緋野晴子の部屋

緋野晴子の「たった一つの抱擁」「沙羅と明日香の夏」とレヴューのご紹介を中心に、文学関連・その他のお話しをしてゆきます。

友を想う

2016-12-13 15:02:11 | 空蝉
霧雨に濡れる神社の森を眺めながら、ブログの友人を想っています。

今ごろどうしておられるのでしょうか? 何を想っていらっしゃるのでしょう?


 このブログを始めてすぐに出会って、やがて八年を迎えようとしています。様々な思いや感想を率直に語り

合ってきました。時に、共に詠い、呼応の詩歌を交わし合ったりもしました。とても密度の濃い時間でした。

その友人からは、たくさんの心に響く言葉を聞かせていただき、何人もの素晴らしい魂に出会わせてもいた

だきました。ほんとうに読み巧者で、私の表現しようとしたものをすべて理解してくださいました。だから

私は、自分の信じる小説を真っ直ぐに書いてこられたのだと思います。

 その友人の声が聞こえなくなりました。しばらくじっと待っていましたが、このところずっとお姿が見

えません。私は更新されていない友人のブログへ行って、過去記事を何度も読み返しました。

そのうちのひとつに、友人の描いた森の絵があります。一番好きだとおっしゃっていた絵です。ご自分の思

いを受け止めてくれた絵であるとも。素晴らしい絵です。どうしたらこんなふうに描けるのかと思うような。

でも、私は、ほんとうのことを言うと、少し好きになれない気がしました。

そこは、靜かな、靜かな、森です。とても、とても、深い森です。清らかで、本当のものしかない森です。

そこにはきっと、「ここだよ」という木霊の声がするのでしょう。けれどそこは、誰もいそうもないような、

寂しい、寂しい、森なのです。

 私の友人はきっと、老いの重荷を一人で抱えて、その森に入って行ってしまわれたのです。

できることならもう一度呼び戻して、私はもう一度、哲学する孤独なライオンのようにポツポツと語る、友

人のあの優しい声に耳を傾けたいのです。

でも、もう声は、届かなくなってしまいました。春になったら、また森の中から出てきてくれるでしょうか?


 厚く雲をためた白い空に、かつて友人の詠んだ、あの句が浮かんできます。

      探りても 隠れん坊する 鬼ひとり

友よ、あなただけの森が、あなたにとって、どうか穏やかで優しい、居心地のいい森でありますように。    
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