色々迷ったのですが、『Cepheus Engine』はやはり宇宙SFもののRPGですから、旅の舞台となる宇宙について先に簡単に説明しておくべきだと思いまして。
旅の舞台は宇宙ですが、そこには純粋に距離の壁が立ちはだかります。隣の星まで光の速さですら何年もかかるものを、人類を含めて知的生命体は科学技術で克服しました。「ジャンプドライブ(Jump Drive)」と呼ばれる超光速機関は、数パーセク(1パーセク≒3.26光年)の距離を「たった7日間」で跳躍してしまうのです。
『Cepheus Engine』では、8✕10パーセクの空間を「星域(subsector)」という区画単位で呼び表します。星域は1パーセクごとに六角形(ヘクス)で分割され、そんな星域の中で様々な星々が輝き、様々な惑星環境の中で、様々な人々が生活を営んでいるのです。
ちなみに星域を縦2横2の計4つ繋げた区画単位を「象限(quadrant)」、その象限を縦2横2に繋ぐ、つまり星域を16個集めた32✕40パーセクの区画単位を「宙域(sector)」と呼びますが、慣れないうちは1星域の範囲だけでも十分楽しめるでしょう。
ちなみに、当然ながら宇宙空間では「東西南北」は意味をなしません。ではどうやって方角を表すかというと、銀河系の中心核に向かう方角を「銀河核方向(Coreward)」、逆に中心核から遠ざかる方角を「銀河辺境方向(Rimward)」、銀河が回転してくる方角を「銀河回転方向(Spinward)」、その逆を「銀河回転尾方向(Trailing)」と呼び表しています。宙域図や星域図は通常「上」の方がコアワードになるように記されるため、その逆の「下」がリムワード、「左」がスピンワード、「右」がトレイリングの各方向となるわけです。
宇宙空間に建築物が立ち並ぶ時代になっても、大多数の人々は「惑星」の上で生活をしています。大気や気温が過ごしやすい惑星だけではなく、砂漠の惑星、海洋と群島だけの惑星、はたまた惑星と言っても真空の小惑星かもしれません。
このように「惑星」と一言言っても色々ありますが、プレイヤーキャラクターである旅人たちが立ち寄るような有人(時には無人)惑星のことを「主要世界(main world)」といい、他の様々な惑星や主星・伴星(恒星)をひっくるめて「星系(system)」と呼びます。身近な例に例えるなら、地球が主要世界で、太陽系全体が星系となります。
1星域、つまり8✕10=80のヘクスに星系がある確率は、1ヘクスごとに通常50%(1Dで4+)です。ただし、レフリーは設定を起こす際に星系密度を過密/粗密に調整することができます。「裂溝宙域(rift sectors)」にしたければDM-2、「粗密宙域(sparse sectors)」にしたければDM-1、逆に「過密宙域(densely populated sectors)」にしたければDM+1してください。
各星系には1つ主要世界が置かれ、星系全体の統治はその主要世界から行われるのが常です。また、星系人口のほとんどは主要世界に集中して住み、資源採掘や科学研究など特別な事情のある一部の者のみが星系内の別惑星に細々と居るのが「お約束」です(もちろん例外を設けるのは自由です)。
主要世界には「標準世界書式(Universal World Profile)」という形で、その星がどのような星かがひと目でわかるようにコード化されています。例を挙げると、
……わかりにくいですか? 慣れてくるとこの形式の方が一瞬で把握できて便利なのですが。まず「星系名」、「星系座標」ときて、続くアルファベットと6桁と1桁の数字は順番に「宇宙港クラス」「規模」「大気」「水界」「人口」「政治形態」「治安レベル」と並び、ハイフンを挟んで「技術レベル」が擬似16進数でコード化されています。さらに「基地の有無」「貿易分類」「旅行安全情報」、3桁の「各種概要」、「所属」と続きます。
では順を追って詳細に説明していきます。
■星系名(World Name)
UWPの最初にはその星系の名前が記載されます。同時にそれは主要世界の惑星名でもあります。
■星系座標(location of the world's hex)
その星系が宙域(もしくは星域)のどの座標に位置しているかが4桁の数字で記されています。前の2桁がX座標(星図の左右)、後ろの2桁がY座標(星図の上下)を意味し、星図の「左上」のヘクスを「0101」としてそれぞれのヘクスに番号が割り振られていきます。星域図なら「0101」から始まって「右下」の終端が「0810」、宙域図なら終端は「3240」となります。
■宇宙港クラス(Primary Starport)
その星系にある宇宙港の規模がどれだけ大きいかを示します(※「主要(Primary)」とあるように、複数ある場合は最大のものがコード化されます)。Aを最高級としてB、C、D、Eと格が下がり、Xが書かれていた場合は宇宙港すらない未開の地ということになります。
■規模(World Size)
その数に1000マイル(≒1600km)を掛けた値が主要世界の直径です。0の場合は小惑星帯に人々が居住していることになります。ちなみに地球は「8」です。
惑星の規模と重力には相関関係があり、詳しくは『Cepheus Engine』168頁の「惑星規模表(Table: World Size)」を参照すればいいのですが、面倒なら「規模÷8」をその惑星の重力(G)の目安としてしまえばいいでしょう。つまり規模6の惑星なら6÷8=0.75、地球の4分の3の重力の星ということになります。本当は重力には惑星の密度も影響しますが、設定に凝らないならこれで十分です。
