宇宙の歩き方

The Astrogators' Guide to the Charted Space.

『Cepheus Engine』で始めるロールプレイング・ゲーム入門(4)

2016-08-25 | Cepheus Engine
 色々迷ったのですが、『Cepheus Engine』はやはり宇宙SFもののRPGですから、旅の舞台となる宇宙について先に簡単に説明しておくべきだと思いまして。

 旅の舞台は宇宙ですが、そこには純粋に距離の壁が立ちはだかります。隣の星まで光の速さですら何年もかかるものを、人類を含めて知的生命体は科学技術で克服しました。「ジャンプドライブ(Jump Drive)」と呼ばれる超光速機関は、数パーセク(1パーセク≒3.26光年)の距離を「たった7日間」で跳躍してしまうのです。

 『Cepheus Engine』では、8✕10パーセクの空間を「星域(subsector)」という区画単位で呼び表します。星域は1パーセクごとに六角形(ヘクス)で分割され、そんな星域の中で様々な星々が輝き、様々な惑星環境の中で、様々な人々が生活を営んでいるのです。
 ちなみに星域を縦2横2の計4つ繋げた区画単位を「象限(quadrant)」、その象限を縦2横2に繋ぐ、つまり星域を16個集めた32✕40パーセクの区画単位を「宙域(sector)」と呼びますが、慣れないうちは1星域の範囲だけでも十分楽しめるでしょう。

 ちなみに、当然ながら宇宙空間では「東西南北」は意味をなしません。ではどうやって方角を表すかというと、銀河系の中心核に向かう方角を「銀河核方向(Coreward)」、逆に中心核から遠ざかる方角を「銀河辺境方向(Rimward)」、銀河が回転してくる方角を「銀河回転方向(Spinward)」、その逆を「銀河回転尾方向(Trailing)」と呼び表しています。宙域図や星域図は通常「上」の方がコアワードになるように記されるため、その逆の「下」がリムワード、「左」がスピンワード、「右」がトレイリングの各方向となるわけです。

 宇宙空間に建築物が立ち並ぶ時代になっても、大多数の人々は「惑星」の上で生活をしています。大気や気温が過ごしやすい惑星だけではなく、砂漠の惑星、海洋と群島だけの惑星、はたまた惑星と言っても真空の小惑星かもしれません。
 このように「惑星」と一言言っても色々ありますが、プレイヤーキャラクターである旅人たちが立ち寄るような有人(時には無人)惑星のことを「主要世界(main world)」といい、他の様々な惑星や主星・伴星(恒星)をひっくるめて「星系(system)」と呼びます。身近な例に例えるなら、地球が主要世界で、太陽系全体が星系となります。

 1星域、つまり8✕10=80のヘクスに星系がある確率は、1ヘクスごとに通常50%(1Dで4+)です。ただし、レフリーは設定を起こす際に星系密度を過密/粗密に調整することができます。「裂溝宙域(rift sectors)」にしたければDM-2、「粗密宙域(sparse sectors)」にしたければDM-1、逆に「過密宙域(densely populated sectors)」にしたければDM+1してください。

 各星系には1つ主要世界が置かれ、星系全体の統治はその主要世界から行われるのが常です。また、星系人口のほとんどは主要世界に集中して住み、資源採掘や科学研究など特別な事情のある一部の者のみが星系内の別惑星に細々と居るのが「お約束」です(もちろん例外を設けるのは自由です)。
 主要世界には「標準世界書式(Universal World Profile)」という形で、その星がどのような星かがひと目でわかるようにコード化されています。例を挙げると、

Name 0000 A123456-7 N 非工 R 123 Na

 ……わかりにくいですか? 慣れてくるとこの形式の方が一瞬で把握できて便利なのですが。まず「星系名」、「星系座標」ときて、続くアルファベットと6桁と1桁の数字は順番に「宇宙港クラス」「規模」「大気」「水界」「人口」「政治形態」「治安レベル」と並び、ハイフンを挟んで「技術レベル」が擬似16進数でコード化されています。さらに「基地の有無」「貿易分類」「旅行安全情報」、3桁の「各種概要」、「所属」と続きます。
 では順を追って詳細に説明していきます。


■星系名(World Name)
 UWPの最初にはその星系の名前が記載されます。同時にそれは主要世界の惑星名でもあります。


■星系座標(location of the world's hex)
 その星系が宙域(もしくは星域)のどの座標に位置しているかが4桁の数字で記されています。前の2桁がX座標(星図の左右)、後ろの2桁がY座標(星図の上下)を意味し、星図の「左上」のヘクスを「0101」としてそれぞれのヘクスに番号が割り振られていきます。星域図なら「0101」から始まって「右下」の終端が「0810」、宙域図なら終端は「3240」となります。


■宇宙港クラス(Primary Starport)
 その星系にある宇宙港の規模がどれだけ大きいかを示します(※「主要(Primary)」とあるように、複数ある場合は最大のものがコード化されます)。Aを最高級としてB、C、D、Eと格が下がり、Xが書かれていた場合は宇宙港すらない未開の地ということになります。

Aクラス宇宙港
恒星間の物流経済の要であり、非常に多くの宇宙船がひっきりなしに出港・停泊していると思って間違いない。宇宙港の規模は最大級で、惑星の地表上だけでなく軌道上にも宇宙港がある(地上港と軌道港の間はシャトルが頻繁に行き来する)。数千人規模の宇宙港職員が最高級のサービスを提供し、訪れる人目当てに様々な企業が賑やかに商売を営んでいる。また、宇宙港自体が複数置かれているのも珍しくない。高純度の燃料補給ができ、宇宙船の定期整備も可能。造船所もあるため宇宙船の発注・購入もできる。
Bクラス宇宙港
Aクラスには劣るが、星間物流の拠点としては十分な規模。軌道上に宇宙港があるのはAクラス同様ほぼ確実。高純度の燃料補給や、定期整備も可能。造船所はあるが、建造できるのは恒星間航行能力を持たない小艇のみ。
Cクラス宇宙港
ここから下のクラスに軌道宇宙港があることがまずありえないため、大気圏突入能力を持たない大型貨物船は避けて通る(か、艦載の小艇で地上宇宙港までせっせと荷降ろしする)ことになる。宇宙各地にありふれた「並程度の」宇宙港。低純度の燃料補給しかできず、定期整備は無理だが修理は可能。
Dクラス宇宙港
数隻も宇宙船が降りれば満杯になってしまいかねない、端的に言えば「田舎星」にある小さな宇宙港。あまり宇宙船が訪れないので、係官も数人で十分賄えてしまう。低純度の燃料補給はさせてもらえるが、修理施設はない。
Eクラス宇宙港
宇宙港と名こそ付いているが、整地された原っぱに誘導ビーコンが置かれているだけ、という粗末な作りが普通。燃料補給をさせてもらえるかどうかもかなり怪しい。係官が一人でも常駐している方が珍しいかもしれない。


■規模(World Size)
 その数に1000マイル(≒1600km)を掛けた値が主要世界の直径です。0の場合は小惑星帯に人々が居住していることになります。ちなみに地球は「8」です。
 惑星の規模と重力には相関関係があり、詳しくは『Cepheus Engine』168頁の「惑星規模表(Table: World Size)」を参照すればいいのですが、面倒なら「規模÷8」をその惑星の重力(G)の目安としてしまえばいいでしょう。つまり規模6の惑星なら6÷8=0.75、地球の4分の3の重力の星ということになります。本当は重力には惑星の密度も影響しますが、設定に凝らないならこれで十分です。
 規模が小さく重力が軽い星なら跳躍力が増して運べる荷物の量が増え、重い星ならその逆となります。重力が軽すぎる星では、慣れていないと簡単にバランスを崩してしまうかもしれませんが、高技術の星ならそうならないように地面に人工重力プレートが敷き詰められて常に1Gが保たれているかもしれません。


■大気(Atmosphere)
 「大気」は、その惑星の大気圧と汚染状況を示しています。0が真空で、9に向けて数値が大きいほど大気は「濃く」なっていきます。また、「汚染(Tainted)」と書かれた大気の星で呼吸をするためには濾過マスクが必要となります。この汚染の原因は工場の煤煙だったり、植物の胞子だったり、過去の生物兵器の残滓だったりと様々です。いずれにせよ無防備に吸えば健康に害を与えます。
 加えて、A+の大気コードは通常の「窒素・酸素(N2/O2)の混合大気」ではない特殊な大気であることを示しています。呼吸どころか宇宙服等の保護措置なしで外出もできません。

0~1:真空(None)・微量(Trace)
0~0.09気圧。外出には宇宙服の着用が必須。
2*~3:極薄(Very Thin)
0.1~0.42気圧。外出には酸素ボンベ(Respirator)が必須。
4*~5:希薄(Thin)
0.43~0.7気圧。気圧への順応を怠ると高山病になる可能性がある。
6~7*:標準(Standard)
0.71~1.49気圧。人類の活動には支障が出ない。
8~9*:濃厚(Dense)
1.5~2.49気圧。ルール上、人類の活動には支障が出ないことになっている。
:異種(Exotic)
人類の呼吸には適さないが、酸素供給さえあれば外出に支障はない。
:腐食(Corrosive)
外出には宇宙服の着用が必須。
:強腐食(Insidious)
外出には宇宙服の着用が必須。Bの大気より侵食性が強く、防護機器のこまめな補修が欠かせない(※従来の訳語である「猛毒」は、毒性大気と誤解される可能性があるため変更しました。人体の害になるもの全てという意味での「毒」なのでしょうけど)。
:超濃厚(Dense, High)
2.5気圧以上。地表で活動するなら何らかの耐圧装備は必要だが、逆に言えば高地では人類の生存に適した気圧となる。
:超希薄(Thin, Low)
巨大惑星でありながら大気圧が低いという特異な環境。高地では真空に近いが、逆に谷底などでは人類の呼吸に適した大気が得られる。
:特異(Unusual)
自転の影響で極点では大気は薄いが赤道では濃くなる、といった、これまでのどれにも当てはまらないような特殊な環境。

(*印のあるコードの大気は「汚染」されているので、外出には加えて濾過マスクの着用が必須となります)
(※『メガトラベラー』のUWPとはEとFが入れ替わっていることに注意してください)


■水界(Hydrographics)
 その惑星表面の水の量(大抵は海洋)を示しています。水界のコード値に10を掛けた数値が海洋比率(厳密にはそこから-4~+5ポイントの幅を取る)となるのです。地球は「7」ですが、数値の少ない星では「海」とは名ばかりの湖となるでしょう。
 なお大気次第では、空気の薄い星なら水が全て凍結していたり、異種大気の星なら水ではない液体が「海」を形成していたりするかもしれません。


■人口(World Population)
 その主要惑星に住む人口の「桁数」を表します。1なら10の1乗、つまり10人の位(10~90人)、2なら10の2乗で100人の位(100~900人)…、最高のAなら10の10乗で100億人の位(100億~900億人)が住んでいるのです。「人口コードの数値はその星の人口のゼロの数」と覚えておけばすぐ変換できるでしょう。


■政治形態(World Government)
 その惑星でどのような自治が成されているかをコード化したものです。こればかりは覚えるか頻繁に表を参照するしかありませんが、基本的には「数が増えるほど中央集権傾向が増す(と同時に社会の自由度が減る)」と考えてください。

