにマグマで満たされています。
 しかしウミリカには、多くの価値ある鉱物(アルミニウム、銅、銀、金、鉛、マンガン、水銀、ニッケル、カリウム、ルビジウム、ストロンチウム、スズ、ウラン、亜鉛)が豊富です。惑星の高い表面温度は、これらの金属が溶融もしくは溶融寸前の状態であることを意味します。また600度でもまだ硬い金属でも、わずかな追加エネルギーで精錬することが可能です。
 地表から数百メートル地下は、人間が居住できるほどに涼しくなっていて、そこでウミリカの富が生み出されています。約7000人ほどの住民が、南極点付近の惑星唯一の大きな地下施設で生活を送っています。
 ウミリカの技術水準はやや遅れており、施設の先端技術は、積極的な外世界との取引で維持されています。近年、ウミリカの住民は、地表の環境に耐える特殊なロボットの実験を開始していて、これがうまくいけば、ウミリカはTL12に進歩するでしょう。

カソ Kaso 0214 B200951-F 工業・高技・高人・真空・非農 G Im
 カソの理想的な黄色の主星は、この星系をヴィラニ人の初期探査の優先順位で上位に置かせました。長距離望遠鏡がこの星系へと通ずるヴィラニ・メインの近隣星系を速やかに調査し、探査者がこの星へと押し寄せました。しかし彼らの希望は、空気のない惑星によって挫かれました。
 ジャンプ・ドライブが実用化された後、星系内の調査は一応行われ、小規模な採掘活動が開始されました。ガスジャイアントからすくい取られた水素は燃料に精製されて、ガスジャイアントが無かったり、彗星や氷の天体を簡単に得られない星系に売られました。
 当時のジル・シルカ(第一帝国)には、変化以外の敵はありませんでした。発展というものは、帝国の統制経済で対処可能な水準に保たれました。カソの人々は生計を立てることはできましたが、成功することはできませんでした。
 しかし帝国の崩壊により一旦技術規制が取り払われると、シルバーリング星系(リシュン宙域 0414)の宇宙鉱夫やプリデン星系(同 0316)の海中農民との間に、経済協力関係が築かれました。窮屈な第一帝国の最後の残滓は、無政府的資本主義者(anarcho-capitalists)のいくつかの集団によって掃き出されました。
 これらの集団は、共同出資して重工業産業に投資しました。汚染されて困る自然がないため、彼らは製造業でいくらでも「汚す」ことができました。得られた利益は、彼らの技術水準や生産能力を高めるための研究開発に注ぎ込まれました。
 好況は、低技術労働者から様々な科学の専門家まで、様々な移民を惹きつけました。カソの人々は、ジル・シルカが自分たちを文化的に窒息させていたと思っており、その反動からか、経済的自由は社会・政治的自由に結びつきました。当初は完全な無秩序でしたが、それでは社会が機能しないとわかったので、一般市民と会社の権利と責任を記載した憲章を起草しました。また極めて少ないながらも、民衆の活動を制限する法律も制定されました。
 ここを初めて訪れる人は、誰もが武装して歩き回っていることに驚いてしまいます。しかしここは、古いソロマニ語の言い回しである「西部の荒野(Wild West)」とは正反対です。「自分も生き、他者も生かす(※持ちつ持たれつ)」という哲学は、住民の行動から司法制度にまで行き届いています。事実、凶悪犯が獲物を襲うのは簡単ではなく、自警団員が犯罪の発生を最低限に抑えています。
 結果として、ここは自由主義者の天国となりました。
(※「無政府」といっても政府を打倒して無秩序を目指すのではなく、個人の自由を最大限に発揮するために「究極の小さな政府」という意味での無政府を目指す思想のことです)

