科学的社会主義の古典を読む

科学的社会主義の創始者であるマルクス、エンゲルス、そしてその継承者であるレーニンの文献から、その引用を紹介します。

蓄積に対するシスモンディの見解

2010年05月25日 | 経済学(剰余価値等)
「機械の導入が労働者を駆逐して、彼らの状態を悪化させることは、争う余地のない事実であり、またこのことを指摘した最初の一人としてシスモンディの功績も争う余地のないことである。しかし、このことは、蓄積と国内市場とにかんする彼の理論がまったくの誤りであることを少しも妨げるものではない。彼の計算は、シスモンディが否定したばかりでなく、彼が、蓄積および生産は消費に照応しなければならず、そうでなければ恐慌がくるであろうと言って、資本主義に反対する論拠に転化させた、ほかならぬその現象を、明瞭にしめしている。計算は実に、蓄積と生産が消費を追いこすということ、また事態はそれ以外にはすすみえないということ、なぜなら、蓄積は主として生産手段にかんして行われるのであるが、それら生産手段は「消費」にははいらないからであるということを、しめしている。シスモンディにとっては単なる誤りであり、リカードーの学理における矛盾であると思われたこと、すなわち、蓄積は所得以上に出る生産の超過であるということ、 ―― これは、実際にはまったく現実に照応しており、資本主義に固有な矛盾を表現しているのである。この超過はあらゆる蓄積のばあいに必要なものであるし、そしてこの蓄積は、消費資料にとってそれに照応した市場の増大がなくても、またこの市場が縮小するばあいにさえ、生産手段のために新たな市場をひらくのである。」
レーニン「経済主義的ロマン主義の特徴づけによせて」
レーニン全集、第2巻、p142-143

<雑感>
昨日に引き続き、シスモンディの蓄積に対する誤った考え(消費がなければ蓄積はあり得ないとの見解)に対する批判である。蓄積と生産が消費を追いこすということえお彼は理解できなかったのである。