:無政府(None)
政府が崩壊して長期間「無政府状態」が続いている場合、政府を必要としないぐらい人口が少ない場合、住民同士の努力によって「完全なる自由」を謳歌している場合、もしくは住民の誰もが政府を認めていない場合が考えられる。
:企業政府(Company/Corporation)
1つないし複数の企業が統治を担い、住民はその企業の従業員という形態。惑星規模での「企業城下町」もこれに該当するかもしれない。
:直接民主制(Participating Democracy)
参政権を持つ住民全ての合議によって政治が進められている。高技術世界なら住民総参加の電子議会が実現しているかもしれない。
:自己永続的寡頭政治(Self-Perpetuating Oligarchy)
閉鎖的な少数の者による統治。住民の参加はないか、あってもわずか。
:間接民主制(Representative Democracy)
住民の投票によって代議士を選び、その代議士が議会を構成して法律を作っている。
:封建的技官政治(Feudal Technocracy)
高度な科学技術知識を持つ技官たちが統治を担う政治形態(※「封建的」なのは長年の謎です。技術分野の違う技官同士に上下関係がないのかもしれません)。
:占領統治(Captive Government)
外世界からの統治を受けている。他星からの直轄入植地のような直接統治に限らず、傀儡政権や(恒星間政府軍による)軍政もこれに含まれる。
:小国分裂状態(Balkanization)
1つの惑星内で複数の独立国政府が存在している状態。それぞれの独立国の政治形態はまちまち。
:文官官僚制(Civil Service Bureaucracy)
専門知識を買われて集められた官僚たちによる統治。
:独裁官僚制(Impersonal Bureaucracy)
支配される者と隔絶した機構による統治。一党独裁政権など。
:カリスマ的独裁制(Charismatic Dictator)
住民の圧倒的支持を得た単独指導者による統治。
:非カリスマ的独裁制(Non-Charismatic Leader)
形式上住民の圧倒的支持を得たことにされている単独指導者による統治。
:カリスマ的寡頭政治(Charismatic Oligarchy)
住民の圧倒的支持によって選ばれた少数の者、組織、階級による統治。
:宗教独裁制(Religious Dictatorship)
信者である住民の支持によって選ばれた単独の宗教指導者による統治。
:宗教専制政治(Religious Autocracy)
一般住民とは隔絶した特権階層(世襲制など)による祭政一致政治。
:全体主義政治(Totalitarian Oligarchy)
少数の者(独裁政党など)が政治を操り、住民の生命を含めあらゆる分野を規制する政治。何よりも全体の利益を重んじ、個人を強制的に全体に従属させる。


■治安レベル(Law Level)
 その惑星の治安の良さを表すと同時に、住民への抑圧の度合いも表しています。数値が高ければ高いほど合法的に持ち歩ける武器がなくなっていき、安全にはなっていくのですが、逆にそれを取り締まる警察の権力が個人の自由をも縛っていくのです(武器を持つのが自由の一つ、という価値観はわかりづらいでしょうけど)。特に治安レベルがA+の星は事実上の警察国家であり、軽い気持ちでの旅行にはお勧めできません。
 なお、設定次第では「旅行者には警察はむしろ厳しい(逆に甘い)」という二重基準が布かれている星もあるでしょう。

:無法(No Law)
法律が存在しない、もしくは法を取り締まる治安組織が存在しない(もしくは機能していない)。あらゆる武器の所持は自由。
1~3:低治安(Low Law)
毒ガスや爆発物、携行型レーザー火器、重火器といった軍用装備の所持が禁止されてゆく。
4~6:並治安(Medium Law)
散弾銃を除いた銃器(軽突撃銃(Light assault weapons)や短機関銃(submachine guns)、隠匿可能な銃器など)の所持が禁止されてゆく。
7~9:高治安(High Law)
散弾銃を含めた全ての銃器、刀剣類の所持が禁止されてゆく。治安レベル9で住居外への武器の持ち出しが禁じられる(※9未満の治安レベルでも大っぴらに武器を持ち歩けるかは設定次第でしょう)。
A以上:極高治安(Extreme Law)
あらゆる武器の所有が禁止される。公権力が私権に介入することが容易となる。


■技術レベル(Technology Level)
 略してテックレベル(TL)とも呼ばれるこの値は、その星で用いられている一般的な製品の技術水準の目安を表しています。『Cepheus Engine』では詳細な解説がないのですが、イメージしづらいでしょうから各種資料から持ってきました。

原始的文明(Primitive):TL0~3
産業革命以前の技術水準。銃器は一般的でなく戦闘は刀剣が主。最速の移動手段は帆船や熱気球といったところ。動力は風や水車、時には人力から取られる。
工業化文明(Industrial):TL4~6
蒸気機関の発明から核分裂の発見まで。銃器の発明・普及で戦場の様相が一変する。初歩的な電子演算装置(コンピュータ)やラジオ・テレビの登場。地上車や飛行機も一般化。石炭や石油、そして核分裂反応から動力を得られるようになる。
前星間文明(Pre-Stellar):TL7~9
宇宙開発黎明期。軌道上や星系内の航行技術、建築物構築技術が確立される。コンピュータ技術の発達と普及。レーザー火器の登場。核融合や反重力、初歩的な冷凍睡眠技術の発明もこの頃。
初期星間文明(Early Stellar):TL10~11
超光速航法(ジャンプ機関)開発以後(ジャンプ限界は2パーセク)。ホロ(立体)投影技術や音声入力コンピュータの普及。反重力技術の普及により、地上車と飛行機の区別がなくなる。核融合炉の小型化が進む。
標準星間文明(Average Stellar):TL12~14
恒星間社会での一般的な技術水準(ジャンプ限界は3~5パーセク)。戦場にプラズマガンやバトルドレスが登場。ロボット技術の進展・普及が進むが、人工知能は限定的。記録媒体としてホロクリスタルが開発され、膨大な情報を小さな結晶体に収めることができるように。反重力による空中都市の登場。冷凍睡眠技術の安全性が高まる。クローン技術による臓器移植や、機械の義手・義足への交換も可能(※脳移植はTL16なので、体全体を交換することはできない)。
高度星間文明(High Stellar):TL15
現在考えうる最先端技術(ジャンプ限界は6パーセク)。擬生物型ロボットの登場(人工知能技術は進展しているが、まだ「自我」を持つには至らない)。抗老化薬の発明。大規模な惑星改造も可能に。

 『Cepheus Engine』ではTL16(G)以上の超文明は扱いの範囲外となります。


■基地コード(Base Codes)
 その星系内(必ずしも主要世界上とは限りません)に恒星間政府、もしくは海賊による基地が置かれている場合、この欄に記載がなされます。何もないなら空欄です。

 :海軍基地と偵察局基地の両方
 :偵察局基地と海賊拠点の両方
 :海軍基地
 :海賊拠点
 :偵察局基地
(※偵察局のない恒星間国家では代わりに前哨基地(Outpost)が置かれます)


■貿易分類(Trade Codes)
 その世界がどのような貿易産品を作り出し、求めているかを、UWPコードから算出された特徴で分類したものが列挙されます。恒星間貿易を行う際に最も使われますが、その星系がどのような雰囲気かを簡単に掴むのに使われたり、キャラクター作成時の出身星の特徴もこれで求められます。どのような条件でその分類となるかはここでは割愛します。

農業 Agricultural (Ag)
経済基盤を農業に置いている世界。
小惑 Asteroid (As)
小惑星に多くの人口が居住している世界。
未開 Barren (Ba)
開発が始まっていない無人の世界。
砂漠 Desert (De)
水界のない世界。
非水 Fluid Oceans (Fl)
水界が水以外の物質で構成されている世界。
肥沃 Garden (Ga)
自然が豊かな世界(※『Cepheus Engine』では条件が変更されたため、「人の手によって自然が管理された庭園のような世界」という意味かもしれません)。
高人 High Population (Hi)
人口が10億人以上の世界。
高技 High Technology (Ht)
TL12以上の科学技術を持つ世界。
氷結 Ice-Capped (Ic)
地表の水界が凍結している世界。
工業 Industrial (In)
経済基盤を工業に置いている世界。
低人 Low Population (Lo)
総人口が1000人台以下の世界。
低技 Low Technology (Lt)
工業化文明以前の技術力の世界。
非農 Non-Agricultural (Na)
農業生産に向かない環境の割に人口が多く、食料を自給できない世界。
非工 Non-Industrial (Ni)
人口の少なさゆえに工業生産力が乏しく、工業製品を輸入に頼る世界。
貧困 Poor (Po)
環境の悪さゆえに貧困にあえいでいる世界。
富裕 Rich (Ri)
環境が良く、富裕層が住みたがるような世界。
海洋 Water World (Wa)
地表が海洋でほぼ覆われた世界。
真空 Vacuum (Va)
大気のない世界。

 貿易分類はその世界でどんな商品が安く/高く取り引きされるかに関わります。例えば、工業世界で最新の農業機械を安く買い付けて、それを農業世界に持って行けば高く売れそうだ、と考えられるわけです。


■旅行安全情報(Travel Zone classification)
 大部分の世界は文明化されて旅行者に開放されていますが、中には内戦に苦しんでいたり、病気が蔓延していたり、単に旅行者を迎える準備が整っていない星系もあります。そのような世界は、恒星間政府や旅行者支援団体などによって「トラベルゾーン」が指定されます。UWPに記載されるのは以下の状態です。

:アンバーゾーン Amber Zone
旅行者に対して注意喚起がなされている状態。何らかの危険情報によって一時的に発令される場合と、現地の自然条件や政情・治安状態が恒常的に旅行に適さないと判断されている場合があります。
:レッドゾーン Red Zone
恒星間政府(主に海軍)によってその星系への旅行が禁止されている状態。旅行者の生命が脅かされるような危険がある場合や、恒星間政府や団体の事情により部外者の立ち入りが禁止されている場合(軍用地や秘密研究施設、環境・文化保護星系)に発令されます。

(※仮に進入禁止でも「燃料補給だけしてすぐに立ち去る」のは許される場合もあります)


■各種概要(brief synopsis of three pieces of data)
 3桁の数字は左から順に「人口倍率(Population Multiplier)」「小惑星帯数(number of Planetoid Belts)」「巨大ガス惑星数(number of Gas Giants)」を意味しています。
 「人口倍率」はUWPの「人口」で求められた主要世界の人口に掛け合わされる数値です。例えば、人口6で倍率3となっている世界は「1000000(10の6乗)✕3=300万人」が住んでいることになります。その性質上、人口倍率が0となるのは本当に誰も住んでいない星以外にはありえません(つまり人口0でも倍率が0でなければ数人が住んでいることになります)。
 「小惑星帯数」はその星系内に存在する小惑星帯の本数で、「巨大ガス惑星数」は同じく星系内に存在する巨大ガス惑星(ガス・ジャイアント)の数です。特に燃料補給に使える後者の無か有かの把握は、宇宙を自分の船で旅するなら必須です。


■所属(Allegiance Codes)
 その星系がどの恒星間国家に属しているか、そうでないかを表しています。基本的にアルファベット2文字(大文字1+小文字1)の略称で表わされるのが常ですが、「Na」は「Non-aligned」、つまりどこの国家にも属していない「中立星系」を必ず意味します(そのため略称がNaとなりそうな国家はNAやN1といった回避策が採られます)。


■注釈欄
(※『Cepheus Engine』では何故かUWP末尾の注釈欄について触れられていません。ここにはその星系が「星域首都」だったり、「研究基地」が置かれている場合などに記載があります)


 これで一通りUWPは読めるようになったはずですが、レフリーは読めるだけでは意味がありません。そこからどう想像を膨らませるかが大事です。その際、あまり杓子定規に解釈しない方が発想を広げやすいですし、何しろ気分が楽です。

 「宇宙港クラス」はそのまま即その星系の経済規模に直結します。大きな宇宙港のある星は経済的に豊かと考えていいでしょう。逆に、どう見ても交通の要所なのに宇宙港クラスが低い星があったのなら、そうなった理由を考えるチャンスです。「かつては大きな宇宙港があったが、戦災で破壊されて低ランクのサービスしか提供できない」とか色々考えられます。またAクラスだからといって人でごった返しているとは限らず、「完全にロボット化されてどこか物寂しい」宇宙港があってもいいと思います。

 「規模」は重力に直結するので、低重力/高重力の世界の生活風景や外世界人とのギャップを演出すると面白くなるでしょう。「この低重力世界の家の塀はプライバシー保護のために高く作られている」とか…。ただ、会話主体のRPGで重力は「感じさせ辛い」要素でもあり、高技術世界なら「重力プレートでどこでも1G」で逃げてしまう手もあります(汗)。また、「惑星の真裏の無人地域に不時着したので最寄りの街まで踏破」という定番シナリオをやる際の難易度にも関わってきます。

