しましましっぽ

本や映画などの簡単な粗筋と感想。
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「アウシュヴィッツの図書係」  アントニオ・G・イトゥルベ 

2017年02月09日 | 読書
「アウシュヴィッツの図書係」  アントニオ・G・イトゥルベ   集英社  
LA BIBLIOTECARIA DE AUSCHWITZ         小原京子・訳

実話に基づく物語。
主人公のエディタ・アドレロヴァ(ディタ)からも話を聞いている。

アウシュヴィッツ=ビルケナウ絶滅収容所、BⅡb区画は国際監視団の視察を誤魔化す為の〈家族収容所〉。
そこの31号棟は学校で、子どもたちは20名ほどのグループになりそれぞれに教師が付いていた。
学校を作ったのは、アルフレート・ヒルシュ(フレディ)。
ドイツ当局を説得し、31号棟を子ども専用のバラックにすることを許可された。
その学校には8冊だけの図書館があり、チェコ出身の14歳のユダヤ人少女、エディタ・アドレロヴァ(ディタ)が図書係をしていた。
図書係の仕事は、先生に貸し出した本を授業が終わったら回収して、隠し場所に戻すことだった。
1冊目は何枚かページが抜けているばらばらの地図帳。2冊目は『幾何学の基礎』、3冊目はH・G・ウェルズの『世界史概観』、
4冊目は『ロシア語文法』、5冊目はフランス語の小説、6冊目はロシア語の小説、7冊目はフロイト教授が書いた『精神分析入門』。
そして8冊目チェコの小説『兵士シュヴェイクの冒険』。
表紙がなかったり、ばらばらになりかけている物もあり、ディタは傷んだ本の世話係りにもなった。
新しい図書係を探していたヒルシュは、本と向き合った時のディタを見て、本との特別な絆を持って生まれて来た子だと感じ任せることにする。







アウシュヴィッツに図書館があったと言うことも驚きだが。
これは実話なのだ。
ディタの収容所での生活も詳しく書かれている。
その過酷さは、それまでもアウシュヴィッツなどの絶滅収容所の記録や物語で語られている。
そんな生活の中で、ディタは本を持つ事、読むことで力を得ていた。
「本を開けることは汽車に乗ってバケーションに出かけるようなもの」と。
そして、人間らしく生きるということも。
今手元に無くても、その前に読んだ本を思い出して力を貰うこともあった。
教師は、覚えている物語を子どもたちに語る、‟生きた本“でもあった。
どんな過酷な境遇の中でも未来を信じて、子どもたちに教えようとすること。
そんな本との心を繋がり。
そして、幾つかのエピソードもとても印象深い。
指導者として期待されていたアルフレート・ヒルシュの死の謎。
ユダヤ人少女に恋心を抱いたナチス親衛隊のぺスティック。
重いテーマだが、ディタの力強さに励まされる。
ヒルシュとの会話も、いい。
誰もがあんな過酷な状況の中でも、必死に生きようとしたのだ。


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