ポポック Popok 0311 A87A79B-C 海洋・高技 G Im
 表記上はポポックは海洋世界ですが、75.5度という地軸の傾きにより、その地表は極端な様相を見せます。23.5日周期でガスジャイアントの周囲をを回っているポポックでは、片方の半球の表面の水分が9日間かけて沸騰して11日に1回蒸気の雲を作り、海底であった場所に日に焼けた砂漠を残します。この時の大気温度は118度にも達します。やがて激しい暴風雨が干からびた海底に降り注ぎ、水蒸気の滝が気温を落とします。雨は3~4日かけて浅い海底を海になるまで満たします。半球はやがてガスジャイアントの影に入って夜に移行します。そして2~3日間かけて海は凍りつき、気温は-50度にまで低下します。そして夜が過ぎれば、凍った海は液体へと戻り、また灼熱の時期がやって来るのです。
 一方で、常に日の当たらない逆側の半球は固く凍結しています。赤道付近では35時間周期で昼と夜を繰り返しながら、液体の水の状態を保っています。
 ポポックの生命体は、微生物もしくはそれ以前の形をしています。これらの生物は寒冷期の間に冬眠状態になり、灼熱期の間に蒸気のような大気中で覚醒します。
 ポポックの過酷な環境に対処する技術が確立された400年ほど前から、この星には入植が始まりました。地元住民は主に、比較的安定した気候の赤道地方にある、巨大な鎖で繋がれた浮遊都市に居住しています。

ハールン Hrun 0312 C5169C7-D S 工業・高技・高人・氷結 G Im
 ハールンは第三帝国時代初期に、豊富なイリジウムの鉱脈が地殻深くに発見されたことにより入植されました。イリジウム採掘業に加えて、ハールンは高品質な工業ロボット用ソフトウェアによって、近年有名になりました。
 ソフトを開発している科学者たちは、その秘密を固く守っています。ロボット工学に携わる全ての科学者は、秘密結社に属することを求められ、そして秘密を漏らした科学者は、どんな者でも死刑に処されるからです。
 ハールンは生命居住可能領域(habitable zone)に位置していますが、世界には極薄い大気と、氷原に閉じ込められた水界しかありません。中緯度帯に夏が訪れると、氷の多くは空気中に昇華し、視界を遮る不気味な「煙」の光景を作り上げます。そして黄昏時になると水蒸気は速やかに凍り、数分間、きらめく氷結晶の素晴らしいシャワーと化します。夏の氷原での日常的なその光景は、かつてのヴィラニ人探検家に深い感銘を与え、その現象にディイメシュカ(diimeshkha)、星々を再建する神の名を付けさせました。

プラッドマン Pradman 0411 B6A587A-B 非水 A Im
 プラッドマンは「人類の支配」の時代の-2200年頃に、惑星改造(テラフォーミング)の実験地として入植されました。それから数世紀の間、惑星の大気は呼吸に適した形に人工的に改善されていきました。数千人が新しく「テラ化」された世界に移住しました。
 しかし暗黒時代になると、プラッドマンの新しい、改善された環境は自立するには十分ではなかったため、1700年間かけてゆっくりと、惑星改造前と同じくらい、もしくはもっと悪い方向に環境は戻ってしまいました。
 その後第三帝国の偵察局は、驚くべきことに、この星に繁栄したローテクの文化を発見しました。住民は何とか洗練された化学製品を開発することができ、世界の敵対的な環境から身を守れました。また住民は、この環境に適応するために、現在もいまだに古代から伝わる技術を使い続けています。
 地元住民は長期間無防備でこの自然環境で生きることができるようにまでなっており、科学者は彼らが数千年後には新たな人類の一種族になるであろうと、コンピュータ・シミュレーションで予測しています。
 プラッドマン星系は2つの大国、プラッドマンとウォーニック(Warnic)に分かれています。ウォーニックは数世紀前では犯罪者の群れでしかありませんでしたが、今ではプラッドマンに匹敵する主権国家の形を取るほどになっています。両者による国境紛争は恒常的であり、世界の不安定な政治情勢により、星系全体がアンバーゾーンに指定されています。

オルニー Olny 0412 A569964-F 高技・高人 G Im シルバーリングの植民地
 オルニーは、歴史上のほとんどの期間をシルバーリング星系(リシュン宙域 0414)の植民地として記録されています。
 かつて、シルバーリング星系での採掘活動が活性化した後、そこから来たヴィラニ人は、当時アルニイ(Alnii)と呼ばれていたこの星系を入手しました。アルニイ産の植物は、その風味の良さに加えて、抗老化作用成分が含まれていたことで、ヴィラニ人の間で有名となりました。今の帝国の科学者が、オルニーの植物が抗老化薬(anagalhics)的な合成物の豊かな資源の宝庫であることを改めて突き止めた結果、抗老化産業はこの数世紀の間、オルニーで発展しました。
 風変わりで奇妙な文化は、オルニーで発達しました。抗老化合成物の入手の容易さから、社会は極端に若さというもの偶像化しています。また、抗老化薬の製造を専門とする科学者・技術者は、彼ら自身が従わなくてはならない複雑な規則に従わなくてはなりません。例えば、人前では必ず額を覆わなくてはならず、取引には正直に応じなくてはなりません。そして、遅刻は許されません。
 地方政府は、住民全体で法律を作り上げます。それぞれの市民は、1日に少なくとも1時間は立法活動に携わらなくてはなりません。