 「大気」のない、もしくは汚染された世界では綺麗な空気は貴重品となりえます。旅行者には「空気税」という形で応分の負担が求められる、とするとSFっぽい雰囲気が出るでしょう。また、植物を故意に傷つけると重罪となるかもしれません。
 同様に「水界」値の低い星で貴重な水を、宇宙船の燃料だからといって外世界人に「定価で」売ってくれるでしょうか? くれるにせよそうでないにせよ、住民の雰囲気を表すには格好のネタとなりえます。

 「人口」は、惑星全体に分散しているか一所に集まっているかで印象が変わってきます。水界の値が高い星なら人口密度は当然増すでしょうし、大気A+の星ではそもそも全住民が軌道上に住んでいる、なんてこともあるかもしれません。

 「政治形態」と「治安レベル」はセットで考え、イメージを膨らませるといいでしょう。例えば、政治形態4の間接民主制でも治安9なら「この星では政権与党に投票するのが暗黙の了解となっていることにしよう」とするのです。あくまでUWPの(わかりづらい)解説文はヒントとして捉えて、「それならば政治形態はBでないとおかしい」とは考えない方がいいです。独裁制だからといって住民が弾圧されているとは限りませんし、自由な社会を標榜していても実際には金がなければ何も出来ない社会なのかもしれません。
 他にも、「治安レベルが低いように見えるのは農村部で害獣対策に重火器の所持が許可されているためで、都市部では銃器の所持は禁止されている」というある意味「逃げ道」を作ってしまうのも十分ありだと思います。少なくとも『Cepheus Engine』は文明人をロールプレイするゲームなのですから、治安レベルの表で持ち歩きが許されているからといって常に銃器を持ち歩くような者は野蛮な人、という認識でいいでしょう。もちろん逆説的に「銃を堂々と持ち歩くのが許可されている」ことでその星の異文化感を出していく、という演出は効果的です。

 「技術レベル」はその世界の一般的な水準として捉え、特定分野はそれを上回ることがあってもいいと思います。例えば「TL10のこの星だが、医学の水準はTL12相当で…」ぐらいは理由がしっかりしていれば許される範囲でしょう。また、恒星間社会で外世界の物品が全く流入していない、ということもありえないです。低TL世界でも一部の金持ちが他の星から高度な技術製品を高額で輸入して見せびらかしていることもあるでしょう。それが儲けのネタになるかもしれませんし、逆にトラブルの種になるかもしれません。

 また「貿易分類」からイメージを掴むのもいいでしょう。この場合も拡大解釈は有効で、例えば「貧困」一つ取っても「経済発展から取り残されて貧しい」「資源が乏しくて貧しい」「貧富の格差が酷すぎて全体的に貧しい」など色々考えられます。「農業」でないからといって農業をやってないということはなく、人口が多すぎるせいで輸出に回す余力が無いだけなのかもしれません。


 次回は宇宙旅行の実際について。
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『Cepheus Engine』で始めるロールプレイング・ゲーム入門(3)

2016-08-17 | Cepheus Engine
 今回はキャラクターが得ていくであろう技能について解説していきます。
 前回にも書いた通り、作成時に選択技能(Cascade Skills)を引き当てた際には即座にその技能集団に属する技能1つに絞り込んで確定させないとなりません。ここでは「→選択(…」と書かれている技能がそれで、括弧内の技能がその選択技能に属する技能となります。
 なお、技能は大まかに3つに分類はされていますが、そこまで意味があるようには思いません(大汗)。


■基本技能(Basic Skills)
管理 Admin
 この技能の持ち主は官僚機構というものがどういったものかを学んでいて、その対処法に通じています。官僚との「対話」や、書類作業などに用いられます。また、仕事上の部下を文字通り「管理」する際にも使えます。
(※官僚官僚と言っていますが、企業社会も一種の官僚機構です)

法律 Advocate
 恒星間社会で共通的な各種法規に通じています。各星系や地方独特の法律までは把握できません(※レフリーの判断で高めの難易度で判定させるぐらいはいいと思います)。

動物 Animals
→選択(牧畜、騎乗、生存、獣医学)
 動物に関する様々な技量を身につけています。〈生存(Survival)〉だけは特殊で、自然環境の中で生き残るために、獣を罠を使って狩り、新鮮な水を確保し、火を起こし、危険な生態系を回避するための技能です。
(※Traveller SRDと比べて、動物を飼い慣らす〈調教〉が削除されました。判定の内容に応じて〈牧畜〉や〈騎乗〉で判定するといいでしょう)

運動 Athletics
 身体を使って活動する際に用いられます。登山や曲芸や投擲、長距離走や重量挙げがこの技能の範疇です。また、翼を持つ異星種族が飛行する際にもこの技能による判定が必要となります。

バトルドレス Battle Dress
 戦場の花形、先端技術で作られた強化装甲服「バトルドレス」を着るための技能です。また、強化外骨格(exoskeletons)と呼ばれる機械類の操縦技能もこれです。

贈賄 Bribery
 法律などを回避するために、金品を相手に贈ることで事態の好転を図る技能です。実際に相手に賄賂を贈る際に判定する他に、相手がどれ程度の金品を求めているかを推し量るのにも使えます。

ブローカー Broker
 商品の価値を正確に把握し、買い手や売り手を手際良く見つけるための技能です。

社交 Carousing
 社交界など、酒席での作法や話術に通じています(※転じて、上流階級の人相手に交渉事をする際に用いる技能と解釈してもいいでしょう)。

通信機 Comms
 通信機や探知機といった電波を発する機械の操作や補修に通じています。また、暗号通信の発信元の解析や、ロボットの遠隔操縦などもこの技能です。ただし「携帯電話で仲間と連絡を取る」ぐらいなら無技能でも可能です。

コンピュータ Computer
 コンピュータの操作、プログラミングなどに通じています。0レベルもあればデータの検索やメッセージの送受信ぐらいは判定無しで行えますが、レベルが高くなればネットワークに侵入して秘匿データを盗み見ることも(判定次第で)可能となります。

爆破工作 Demolitions
 爆発物の作成、設置、解体などの技術を身につけています。

電子技術 Electronics
 電子装置の設置、運用、細工、保全修理などに通じています。

エンジニアリング Engineering
 宇宙船の通常ドライブ、ジャンプドライブ、パワープラントの操作、補修に通じています。宇宙船に機関士(Engineer)として勤務するには必須の技能です。

賭博 Gambling
 運が絡む賭け事遊びの「勝ち方」を知っています。決して「一か八かの攻撃」のようなことで有利に働くことはありません(※ですから和訳を〈ギャンブル〉から〈賭博〉に変えました)。また、イカサマ賭博を見抜く際にも使えるでしょう。

反重力技術 Gravitics
 反重力を発生させる機器の設置、運用、補修などに通じています。

万能 Jack-of-All-Trades
 あらゆる物事を聞きかじっている「器用貧乏(Jack-of-All-Trades)」さを表します。他の技能とは異なり、この〈万能〉技能は無技能行動のペナルティであるDM-3をレベル分だけ軽減させるため「のみ」に用いられます(そこまで取れる可能性は低いとはいえ、仮に4レベル取ったとしても軽減されるDMが3しかないので無駄になります。つまり〈万能-3〉の持ち主はあらゆる技能を0レベルで持っているのと同じですが、それ以上の存在には決してなれないのです)。

リーダー Leadership
 この技能の持ち主は集団を統率し、行動を促し、士気を鼓舞する術を知っています。
 集団が一つの目標に向かって共同であたっている際に、指導者は〈リーダー〉の判定を行い、目標値8との差が正の数ならそれと同じ「ポイント」を得ます。集団の構成員は判定の際にそのポイントを取り崩してプラスDMとして得ることができます(※得られるDMは判定に使用する技能レベルまで、等の制限は必要かと思います)。また、〈リーダー〉判定によって戦闘時に他者の行動順を一時的に引き上げることができます。

言語学 Linguistics
 母語以外の言語に通じています。〈言語学-0〉のキャラクターは大抵の言語で挨拶や簡単な会話が出来ることを意味します。
(※つまりこの技能は他言語を「広く浅く」知っていると解釈すべきでしょう。ゲーム的にはその方が便利かもしれませんが、一つの言語を選択して「狭く深く」習熟するハウスルールを設けてもいいでしょう)

接触 Liaison
 この技能を持つキャラクターは、様々な社会階層や異文化などに溶け込み、適切な応答や振る舞いができるように訓練されています。
(※『Cepheus Engine』では相手の態度を和らげる技能として捉えられている感じを受けます。従来通りの「初対面の相手と対話する」ための技能として使えるかどうかはレフリーの判断次第です)

機械技術 Mechanics
 機械類の設置、運用、細工、保全修理などに通じています。
(※機械式の錠前を開ける技能もこれになったようです)

医学 Medicine
 医療に関する正しい知識を身につけ、適切な訓練を受けています。応急手当てから長期入院まで、負傷や病気に対する治療法を見つけ、指示することができます。宇宙船に船医(Medic)として勤務するには必須の技能です。
(※個人的には単なる応急手当てまで〈医学〉技能を求めるのは大袈裟過ぎると思います。応急手当てに関してのみ〈生存〉での代用を認めてもいいのではないでしょうか)

航法 Navigation
 この技能の持ち主は、通常の宇宙空間やジャンプ空間で目的地に正しく宇宙船を導く訓練を受けています。宇宙船のジャンプ計画(Jump Plot)を立てるのに必要であり、航法士(Navigator)として勤務するには必須の技能です(ただし技能を持つパイロットが兼任したり、ソフトウェアで代行させる場合があります)。
(※海洋を航行する際に使えるかどうかは『Cepheus Engine』では出来ない雰囲気です。〈船舶〉系の技能で判定すればいいでしょう)

パイロット Piloting
 惑星間および恒星間宇宙船の操縦訓練を受けています(小艇、救命艇、宇宙船、大型艦の区別はありません)。宇宙船に操縦士(Pilot)として勤務するには必須の技能です。

偵察 Recon
 敵を先に発見し、逆に敵からは見つからない訓練を受けています。また、危険もしくは有用な地形の察知もできます。
(※Traveller SRDと比べて隠密行動に関する技能が削除されたため、この〈偵察〉で代用すると思われます)

科学 Science
→選択(生命科学、自然科学、社会科学、宇宙科学)
 それぞれ特定の科学知識に通じています。各技能の適用範囲は以下の学問です。
 〈生命科学〉:生化学、生物学、植物学、サイバー科学、遺伝子工学、生理学、超能力学
 〈自然科学〉:化学、電子工学、地質学、物理学
 〈社会科学〉:考古学、経済学、歴史学、哲学、心理学、知的生命学
 〈宇宙科学〉:天文学、宇宙論、惑星学、異星環境学

スチュワード Steward
 貴族/富裕層の者や、特等船客に対する接客給仕の訓練を受けています。家事・炊事といったものから、執事や秘書に求められるような技術も全て内包しています。宇宙船に接客係(Steward)として勤務するには必須の技能です(他にホテルマンや、メイドとして勤めるのにも使えるでしょう)。省力化が進んだ宇宙船ではロボット化されていがちな職種ではありますが、一人いるだけで少なくとも乗組員の食生活が豊かになるのは間違いありません。

交渉 Streetwise
 この技能の持ち主は都市というものの構造と本質を熟知しており、その中で生き抜く術を知っています。どこに行けば情報を得られるか、どうすれば見知らぬ相手を怒らせずに話を進められるか、どういった者が限りなく非合法に近い物品を取り扱っているのかを把握しているのです。
(※このように、本来は〈街頭の知恵〉であって〈交渉〉と訳すには不的確なのですが、技能の使い道と、言葉としての通りの良さを考慮してあえて意訳どころではない訳を採用しています)

戦術 Tactics
 戦闘を有利に、効率的に進める手腕を持っています。小は分隊規模(のボードゲーム)の地上戦から、大は宇宙戦艦が何十隻も参加するような大会戦まで、全てこの技能で扱います。〈戦術〉技能があると、戦闘の際に敵方より先手を取れる可能性が上がります。
(※Traveller SRDでは地上戦と宇宙戦で分けられていた技能が統合された影響で、適用範囲が非常に広くなっています。技能の持ち主の出身部門や設定で適用範囲を絞るといいかもしれません)