規模が小さく重力が軽い星なら跳躍力が増して運べる荷物の量が増え、重い星ならその逆となります。重力が軽すぎる星では、慣れていないと簡単にバランスを崩してしまうかもしれませんが、高技術の星ならそうならないように地面に人工重力プレートが敷き詰められて常に1Gが保たれているかもしれません。
■大気(Atmosphere)
「大気」は、その惑星の大気圧と汚染状況を示しています。0が真空で、9に向けて数値が大きいほど大気は「濃く」なっていきます。また、「汚染(Tainted)」と書かれた大気の星で呼吸をするためには濾過マスクが必要となります。この汚染の原因は工場の煤煙だったり、植物の胞子だったり、過去の生物兵器の残滓だったりと様々です。いずれにせよ無防備に吸えば健康に害を与えます。
加えて、A+の大気コードは通常の「窒素・酸素(N2/O2)の混合大気」ではない特殊な大気であることを示しています。呼吸どころか宇宙服等の保護措置なしで外出もできません。
(*印のあるコードの大気は「汚染」されているので、外出には加えて濾過マスクの着用が必須となります)
(※『メガトラベラー』のUWPとはEとFが入れ替わっていることに注意してください)
■水界(Hydrographics)
その惑星表面の水の量(大抵は海洋)を示しています。水界のコード値に10を掛けた数値が海洋比率(厳密にはそこから-4~+5ポイントの幅を取る)となるのです。地球は「7」ですが、数値の少ない星では「海」とは名ばかりの湖となるでしょう。
なお大気次第では、空気の薄い星なら水が全て凍結していたり、異種大気の星なら水ではない液体が「海」を形成していたりするかもしれません。
■人口(World Population)
その主要惑星に住む人口の「桁数」を表します。1なら10の1乗、つまり10人の位(10~90人)、2なら10の2乗で100人の位(100~900人)…、最高のAなら10の10乗で100億人の位(100億~900億人)が住んでいるのです。「人口コードの数値はその星の人口のゼロの数」と覚えておけばすぐ変換できるでしょう。
■政治形態(World Government)
その惑星でどのような自治が成されているかをコード化したものです。こればかりは覚えるか頻繁に表を参照するしかありませんが、基本的には「数が増えるほど中央集権傾向が増す(と同時に社会の自由度が減る)」と考えてください。
■治安レベル(Law Level)
その惑星の治安の良さを表すと同時に、住民への抑圧の度合いも表しています。数値が高ければ高いほど合法的に持ち歩ける武器がなくなっていき、安全にはなっていくのですが、逆にそれを取り締まる警察の権力が個人の自由をも縛っていくのです(武器を持つのが自由の一つ、という価値観はわかりづらいでしょうけど)。特に治安レベルがA+の星は事実上の警察国家であり、軽い気持ちでの旅行にはお勧めできません。
なお、設定次第では「旅行者には警察はむしろ厳しい(逆に甘い)」という二重基準が布かれている星もあるでしょう。
■技術レベル(Technology Level)
略してテックレベル(TL)とも呼ばれるこの値は、その星で用いられている一般的な製品の技術水準の目安を表しています。『Cepheus Engine』では詳細な解説がないのですが、イメージしづらいでしょうから各種資料から持ってきました。
『Cepheus Engine』ではTL16(G)以上の超文明は扱いの範囲外となります。
■基地コード(Base Codes)
その星系内(必ずしも主要世界上とは限りません)に恒星間政府、もしくは海賊による基地が置かれている場合、この欄に記載がなされます。何もないなら空欄です。
A:海軍基地と偵察局基地の両方
G:偵察局基地と海賊拠点の両方
N:海軍基地
P:海賊拠点
S:偵察局基地
(※偵察局のない恒星間国家では代わりに前哨基地(Outpost)が置かれます)
■貿易分類(Trade Codes)
その世界がどのような貿易産品を作り出し、求めているかを、UWPコードから算出された特徴で分類したものが列挙されます。恒星間貿易を行う際に最も使われますが、その星系がどのような雰囲気かを簡単に掴むのに使われたり、キャラクター作成時の出身星の特徴もこれで求められます。どのような条件でその分類となるかはここでは割愛します。
貿易分類はその世界でどんな商品が安く/高く取り引きされるかに関わります。例えば、工業世界で最新の農業機械を安く買い付けて、それを農業世界に持って行けば高く売れそうだ、と考えられるわけです。
■旅行安全情報(Travel Zone classification)
大部分の世界は文明化されて旅行者に開放されていますが、中には内戦に苦しんでいたり、病気が蔓延していたり、単に旅行者を迎える準備が整っていない星系もあります。そのような世界は、恒星間政府や旅行者支援団体などによって「トラベルゾーン」が指定されます。UWPに記載されるのは以下の状態です。
(※仮に進入禁止でも「燃料補給だけしてすぐに立ち去る」のは許される場合もあります)
■各種概要(brief synopsis of three pieces of data)
3桁の数字は左から順に「人口倍率(Population Multiplier)」「小惑星帯数(number of Planetoid Belts)」「巨大ガス惑星数(number of Gas Giants)」を意味しています。
「人口倍率」はUWPの「人口」で求められた主要世界の人口に掛け合わされる数値です。例えば、人口6で倍率3となっている世界は「1000000(10の6乗)✕3=300万人」が住んでいることになります。その性質上、人口倍率が0となるのは本当に誰も住んでいない星以外にはありえません(つまり人口0でも倍率が0でなければ数人が住んでいることになります)。