シルバーリング Silverring 0414 A000743-F N 高技・小惑・非農 Im
 この星系の名は、初期のヴィラニ人天文学者が、主星アドルザグディイマシュナ(Adruzagdiimashna)からの光が小惑星帯に反射した際にムシャ・イルダスニグ(musha irdasunig)のようであったことから名付けました。やがてソロマニ人が台頭してくると、星系名は翻訳されて現在の名称となりました。
 宇宙鉱夫は第一帝国が成立して以後からこの星系にいました。ヴィラニ・メインの中で、ガスジャイアントが星系内に無いにも関わらず、彼らの勇敢な魂は採掘での成功に導きました。彼らはその利益を浪費することはせず、共同出資してオルニー星系(リシュン宙域 0412)の権利を購入しました。
 その投資は何度も成果を上げました。最初は農産物の輸出で、続いて抗老化薬産業で、彼らの収入を押し上げました。多くの鉱夫は豊かになると早々に引退し、投資から得られる果実を堪能しました。しかし今では、2つの世界は文化的にも遠くなりました。
 シルバーリングは、ジル・シルカによる技術開発の抑制が取り払われると、カソやプリデンとの間に経済協力関係を築きました。小惑星帯から採掘される金属は原料として、これらの星系の成長産業に売られました。その見返りに、技術基盤を向上させるためにカソの知的財産権を購入できました。これらの関係は第三帝国期にはより密接なものとなり、繁栄した三者とも技術面で頂点に到達しました。
 シルバーリング人は、その繁栄を部外者から守るために法律を作りました。外交関係局(Department of Foreign Relations)は、ここに来た移民を(厄介払いするように)カソやオルニーで就職させることを仕事としています。一般的に、シルバーリングで仕事を得るには何枚もの推薦状を必要とし、失業手当はシルバーリング市民だけが受け取ることができます。

ギシンリドゥ Gishinridu 0513 C536333-A S 低人・非工 A Im
 ギシンリドゥ星系に小さな入植地が建設されたのはこの千年のことであり、ほとんどの時代ではここは寂れた星でした。
 現在、星系はアンバー・トラベルゾーンの指定がされています。1080年代末に、カ・ローザス(Ka-rosas)という宗派がギシンリドゥに新しい植民地を建設しました。彼らは近隣世界から活発に商品や旅行者を受け入れた一方で、宇宙の全ての「汚い異星人ども」は隔離されるべきである、というひどい人種差別的な方針を主張しました。彼らは「宇宙に治安を取り戻すため」に、ヴァルグルを定期的に生贄にすると噂されています。

ラシュラミナン Lashlaminan 0612 C595575-9 S 農業・肥沃・非工 A Im
 この星は、約7000年以上前にヴィラニ人が初めて訪れました。ヴィラニ人はそこで、自身をラス・ルミーヌム(Lass-lumminm)と呼ぶ群小種族を含む、現地の生命体と接触しました。
 ラス・ルミーヌムは非常に長命(一般的に300年は生きます)ですが、出生率は非常に低いです。ラシュラミナンの生物は皆、繁殖には死を伴います。そしてそれはラス・ルミーヌムも例外ではありません。また出産において、1万分の1の確率で双子もしくは突然変異を起こします。
 ラス・ルミーヌム独特の文化の関係で、ヴィラニ人はあまりうまく彼らとやっていけませんでした。彼らは個人の自由を非常に重んじ、誰でも己の欲求通りに振る舞うべきだと考えています。そして時として不正な行為もそれに含まれます。
 ヴィラニ人はラシュラミナンを「特別な交易のみ」を意味するアミイ(amii)に指定し、ほとんどこの世界を避けました。
 第三帝国は無人地域に大きな偵察局基地を建設し、世界をアンバー・トラベルゾーンに分類しました。ラス・ルミーヌムは外世界人と自由に取引しますが、彼らが自己の利益のためにはどのような行為でも良心の呵責を感じないことを忘れてはいけません。「バイヤーに気をつけろ」という言葉は、特にこの世界でどのような取引を行う際でも重要なことです。