無重力環境 Zero-G
 無重力や微重力、自由落下中の状況で平衡感覚を失わずに行動ができます。〈無重力環境〉の適用対象となる環境では、一時的に技能レベルはその者が持つ〈無重力環境〉技能レベル以下に制限されます(〈ピストル-2〉を持っていても〈無重力環境-1〉なら〈ピストル-1〉となりますが、〈生得武器-0〉が1レベルになるわけではありません)。また、宇宙服(Vacc Suit)や戦闘アーマー(Combat Armor)を素早く的確に着装するためにもこの技能が使われます。
(※宇宙服を着用するには必須の技能扱いとなっていますが、「着させてもらう」なら別に無技能でもいいんじゃないかと思います)
(※無重力状態で制限される技能は、戦闘や運動系は当然として、修理系や対話系技能まで含めていいかは状況次第だと思います。手元が狂ったり、適切な作法が出来ないと判断できれば制限してしまっていいでしょう)



■武器技能(Weapon Skills)
射撃戦闘 Gun Combat
→選択(弓術、エネルギー・ピストル、エネルギー・ライフル、散弾銃、ピストル、ライフル)
 それぞれの武器カテゴリに属する射撃武器に習熟します(投擲は〈運動〉扱いです)。弓術は言うまでもなく弓矢、エネルギーと付く武器は光線(Laser)、それ以外は弾薬で攻撃する射撃武器です。ただし、それぞれの武器がどの技能に属するかは今ひとつ不明確です(特に短機関銃(Submachinegun)が〈ピストル〉なのか〈ライフル〉なのか…? 個人戦闘を解説する回までの宿題にしておきます)

砲術 Gunnery
→選択(砲門、重火器、防護幕、主砲、砲塔)
 この選択技能では基本的に地面や車両、宇宙船に固定されて発砲する「砲」を取り扱いますが、個人がかろうじて携行できる重火器もこの下に置かれています。〈重火器〉はロケットランチャーやプラズマガンから車載砲まで、〈砲門〉は宇宙船のレーザーやミサイルといった砲、〈主砲〉は戦艦などに搭載される粒子加速砲など大火力の砲、〈砲塔〉は対宇宙戦闘機用の銃架砲塔が範囲です。〈防護幕〉は宇宙船の防御兵装を扱います。〈砲門〉や〈砲塔〉技能は宇宙船の砲手(Gunner)として勤務するには必須ですが、活躍できるかはシナリオ次第です(基本的に、一般市民の生活とは掛け離れた〈砲術〉系技能は持て余す可能性が高いです)。

白兵戦 Melee Combat
→選択(殴打武器、生得武器、刺突武器、斬撃武器)
 それぞれの武器カテゴリに属する接近戦用武器に習熟します。〈生得武器〉とは、生命体が元々備えている物で戦うことで、人類なら拳や蹴りなどの格闘術、爪や牙を持つ生命体ならそれが該当します。


■操縦技能(Transport Skills)
輸送機器 Vehicle
→選択(以下に書かれた技能は全てこの〈輸送機器〉技能の選択の対象です)。
 〈輸送機器〉に属する技能では、操縦だけでなく日常的な点検整備も行えます(修理は〈機械技術〉や〈反重力技術〉で行います)。

航空機 Aircraft
→選択(反重力車両、回転翼機、固定翼機)

反重力車両 Grav Vehicle
 エアラフトなど、反重力によって浮力を得る輸送機器を操縦する技能です(例外として、反重力ベルトは〈無重力環境〉で操ります)。

回転翼機 Rotor Aircraft
 ヘリコプターやホバークラフトといった、翼を回転させて浮力を得る輸送機器を操縦する技能です。

固定翼機 Winged Aircraft
 一般的な「飛行機」という単語でイメージされる、固定された翼で浮力を得る輸送機器を操縦する技能です。

採掘機 Mole
 地面の下をドリルやプラズマで掘りながら進む輸送機器を操縦する技能です。

大型車両 Tracked Vehicle
 トラックから戦車まで、大型の車輪型機器を運転する技能です。

船舶 Watercraft
→選択(小型船、外航船、帆船、潜水艦)
(※オールで漕ぐようなボートを操る技能が抜け落ちている気がします)

小型船 Motorboats
 近海や河川を航行する小型船舶を操る技能です(※英語表記が示すように「モーターのある」船舶が対象のようです)。

外航船 Ocean Ships
 大洋を渡るような大型船舶を操る技能です。

帆船 Sailing Ships
 帆を張って、風力によって航行する船舶を操る技能です。

潜水艦 Submarine
 水面下を航行する船舶を操る技能です。

小型車両 Wheeled Vehicle
 地上車や二輪バイクなど、小型の車輪型機器を運転する技能です。


 次に、これらの技能でどのように判定(Skill Checks)するかを解説していきます。
 『Cepheus Engine』における判定は、簡潔に言えば「あらゆるDMを加味して2Dで8+を出すか、そうでないか」で決まります。8以上なら成功、8未満なら失敗で、8から6差(つまり14以上か2以下)でそれぞれ頭に「例外的(Exceptional)」と付く成功/失敗となります。

 判定には書式(Task Description Format)が定まっており、例として以下のように書かれます。
 
目的の情報を得るには:〈コンピュータ〉、知力、1D分、並(±0)。

 まず「判定の目的」が書かれ、コロンの後ろにはこの判定に使えるDMなどが羅列されます。まず要求される技能を1つ、次に能力値DMが1つ、完了にかかる時間、最後に判定の難易度修正が記載されます。ただしこの書式、公式ルール内でもかなりいい加減に運用されており、「難易度易で〈パイロット〉の判定」ぐらいにしか書かれていないことの方が多いです。また、必ずしも技能と能力値が対になって運用されているとは限らず(技能だけ、能力値だけは結構ある)、その辺をきっちりやるか雑に扱うかはレフリーの裁量次第です。

 言うまでもなく、指定された技能レベルはそのままプラスのDMとなります(1レベルなら+1)。もしその技能を持っていない場合はDM-3が課せられます(前述した通り〈万能〉技能はこのマイナスDMをレベル分軽減します)。よって、0レベルでも技能があればかなり成功率に影響することがわかりますね。
 能力値DMもそのままDMとして使われるため、このゲームにおいて能力値5以下のキャラクターは「1~2レベル技能を帳消しにしてしまう」というかなり重いハンデを背負っていることになります。なお、無技能行動でも特に明記がないので能力値DMは加算するようです。

 続いて「時間」の項目ですが、この判定による行動でどれくらい時間がかかったかが決定されます。判定書式では以下の時間単位があります。

 1D秒
 1Dラウンド(※ラウンドは個人戦闘で使われる単位で、1ラウンド=6秒)
 1D分
 1Dキロ秒(※キロ秒は宇宙戦闘で使われる単位)
 1D時間
 1D日
 1D週(1週=7日)
 1D月(1月=30~31日)
 1D四半期(1四半期=3ヶ月)

 基本的には判定の後で1Dを振って単位を加える(「1D分」で3が出たなら「3分」)のですが、判定を「急いでやる」「慎重にやる」ことでこの時間単位が上下します。時間単位を1個遅らせるごとにDM+1、時間単位を1個早めるごとにDM-1となります。
(※マングース版『トラベラー』から時間単位の並びが一新されたのはともかく、1回の判定で何週間もかけられても困ります。時間を厳密に管理しないといけないような局面以外では、この荒削りな判定時間ルールは無視すべきです)

 判定の難易度ですが、レフリーが定めた難しさにより判定のサイコロが以下のように修正されます(※あえて「正確な訳」にはしていません)。

 朝飯前(Simple):+6
 簡易(Easy):+4
 (Routine):+2
 (Average):±0
 (Difficult):-2
 至難(Very Difficult):-4
 不可能(Formidable):-6

 他にも「複数のことをまとめてやろうとするとDM-2」とか「いい工具を使っていたらDM+1」とか「星系の治安レベルに応じて難易度が上下する」など細々したルールは一応ありますが、杓子定規に適用せずにレフリーの裁定の範疇で処理していいでしょう。
 ただ問題なのは、「判定は成功するまで繰り返していい」と書いてあることです。これは「ネットで情報を探す」ような「いつかは成功するので、それにかかる時間の方が重要」のような判定に適用すべきです(もちろん「〈運動〉判定に失敗したら穴に落ちる」ような局面では一発勝負であるべきです)。また、キャラクターが途中で諦めてしまうかどうかの判定をハウスルールで設けるような工夫も必要かと思います。。

 ちなみに他のゲームのように、判定で2が出たら自動失敗、12が出たら自動成功ということはありませんので、DM合計が+6に達すれば成功は確約されますし、-5なら絶対に失敗します(「例外的」となるかが関係するような判定ならサイコロは振るでしょうけど)。

 ここで考えて欲しいのは、そもそも成功が8+ということは成功率は半々ではなく失敗する可能性の方が高いのです。技能や能力値から修正をもらうにしても「並の人」にはDM+2を得るのが関の山でしょう。となると難易度並ならまだしも、難以上になると成功率は一気に下がってしまいます。ですから上手いロールプレイで有利な状況を作り、なるべく簡単な難易度をレフリーから引き出すのが求められるプレイテクニックとなります。一段階難易度を下げさせるだけでDM+2なのですから。


 さて、キャラクターに関する説明は(異種族キャラクター作成ルールを割愛したものの)一通り終わりましたが、実際の運用について少し。
 キャラクターが基本的に運命という名の運によって制作される以上、これから行うシナリオ/キャンペーンに適したキャラクターかどうかは別問題となってしまいます。例えば「とある僻地に放置された宇宙船を回収してきてくれたら、それ、あげるよ」という太っ腹な定番シナリオをやるとして、そもそも誰も宇宙船を動かせなかったら何の意味もないのです。
 この問題を回避する手段としては、いくつか考えられます。

  • 作成段階で「これからどういう話をやるか」をプレイヤーに意識付け、経歴部門や技能の選択に影響を与える。
  • 事前に各プレイヤーに5~6人ずつキャラクターを作って来てもらい、必要な技能を持ったキャラクターをそこから選抜してプレイを始める(1つも合わなかったら他プレイヤーから借りる(笑))。
  • レフリーが用意したプレロールドキャラクター、もしくはテンプレートの中から選択してもらう(一番楽)。
  • 必要な技能をレフリーから配布する(Traveller SRDではこの方式)。
  • 出来上がったキャラクターに合わせて、日を改めてレフリーがシナリオを組んで来る(かつてはこれが一般的だった)。
  • NPCを同行させて足りない技能を補う(これもかつては多用されたが、プレイヤーがNPCに依存する/こき使うのは避けるべき。「居てくれないと困るが活躍はしない」ぐらいのバランス感覚が求められる)。

 キャラクター作成システム自体を変える、という身も蓋もない手段もありますがそれはともかくとして、レフリーはプレイの進行が滞らないようにキャラクターの所有技能には常に注意を払ってください。また、プレイヤー同士でも役割(見せ場)があまり被らないように調整しあってください。楽しめない人がいたら、それは勝敗のないRPGの中でも唯一の「負け」ですから。

 あと、『Cepheus Engine』では戦闘系技能はさほど生死を分けませんが(結局は敵の数と腕と多少の運次第なので)、対話系技能は物事の成否どころか生死を分けることがありえます。上流階層には〈社交〉、都市の中~下流階層には〈交渉〉、官僚に書類で挑むなら〈管理〉、初対面の相手には〈接触〉、他者に命令するなら〈リーダー〉、値切るなら〈ブローカー〉、裏金で解決するなら〈贈賄〉…と、適切な技能で相手に対するのは、未来社会を生き抜くために非常に重要であることを忘れないでください。何でも武力で解決するのは、いい歳した大人には似合いません(笑)。


 次回はたぶん個人戦闘の解説…になる予定です。あえて後回しにして冒険の基本舞台となる「星系」について語るかもしれませんが。
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『Cepheus Engine』で始めるロールプレイング・ゲーム入門(2)

2016-08-08 | Cepheus Engine
 前回は、これから自分が働いていく経歴部門を選択するところまででした。応募に失敗して放浪者になってしまった? その選択を否定はしませんが、正直言ってキャラメイクという観点からは作り直した方が早い気がします(苦笑)。