「小惑星帯数」はその星系内に存在する小惑星帯の本数で、「巨大ガス惑星数」は同じく星系内に存在する巨大ガス惑星(ガス・ジャイアント)の数です。特に燃料補給に使える後者の無か有かの把握は、宇宙を自分の船で旅するなら必須です。
■所属(Allegiance Codes)
その星系がどの恒星間国家に属しているか、そうでないかを表しています。基本的にアルファベット2文字(大文字1+小文字1)の略称で表わされるのが常ですが、「Na」は「Non-aligned」、つまりどこの国家にも属していない「中立星系」を必ず意味します(そのため略称がNaとなりそうな国家はNAやN1といった回避策が採られます)。
■注釈欄
(※『Cepheus Engine』では何故かUWP末尾の注釈欄について触れられていません。ここにはその星系が「星域首都」だったり、「研究基地」が置かれている場合などに記載があります)
これで一通りUWPは読めるようになったはずですが、レフリーは読めるだけでは意味がありません。そこからどう想像を膨らませるかが大事です。その際、あまり杓子定規に解釈しない方が発想を広げやすいですし、何しろ気分が楽です。
「宇宙港クラス」はそのまま即その星系の経済規模に直結します。大きな宇宙港のある星は経済的に豊かと考えていいでしょう。逆に、どう見ても交通の要所なのに宇宙港クラスが低い星があったのなら、そうなった理由を考えるチャンスです。「かつては大きな宇宙港があったが、戦災で破壊されて低ランクのサービスしか提供できない」とか色々考えられます。またAクラスだからといって人でごった返しているとは限らず、「完全にロボット化されてどこか物寂しい」宇宙港があってもいいと思います。
「規模」は重力に直結するので、低重力/高重力の世界の生活風景や外世界人とのギャップを演出すると面白くなるでしょう。「この低重力世界の家の塀はプライバシー保護のために高く作られている」とか…。ただ、会話主体のRPGで重力は「感じさせ辛い」要素でもあり、高技術世界なら「重力プレートでどこでも1G」で逃げてしまう手もあります(汗)。また、「惑星の真裏の無人地域に不時着したので最寄りの街まで踏破」という定番シナリオをやる際の難易度にも関わってきます。
「大気」のない、もしくは汚染された世界では綺麗な空気は貴重品となりえます。旅行者には「空気税」という形で応分の負担が求められる、とするとSFっぽい雰囲気が出るでしょう。また、植物を故意に傷つけると重罪となるかもしれません。
同様に「水界」値の低い星で貴重な水を、宇宙船の燃料だからといって外世界人に「定価で」売ってくれるでしょうか? くれるにせよそうでないにせよ、住民の雰囲気を表すには格好のネタとなりえます。
「人口」は、惑星全体に分散しているか一所に集まっているかで印象が変わってきます。水界の値が高い星なら人口密度は当然増すでしょうし、大気A+の星ではそもそも全住民が軌道上に住んでいる、なんてこともあるかもしれません。
「政治形態」と「治安レベル」はセットで考え、イメージを膨らませるといいでしょう。例えば、政治形態4の間接民主制でも治安9なら「この星では政権与党に投票するのが暗黙の了解となっていることにしよう」とするのです。あくまでUWPの(わかりづらい)解説文はヒントとして捉えて、「それならば政治形態はBでないとおかしい」とは考えない方がいいです。独裁制だからといって住民が弾圧されているとは限りませんし、自由な社会を標榜していても実際には金がなければ何も出来ない社会なのかもしれません。
他にも、「治安レベルが低いように見えるのは農村部で害獣対策に重火器の所持が許可されているためで、都市部では銃器の所持は禁止されている」というある意味「逃げ道」を作ってしまうのも十分ありだと思います。少なくとも『Cepheus Engine』は文明人をロールプレイするゲームなのですから、治安レベルの表で持ち歩きが許されているからといって常に銃器を持ち歩くような者は野蛮な人、という認識でいいでしょう。もちろん逆説的に「銃を堂々と持ち歩くのが許可されている」ことでその星の異文化感を出していく、という演出は効果的です。
「技術レベル」はその世界の一般的な水準として捉え、特定分野はそれを上回ることがあってもいいと思います。例えば「TL10のこの星だが、医学の水準はTL12相当で…」ぐらいは理由がしっかりしていれば許される範囲でしょう。また、恒星間社会で外世界の物品が全く流入していない、ということもありえないです。低TL世界でも一部の金持ちが他の星から高度な技術製品を高額で輸入して見せびらかしていることもあるでしょう。それが儲けのネタになるかもしれませんし、逆にトラブルの種になるかもしれません。
また「貿易分類」からイメージを掴むのもいいでしょう。この場合も拡大解釈は有効で、例えば「貧困」一つ取っても「経済発展から取り残されて貧しい」「資源が乏しくて貧しい」「貧富の格差が酷すぎて全体的に貧しい」など色々考えられます。「農業」でないからといって農業をやってないということはなく、人口が多すぎるせいで輸出に回す余力が無いだけなのかもしれません。
次回は宇宙旅行の実際について。
旅の舞台は宇宙ですが、そこには純粋に距離の壁が立ちはだかります。隣の星まで光の速さですら何年もかかるものを、人類を含めて知的生命体は科学技術で克服しました。「ジャンプドライブ(Jump Drive)」と呼ばれる超光速機関は、数パーセク(1パーセク≒3.26光年)の距離を「たった7日間」で跳躍してしまうのです。
