橡の木の下で

俳句と共に

草稿01/01

2017-01-01 11:21:58 | 一日一句

手をあはせ初日をろがむ辛夷の芽  亜紀子


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「酉年に」橡会報平成29年Ⅰ月号

2017-01-01 11:17:39 | 俳句とエッセイ

   酉年に       亜紀子

 

矮鶏たちの卵不揃ひ草萌ゆる  星眠 

 

 故郷には鶏にまつわる思い出がある。父が庭に放し飼いしていた。ずいぶん昔のことである。いろいろ飼っていたが、矮鶏と東天紅鶏を一緒にしていた時が面白かった。二羽は日中は好きなように庭を歩き回り、夜は庭木の梢で眠った。モロコシを砕いたような飼料を与えていたが、草木茂る頃は新鮮な青草やみみず、昆虫も食べ放題だったろう。矮鶏は体は小さいが野生で闘争心が強く、大型で美しい東天紅鶏は柔和で臆病。力関係は断然矮鶏が優勢だった。体の小さかった私は子供ながら心密かに矮鶏を贔屓にしていた。鬨の声は東天紅鶏に軍配があがる。声尻長く、折々の大音声。近隣からの騒音クレームなど無縁の時代だった。

 また別の鶏をクリスマスの晩餐に絞めたこともある。庭で追いかけ回し、羽を毟った。私たち子供らは父と伯父の後をついて一部始終を見届けた。後になって弟が、可哀想だから来年はもうやらないでくれと泣いたそうで、晩餐はその時限りで止めになった。当時私は別段嘆いた記憶がない。年端の行かぬ弟の方が気持ちが細やかだったようだ。

 時は思い出と共に前進する。大切な記憶を醸しつつ、新しい年への歩を進めよう。 


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第5回「橡の芽投句欄」選後鑑賞

2017-01-01 11:07:03 | 小・中学生の俳句募集

選後鑑賞  亜紀子

一席

富岡 小六  齋藤樹

秋天や城の石がき何百年

 秋の青空は高く、見上げた城の石がきも大きく高く、ゆるがぬ様子が感じられます。簡単なことばで歴史を見せてくれました。

二席  吉岡  中二  飯田誠

産卵の鮭音立てて飛んでいる

 産卵のために故郷の川をさかのぼる鮭の様子が力強く描かれています。しぶきを上げて飛ぶような勢い。

三席  吉岡  中二  熊谷百乃佳

柿むけば犬が欲しがり半分こ

 「半分こ」のことばで日頃家族同様に暮している犬の様子が見えてきました。柿を持つ手を今にもなめられそうです。

 

佳 作

もくもくとすみ火のさんまいいにおい  東京 小二 厚地美彩子

コスモスが風とダンスをおどってる  横須賀 小二 鈴木なのは

きそい合う着かざるドレス菊の花  東京 小五 田口煌太郎

窓を開け鈴虫の声聞く毎夜  吉岡 中一 野口 佳葉

もみじの葉トンネルみたいに続いてる   名古屋 小三 奥園 光香

温泉の中でいっしょにおよぐ紅葉かな   岐阜 小六 豊田 椎乃

話し込む友の頭に鴨脚散る  岐阜 中二 豊田 風露

稲雀鳴くわ鳴くわで目を覚ます 岐阜 中二 豊田 風露

さみしさや最後の一つ花火散る  福岡 小五 大野 慈峰

虫たちはどこにいったの東京の  東京 小五 鳥越 大暉

虫のうた木からきこえる音がく会  東京 小二 鳥越 晴椛

入 選

えんそくでシャリッとおちばの音がくたい   可児 小二 庄田 小春

柿の実が夕日のごとく橙に  吉岡 中一 大武 鈴菜

新鮮な林檎は果汁ぎっしりだ  吉岡 中一 高橋 更弥

寒いなか林檎の頬も赤くなる  吉岡 中一 星野結希美

庭を出て向かいの塀に柿が乗る  吉岡 中一 近藤 晃平

林檎食べ頬も真っ赤に染まりだす  吉岡 中二 瀧川 光城

柿みんな夕焼け色に染まったよ  吉岡 中二 飯田  誠

秋の夜こおろぎたちの大合唱  富岡 小五 猿谷 柑太

冬の朝スープを飲んで温まる  富岡 小五 高田 早菜

さむい日はいきが白くてきりのよう 富岡 小五 武田 留妃

かれ葉おち冬がくるよとあいずする  富岡 小五 吉水 皓南

まどあけて耳をすませば虫の声  富岡 小五 齋藤 由汰

冬が来る毎日毎日さむい日が  富岡 小五 今井加奈飛

木の葉っぱもみじが落ちてじゅうたんだ   富岡 小五 赤見 俊輔

もみじたち地面におちてさわいでる  富岡 小五 味寺 航矢

冬がくる寒さにそなえてじゅんびする   富岡 小五 工藤亜莉紗

もみじ山地面はまるでじゅうたんだ  富岡 小五 桐生 美来

夕やけにひらひら舞うのは赤とんぼ  富岡 小六 伊藤 健吾

夕やけが山とかさなり美しい  富岡 小六 落合 拓馬

秋の山赤と黄色でいっぱいだ  富岡 小六 加藤 陽奈

きれいだなぁ花火のようなひがんばな   富岡 小六 佐藤  匠

街中でたいこたたいてお祭りだ  富岡 小六 新藤  優

ゆうやけでそろそろおわるお祭が  富岡 小六 柳澤 暁斗

焼きいもはかれ葉で焼くとうまそうだ   富岡 小六 髙橋 勇吹

ぎんなんにけらけらわらうつうがくろ  東京 小一 榑松すず香

 

                 


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平成28年度橡の芽賞発表

2017-01-01 10:33:08 | 小・中学生の俳句募集

平成二十八年度 橡の芽賞

岐阜 小六  豊田椎乃

天の川ツリーハウスにざこ寝する

 

 若い人の活動の一コマが、天の川という美しい季節の言葉によってふくらみのある、気持ちの良い一句になりました。空の星々と、木の上のかくれ家と、二つのものの並びぐあいのバランスが俳句らしい作品です。楽しく読ませていただきました。おめでとうございます。

 一年間、橡の芽投句欄にたくさんの作品を寄せていただきありがとうございます。小中学生の皆さんの生活、気持ちに触れることができて、大人のためにも勉強になりました。これからも俳句を続けてみたいと思われる皆さんは、図書館などで俳句の本を借りて、よりたくさんの他人の俳句を読まれると良いかと思います。そしてこの欄に限らずさまざまな機会を利用して俳句を作って発表されるとなお良いかと思います。もちろん「橡の芽投句欄」に新しい作品をどんどんお送りいただければ幸いです。

亜紀子


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