 さて、『Cepheus Engine』でのキャラクター作成は「期(term)」という単位で管理されます。1期は4年間であり、この1期ごとにキャラクターは技能を習得し、雇用契約を更新していくことになります。


■基礎訓練(Basic training)
 1期目を迎えた新人キャラクターは、まず研修で基礎訓練を受けます。これにより自分の経歴部門の「部門技能(Service Skills)」の欄に書かれている6つの技能を、全て「0レベルで」取得できます。
 ここで注意が必要なのは、前回の「生い立ちによる技能(Background Skills)」で取得した技能と被ってしまった場合です。『Cepheus Engine』では裁定が出ていませんが、大元となったマングース版『トラベラー』では「0に0を足しても0」という解釈がなされています。技能1個分損した気分になるわけですが、これも人生です(笑)。

 また、(ルールには明記されていませんが)この時点でキャラクターの階級(Ranks)は「第0段階」となります。『Cepheus Engine』では特定の階級に達したキャラクターは1レベルの特典技能が貰えるのですが、この「第0段階」でも技能が…なぜか放浪者だけ貰えないのは不思議ですが(誤植ともペナルティとも判断がつかない)、とにかく貰えます。前述の0レベル技能と被った場合ですが、今回貰えるのは1レベルですので0+1=1。その技能が成長しただけのことです。
 これ以降全てのことに言えるのですが、その技能を持ってないのに「1レベル技能を貰った」場合は、0レベルを経ずにいきなり1レベルとなることを間違えないようにしてください。そして、その技能を既に持っているなら足し算です。


■生き残り(Survival)
 さて、ここでいきなりではありますが、キャラクターに試練が訪れます。1期4年を無事に切り抜けられたかを判定するのです。自分の部門の「生存(Survival)」の欄に書かれている能力値と数値でサイコロを振ります。前回にも書いた通り、「Dex 5+」なら「敏捷力DMを加味して2Dで5以上を出すと成功」という意味になります。

 成功したのなら問題ありません、次の項目に進みます。逆に失敗なら……死にます。キャラクターは勤務中に事故死したか、誰かに殺されたか、1ゾロを出してパラグラフ14に行ってしまったか(この生存判定のみ2Dで2が出たら自動失敗します)、とにかく死にました。人生とは無情なものですね。最初からキャラクターを作り直してください。

 ……あんまりだ? まあまあ落ち着いて。これはゲームなのでスリルがいるだろう、と考えたのかもしれません。また、強力過ぎるキャラクターが世に放たれるのを恐れたのかもしれません。
 安心してください。さすがに即死はきつい、という人向けに、救済策が用意されています。選択ルールなので採用は事前にレフリーと協議しておくべきですが、判定に失敗した場合は「2年を経過させて生き残り失敗表(Survival Mishaps)に回る」ようにすることができます。1期4年を勤め上げられなかったので中途退職という形になりますが、死ぬよりはマシでしょう(汗)。ただしこの失敗表、ランダムな結果次第で「重傷を負う(高額治療費が借金となる場合あり)」「不名誉除隊かつ懲役4年の実刑」などだいたいろくなことがありませんけど、繰り返しになりますが死ぬよりはマシでしょう(大汗)。


■任官と昇進(Commission and Advancement)
 無事生き残ったキャラクターが次に受ける試練は「昇進」です。階級が上がれば上がるほど後で美味しい思いができますし、旅に出た後でもロールプレイの面で役に立つことがあるかもしれません。
 階級が第0段階のキャラクターはまず「任官(Commission)」で階級を得なくてはなりません(軍隊なら士官昇進、企業なら管理職登用といったところでしょうか)。自分の部門の「任官」欄に書かれている判定を行い、成功すれば無事に「第1段階(Rank 1)」に書かれている階級を得ます。例えば海兵隊(Marine)なら「兵士(Trooper)」から「中尉(Lieutenant)」となるわけです。昇進が急過ぎる? これはゲームなので抽象化されていると思ってください(汗)。
 当然ながら、判定に失敗したのなら階級はそのままです。

 階級が第1段階以降のキャラクターは、「任官」ではなく「昇進(Advancement)」の欄を使って判定を行い、成功すれば同じように1段階階級が上がります。進んだ先の階級欄に技能が書かれている場合は、昇進特典としてその技能も得られます。

 任官・昇進の判定ができるのは1期に1回だけです(あまり意味はありませんが判定は「任意」です)。徴募されたキャラクターは第1期目に任官を試みることができません。また、任官したのと同じ期に昇進を試みることは「できる」とルールに書かれています。

 あれ、うちの部門には階級が書かれてないぞ? と思った方。目の錯覚ではありません。世の中には昇進とは無縁なフラットな社会もあるのです(笑)。その場合はここでは何も起こりません、次の項目に向かいましょう。

 わざわざ任官と昇進で分けてあるのは煩雑な印象を受けますが、「任官と昇進で難易度や求められる能力値が異なる」ことで経歴部門ごとの個性が表現されています(ただし旧来の作品よりは難易度が甘く調整されています。「任官試験で10+」の絶望的な壁はもうありません)。


■技能の取得(Skills and Training)
 ここまで来てやっと技能を取れます。各部門から習得できる技能は、大きく4つに分けられています。

 自己開発(Personal Development)
 部門技能(Service Skills)
 専門課程(Specialist)
 上級教育(Adv Education)

 「自己開発」はその名の通り、自分を鍛えて能力値を伸ばせます(場合によっては〈白兵戦〉などの技能も得られます)。「部門技能」は基礎訓練でも得られましたが、その部門ならではの技能が詰まっています。「専門課程」は更に専門的な、「上級教育」は教育度8+のキャラクターのみが選択できる高度な技能を得られます。

 プレイヤーはこの3項目(教育度8+なら4項目)の中から1つを選び、1Dを振って出た目に応じた技能を1レベル受け取ります。ある程度の絞り込みはできますが、狙った技能を取れるわけではないのです。低い能力値を補おうと鍛錬に明け暮れた結果、〈賭博(Gambling)〉の技能が伸びていった者を私は知っています(笑)。

 1期につき、技能を得られる機会は基本的に1回です。ただし、その期で任官や昇進に成功しているのならもう1回ずつ判定を行えます。また、階級のない部門のキャラクターは各期で2回ずつ技能習得を行えます。

 技能欄の中には、複数の技能を内包した「選択技能(Cascade Skills)」に分類される技能が書かれている場合もあります。この技能が当たった場合は、直ちにその技能集団に属する技能1つに絞り込んで確定させてください。同じ選択技能が当たったからといって毎回同じ技能を取る必要はありませんし、逆に同じ技能を取っても構いません。
 技能の詳細については、回を改めて解説します。


■加齢(Aging)
 ここで1期4年が終了です。勤務お疲れ様でした。便宜上、このタイミングでキャラクターは4歳ほど歳を取ります。
 もし年齢が34歳(第4期終了時)以上になっていたら、あなたのキャラクターには老いが忍び寄ってきます(汗)。2Dを振って、DMとして現在の期数を引きます(つまり最低でもDM-4です)。その結果が正の数なら何の問題もありませんが、負の数なら「年齢効果表(Aging Table)」を参照して書かれている(主に肉体系の)能力値が減ります。
 これにより不幸にして能力値が0になってしまう場合、能力値を1に戻す代わりに高額な医療費を請求される上に、これに続く再応募判定に自動失敗します。まあ死ぬよりはマシです(笑)。


■再応募と退職(Reenlistment and Retirement)
 キャラクターが続く4年間を同じ職場で過ごすためには、ここで「再応募(Reenlistment)」の判定に成功しなくてはなりません。能力値によるDMは書かれていないので、単純に2Dで記載されている数字以上を出さなくては退職に追い込まれます。また、この判定で12を出すと強制再雇用(上から懇願されて職場に残るやつです)となるため、自発的な退職を決めていても判定だけはやらなくてはなりません。
 自分から退職するメリットがあるのか? と聞かれそうですが、生存判定に失敗すれば全てが水の泡になることを思い出してください。ある程度技能を得たキャラクターを確実に確保するのか、更なる成長を求めて賭けに出るのか、全てはあなた次第です。
 また、7期同じ職場にいたキャラクターには肩叩き(退職勧告)が始まります(汗)。8期目以降の継続雇用を望むなら、再応募判定で12を出し続けるしかありません(46歳定年制の社会というより、ゲームバランスの問題でしょう。ついでに言えば、この「7期」という数字はレフリーが短縮/延長しても構わないという選択ルールもあります)。

 再応募に成功しましたか? ならば新たな4年間が始まります。「生き残り」の項目まで戻って繰り返してください。


■退職恩典(Mustering Out Benefits)
 自ら望んでかそうでないかはともかく、ここにたどり着いたあなたはもう職場に縛られない自由の身です(※元となったルールの名残りで退職後に他の部門への転職が可能なように読めなくもないのですが、ややこしくなるので考えないことにします)。宇宙に旅立つ日までもう少しですが、それには先立つものが必要です。職場は、あなたのこれまでの働きに見合った報奨を出してくれるでしょうか?

 退職恩典には、「物品恩典表(Material Benefits)」と「金銭恩典表(Cash Benefits)」の2種類があります。この2つを合わせて「勤め上げられた期数」回だけ1Dを振って、出た目に書かれた物を受け取れます(4期勤めたなら2回と2回にするか3回と1回にするかはプレイヤーの自由ということです)。更に、退職時の階級が第4段階に達していたなら1回、第5段階なら2回、第6段階なら3回多く振ることができます(※Traveller SRDからは回数が減らされています)。ただし、負傷などで1期を満了せずに退職した場合はその期は数に入りませんし、失敗表で「恩典は没収される」の結果が出ている場合は振ることすらできません。

 「金銭恩典表」は〈賭博〉技能を持っているなら、「物品恩典表」は階級が5段階目以上なら双方ともDM+1を得られるため、表の欄は1から7まで用意されています。
 「金銭恩典表」の単位は「クレジット(Credit)」で、主に略して「Cr.」と表記されます。1クレジット=1ドル≒100円と考えると目安になるでしょう。なお、「金銭恩典表」で1Dを振れるのは最大3回となっています。
 「物品恩典表」については、以下の物が部門と運と階級次第で貰えます。

偵察艦(Courier Vessel):
偵察局より100トン伝令偵察艦が貸与される。「船主」が自由に乗り回して良いし、各地の偵察局基地で補修や補給を受けられる(その他の維持費はキャラクター持ち)。ただしあくまで貸与なので、戦時など予備役局員に招集をかける場合にはそれに応じる義務があるし、当然ながら廃棄も売却も譲渡もできない。
エクスプローラー協会(Explorers' Society):
旅行者を援助する協会の会員権を得る。この協会の一員となるのは名誉なことであり、恩典を経ずに入会するには入会金100万クレジット(と生涯一度きりの入会審査判定)を要するほどである。会員になると協会運営の施設(宇宙港内の宿泊所や専用リゾート)への出入りが可能となり、特等チケットの配当を2ヶ月に1枚受けられる。会員権の売却や譲渡はできない。
旅客チケット(Passage):
特等、一等、二等のいずれかの、恩典表で指定されたチケットを1枚受け取る(1枚なので当然片道切符である)。自分で使用してもいいし、売却・譲渡も自由。
研究船(Research Vessel):
何処の財団か企業か裕福な個人から200トン研究船の提供を受けた。維持費はキャラクター持ちだが所有権は移動していないので、勝手に譲渡・売却することはできない。
船株(Ship Shares):
後に宇宙船を購入する際に、船株1つにつき200万クレジット引きで購入できる。売却はできないかもしれない(※高額なのでレフリーは認めるべきではないでしょう)。
武器(Weapon):
任意の武器1つ(※といっても一般市場で出回っている物に限るべき)を得る。重複した場合、2回目からは代わりに武器技能を1レベル上昇させても良い。
能力値+1:
恩典表で指定された能力値が1増える。

(※古参ゲーマーの方には驚きかもしれませんが、なんと『Cepheus Engine』ではキャラクター作成段階で自由貿易商船を受け取れなくなりました(いきなり売却されるのを恐れたのでしょうか? ならばR型を渡せばいいのに…)。船株をかき集めて40年ローンを組んで入手するか、レフリーという名の悪魔の誘いを待ちましょう)