『Cepheus Engine』では、8✕10パーセクの空間を「星域(subsector)」という区画単位で呼び表します。星域は1パーセクごとに六角形(ヘクス)で分割され、そんな星域の中で様々な星々が輝き、様々な惑星環境の中で、様々な人々が生活を営んでいるのです。
ちなみに星域を縦2横2の計4つ繋げた区画単位を「象限(quadrant)」、その象限を縦2横2に繋ぐ、つまり星域を16個集めた32✕40パーセクの区画単位を「宙域(sector)」と呼びますが、慣れないうちは1星域の範囲だけでも十分楽しめるでしょう。
ちなみに、当然ながら宇宙空間では「東西南北」は意味をなしません。ではどうやって方角を表すかというと、銀河系の中心核に向かう方角を「銀河核方向(Coreward)」、逆に中心核から遠ざかる方角を「銀河辺境方向(Rimward)」、銀河が回転してくる方角を「銀河回転方向(Spinward)」、その逆を「銀河回転尾方向(Trailing)」と呼び表しています。宙域図や星域図は通常「上」の方がコアワードになるように記されるため、その逆の「下」がリムワード、「左」がスピンワード、「右」がトレイリングの各方向となるわけです。
宇宙空間に建築物が立ち並ぶ時代になっても、大多数の人々は「惑星」の上で生活をしています。大気や気温が過ごしやすい惑星だけではなく、砂漠の惑星、海洋と群島だけの惑星、はたまた惑星と言っても真空の小惑星かもしれません。
このように「惑星」と一言言っても色々ありますが、プレイヤーキャラクターである旅人たちが立ち寄るような有人(時には無人)惑星のことを「主要世界(main world)」といい、他の様々な惑星や主星・伴星(恒星)をひっくるめて「星系(system)」と呼びます。身近な例に例えるなら、地球が主要世界で、太陽系全体が星系となります。
1星域、つまり8✕10=80のヘクスに星系がある確率は、1ヘクスごとに通常50%(1Dで4+)です。ただし、レフリーは設定を起こす際に星系密度を過密/粗密に調整することができます。「裂溝宙域(rift sectors)」にしたければDM-2、「粗密宙域(sparse sectors)」にしたければDM-1、逆に「過密宙域(densely populated sectors)」にしたければDM+1してください。
各星系には1つ主要世界が置かれ、星系全体の統治はその主要世界から行われるのが常です。また、星系人口のほとんどは主要世界に集中して住み、資源採掘や科学研究など特別な事情のある一部の者のみが星系内の別惑星に細々と居るのが「お約束」です(もちろん例外を設けるのは自由です)。
主要世界には「標準世界書式(Universal World Profile)」という形で、その星がどのような星かがひと目でわかるようにコード化されています。例を挙げると、
Name 0000 A123456-7 N 非工 R 123 Na
……わかりにくいですか? 慣れてくるとこの形式の方が一瞬で把握できて便利なのですが。まず「星系名」、「星系座標」ときて、続くアルファベットと6桁と1桁の数字は順番に「宇宙港クラス」「規模」「大気」「水界」「人口」「政治形態」「治安レベル」と並び、ハイフンを挟んで「技術レベル」が擬似16進数でコード化されています。さらに「基地の有無」「貿易分類」「旅行安全情報」、3桁の「各種概要」、「所属」と続きます。
では順を追って詳細に説明していきます。
■星系名(World Name)
UWPの最初にはその星系の名前が記載されます。同時にそれは主要世界の惑星名でもあります。
■星系座標(location of the world's hex)
その星系が宙域(もしくは星域)のどの座標に位置しているかが4桁の数字で記されています。前の2桁がX座標(星図の左右)、後ろの2桁がY座標(星図の上下)を意味し、星図の「左上」のヘクスを「0101」としてそれぞれのヘクスに番号が割り振られていきます。星域図なら「0101」から始まって「右下」の終端が「0810」、宙域図なら終端は「3240」となります。
■宇宙港クラス(Primary Starport)
その星系にある宇宙港の規模がどれだけ大きいかを示します(※「主要(Primary)」とあるように、複数ある場合は最大のものがコード化されます)。Aを最高級としてB、C、D、Eと格が下がり、Xが書かれていた場合は宇宙港すらない未開の地ということになります。
- Aクラス宇宙港:
- 恒星間の物流経済の要であり、非常に多くの宇宙船がひっきりなしに出港・停泊していると思って間違いない。宇宙港の規模は最大級で、惑星の地表上だけでなく軌道上にも宇宙港がある(地上港と軌道港の間はシャトルが頻繁に行き来する)。数千人規模の宇宙港職員が最高級のサービスを提供し、訪れる人目当てに様々な企業が賑やかに商売を営んでいる。また、宇宙港自体が複数置かれているのも珍しくない。高純度の燃料補給ができ、宇宙船の定期整備も可能。造船所もあるため宇宙船の発注・購入もできる。
- Bクラス宇宙港:
- Aクラスには劣るが、星間物流の拠点としては十分な規模。軌道上に宇宙港があるのはAクラス同様ほぼ確実。高純度の燃料補給や、定期整備も可能。造船所はあるが、建造できるのは恒星間航行能力を持たない小艇のみ。
- Cクラス宇宙港:
- ここから下のクラスに軌道宇宙港があることがまずありえないため、大気圏突入能力を持たない大型貨物船は避けて通る(か、艦載の小艇で地上宇宙港までせっせと荷降ろしする)ことになる。宇宙各地にありふれた「並程度の」宇宙港。低純度の燃料補給しかできず、定期整備は無理だが修理は可能。