ラルカルダ Larkarda 0712 B6A6764-C N 高技・非水 G Im ファゴが統治
 ラルカルダは「人類の支配」期に入植され、現地の植物は近隣の多くの世界にエキゾチックな飲食物を提供していましたが、暗黒時代が到来すると人口は最盛期の1割未満にまで減少しました。
 第三帝国の誕生後、ファゴ星系(リシュン宙域 0810)からの外世界人がラルカルダに群がりました。まもなく、ファゴはラルカルダの支配権を容易に掴み取りました。最初にこの星に降り立ったファゴ人から続く一族は、現在でもラルカルダで富と権力の多くを握り、広くて豪奢なドーム住居に住んでいます。10現地年(帝国標準時で約7.44年)に一度、星系で最も裕福な11人は、地方政府である「11人評議会」(the 11 judicial councils)のメンバーに選ばれます。
 ラルカルダ星系には、小さな海軍基地が置かれています。星系の一番奥の惑星は、軌道爆撃演習およびその研究のために使われていますが、この星系でのこれ以上の海軍の活動はわずかです。
 前世紀の間に、数百万人のヴァルグル難民が、ヴァルグル領内での海賊の激しい襲撃を避けるために、ラルカルダにやって来ました。ヴァルグルは、人類がもはや居住していなかった旧式住居の「保留地」に住んでいます。そこでは漏電や機材故障といった事故は日常的で、何千人ものヴァルグルが不幸にも亡くなりました。
 ラルカルダでは、あらゆる局面において値引き交渉が想定されます…あなたが軍人でなければ。軍関係者が値引きを求めることは不正であると思われているので、サービスを受けるためには最高の価格を常に出さなくてはなりません。

アプムデュルデュナ Apmudurduna 0714 B327634-9 非工 G Im
 アプムデュルデュナは小さな世界で、大気は惑星改造の結果得られました。「親」のガスジャイアントと「姉妹」の衛星が、凍りかかっている惑星表面の海を液体としておくのに十分な潮汐力を、赤色矮星の主星が乏しいながらも熱を提供しています。
 第一帝国の頃からその地表に定期的に小さな隕石を落とし、一時的ですが空気を産み出していました。しかし現在、大気圧は0.14気圧に低下し、平均気温も-57.2度になっていまい、あと30~40年以内に再び隕石を投下しなければ、大気は「微量(※UWPの大気コード1)」となってしまうでしょう。
 アプムデュルデュナ星系は、主に燃料補給用の短期滞在所、言わば恒星間パイロットのためのサービスステーションとして用いられています。恒星間交通を支える他に、星系内の4つのガスジャイアントに多数の衛星が周回しているため、鉱石採掘や揮発性物質の抽出・精製といった地場産業もあります。

(※今回のリシュン宙域の設定は、まず『Atlas of Imperium』を第一次資料とし、『The Flaming Eye』の足りない情報をSunbane版設定で補い、最後にGURPS版資料で「上書き」しました。そして私が独自に、設定が重複した0110の星系(GURPS版以外ではAshki)はデータが似ているダマコ星系であることにし、基地の情報が矛盾した部分は『Atlas of Imperium』と合致するように修正を施しました)


【付録:シイグス星域】 Shiigus Subsector
 以前紹介したアナルシ星域の端と今回のアアンシ星系とは4パーセクしか離れておらず、ヴィラニ・メインで接続されています。ついでにこの中間にある星系も紹介します。
 なお、シイグス星域の総人口は約1029億人で、最大人口はルーレの約800億人です。最大テクノロジーレベルはアムヌクンとシャイアの15です。全星系が帝国の傘下にあり、第216艦隊が警備を行っています。


イムジイヌン Imziinune 2512 B62737A-C N 高技・低人・非工 Im
 イムジイヌンは、平均気温-115度の非常に寒い荒地です。星系内の2つの小惑星帯の鉱物資源を得ようとしている宇宙鉱夫たちの拠点として、主要世界は用いられています。
 ガスジャイアントが星系内に無いため、イムジイヌンの凍った海は水素燃料の源となっていますが、価格は安くはありません(非精製燃料でも1トン500クレジットはします)。しかし驚くべきことに、帝国海軍は基地をこの星系に維持しています。地元経済には、海軍基地の存在によって助成金が支給されています。
 住民が7700人しかいない世界が小国分裂状態にあることは奇妙に見えますが、これは本当のことです。伝説によれば、それぞれの入植地は兄弟によって設立され、お互いに競争心を強く持っていました。お互いに優ろうとする彼らの努力は、やがて憎悪に高まり、彼らは子孫にもそれを受け継いでいきました。やがて戦争となり、世界の半分の住民が死んだ後、冷静な指導者が勝利した、と言われています。