 ここまで来たら完成です。後は名前や性別など、キャラクターを肉付けしていきましょう(最初に決めないのは無駄になることが多いからです(笑))。作成の過程でどのような「人生」を送ってきたかを反映させるのもいいでしょう。「こいつは生存判定を3回続けてギリギリで切り抜けたから、神の存在を信じているかもしれないな」とか「なかなか昇進できなかったコンプレックスで、権力者に対してはつい反抗してしまうようにしよう」とか…。
 専用のキャラクターシートがあるのでそれに書き込んでも良いのですが、簡潔に「標準キャラクター書式(Universal Character Format)」に従ってノート等に清書してもさほど問題はありません。
(※ここで紹介するのは『Cepheus Engine』本来の形式とは微妙に異なります)

[名前][元職業と階級][年齢][期数][能力値(UPP)][所持金]
〈技能-レベル〉〈技能…
[キャラクターが人類以外の場合は特記事項]
[所持品]

 ちなみに「UPP(Universal Personality Profile)」というのは、キャラクターの能力値を筋力・敏捷力・耐久力・知力・教育度・社会身分度の順に6桁の擬似16進数で並べたものです。ひと目で能力値を把握できるため、この表記に慣れておきましょう。

【例】
ブルース・アヤラ 元芸能人 38歳 5期 786A9A Cr.70000
〈社交-3〉〈コンピュータ-2〉〈接触-2〉〈運動-1〉〈管理-1〉〈法律-1〉〈贈賄-1〉〈賭博-0〉〈反重力機器-0〉〈言語学-0〉〈交渉-0〉
特等チケット 2枚

 正直言ってわかれば良いので、技能をレベル順に整列させなくても別にいいと思います。末尾に出身星系を書き込むのもいいでしょう(個人的には年齢と期数の位置を入れ替えたいです)。リプレイやシナリオを公表するような時には一定の書式を守った方が良いですが。

 キャラクター作成ルールには他にも、作成中に負傷した際の(軍隊の方が手厚い)医療給付(Medical Care)や、高額な抗老化薬(Anagathics)による老化抑制、(なぜか選択ルール扱いになった)勤続5期以上で貰える退職金(Retirement Pay)など、細かなルールはありますが割愛します。


 では、実際にキャラクターを作ってみましょう。2Dを6回振って,UPPは688C89となったので、自分の資質を考慮して商船会社を目指してみることにします(商船は知力で栄達していく業界です)。
 その前に出身星を決めます。とりあえず「高治安・高人口・高技術・肥沃」に分類されている星系を出身とすることにしたので、選べるのは〈白兵戦-0〉〈交渉-0〉〈コンピュータ-0〉〈動物-0〉の中から2つ。一方、彼の教育度8なのでDMは0、つまり基礎教育の段階で選べる技能数は3+0=3個となります。
 そこで出身星からは〈交渉-0〉〈コンピュータ-0〉を選び、もう1つは基礎教育技能表の中から〈言語学-0〉を選択します。もしかしたら将来異星種族と片言でも商談をする機会があるかもしれないからです。

 18歳になったので、予定通り商船を目指します。商船への応募条件は「Int 4+」なので、知力によるDM+2を得れば失敗するはずがありません(出目が2だからと言って失敗するルールはないので)。悠々と商船への就職を決めます。
 船員(Crewman)となった彼は、まず見習いとして接客技術を覚えました(階級0の特典で〈スチュワード-1〉を得た)。また、基礎訓練によって〈通信機-0〉〈エンジニアリング-0〉〈銃器戦闘-0〉〈白兵戦-0〉〈ブローカー-0〉〈輸送機器-0〉と、一通りのことを叩き込まれました。また、この中で〈銃器戦闘〉〈白兵戦〉〈輸送機器〉は選択技能なので、それぞれ〈散弾銃〉〈生得武器〉〈反重力機器〉に特定しました。

【1期目】
 生存判定の条件は「Int 5+」と書いてありました。2Dの出目は11だったので、知力によるDM+2を加えるまでもなく成功します。「Int 5+」の任官試験も2Dで7を出してパス。船員から甲板部員(Deck Cadet)に昇進しますが、トントン拍子に四等航宙士(Fourth Officer)にも昇進します(「Int 5+」の昇進判定も10で成功)。
 任官と昇進に成功したため、この期では3つの技能を得られます。「自己開発」を選んで1Dを2回振って1と5だったので「筋力+1」と〈白兵戦〉(を〈斬撃武器-1〉に特化)、「部門技能」を選んで5が出たので〈ブローカー-1〉を得ます。
 年齢は22歳になりました。再応募の判定「4+」には7で成功したので、次の期も商船で働くことになります。

【2期目】
 生存判定には3を出してギリギリ成功。海賊にでも遭遇したのでしょう。昇進試験には12を出して余裕で成功したので三等航宙士(Third Officer)に昇進。同時に特典で〈パイロット-1〉を得ます。
 この期も昇進したので得られる技能は2個。「自己開発」で3を、「部門技能」を選んで4が出たので「耐久力+1」と〈白兵戦〉(を〈生得武器〉に特化して0レベルを1レベルに上昇)を得ました。
 年齢は26歳になり、再応募には6で成功しました。

【3期目】
 生存判定は5を出して無事成功。昇進判定も8だったので二等航宙士(Second
Officer)に昇進します。
 この期も昇進したので得られる技能は2個。せっかくの教育度8を活かすべく、今回は2回とも「上級教育」を選択しました。幸か不幸か2回とも5という結果だったので、〈科学〉を2つ分得ます。〈科学〉は選択技能なので〈宇宙科学-1〉と〈社会科学-1〉を選択し、科学への理解を深めました。
 年齢は30歳になり、再応募は10で成功しました。

【4期目】
 生存判定は7を出して成功。昇進試験にも12を出して楽々通過。一等航宙士(First Officer)になります。
 昇進したので得られる技能は2個。「自己開発」で5を、「部門技能」で4を出したため、またも〈白兵戦〉が2つ。商人のはずなのにどんどん荒事に強くなる自分に困惑しながらも、既に持っている〈生得武器〉と〈斬撃武器〉をそれぞれ2レベルに成長させます。
 年齢は34歳になりました。とうとう彼も老いを感じる歳になったのです。この期は4を出したので「出目4-4期=0」で年齢効果表を見ると「肉体系能力値1つが1減る」とあります。彼は敏捷力を1減らすことにしました。再応募は7で成功です。

【5期目】
 生存判定は7を出して成功。昇進判定も10を出して成功し、とうとう船長(Captain)まで上り詰めます。
 昇進したので得られる技能は2個。「専門課程」で5を、「上級教育」で3を出し、〈航法-1〉と〈医学-1〉を得ます。
 年齢は38歳になりました。老化の判定では5を出してしまってDM-5によって結果は0、またも「肉体系能力値1つが1減る」です。今度は耐久力を減らすことにしました。
 さらに、彼には転職する気はなかったのですが、経営状態が悪かったのか、独り立ちの時期と判断されたのか、再応募は受け入れられませんでした(判定は3で失敗)。

【退職恩典】
 勤務期数が5、階級が6なので、8回恩典表を振ることができます。ただし「金銭恩典表」は3回までしか振れないので、「金銭」を3回、「物品」を5回振ることにします。
 「金銭」では1Dを3回振って結果は6、4、4。合計90000クレジットを得ます。
 「物品」では1Dを5回振って結果は4、6、6、3、1。階級が6なので全てにDM+1を得て表を参照すると、「船株1D枚」「エクスプローラー協会」「エクスプローラー協会」「特等チケット」「教育度+1」となりました。「エクスプローラー協会」は重複しても無駄になるだけなので1回分は無かったことになり、船株については改めて1Dを振って2枚得ました。

【まとめ】
 少し考えて、このキャラクターを「アレグザンダー・ラセルス・ジェミスン」という男性にしました。性格は実際にプレイしながら詰めていくとして、頭が切れる上に、見た目によらず格闘術に通じている点は個性として強調していくことにします。

アレグザンダー・ラセルス・ジェミスン 元商船船長 38歳 5期 778C99 Cr.90000
〈生得武器-2〉〈斬撃武器-2〉〈スチュワード-1〉〈ブローカー-1〉〈パイロット-1〉〈宇宙科学-1〉〈社会科学-1〉〈航法-1〉〈医学-1〉〈通信機-0〉〈エンジニアリング-0〉〈散弾銃-0〉〈反重力機器-0〉〈交渉-0〉〈コンピュータ-0〉〈言語学-0〉
船株 2枚、エクスプローラー協会員、特等チケット 1枚

 宇宙船を操るのに必要な技能を一通り持っているジェミスンは、少なくとも宇宙で食べていくのに困ることはないでしょう。荒っぽい酒場に出入りしても自分の身を守れるだけの技量は持っていますし、万が一の際の応急手当ても知っています。商人としては、交渉能力は人並み程度で、儲けの先読みをする眼力もそこまで優れているとは言えないのが気になりますが…。
 でもやはり、どうせなら自分の恒星間商船を持って自由に交易をしていきたいところです。共に船に乗り込んでくれるような仲間や、船に出資をしてくれるパトロンを探さなくてはなりません。ジェミスンの人生は、まだこれからです。


 ということで、『Cepheus Engine』のキャラクター作成の「ままならなさ」を理解していただけたでしょうか?(笑) とはいえ、望み通りの人生なんてめったに成し得ませんし、「普通の人の平凡な人生」には似合いません。逆にサイコロに翻弄されることで、そのキャラクターの「物語」が紡がれていく楽しさがあります。かつて少なからぬ人々が夜通しキャラクターを作り続けたという故事も頷けます。
 技能習得がサイコロ頼みである以上、1つに集中して技能レベルが上がっていく可能性は低いです(今回はやろうと思えば〈生得武器-4〉とかできましたけど)。目安としては、1レベルで「その技能で賃金が貰える水準」、2レベルで「その道のプロ」、4レベルで「なかなかいない達人」ぐらいの感覚となります。〈医学〉技能で例えるなら、1レベルで研修医、2レベルで開業医、4レベルでスーパードクター、といったところでしょうか。

 次回は、それぞれの技能の詳細について解説したいと思います。
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『Cepheus Engine』で始めるロールプレイング・ゲーム入門(1)

2016-08-02 | Cepheus Engine
Take a science fiction odyssey to distant worlds of the galaxy...

