今、ラミレスがサヨナラホームランを打ちました。
家族内では、にわかラミレス熱が……。
さっきまで、あんなに失望していたとか言っていたのに!!!
はぁ~
ここから~~
ただ、記録をとりながら試合を見ていると、時たま奇妙な采配を目にすることがある。
スタンドから見ていた時は、ベンチの中でしかわからない事情も考えての采配なんだな、と納得させることもできる。
しかし、今は私もベンチにいる身である。スタンドにいる時にはわからない事情も知ることになったし、そうした中でのスタンドの反応というはかえって面白かったりする。
ただそれ以上に色んな事情を知っているからこそ、これはおかしいと思える采配も逆に増えたのだがね。
こうした出来事を語るにあたり、私がスコアラーとしてタートルズのベンチに居座り始めたオープン戦にまで遡ることから始めよう。それが今回のヒロインでもあるしね。
1、DH制の放棄とキャッチャー萃香。
ソフトバンク戦で見せたこの采配。
ピンチなると魔理沙さんが登場してくると、タートルズのオーダーがとんでも無いことになっていた。
急に先発の魔理沙さんがリリーフ登板し、オーダーからDHが消えたのだ。
まだその時は、ベンチ内にアリスさんくらいしか話す相手がいなかったから、どうなっているのかと聞きたかった。しかし、その姿が見つからない。
「あ、あれ?」などと言っている直後に魔理沙さんは大村に被弾。で、魔理沙さんの暴走だと発覚した後リベンジの打席に立つと、見逃し三振。
この試合、彼女のせいで苦戦したと言っても過言ではなかった。
聞いた話によると、どうやらアリス監督に一杯盛って、自分の意のままに選手交代をさせたと言う。監督も珍しくキレていらっしゃった。
当の本人は、試合後のスコアを渡しに行った際、ベンチで正座をさせられていた。
声をかけようか迷ったが、やめておいた。
かわいそうだが、フォローはできなかった。団体競技の野球で、チームを私物化したのだ。当然の報いかもしれない。
2、成瀬相手に1~9番までホームランバッターを並べる。
こちらはアリス監督が休んだ日。
試合前のミーティングにて、魔理沙さんがこの日限りの采配を任され、発表した超攻撃型オーダー。
これを見た瞬間、私は「ポカーン」となってしまったのを、今でも覚えている。
「どうしたんだ、スコアラー」
魔理沙さんが私に言葉を投げかけてきた。
「……」
迷った。意見を言うべきか、言わないでいるべきか。
「何もないのなら……」
「私たちのスコアは大量点か、ゼロのどちらかですね」
間接的に苦言を呈する形にした。
「何言ってんだ。これで得点ゼロなんて」
「……ですよね。何言ってんだろう」
弱々しく相手に同意することにした。
初対面があんな感じだったので、少々遠慮してしまった。
こうした形は結構長い期間、私の中で尾を引いていた。
ちなみに、初対面に出した六角形だと思っていたものは八角形らしく、私が来る以前はこれを片手に異変を解決していたらしい。
話を戻そう。
本音としては成瀬相手に、そんなオーダーで通じるわけもないと思っていたが、結局、強く言い出せなかった。
私は不安が漂う中、試合開始を迎えるのであった。
試合展開は案の定、ゼロ行進。しかも途中までノーヒット状態であった。
右打者が面白いようにショートゴロに打ち取られていく様子を魔理沙さんが苦笑しながら見つめていた。
わかると思うが、この2つの事例、共通するキーパーソンは「魔理沙さん」だ。
うん、ちょっと目に余るなと思っていたが、一方で彼女の選手起用が素晴らしかった。
先のロッテ戦で、唯一の得点をあげた代走起用は魔理沙さんの采配によるものだったのだ。
回が進むたびに、魔理沙さんは私のことをちらちらと、苦虫を噛み潰したような表情で見つめていたが、自らの采配でタートルズに得点が入る。結果、私の予想が外れることになったわけだが、魔理沙さんは、完封されることを予測していた私に対し「どうだ!」なんて顔もしていたっけ。
もしかして、負けず嫌い?