シイグス Shiigus 2513 A2717CB-A N Im 星域首都
 星域首都は暑い、乾いた世界です。その貧相な海は高濃度の塩分で飽和状態です。厳格な水の配給とリサイクルが政府によって実施されています。海水の淡水化は最後の手段として用いられます。
 53時間半の自転周期により、昼は永遠に続くかのように思われ、逆に夜は長期間に渡る安心をもたらします。氷を他の星系から輸入する費用がひどく高くなければ、今頃はそうしていたでしょう。その代わりに、忠実に星域を管理する官僚やロビイストは、忠実に耐えています。
 地場産業は、一般的な鉱物の採掘による小さな鉱業から成っていて、経済は外世界からの資金の流れに頼っています。ヴランド宙域の中心部から遅れを取っているコアワード/トレイリング方面(※おそらくシートン星域)の事業を管轄するため、全てのヴィラニ系メガコーポレーションは事業所をこの星系に維持しています。

キミイ Kimii 2611 D403750-7 真空・非農・氷結 G Im
 当初は役に立たないと考えられていたこの星は、数千年の間無人でした。第三帝国の第一期探査(First Grand Survey)において、十分な遷移元素の存在が確認されて採掘活動のお墨付きとなりましたが、大半の企業は重力圏内での採掘よりもより楽な小惑星の捕獲を好み、この星に見向きもしませんでした。
 キミイセヌー社(Kimiisennu)がようやくこの地を買い上げ、社の名前をこの星に付けて、植民地を建設しました。ビジネスは数世紀の間順調でしたが、投資の失敗と重役の横領が重なり、997年に会社は倒産しました。採掘活動は中断され、資産は二束三文で売られました。経営陣は雲隠れし、労働者は不満を抱えながら解雇されました。世界は突如不況に落ち込みました。
 回復には長い時間がかかりましたが、その間にDIY(全て自分でやる)的な物の考え方は浸透しました。都市では、生きるためには何でもするようになりました。
 他の世界で違法な活動をしている者たちは、絶好の隠れ家をここに見つけました。皮肉なことに、闇の資金の流入が経済を活性化させたため、キミイ政府は目の前の現実から目を逸らし続けています。

セント・ジョージ St.George 2616 B7C59BB-D 高技・高人・非水 Im
 セント・ジョージの生態系の頂点に立つ動物といえば、もちろん「ドラゴン」でしょう。ドラゴンはトカゲのような外見をしていて、惑星の水素大気内で燃え出す液体を吐くことができます。
 独特の大気を克服する技術が開発されるまで、セント・ジョージは植民されませんでした。入植が始まったのは帝国暦360年のことです。入植者は当初、ドラゴンの類似には気づきませんでしたが、その中の一人に古代テラの伝承の専門家がいたことから判明しました。
 入植初期の非常に尊敬された指導者は、ほぼ独裁的な政権を築きましたが、現在のその後継者は人々の信頼を失っています。人々の間には動揺が広がっていて、現政権が崩壊するのは時間の問題と見られています。なお星系の住民の多くは、軌道上の複合体に居住しています。ここなら油断ならない水素大気から身を守れるからです。
 ちなみに、セント・ジョージのみで育つケスターネット(Kesternet)という植物は、抗老化薬の重要な材料となります。ケスターネットは高さ30センチ未満の低い植物で、自身を大気の硫黄分から守るためにロウ状のもので覆った、長いとげを持つ葉を持っています。


【参考文献】
・The Flaming Eye (Digest Group Publications)
・Travellers' Digest #6,#7 (Digest Group Publications)
・Vilani & Vargr (Digest Group Publications)
・Rebellion Sourcebook (Game Designers' Workshop)
・GURPS Traveller: Alien Races 4 (Steve Jackson Games)
・Traveller in the DED Zone
ジャンル:
その他
Comment   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 宙域散歩(10) ヴィラニ・... | TOP | 宙域散歩(12) ヴィラニ・... »

post a comment