- Dクラス宇宙港:
- 数隻も宇宙船が降りれば満杯になってしまいかねない、端的に言えば「田舎星」にある小さな宇宙港。あまり宇宙船が訪れないので、係官も数人で十分賄えてしまう。低純度の燃料補給はさせてもらえるが、修理施設はない。
- Eクラス宇宙港:
- 宇宙港と名こそ付いているが、整地された原っぱに誘導ビーコンが置かれているだけ、という粗末な作りが普通。燃料補給をさせてもらえるかどうかもかなり怪しい。係官が一人でも常駐している方が珍しいかもしれない。
■規模(World Size)
その数に1000マイル(≒1600km)を掛けた値が主要世界の直径です。0の場合は小惑星帯に人々が居住していることになります。ちなみに地球は「8」です。
惑星の規模と重力には相関関係があり、詳しくは『Cepheus Engine』168頁の「惑星規模表(Table: World Size)」を参照すればいいのですが、面倒なら「規模÷8」をその惑星の重力(G)の目安としてしまえばいいでしょう。つまり規模6の惑星なら6÷8=0.75、地球の4分の3の重力の星ということになります。本当は重力には惑星の密度も影響しますが、設定に凝らないならこれで十分です。
規模が小さく重力が軽い星なら跳躍力が増して運べる荷物の量が増え、重い星ならその逆となります。重力が軽すぎる星では、慣れていないと簡単にバランスを崩してしまうかもしれませんが、高技術の星ならそうならないように地面に人工重力プレートが敷き詰められて常に1Gが保たれているかもしれません。
■大気(Atmosphere)
「大気」は、その惑星の大気圧と汚染状況を示しています。0が真空で、9に向けて数値が大きいほど大気は「濃く」なっていきます。また、「汚染(Tainted)」と書かれた大気の星で呼吸をするためには濾過マスクが必要となります。この汚染の原因は工場の煤煙だったり、植物の胞子だったり、過去の生物兵器の残滓だったりと様々です。いずれにせよ無防備に吸えば健康に害を与えます。
加えて、A+の大気コードは通常の「窒素・酸素(N2/O2)の混合大気」ではない特殊な大気であることを示しています。呼吸どころか宇宙服等の保護措置なしで外出もできません。
- 0~1:真空(None)・微量(Trace)
- 0~0.09気圧。外出には宇宙服の着用が必須。
- 2*~3:極薄(Very Thin)
- 0.1~0.42気圧。外出には酸素ボンベ(Respirator)が必須。
- 4*~5:希薄(Thin)
- 0.43~0.7気圧。気圧への順応を怠ると高山病になる可能性がある。
- 6~7*:標準(Standard)
- 0.71~1.49気圧。人類の活動には支障が出ない。
- 8~9*:濃厚(Dense)
- 1.5~2.49気圧。ルール上、人類の活動には支障が出ないことになっている。
- A:異種(Exotic)
- 人類の呼吸には適さないが、酸素供給さえあれば外出に支障はない。
- B:腐食(Corrosive)
- 外出には宇宙服の着用が必須。
- C:強腐食(Insidious)
- 外出には宇宙服の着用が必須。Bの大気より侵食性が強く、防護機器のこまめな補修が欠かせない(※従来の訳語である「猛毒」は、毒性大気と誤解される可能性があるため変更しました。人体の害になるもの全てという意味での「毒」なのでしょうけど)。
- D:超濃厚(Dense, High)
- 2.5気圧以上。地表で活動するなら何らかの耐圧装備は必要だが、逆に言えば高地では人類の生存に適した気圧となる。
- E:超希薄(Thin, Low)
- 巨大惑星でありながら大気圧が低いという特異な環境。高地では真空に近いが、逆に谷底などでは人類の呼吸に適した大気が得られる。
- F:特異(Unusual)
- 自転の影響で極点では大気は薄いが赤道では濃くなる、といった、これまでのどれにも当てはまらないような特殊な環境。
(*印のあるコードの大気は「汚染」されているので、外出には加えて濾過マスクの着用が必須となります)
(※『メガトラベラー』のUWPとはEとFが入れ替わっていることに注意してください)
■水界(Hydrographics)
その惑星表面の水の量(大抵は海洋)を示しています。水界のコード値に10を掛けた数値が海洋比率(厳密にはそこから-4~+5ポイントの幅を取る)となるのです。地球は「7」ですが、数値の少ない星では「海」とは名ばかりの湖となるでしょう。
なお大気次第では、空気の薄い星なら水が全て凍結していたり、異種大気の星なら水ではない液体が「海」を形成していたりするかもしれません。
■人口(World Population)
その主要惑星に住む人口の「桁数」を表します。1なら10の1乗、つまり10人の位(10~90人)、2なら10の2乗で100人の位(100~900人)…、最高のAなら10の10乗で100億人の位(100億~900億人)が住んでいるのです。「人口コードの数値はその星の人口のゼロの数」と覚えておけばすぐ変換できるでしょう。
■政治形態(World Government)
その惑星でどのような自治が成されているかをコード化したものです。こればかりは覚えるか頻繁に表を参照するしかありませんが、基本的には「数が増えるほど中央集権傾向が増す(と同時に社会の自由度が減る)」と考えてください。
- 0:無政府(None)
- 政府が崩壊して長期間「無政府状態」が続いている場合、政府を必要としないぐらい人口が少ない場合、住民同士の努力によって「完全なる自由」を謳歌している場合、もしくは住民の誰もが政府を認めていない場合が考えられる。