オープン戦の最終日――ええっと、私が精神的に壊れて、アリスさんにユニフォーム一式をもらった日と言えばわかるであろうか(スコアラー・涙目で逃走事件)――でも代打起用の助言で追加点をあげることに成功していたし、勝負勘は冴えていると言える。
これ以降、助言は監督公認にもなったしね。
彼女の信条は、「野球はパワーだぜ」という発言からわかるようにパワー至上主義である。
力勝負を挑み、調子が悪ければ打たれるが、良ければ手が着けられないという典型的な投手である。調子が悪くともなんとか試合を作ろうという気はさらさら無いらしい。
そして、負けず嫌い。
ということで、今回は私が魔理沙さんという難題に立ち向かった戦いの記録である。
5月12日(土)対阪神戦
試合前から本人に2軍降格の警告がなされていたのを聞いていたので、私は良い機会だと捉えた。これでまた力勝負で失敗すれば、投球スタイルを変えてくるだろうと。
ちょっとした荒療治でもある。
最悪、点差に余裕を持った状態でも無理に力で行こうとして一発打たれるなら、それでもいいかなと思っていた。
阪神は二回、主砲金本選手が魔理沙さんのマスタースパークをスタンドに放り込み先制。いきなり力勝負で失敗した。少しずつ点を取られてしまうパターンを予想した。
ところが、それ以降は立ち直りを見せる。
3・4・5回は言うことなし。6回は満塁というピンチを迎えるもののホームランを打たれた金本をセカンドゴロ。
9回完投で3失点という、ナイスピッチングで締めくくった。
最終回の2点は余計だが、本人が完投したいという意思を貫いた結果だから、深く追求することはやめておこう。
翌日。私は魔理沙を呼び出した。
本来は、本人にシートを提出してそれで終わりだが、直接言いたいこともあったため、呼び出した。
「昨日はお疲れ様。よく寝て疲れをとった?」
「バッチリだぜ」
さわやかな笑顔で返してくれた。
「なぜ昨日は完投できたかわかる?」
私はこう切り出すところから始めてみた。
「なぜって、私の調子がよかったからだろ」
だからこそ、何の調子が良かったのかを聞きたかったのだが。
「じゃあ、これを見てくれ」
そう言って、仕方なく私は2つのファイルを取り出した。
一つは昨日の試合の配球シート。もう一つは先週、負けた試合の配球シートである。
当初、負けたなら不必要な力勝負は避けるようにと言いたかったが、大事な試合での集中力は抜群で、途中までは1失点だけのペースだったので、いい試合の見本ができた。
こういったものを見せて自覚させた方がいいと判断したからだ。
「いいかい?とりわけ球速が出ていたわけではないのに、昨日好投できたのはコースにボールが決まっていたからなんだ」
私は4スミにきれいに決まっている配球表を見せた。
「一方、打たれた日の配球はこんな感じだ。」
そのシートには4スミには球は集中せず、変わりに真ん中付近にボールが集まっているのがわかる。
しかし、「どう?」などと聞いても「細かいコントールなんて無理」とかなんて言われてしまう始末。
「……」
「……」
はい終了~。
「……は~」
話が終わり、魔理沙さんが退室した後、私は頭を抱えた。
これ以上強く言うこともできないし。ああ、どうしたものか。
~~ここまで
魔理沙編です。
これもまた不安な出だしですww
続く。
次回:(7-2)
家族内では、にわかラミレス熱が……。
さっきまで、あんなに失望していたとか言っていたのに!!!
はぁ~
ここから~~
ただ、記録をとりながら試合を見ていると、時たま奇妙な采配を目にすることがある。
スタンドから見ていた時は、ベンチの中でしかわからない事情も考えての采配なんだな、と納得させることもできる。
しかし、今は私もベンチにいる身である。スタンドにいる時にはわからない事情も知ることになったし、そうした中でのスタンドの反応というはかえって面白かったりする。
ただそれ以上に色んな事情を知っているからこそ、これはおかしいと思える采配も逆に増えたのだがね。
こうした出来事を語るにあたり、私がスコアラーとしてタートルズのベンチに居座り始めたオープン戦にまで遡ることから始めよう。それが今回のヒロインでもあるしね。
1、DH制の放棄とキャッチャー萃香。
ソフトバンク戦で見せたこの采配。
ピンチなると魔理沙さんが登場してくると、タートルズのオーダーがとんでも無いことになっていた。
急に先発の魔理沙さんがリリーフ登板し、オーダーからDHが消えたのだ。
まだその時は、ベンチ内にアリスさんくらいしか話す相手がいなかったから、どうなっているのかと聞きたかった。しかし、その姿が見つからない。
「あ、あれ?」などと言っている直後に魔理沙さんは大村に被弾。で、魔理沙さんの暴走だと発覚した後リベンジの打席に立つと、見逃し三振。
この試合、彼女のせいで苦戦したと言っても過言ではなかった。
聞いた話によると、どうやらアリス監督に一杯盛って、自分の意のままに選手交代をさせたと言う。監督も珍しくキレていらっしゃった。
当の本人は、試合後のスコアを渡しに行った際、ベンチで正座をさせられていた。
声をかけようか迷ったが、やめておいた。
かわいそうだが、フォローはできなかった。団体競技の野球で、チームを私物化したのだ。当然の報いかもしれない。