 「入門」などと仰々しいタイトルがついていますが、日本のRPGの幕開けを告げた『タクテクス』誌の連載記事「ロールプレイング・ゲーム入門」への単なるオマージュで、特に深い意味はありません。
 改めて、この企画は『Cepheus Engine』を初心者向けに解説するふりをして自分もルールへの理解を高めようと、二兎を追うものです(汗)。早い話が詳細レビュー記事です。長期間かつ不定期の掲載となると思いますが、お付き合いよろしくお願いいたします。


 『Cepheus Engine』とは、副題の「A Classic Era Science Fiction 2D6-Based Open Gaming System」が示す通り「古典SF宇宙」を舞台にした2D6系のRPGです。この「古典SF」が何を指すかは設定次第ではあるのですが、共通認識としては「超光速航法が実用化された未来」を舞台としていると捉えてください。数十、数百、数千もの星々を治める恒星間国家が存在し、人類以外の異星知的種族と共存したり敵対したりしているわけです。イメージが難しければ映画『スターウォーズ』みたいなもの、と考えてください(あんなに派手ではありませんが)。そしてプレイヤー・キャラクターは宇宙各地を旅して、他の星にはない素晴らしい体験をしたり、金儲けに勤しんだり、迷宮のような官僚機構に振り回されたり、様々なトラブルに巻き込まれたりするのです。冒険のネタは、それこそ星の数ほどあります。

 ここで注意すべきなのは、他のゲームと違ってプレイヤー・キャラクターは普通の人だということです。無防備に銃で撃たれれば大怪我をしますし、傷は簡単には治りません。いざという時にダイス目を操作するルールもありませんから、最後の最後の失敗で今までの苦労が水の泡になることもあります。でも、それが普通の人の人生ってものです(笑)。
 だからこそ、プレイヤーは必死になるしかないのです。戦闘に勝ちたければ事前に装備を整え、味方を増やし、敵の弱点を探り、地形を読み、隙を突き……と、戦う前に勝てる条件を全て満たしておくのです。というより、そもそも死にたくなければ極力戦いを回避する方向に知恵を絞るべきなのです。
 キャラクターにしても、20代の若造の拙い技能だけで渡っていけるほど宇宙は甘くありません。30代40代の、社会の苦さも酸っぱさも知った『大人の』世界なのです(あえて「不利な」キャラクターを演じるのも楽しみの一つですが)。
 冒険を成し遂げたからといって経験点を貰って成長することもありません。じゃあ何が楽しみなのかと問われれば、金銭報酬もありますけど、結局は冒険の成功も失敗も全てひっくるめて「体験すること」が楽しみであり、人生の上での成長なのです。理不尽ではない失敗を受け入れられる『大人』かどうかが、このゲームを楽しめる鍵でしょう(そりゃ社会は厳しいので、理不尽な目にも多々遭いますが(汗))。

 『Cepheus Engine』には専用の背景設定は用意されておらず、自作するか別の所(ルール互換性のある『The Third Imperium』や『Clement Sector』など)から借りてくる必要があります。今では背景設定と一体となったゲームシステムは当たり前ですが、『Cepheus Engine』の精神的源流である1970年代は各自が自分だけの背景設定を築き上げていくのが当たり前でした。また、『Cepheus Engine』にはそれを支援するルール(星系作成ルール)が用意されているので、後は想像力次第で無限の可能性を秘めているのです(とは言うものの、凝り過ぎるとあっという間に挫折してしまいますけどね…(大汗))。

 あともう一つ。「Open Gaming System」とあるように、このゲームシステムは全ての人に開放されています。『Cepheus Engine』にはPDF版だけでなく、英語とはいえdocx版(Microsoft Word形式)も用意されていて、遊ぶ際に気に入らない点があれば変えてしまえばいいのです。もちろん独りよがりではいけませんが。


 ここで、『Cepheus Engine』で多用される独特の用語について予め解説しておきます。

レフリー(Referee)
一般的なRPGで言うところの「ゲームマスター(GM)」のこと。
2D
サイコロ(Dice)を2個振ってその合計値を求めること。このゲームでの判定は全てこの2Dで行う。「2」の部分はサイコロの数を指すため、1なら1個、3なら3個を意味する。なお、『Cepheus Engine』では6面体サイコロしか使わないため、ここでは一般的な表記の「2D6」から「6」を省略して「2D」と書くものとする。

計算式なら「足す」だが、文脈によっては「(左の数字)以上」という意味を持つことがある。例えば「2Dで5+」とだけ書かれていたら「サイコロを2個振って合計値で5以上を出す」という意味。逆に「-」は「以下」の意味で用いられる。
DM
サイコロの修正値(Dice Modifier)のこと。「DM+2」なら「サイコロの出目に2を加える」、「DM-3」なら「出目から3を引く」という意味。


 では、実際に宇宙に旅立つキャラクターを作っていきましょう。『Cepheus Engine』では前述した通りの「社会のままならなさ」を存分に体感できるキャラクター作成システムが採られています(汗)。

■キャラクターの能力値(Characteristics)
 『Cepheus Engine』におけるキャラクターは、以下の6つの能力値で表されます。

 筋力(Strength):腕っ節の強さを表す。
 敏捷力(Dexterity):身のこなしの素早さ、手先の器用さを表す。
 耐久力(Endurance):体の頑強さ、辛抱強さを表す。
 知力(Intelligence):頭の回転の速さを表す。
 教育度(Education):これまでの教育で得られた知識量を表す。
 社会身分度(Social Standing):現在の社会階層や育ちの良さを表す。

 当然ながら、数値の高い方が優れていることになります。人類の最高値はF(15)、並の人は7、最低値は1です。男女の差によって能力値に補正がかかることはありません。人類以外の種族を作成する場合には補正がかかる場合がありますが、今は考えないことにします。
 ちなみに、筋力・敏捷力・耐久力の3つを合わせて「肉体系能力値(physical characteristic)」、知力と教育度を合わせて「頭脳系能力値(mental characteristic)」と言うこともあります。
 なお第7の能力値として「超能力評価(Psionic Strength)」というものがあるにはありますが、普通の人には関係ありません。超能力はごく一握りの才能ある人がたまたま開花させる機会を得られた時のみに発現するものだからです(そうではない設定にするなら別ですが)。

 先ほど15のことを「F」と書きましたが、『Cepheus Engine』では「擬似16進数表記(Pseudo-Hexadecimal Notation)」で数値を書き表します。0から9まで来て、次の10はA、11がB、12がC、13がD、14がE、15がFとなるわけです。16進数だとその次は位が変わるのですが、あくまで「擬似16進数」なのでG、H、J…(I(アイ)とO(オー)は誤認防止のために使用しません)と33を意味するZまで続いていきます。もっとも、16以上を表すことはあまりないので、Fまでをすぐに換算できるようになれば十分です。

 能力値は2Dを振ってその合計値を筋力、次の2Dは敏捷力…と順に当てはめていきます。とルールには書いてあります。選択ルールとして「2Dを6回振って、それぞれの出目を任意の能力値に割り振っていく」という形式も紹介されていますが、いずれにせよたまたま2とか3が出てしまった場合は『Cepheus Engine』ではかなり不利になるため、以下のハウスルールを提案します。合議の上でどれか1つを選択ルールと組み合わせて採用してみてください。

  1. 2Dを7回振って最も悪い出目1回分を捨てる。
  2. 「3Dを振って一番低い目を捨てる」ことを2Dの代わりにして6回振る。
  3. サイコロの「1」の目を「3」と読み替える。例えば出目が1と4なら合計は5ではなく7となる。
  4. 5以下の能力値は振り直しを1回認める。振り直しても結果が元の数値以下だった場合は「元の数値+1」とする。

 そして能力値が決まれば、自動的に「能力値DM(Characteristic Modifiers)」が決定されます。能力値DMは「能力値を3で割って小数点を切り捨てて2を引いた」数値となるので、早い話が12が+2、11~9が+1、8~6が0、5~3が-1、2が-2となるわけです。この能力値DMはゲーム中の技能判定の他に、キャラクター作成でも用いられます。


■生い立ちによる技能(Background Skills)
 続いて、(選択ルールではありますが)そのキャラクターの出身星を決めます。レフリーが事前に用意したリストから選択したり、プレイヤーが自己申告したり、星系作成ルールに従ってその場ででっち上げたりしてください。どのような星で育ったかによって、予め貰える技能が変わってきます(海洋惑星なら〈船舶〉、砂漠惑星なら〈生存〉など)。
 この項目では「3+教育度DM」個だけ「0レベル技能」を得られます(「0レベル」の意味合いについては後述しますが、今は「1レベルの1個下の段階」とでも考えてください)。まず先に2個を出身星によって決まる技能(Homeworld Skills)から得て、不足分を基礎教育技能表(Primary Education Skills)から選んで習得します。
(※出身星を決めない場合は、基礎教育技能表の中から「3+教育度DM」個を選んで取得すればいいでしょう)


■経歴部門の選択(Careers)
 これでキャラクターはやっと18歳になりました。ここから社会の荒波に揉まれていくわけです(笑)。就職先となる「経歴部門」を以下から選びましょう(『Cepheus Engine』では大学や士官学校への進学は便宜上経歴に内包されていると考えてください)。

【軍隊系経歴部門】
海軍(Navy):宇宙艦艇に乗り込み、恒星間政府の安定のために宇宙空間を守り、時として敵国に攻め入る軍隊の一員。
海兵隊(Marine):主に海軍の艦艇に乗り込み、敵惑星への侵攻の役割を担う軍隊の一員。
空軍(Aerospace System Defense):惑星の大気圏内および亜宇宙軌道を防衛する軍隊の一員。
水軍(Maritime System Defense):惑星上の海洋を防衛する軍隊の一員。
地上軍(Surface System Defense): 惑星上の海洋以外の地表を防衛する軍隊の一員。ちなみに、水軍・空軍・地上軍をまとめて「陸軍(Army)」と呼ぶ場合もある。
偵察局(Scout): 惑星探査や住民との渉外、航路情報の調査、恒星間通信網の確保など、その仕事は多岐に渡る。厳密には軍隊ではない。

【その他の経歴部門】
工作員(Agent):政府や企業の敵となる者の情報収集などを担う、俗に言うスパイ。
運動選手(Athlete):何らかのスポーツで成功を収めた者。
官僚(Bureaucrat):政府機関の下で働く者。書類操作に強い。
外交官(Diplomat):政府を代表して他勢力との外交・経済交渉を担当する者。
芸能人(Entertainer):自らの一芸で有名人の地位を得た者。
狩猟者(Hunter):野生動物の捕獲・捕殺を生業とする者。
傭兵(Mercenary):軍事行動の為に金銭で雇われる、もしくはそういった組織に所属する者。
商船(Merchant):恒星間交易を担う個人/企業に従事する者。
貴族(Noble):政治的地位を持つ社会の特権階級に属する者、もしくはその子弟。
医師(Physician):医学を学び、研修を受け、病気や怪我に苦しむ人々を助ける免許を得た者。
海賊(Pirate):恒星間商船などを襲撃して物資を強奪する者。
科学者(Scientist):ある分野の科学に精通した専門家。
技術者(Technician):機械や産業の分野で技術を身につけた者。

未開人(Barbarian):工業化文明以前の「原始的な」文化で生きてきた者。
宇宙鉱夫(Belter):小惑星帯に眠る鉱脈(と報酬)を求めて、腕一本で宇宙を渡り歩く(もしくは代々定住している)者。
入植者(Colonist):開発途上の植民星で生きる者。
放浪者(Drifter):一所に定住せずに宇宙各地を転々と渡り歩く者。
悪党(Rogue):違法な手段で生計を立てている者。


 これだけあると選ぶのが大変そうですが、まずキャラクターの能力値で向き不向きを判断し(実社会と同じで、向いてない仕事は長続きしないのです)、どういった技能が欲しいかで絞り込んでいくと良いでしょう。少なくとも軍隊系経歴か商船を選んでおけばハズレはありません(他の部門は一定方向に「尖った」キャラクターが出来やすい)。

 それぞれの経歴部門には、応募(Qualifying)するための条件が課されています。「Int 4+」と書かれていれば、合格には「知力DMを加味して2Dで4以上を出す」必要があります。成功すれば良いのですが、仮に失敗して不合格となってしまった場合は2つの道が残されています。
 まず「徴募(Draft)」を受ける場合。この場合は1Dの結果次第で定められた軍隊に放り込まれます。もう一つは徴募を受けずに「放浪者」となる場合。こちらは4年間浪人した後に希望する職場に再度挑戦するのですが、応募の判定にDM-2が課されるという茨の道です。
(※『Cepheus Engine』では未開人や貴族の「道に進む」制約が存在しないのですが、これらは安易に許可すると場を荒らされる恐れのある経歴なので注意してください。未開人には「出身星が「低技術」であること」、貴族には「社会身分度がA+であること」を最低付加するべきで、更に、この条件を満たしていれば応募は自動成功させるべきです。また、放浪者への応募が自動成功しないのも謎です)

 好むと好まざるとに関わらず、進路は決まりました。次回は年齢を重ねて技能を習得していくことについて。旅立つまでにはまだまだ時間がかかりますよ(笑)。
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【速報】トラベラー互換システム『Cepheus Engine』とは何か!?