- 1:企業政府(Company/Corporation)
- 1つないし複数の企業が統治を担い、住民はその企業の従業員という形態。惑星規模での「企業城下町」もこれに該当するかもしれない。
- 2:直接民主制(Participating Democracy)
- 参政権を持つ住民全ての合議によって政治が進められている。高技術世界なら住民総参加の電子議会が実現しているかもしれない。
- 3:自己永続的寡頭政治(Self-Perpetuating Oligarchy)
- 閉鎖的な少数の者による統治。住民の参加はないか、あってもわずか。
- 4:間接民主制(Representative Democracy)
- 住民の投票によって代議士を選び、その代議士が議会を構成して法律を作っている。
- 5:封建的技官政治(Feudal Technocracy)
- 高度な科学技術知識を持つ技官たちが統治を担う政治形態(※「封建的」なのは長年の謎です。技術分野の違う技官同士に上下関係がないのかもしれません)。
- 6:占領統治(Captive Government)
- 外世界からの統治を受けている。他星からの直轄入植地のような直接統治に限らず、傀儡政権や(恒星間政府軍による)軍政もこれに含まれる。
- 7:小国分裂状態(Balkanization)
- 1つの惑星内で複数の独立国政府が存在している状態。それぞれの独立国の政治形態はまちまち。
- 8:文官官僚制(Civil Service Bureaucracy)
- 専門知識を買われて集められた官僚たちによる統治。
- 9:独裁官僚制(Impersonal Bureaucracy)
- 支配される者と隔絶した機構による統治。一党独裁政権など。
- A:カリスマ的独裁制(Charismatic Dictator)
- 住民の圧倒的支持を得た単独指導者による統治。
- B:非カリスマ的独裁制(Non-Charismatic Leader)
- 形式上住民の圧倒的支持を得たことにされている単独指導者による統治。
- C:カリスマ的寡頭政治(Charismatic Oligarchy)
- 住民の圧倒的支持によって選ばれた少数の者、組織、階級による統治。
- D:宗教独裁制(Religious Dictatorship)
- 信者である住民の支持によって選ばれた単独の宗教指導者による統治。
- E:宗教専制政治(Religious Autocracy)
- 一般住民とは隔絶した特権階層(世襲制など)による祭政一致政治。
- F:全体主義政治(Totalitarian Oligarchy)
- 少数の者(独裁政党など)が政治を操り、住民の生命を含めあらゆる分野を規制する政治。何よりも全体の利益を重んじ、個人を強制的に全体に従属させる。
■治安レベル(Law Level)
その惑星の治安の良さを表すと同時に、住民への抑圧の度合いも表しています。数値が高ければ高いほど合法的に持ち歩ける武器がなくなっていき、安全にはなっていくのですが、逆にそれを取り締まる警察の権力が個人の自由をも縛っていくのです(武器を持つのが自由の一つ、という価値観はわかりづらいでしょうけど)。特に治安レベルがA+の星は事実上の警察国家であり、軽い気持ちでの旅行にはお勧めできません。
なお、設定次第では「旅行者には警察はむしろ厳しい(逆に甘い)」という二重基準が布かれている星もあるでしょう。
- 0:無法(No Law)
- 法律が存在しない、もしくは法を取り締まる治安組織が存在しない(もしくは機能していない)。あらゆる武器の所持は自由。
- 1~3:低治安(Low Law)
- 毒ガスや爆発物、携行型レーザー火器、重火器といった軍用装備の所持が禁止されてゆく。
- 4~6:並治安(Medium Law)
- 散弾銃を除いた銃器(軽突撃銃(Light assault weapons)や短機関銃(submachine guns)、隠匿可能な銃器など)の所持が禁止されてゆく。
- 7~9:高治安(High Law)
- 散弾銃を含めた全ての銃器、刀剣類の所持が禁止されてゆく。治安レベル9で住居外への武器の持ち出しが禁じられる(※9未満の治安レベルでも大っぴらに武器を持ち歩けるかは設定次第でしょう)。
- A以上:極高治安(Extreme Law)
- あらゆる武器の所有が禁止される。公権力が私権に介入することが容易となる。
■技術レベル(Technology Level)
略してテックレベル(TL)とも呼ばれるこの値は、その星で用いられている一般的な製品の技術水準の目安を表しています。『Cepheus Engine』では詳細な解説がないのですが、イメージしづらいでしょうから各種資料から持ってきました。
- 原始的文明(Primitive):TL0~3
- 産業革命以前の技術水準。銃器は一般的でなく戦闘は刀剣が主。最速の移動手段は帆船や熱気球といったところ。動力は風や水車、時には人力から取られる。
- 工業化文明(Industrial):TL4~6
- 蒸気機関の発明から核分裂の発見まで。銃器の発明・普及で戦場の様相が一変する。初歩的な電子演算装置(コンピュータ)やラジオ・テレビの登場。地上車や飛行機も一般化。石炭や石油、そして核分裂反応から動力を得られるようになる。
- 前星間文明(Pre-Stellar):TL7~9
- 宇宙開発黎明期。軌道上や星系内の航行技術、建築物構築技術が確立される。コンピュータ技術の発達と普及。レーザー火器の登場。核融合や反重力、初歩的な冷凍睡眠技術の発明もこの頃。