2、成瀬相手に1~9番までホームランバッターを並べる。
こちらはアリス監督が休んだ日。
試合前のミーティングにて、魔理沙さんがこの日限りの采配を任され、発表した超攻撃型オーダー。
これを見た瞬間、私は「ポカーン」となってしまったのを、今でも覚えている。
「どうしたんだ、スコアラー」
魔理沙さんが私に言葉を投げかけてきた。
「……」
迷った。意見を言うべきか、言わないでいるべきか。
「何もないのなら……」
「私たちのスコアは大量点か、ゼロのどちらかですね」
間接的に苦言を呈する形にした。
「何言ってんだ。これで得点ゼロなんて」
「……ですよね。何言ってんだろう」
弱々しく相手に同意することにした。
初対面があんな感じだったので、少々遠慮してしまった。
こうした形は結構長い期間、私の中で尾を引いていた。
ちなみに、初対面に出した六角形だと思っていたものは八角形らしく、私が来る以前はこれを片手に異変を解決していたらしい。
話を戻そう。
本音としては成瀬相手に、そんなオーダーで通じるわけもないと思っていたが、結局、強く言い出せなかった。
私は不安が漂う中、試合開始を迎えるのであった。
試合展開は案の定、ゼロ行進。しかも途中までノーヒット状態であった。
右打者が面白いようにショートゴロに打ち取られていく様子を魔理沙さんが苦笑しながら見つめていた。
わかると思うが、この2つの事例、共通するキーパーソンは「魔理沙さん」だ。
うん、ちょっと目に余るなと思っていたが、一方で彼女の選手起用が素晴らしかった。
先のロッテ戦で、唯一の得点をあげた代走起用は魔理沙さんの采配によるものだったのだ。
回が進むたびに、魔理沙さんは私のことをちらちらと、苦虫を噛み潰したような表情で見つめていたが、自らの采配でタートルズに得点が入る。結果、私の予想が外れることになったわけだが、魔理沙さんは、完封されることを予測していた私に対し「どうだ!」なんて顔もしていたっけ。
もしかして、負けず嫌い?
オープン戦の最終日――ええっと、私が精神的に壊れて、アリスさんにユニフォーム一式をもらった日と言えばわかるであろうか(スコアラー・涙目で逃走事件)――でも代打起用の助言で追加点をあげることに成功していたし、勝負勘は冴えていると言える。
これ以降、助言は監督公認にもなったしね。
彼女の信条は、「野球はパワーだぜ」という発言からわかるようにパワー至上主義である。
力勝負を挑み、調子が悪ければ打たれるが、良ければ手が着けられないという典型的な投手である。調子が悪くともなんとか試合を作ろうという気はさらさら無いらしい。
そして、負けず嫌い。
ということで、今回は私が魔理沙さんという難題に立ち向かった戦いの記録である。
5月12日(土)対阪神戦
試合前から本人に2軍降格の警告がなされていたのを聞いていたので、私は良い機会だと捉えた。これでまた力勝負で失敗すれば、投球スタイルを変えてくるだろうと。
ちょっとした荒療治でもある。
最悪、点差に余裕を持った状態でも無理に力で行こうとして一発打たれるなら、それでもいいかなと思っていた。
阪神は二回、主砲金本選手が魔理沙さんのマスタースパークをスタンドに放り込み先制。いきなり力勝負で失敗した。少しずつ点を取られてしまうパターンを予想した。
ところが、それ以降は立ち直りを見せる。
3・4・5回は言うことなし。6回は満塁というピンチを迎えるもののホームランを打たれた金本をセカンドゴロ。
9回完投で3失点という、ナイスピッチングで締めくくった。
最終回の2点は余計だが、本人が完投したいという意思を貫いた結果だから、深く追求することはやめておこう。
翌日。私は魔理沙を呼び出した。
本来は、本人にシートを提出してそれで終わりだが、直接言いたいこともあったため、呼び出した。
「昨日はお疲れ様。よく寝て疲れをとった?」
「バッチリだぜ」
さわやかな笑顔で返してくれた。
「なぜ昨日は完投できたかわかる?」
私はこう切り出すところから始めてみた。
「なぜって、私の調子がよかったからだろ」
だからこそ、何の調子が良かったのかを聞きたかったのだが。
「じゃあ、これを見てくれ」
そう言って、仕方なく私は2つのファイルを取り出した。
一つは昨日の試合の配球シート。もう一つは先週、負けた試合の配球シートである。
当初、負けたなら不必要な力勝負は避けるようにと言いたかったが、大事な試合での集中力は抜群で、途中までは1失点だけのペースだったので、いい試合の見本ができた。
こういったものを見せて自覚させた方がいいと判断したからだ。
「いいかい?とりわけ球速が出ていたわけではないのに、昨日好投できたのはコースにボールが決まっていたからなんだ」
私は4スミにきれいに決まっている配球表を見せた。
「一方、打たれた日の配球はこんな感じだ。」
そのシートには4スミには球は集中せず、変わりに真ん中付近にボールが集まっているのがわかる。
しかし、「どう?」などと聞いても「細かいコントールなんて無理」とかなんて言われてしまう始末。
「……」
「……」
はい終了~。
「……は~」
話が終わり、魔理沙さんが退室した後、私は頭を抱えた。
これ以上強く言うこともできないし。ああ、どうしたものか。
~~ここまで
魔理沙編です。
これもまた不安な出だしですww
続く。
次回:(7-2)