2016-07-03 | Cepheus Engine
 去る7月2日に、突如として『Cepheus Engine』なる「トラベラー互換システム」がSamardan Press Publicationsから公開されました。ここはかつて『Flynn's Guide』シリーズというトラベラー関係本を作っていたところで、2年以上振りの新作がサプリメントではなく「新システム」となったのです。
 ベースとなっているのはマングース版トラベラー(初版)のSystem Reference Document(SRD)で(通称『2d6 Sci-Fi』)、これは大雑把に言えばOpen Game Licenseの下でこれをベースに自由にゲームを作って公開してもいいというものです。このOGL版トラベラーをベースにしているものには、Gypsy Knights Gamesの『Clement Sector』シリーズがあります。

 ここへ来てなぜ互換システムが賑わいだしているかというと、マングース社がトラベラー第2版に移行した際に新たに導入した「TASライセンス」制度が裏目に出ていることが取り沙汰されていますが、ここでは敢えて触れません。

 今回問題の『Cepheus Engine』は、「Traveller SRDの足りない部分をLBB(Little Black Book, クラシック版トラベラーのルールを収めたBookシリーズの愛称。表紙が黒いことから名付けられた)を参考に補間した(意訳)」と作者が語っており、マングース版以上にクラシック版に近い構成になっている、ような気がします。

 というのも、ルールをさっき手に入れたばかりで、解析は書きながらやっているからです(汗)。あくまで互換システムなので能力値や行為判定などゲームの根幹は変わってないですが、今のところ、マングース版(初版)とはこの辺りが異なっています。

  • キャラクターの能力値決定は2Dを6回振り、筋力から順に割り当てていく方式に戻った。任意の能力値に割り当てていく方式は選択ルール扱いに。
  • 出身世界による自動獲得技能で〈銃器戦闘-0〉か〈白兵戦-0〉が貰えるようになった(前者は並治安以下、後者は高治安で獲得)。
  • 些細な事だが、社会身分度G(16)以上の存在が定義された(皇帝はJ(18))。
  • 能力値DM早見表がなぜかZ(33)まで用意された。G以上は使うことがあるんだろうか…?
  • 経歴部門の「陸軍(Army)」が「地上軍(Surface System Defense)」「空軍(Aerospace System Defense)」「水軍(Maritime System Defense)」に解体された。よって「企業軍」や「司法官」に徴募されることはなくなった。
  • キャラクター作成ルールはクラシック風に回帰。部門内で職を移動することもなくなったし、出来事表(Events)や人生経験表(Life Event)もない。失敗表(Mishaps)も共通化された。また、解雇や自発に関わらず経歴を終了した場合はキャラクター作成自体が終了する。
  • 18歳で部門への応募に失敗すると徴募を受けるか、1期(4年間)放浪者として過ごした後再応募を試みるかできるが、その再応募の際のDMは-1から-2と厳しくなった。
  • キャラクター作成時の生存判定に失敗するとクラシック版同様に「死亡」する(出目2は自動失敗)。2歳を加えて失敗表に移行するのは選択ルールとなった。
  • 各部門の階級0の段階で自動取得する技能がそれぞれ用意された(ただし何故か宇宙鉱夫だけ記載がない)。おそらく、クラシック版で各部門の第1期では2個技能が取れたのを再現したと思われる。
  • マングース版では技能習得の後で任官/昇進判定だった流れが、クラシック版同様に先に任官/昇進を判定するようになった。また、任官/昇進のない経歴部門では1期に2個技能習得ができるのもクラシック版同様。
  • マングース版では昇進判定時に在籍期数以下の出目を出すと退職となっていたが、クラシック版と同様に再応募判定が復活した。判定は義務であり、出目が12だと辞職が却下されるのも同じ。
  • クラシック版と同じく「7期で退職勧告(雇用継続は再応募判定で12を出すのみ)」(ただしマングース版オプションルールには6期で強制退職させるものがある)。
  • 経歴部門は、運動家、空軍、工作員、未開人、宇宙鉱夫、官僚、入植者、外交官、放浪者、芸能人、狩猟家、海兵隊、水軍、傭兵、商船、海軍、貴族、医師、海賊、悪党、科学者、偵察局、地上軍、技術者、の24種類。部門の解体に伴って増えてはいるが、司法官が無いなど不思議な点もある。
  • 恩典表で貰える船株(Ship Shares)は、宇宙船購入時に「船体価格の1%引き」から「200万クレジット引き」に実質上方修正された(売却は「できないかもしれない」)。
  • 大人の事情で「エクスプローラー協会(Explorers' Society)」なるトラベラーズをエイドするソサエティーが登場している。同様の理由で異星知的種族も一新された(どのみちサンプルだが)。
  • キャラクター作成時に負傷した際の医療給付(Medical Care)で、偵察局員の扱いが軍隊と同じに格上げされた(マングース版では悪党や放浪者と同じ最低ランクだった)。また、宇宙鉱夫や入植者が新たに最低ランクに位置付けられた。
  • マングース版で導入された「スキルパッケージ」の概念はない。
  • 〈芸術(Art)〉〈偽装(Deception)〉〈外交(Diplomat)〉〈捜査(Investigate)〉〈説得(Persuade)〉〈遠隔操作(Remote Operations)〉〈隠密(Stealth)〉〈生業(Trade)〉技能が廃止され、〈贈賄(Bribery)〉〈電子技術(Electronics)〉〈接触(Liaison)〉が復活、〈爆発物(Explosives)〉が〈破壊工作(Demolitions)〉に変更。〈運行(Drive)〉〈飛行(Flyer)〉〈航行(Seafarer)〉は〈輸送機器(Vehicle)〉に、〈星間航法(Astrogation)〉は〈航法(Navigation)〉に、〈重火器(Heavy Weapons)〉は〈砲門(Gunnery)〉の下に、〈生存(Survival)〉は〈動物(Animals)〉の下に、〈宇宙服(Vacc Suit)〉は〈無重力環境(Zero-G)〉に再編統合された。また、英文名の言い回しがかなり変化している(Gambler→Gambling、Pilot→Piloting、Language→Linguisticsなど)。
  • 〈エンジニアリング〉技能は再び一つにまとまった。
  • 〈賭博(Gambling)〉技能に明確な使用法が例示された。
  • 〈白兵戦〉で扱う武器分類は「打撃武器」「生得武器」「斬撃武器」「刺突武器」の4つに再編された。素手での格闘は生得武器に統合。
  • 投擲や弓などは〈運動〉ではなく〈銃器戦闘〉で扱うようになった(よって訳語を〈射撃〉に改めるべきかもしれない)。
  • 超能力の距離コストが変更された。テレパシーと透視力の欄が分割され、長距離以上のテレポーテーションが軽減。念動力は最大距離が伸びた代わりにコストが調整されている。また、「超能力者」の経歴部門は廃止された。
  • 判定の成功段階が整理され、「例外的失敗」「失敗」「成功」「例外的成功」の4段階となった。目標値8から6差で「例外的」なのはマングース版と同じ。0差成功・1差失敗の「ぎりぎり(Marginal)」の段階は廃止された。
  • 失敗した行為判定への再挑戦に関する記述があるが、「無制限に試み続けられる」と非常に大雑把(もちろん成功するまでやれる時間がある場合のみ)。『メガトラベラー』の持続判定のような安全装置はハウスルールで設ける必要がありそう。
  • 同じ防具でもTLによって性能の差があったのが統一された。また、全体的に装甲が「硬く」なっている。
  • 武器関係の選定もクラシック版準拠になった? ダメージも修正値なしのXd6のみとなった。
  • 武器の反動が「あり」「なし」に簡略化され、戦闘の行動順に影響を与えなくなった。武器の反動が影響するのは無重力状態での戦闘時のみ。
  • それぞれの武器に「違法となる治安レベル」が記載されているのは案外助かる。
  • 武器種別と距離による命中修正表が変更された。距離ごとにDMが用意されるのではなく「この種別の武器をこの距離で当てる難易度はこれ」と簡潔になったが、難易度で扱う以上、DMの刻みが1から2に増えたので微妙に命中させ辛くなっている。また白兵戦武器の種別は「肉薄(Close Quarters)」「合間(Extended Reach)」の2種類にまとめられた(マングース版でも実質そうだったが)。
  • 自動射撃(automatic fire)のルールはバースト射撃(Burst Fire)に変更された。まとめて撃った弾薬数に応じて命中とダメージに補正が入るが、どれだけまとめて撃てるかは武器ごとの解説文を読まなくてはならないので、AR値(Auto Rating)で管理されていたマングース版より後退した印象。マングース版のAR値に代わりRoF(Rate of Fire)値が武器ごとに設けられ、単射/バースト/オートの各モード別の発射弾数が記されている。例えば、磁気ライフル(単射ダメージ4D)をオートモード(1ラウンドで10発)で撃つと命中に+2、ダメージに+2Dされる。また、短機関銃(Submachinegun)のように単射モードの値が0、つまりバースト専用の銃器も存在する。ダメージを複数対象にばら撒けなくなったので処理は簡素化されたが、(慣れれば済むことだが)表の参照がいるのは後退した面。
  • 物陰からの乱射(Blind Firing)のルールが追加。目標を見ずに撃つため、技能は0レベル扱い、判定は3Dのうち一番高い出目を外した合計で行い、誰に当たるのかも射程内のランダムに決定(目標が遮蔽物に隠れてたりいなかったりする場合を考慮しないのだろうか? 目標をランダムに決めてからその目標の遮蔽状態を加味して命中判定をすべきでは)。
  • 無重力状態での戦闘では、攻撃技能レベルは本人が持つ〈無重力環境〉技能レベル以下となる。
  • 散弾銃には特別ルールが用意され、中距離以上ではダメージが2Dに半減する代わりに目標と同じマスに居る者全てに命中する。
  • 〈遠隔操作〉が廃止されたため、ロボットやドローンの操作には〈通信機〉技能を使う(「パンチだ、ロボ!」)。
  • コンピュータの「高度インターフェース(Intelligent Interface)」に新たな段階が追加され、TL11で音声制御程度だったのが、TL13で初期人工知能、TL17では完全な人工知能に進歩する(ルール面での演出は特にないので雰囲気程度か?)。
  • 宇宙船設計ルールが2000トンから5000トンまで拡張された。
  • ジャンプする際に、古いジャンプ計画(Jump Plot)を使用するとマイナスのDMを受けるようになった。航法士はデータの使い回しをするなら3週間までに留めるべき。
  • 旅客の運賃はクラシック版同様に戻された(特等は1ジャンプにつき1万クレジット、など)。また、2割引きで乗れる2人部屋の概念が導入されている。
  • 二等船客の蘇生率が大幅に向上(船客本人が難易度簡易(+4)で耐久力をDMにして判定)。失敗しても船医が難易度易(+2)で〈医学〉と教育度をDMにした判定に成功すれば助かるので、まともな医師が乗っていれば冷凍睡眠は恐るるに足りなくなった。
  • どういった(一般的な)違法行為を行うと地元警察が飛んできて、逮捕されるとどういう刑罰を受けるかがルールで明確になった(もちろん目安に留めるべきだろうけど)。ちなみに最高刑は死刑。
  • 貿易の品目が差し替えられている。
  • 貿易の価格決定表や地元の仲買人(Broker)を介するルールはクラシック版風に差し戻された。ただし優秀な仲買人は大きな宇宙港にしかいない(※そもそもマングース版ルール下では、4レベル技能の持ち主にはそうそう出会えないことにレフリーは留意すべき)。
  • キャラクターが持ち運べる重量は「筋力+耐久力」kgから「筋力✕2」kgとなり、〈運動〉技能によって軽減させることもできなくなった。また、クラシック版における2倍荷重・3倍荷重と同じ概念もあるが、基準が「筋力✕2」なので大幅に緩和されたと言える。
  • 世界作成ルールは、マングース版選択ルールが形を変えて一部取り込まれた。人口は大気に大きく影響され(呼吸しやすい星はプラス補正、それ以外はマイナス補正、低重力もマイナス補正)、宇宙港の規模は人口に比例するようになった。また、マングース版に有った大気温度のルールは廃止された。
  • 貿易分類「肥沃(Ga)」になる範囲がSRD版に合わせて変更された(加えてSRD版より条件が厳しい)。人口が多くても少なくても外れる、ということは、Gardenの意味合いは「緑や資源が豊か」から「自然に適度に人の手が入っている」に変わったということか?(※訳語の変更も必要かも)
  • キャラクターシートは付属しないが(追記:後日、Moon Toad Publishingからシートが公開されました)、共通キャラクター書式(Universal Character Format)が整備された。従来のシナリオなどで、名前、能力値6桁、年齢、経歴、所持金、所持技能、所持品の順に簡潔に記されていたあれのことである。

(※速報なので判明し次第予告なく追記していきます)
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