- 初期星間文明(Early Stellar):TL10~11
- 超光速航法(ジャンプ機関)開発以後(ジャンプ限界は2パーセク)。ホロ(立体)投影技術や音声入力コンピュータの普及。反重力技術の普及により、地上車と飛行機の区別がなくなる。核融合炉の小型化が進む。
- 標準星間文明(Average Stellar):TL12~14
- 恒星間社会での一般的な技術水準(ジャンプ限界は3~5パーセク)。戦場にプラズマガンやバトルドレスが登場。ロボット技術の進展・普及が進むが、人工知能は限定的。記録媒体としてホロクリスタルが開発され、膨大な情報を小さな結晶体に収めることができるように。反重力による空中都市の登場。冷凍睡眠技術の安全性が高まる。クローン技術による臓器移植や、機械の義手・義足への交換も可能(※脳移植はTL16なので、体全体を交換することはできない)。
- 高度星間文明(High Stellar):TL15
- 現在考えうる最先端技術(ジャンプ限界は6パーセク)。擬生物型ロボットの登場(人工知能技術は進展しているが、まだ「自我」を持つには至らない)。抗老化薬の発明。大規模な惑星改造も可能に。
『Cepheus Engine』ではTL16(G)以上の超文明は扱いの範囲外となります。
■基地コード(Base Codes)
その星系内(必ずしも主要世界上とは限りません)に恒星間政府、もしくは海賊による基地が置かれている場合、この欄に記載がなされます。何もないなら空欄です。
A:海軍基地と偵察局基地の両方
G:偵察局基地と海賊拠点の両方
N:海軍基地
P:海賊拠点
S:偵察局基地
(※偵察局のない恒星間国家では代わりに前哨基地(Outpost)が置かれます)
■貿易分類(Trade Codes)
その世界がどのような貿易産品を作り出し、求めているかを、UWPコードから算出された特徴で分類したものが列挙されます。恒星間貿易を行う際に最も使われますが、その星系がどのような雰囲気かを簡単に掴むのに使われたり、キャラクター作成時の出身星の特徴もこれで求められます。どのような条件でその分類となるかはここでは割愛します。
- 農業 Agricultural (Ag)
- 経済基盤を農業に置いている世界。
- 小惑 Asteroid (As)
- 小惑星に多くの人口が居住している世界。
- 未開 Barren (Ba)
- 開発が始まっていない無人の世界。
- 砂漠 Desert (De)
- 水界のない世界。
- 非水 Fluid Oceans (Fl)
- 水界が水以外の物質で構成されている世界。
- 肥沃 Garden (Ga)
- 自然が豊かな世界(※『Cepheus Engine』では条件が変更されたため、「人の手によって自然が管理された庭園のような世界」という意味かもしれません)。
- 高人 High Population (Hi)
- 人口が10億人以上の世界。
- 高技 High Technology (Ht)
- TL12以上の科学技術を持つ世界。
- 氷結 Ice-Capped (Ic)
- 地表の水界が凍結している世界。
- 工業 Industrial (In)
- 経済基盤を工業に置いている世界。
- 低人 Low Population (Lo)
- 総人口が1000人台以下の世界。
- 低技 Low Technology (Lt)
- 工業化文明以前の技術力の世界。
- 非農 Non-Agricultural (Na)
- 農業生産に向かない環境の割に人口が多く、食料を自給できない世界。
- 非工 Non-Industrial (Ni)
- 人口の少なさゆえに工業生産力が乏しく、工業製品を輸入に頼る世界。
- 貧困 Poor (Po)
- 環境の悪さゆえに貧困にあえいでいる世界。
- 富裕 Rich (Ri)
- 環境が良く、富裕層が住みたがるような世界。
- 海洋 Water World (Wa)
- 地表が海洋でほぼ覆われた世界。
- 真空 Vacuum (Va)
- 大気のない世界。
貿易分類はその世界でどんな商品が安く/高く取り引きされるかに関わります。例えば、工業世界で最新の農業機械を安く買い付けて、それを農業世界に持って行けば高く売れそうだ、と考えられるわけです。
■旅行安全情報(Travel Zone classification)
大部分の世界は文明化されて旅行者に開放されていますが、中には内戦に苦しんでいたり、病気が蔓延していたり、単に旅行者を迎える準備が整っていない星系もあります。そのような世界は、恒星間政府や旅行者支援団体などによって「トラベルゾーン」が指定されます。UWPに記載されるのは以下の状態です。
- A:アンバーゾーン Amber Zone
- 旅行者に対して注意喚起がなされている状態。何らかの危険情報によって一時的に発令される場合と、現地の自然条件や政情・治安状態が恒常的に旅行に適さないと判断されている場合があります。
- R:レッドゾーン Red Zone
- 恒星間政府(主に海軍)によってその星系への旅行が禁止されている状態。旅行者の生命が脅かされるような危険がある場合や、恒星間政府や団体の事情により部外者の立ち入りが禁止されている場合(軍用地や秘密研究施設、環境・文化保護星系)に発令されます。
(※仮に進入禁止でも「燃料補給だけしてすぐに立ち去る」のは許される場合もあります)
■各種概要(brief synopsis of three pieces of data)
3桁の数字は左から順に「人口倍率(Population Multiplier)」「小惑星帯数(number of Planetoid Belts)」「巨大ガス惑星数(number of Gas Giants)」を意味しています。
「人口倍率」はUWPの「人口」で求められた主要世界の人口に掛け合わされる数値です。例えば、人口6で倍率3となっている世界は「1000000(10の6乗)✕3=300万人」が住んでいることになります。その性質上、人口倍率が0となるのは本当に誰も住んでいない星以外にはありえません(つまり人口0でも倍率が0でなければ数人が住んでいることになります)。
「小惑星帯数」はその星系内に存在する小惑星帯の本数で、「巨大ガス惑星数」は同じく星系内に存在する巨大ガス惑星(ガス・ジャイアント)の数です。特に燃料補給に使える後者の無か有かの把握は、宇宙を自分の船で旅するなら必須です。
■所属(Allegiance Codes)
その星系がどの恒星間国家に属しているか、そうでないかを表しています。基本的にアルファベット2文字(大文字1+小文字1)の略称で表わされるのが常ですが、「Na」は「Non-aligned」、つまりどこの国家にも属していない「中立星系」を必ず意味します(そのため略称がNaとなりそうな国家はNAやN1といった回避策が採られます)。
■注釈欄
(※『Cepheus Engine』では何故かUWP末尾の注釈欄について触れられていません。ここにはその星系が「星域首都」だったり、「研究基地」が置かれている場合などに記載があります)
これで一通りUWPは読めるようになったはずですが、レフリーは読めるだけでは意味がありません。そこからどう想像を膨らませるかが大事です。その際、あまり杓子定規に解釈しない方が発想を広げやすいですし、何しろ気分が楽です。
「宇宙港クラス」はそのまま即その星系の経済規模に直結します。大きな宇宙港のある星は経済的に豊かと考えていいでしょう。逆に、どう見ても交通の要所なのに宇宙港クラスが低い星があったのなら、そうなった理由を考えるチャンスです。「かつては大きな宇宙港があったが、戦災で破壊されて低ランクのサービスしか提供できない」とか色々考えられます。またAクラスだからといって人でごった返しているとは限らず、「完全にロボット化されてどこか物寂しい」宇宙港があってもいいと思います。
「規模」は重力に直結するので、低重力/高重力の世界の生活風景や外世界人とのギャップを演出すると面白くなるでしょう。「この低重力世界の家の塀はプライバシー保護のために高く作られている」とか…。ただ、会話主体のRPGで重力は「感じさせ辛い」要素でもあり、高技術世界なら「重力プレートでどこでも1G」で逃げてしまう手もあります(汗)。また、「惑星の真裏の無人地域に不時着したので最寄りの街まで踏破」という定番シナリオをやる際の難易度にも関わってきます。
「大気」のない、もしくは汚染された世界では綺麗な空気は貴重品となりえます。旅行者には「空気税」という形で応分の負担が求められる、とするとSFっぽい雰囲気が出るでしょう。また、植物を故意に傷つけると重罪となるかもしれません。
同様に「水界」値の低い星で貴重な水を、宇宙船の燃料だからといって外世界人に「定価で」売ってくれるでしょうか? くれるにせよそうでないにせよ、住民の雰囲気を表すには格好のネタとなりえます。
「人口」は、惑星全体に分散しているか一所に集まっているかで印象が変わってきます。水界の値が高い星なら人口密度は当然増すでしょうし、大気A+の星ではそもそも全住民が軌道上に住んでいる、なんてこともあるかもしれません。
「政治形態」と「治安レベル」はセットで考え、イメージを膨らませるといいでしょう。例えば、政治形態4の間接民主制でも治安9なら「この星では政権与党に投票するのが暗黙の了解となっていることにしよう」とするのです。あくまでUWPの(わかりづらい)解説文はヒントとして捉えて、「それならば政治形態はBでないとおかしい」とは考えない方がいいです。独裁制だからといって住民が弾圧されているとは限りませんし、自由な社会を標榜していても実際には金がなければ何も出来ない社会なのかもしれません。
他にも、「治安レベルが低いように見えるのは農村部で害獣対策に重火器の所持が許可されているためで、都市部では銃器の所持は禁止されている」というある意味「逃げ道」を作ってしまうのも十分ありだと思います。少なくとも『Cepheus Engine』は文明人をロールプレイするゲームなのですから、治安レベルの表で持ち歩きが許されているからといって常に銃器を持ち歩くような者は野蛮な人、という認識でいいでしょう。もちろん逆説的に「銃を堂々と持ち歩くのが許可されている」ことでその星の異文化感を出していく、という演出は効果的です。
「技術レベル」はその世界の一般的な水準として捉え、特定分野はそれを上回ることがあってもいいと思います。例えば「TL10のこの星だが、医学の水準はTL12相当で…」ぐらいは理由がしっかりしていれば許される範囲でしょう。また、恒星間社会で外世界の物品が全く流入していない、ということもありえないです。低TL世界でも一部の金持ちが他の星から高度な技術製品を高額で輸入して見せびらかしていることもあるでしょう。それが儲けのネタになるかもしれませんし、逆にトラブルの種になるかもしれません。
また「貿易分類」からイメージを掴むのもいいでしょう。この場合も拡大解釈は有効で、例えば「貧困」一つ取っても「経済発展から取り残されて貧しい」「資源が乏しくて貧しい」「貧富の格差が酷すぎて全体的に貧しい」など色々考えられます。「農業」でないからといって農業をやってないということはなく、人口が多すぎるせいで輸出に回す余力が無いだけなのかもしれません。
次回は宇宙旅行の実際について。